2 / 7
二
しおりを挟む
「斎藤さん! これだけでも受け取ってください!」
またいつものように避けようとしたら、折り畳んだ白いメモ用紙を差し出してきた。
「ちょっと、そんな大きな声出さなくても聞こえるし!」
「でもこうでもしないとまた避けられると思うので!」
「っ……!」
廊下でのやり取りだ、他に数名いる中そんな大声で話されたら注目を浴びてしまう。
「わかったからっ! 受け取ればいいんでしょ?」
そのメモ用紙を奪いとっとと去る。教室の席に戻って畳まれたメモを開くと『LI○EのIDです』と一言と、その下にIDが書かれていた。今まで電話番号やメールアドレスを聞かれたことはあるがそれとなく拒否していた。
聞くのは無理だから自分のを……ってことね。私が登録して送らなければ意味無いのに。
バカみたいだと嘲笑ったが、律儀にもメモを鞄の中にしまっていた。連絡をするつもりなんて無い。そう思っていたのに、それを覆そうと思ったきっかけとなる会話を耳にした。それはメモをもらった一週間後のことだ。
「社会見学さ、別のクラスと合同でやるって話じゃん?」
「勝手に班分けられてたね」
「そうそう。で、集まったんだけど全然仲いい人いなくてー」
「わかるー。ウチもそうだった!」
「でしょー。しかもその班で一日行動するらしいからマジだるい」
社会見学。知識や経験を積む為に行われる学校行事の一つだが、それを他クラスと合同にすることによってコミュニケーション能力も身に付けようという学校の魂胆らしい。
すっごい迷惑……こんなんで仲良くなれるわけないじゃん 。
共感しつつ盗み聞いていたが、とある話に斎藤は耳を疑った。
「連絡先交換しようってなったんだけどさ、ウチの班に山下がいて、未だに教えないんだよね。ID設定してないーとか、今日はスマホ忘れましたーとか言って」
「うわ、それウザイ。絶対教える気ないやつ」
「そう思うでしょ? こっちも教えたいわけじゃないのにさ。個人情報なので教えたくありませーんって言ってるみたいでなんか自意識過剰じゃない?」
二人の悪口めいた会話はどうでも良かった。そんなことよりも、山下がそんな行動を取っていたなんて。
そういうの誰にでも教えるような人だと思ってた。それに……あのメモ渡すのだって凄く勇気がいることだよね。
斎藤の中で山下の印象が少しだけ変わった。そして鞄からメモを取り出して、LI○Eの友達登録をしていた。
今更って思うかな……。
友達登録をしたなら何か送ろうかと考えたが、これといって送りたい内容などなかった。そんな考えは杞憂で、山下からメッセージが届いた。
『友達登録ありがとうございます。これからもよろしくお願いします』
そのメッセージを見たらそわそわと浮き足立っていた。メッセージを送るということは一歩を踏み出すということで、相手を認めるようで、只、よろしくお願いしますというスタンプを一つ送りLI○Eを閉じたのだった。
またいつものように避けようとしたら、折り畳んだ白いメモ用紙を差し出してきた。
「ちょっと、そんな大きな声出さなくても聞こえるし!」
「でもこうでもしないとまた避けられると思うので!」
「っ……!」
廊下でのやり取りだ、他に数名いる中そんな大声で話されたら注目を浴びてしまう。
「わかったからっ! 受け取ればいいんでしょ?」
そのメモ用紙を奪いとっとと去る。教室の席に戻って畳まれたメモを開くと『LI○EのIDです』と一言と、その下にIDが書かれていた。今まで電話番号やメールアドレスを聞かれたことはあるがそれとなく拒否していた。
聞くのは無理だから自分のを……ってことね。私が登録して送らなければ意味無いのに。
バカみたいだと嘲笑ったが、律儀にもメモを鞄の中にしまっていた。連絡をするつもりなんて無い。そう思っていたのに、それを覆そうと思ったきっかけとなる会話を耳にした。それはメモをもらった一週間後のことだ。
「社会見学さ、別のクラスと合同でやるって話じゃん?」
「勝手に班分けられてたね」
「そうそう。で、集まったんだけど全然仲いい人いなくてー」
「わかるー。ウチもそうだった!」
「でしょー。しかもその班で一日行動するらしいからマジだるい」
社会見学。知識や経験を積む為に行われる学校行事の一つだが、それを他クラスと合同にすることによってコミュニケーション能力も身に付けようという学校の魂胆らしい。
すっごい迷惑……こんなんで仲良くなれるわけないじゃん 。
共感しつつ盗み聞いていたが、とある話に斎藤は耳を疑った。
「連絡先交換しようってなったんだけどさ、ウチの班に山下がいて、未だに教えないんだよね。ID設定してないーとか、今日はスマホ忘れましたーとか言って」
「うわ、それウザイ。絶対教える気ないやつ」
「そう思うでしょ? こっちも教えたいわけじゃないのにさ。個人情報なので教えたくありませーんって言ってるみたいでなんか自意識過剰じゃない?」
二人の悪口めいた会話はどうでも良かった。そんなことよりも、山下がそんな行動を取っていたなんて。
そういうの誰にでも教えるような人だと思ってた。それに……あのメモ渡すのだって凄く勇気がいることだよね。
斎藤の中で山下の印象が少しだけ変わった。そして鞄からメモを取り出して、LI○Eの友達登録をしていた。
今更って思うかな……。
友達登録をしたなら何か送ろうかと考えたが、これといって送りたい内容などなかった。そんな考えは杞憂で、山下からメッセージが届いた。
『友達登録ありがとうございます。これからもよろしくお願いします』
そのメッセージを見たらそわそわと浮き足立っていた。メッセージを送るということは一歩を踏み出すということで、相手を認めるようで、只、よろしくお願いしますというスタンプを一つ送りLI○Eを閉じたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる
九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。
※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった
海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····?
友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))
義務ですもの。
あんど もあ
ファンタジー
貴族令嬢の義務として親の決めた相手に嫁いだが、夫には愛する人がいた。夫にないがしろにされても、妻として母として嫁としての義務を果たして誠実に生きたヒロインの掴んだ、ちょっと歪んだ幸せとは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる