月の見える日

遊び人

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満月とカラス

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私は友人と沿道を歩き友人の自宅に向かっていた

バス・電車に乗る分のお金はなく仕方なく
歩く事になった

この沿道は田舎道のため街灯がほとんどなく
車通りも少なかった
唯一の明かりは雲一つなく夜空に写る
綺麗な満月の明かりのみだった

最初は友人と世間話をし時間を潰していたが
次第に話すことが無くなっていき
一人分の足音とどこからか聞こえる
カラスの鳴き声のみになっていった

すると無言の空間を潰すために
友人は私に話しかけた

「昨日の夜変な夢を見たんだよ」

友人は語りだした

「こんな田舎道を歩いてて街灯の灯りに照らされてると二人で歩いてはずなのに突然影が俺1人になったんだよ」

「え、お前と誰が歩いてんだよ?」
私は咄嗟に質問をする

「お前だよ、これで良かったか?」

「もうちょっと歩きたいな」

友人との話を終えると
私から話しを始めた

「高校の部活帰りお前と良くこの道歩いてたよな」

「そうだな、今日で何十年ぶりだよ
お金が無くてよく歩いて帰ってたよな」

友人はポケットに手を突っ込み俯きながら喋る

私は眼の前に写る街灯を前にして友人に話しかける

「もう、ここでいいよ ありがとな面倒な願いに付き合ってくれて」

友人は私の提案を肯定するような面持ちで

「お前が最後に俺に会いに来てくれてありがとう」

2人が立ち止まった街灯に写る影は2人から
1人に減っていた

友人は喪服を着ており
葬式の帰り道だった

タクシーを呼び昔私と共に歩いた道をゆっくりと
眺めた。


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