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火曜日。
市井兄労らわれる。
しおりを挟むわんぱく・・・健介と所長の一人息子の亮太くんは同級生なんだけど。
体は小さいが、頭脳明晰な大検目前の高校生3年生ですよー。
きっと唐所長は、亮太くんの事を“まだまだ子供だ。”と思っているんだろう。
「弟くんは大丈夫だった?」
「弟は何とも無かったです。
でも俺にたんこぶできたら、弟が大号泣して・・・」
「市井くん、大変だったね。
病院は行った?」
「・・・まぁ、はい。
救急搬送で・・・。」
ぶつけた拍子に意識が飛んで、タンコブ。
更に健介の号泣とタワマンコンシェル発動、救急要請からの、救急搬送。
病院なんて大げさだと思ったが、コンシェルが救急車を呼んだ後だったし、警備員まで来てて、逃げられかった。
何だかメンタル含め満身創痍だった。
身体的に痛いのはタンコブだけなのに。
「搬送されたの・・・。」
「はい。
救急病院で、整形のDr.がMRI画像見ながら、
『今の所、脳に損傷は見られませんが、暫くは体調変化に注意して下さい。
・・・コブに、消炎鎮痛剤を出しておくから。』
って言われただけです。
今日までの経過も良好、何ともありませんでした。」
「・・・そう。」
「はい・・・。」
「お大事にね。」
「はい・・・てか、処方が冷湿布って!!
頭部だぞ!髪の毛があんだろ!
シップ貰っても貼れんだろうが!
あのヤブ医者!
せめてアイシングかスプレータイプよこせ!!」
DrとNsはCTとMRIのタンコブ見ながら半笑いだった。
クソッタレ!
俺も無駄にデカいタンコブだなって思ったわ!
「うん。落ち着いて、市井くん。
本音が漏れてるよ。
憤りは分かるけど。」
「・・・失礼しました。
MRIの撮影画像貰ってます。
見ます?いいですよ?」
深呼吸して、MRI画像のプリントを唐所長に渡す。
「ありがとう。
診せてもらうね。」
唐所長はMRI画像をしばらく確認した後、生暖かい目で俺を見た。
その憐憫の眼差しが一番痛いです、唐所長。
「そうだね、これなら大丈夫だろうね。
ま、暫くは医師の指示に従って体調変化に注意ね。」
「はい。」
あの救急搬送は、“俺は何ともない。”と健介に証明する為に必要だったんだ、と思おう。
病院で俺の無事を聞いて、『兄ちゃん、よかった~。』と、健に涙でグズグズの顔で微笑まれた時は、可愛くて可愛くて可哀想で抱き締めたくて悶えた。
そうだ!いい事もあったじゃないか!
「でも明日の夜、たんこぶ姿でデートに行くのはアレだね。
今日ずっと研究しながらアイシングすれば多分引っ込むよ。・・・多分。
研究所の備品を使っていいから、ね。」
「そうですね・・・」
確証のない提案に、コチラも曖昧な返事を返す。
タンコブが、たった1日で治る訳あるか。
「・・・あ、そうだ。
ディナーの内容は何にしようか?
和食、中華、フレンチ、イタリアン、韓国料理、何でもオーダーできるんだよ。
それに嫌いな食材があれば外して貰える。
弟くんの好きな物にしてあげてね。」
唐所長が俺を気遣って話題を変える、と言う貴重な体験を複雑な思いで受け止めた。
※市井兄は、弟が可愛すぎて悶えている所を、受診先の看護婦にシッカリ見られて、不審がられました。
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