1 / 1
満月とカラス
しおりを挟む私は友人と沿道を歩き友人の自宅に向かっていた
バス・電車に乗る分のお金はなく仕方なく
歩く事になった
この沿道は田舎道のため街灯がほとんどなく
車通りも少なかった
唯一の明かりは雲一つなく夜空に写る
綺麗な満月の明かりのみだった
最初は友人と世間話をし時間を潰していたが
次第に話すことが無くなっていき
一人分の足音とどこからか聞こえる
カラスの鳴き声のみになっていった
すると無言の空間を潰すために
友人は私に話しかけた
「昨日の夜変な夢を見たんだよ」
友人は語りだした
「こんな田舎道を歩いてて街灯の灯りに照らされてると二人で歩いてはずなのに突然影が俺1人になったんだよ」
「え、お前と誰が歩いてんだよ?」
私は咄嗟に質問をする
「お前だよ、これで良かったか?」
「もうちょっと歩きたいな」
友人との話を終えると
私から話しを始めた
「高校の部活帰りお前と良くこの道歩いてたよな」
「そうだな、今日で何十年ぶりだよ
お金が無くてよく歩いて帰ってたよな」
友人はポケットに手を突っ込み俯きながら喋る
私は眼の前に写る街灯を前にして友人に話しかける
「もう、ここでいいよ ありがとな面倒な願いに付き合ってくれて」
友人は私の提案を肯定するような面持ちで
「お前が最後に俺に会いに来てくれてありがとう」
2人が立ち止まった街灯に写る影は2人から
1人に減っていた
友人は喪服を着ており
葬式の帰り道だった
タクシーを呼び昔私と共に歩いた道をゆっくりと
眺めた。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
恋愛
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
蝋燭
悠十
恋愛
教会の鐘が鳴る。
それは、祝福の鐘だ。
今日、世界を救った勇者と、この国の姫が結婚したのだ。
カレンは幸せそうな二人を見て、悲し気に目を伏せた。
彼女は勇者の恋人だった。
あの日、勇者が記憶を失うまでは……
愚者による愚行と愚策の結果……《完結》
アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。
それが転落の始まり……ではなかった。
本当の愚者は誰だったのか。
誰を相手にしていたのか。
後悔は……してもし足りない。
全13話
☆他社でも公開します
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる