穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ

文字の大きさ
107 / 131
3年2学期

107話: 文化祭準備、大型新人襲来!?②

しおりを挟む
 怒涛の出演依頼が終わり、今日から学園演劇の準備が始まる。
 俺は今回、劇には本当に出ないから裏方として緩く手伝いをする予定。ガネマルから頼まれたからとはいえ、ルカとエリオ君を誘ったわけだし何もしないわけにはいかないかなって思ってさ。そして今日、キャストの顔合わせということで、俺も練習場所である講堂に来てるんだけど――

「あなたがフレン先輩ですかぁ?」
「えっ、俺?」

 見知らぬ女の子から突然の名指しを受けて俺は首を傾げていた。

 (知り合いじゃないよね?けどこの子どこかで見たことあるような……)

 制服のリボンの色から彼女が一年生だってことはわかる。ということはペア授業監督の時に話した事あるとかかな?なんて呑気な事を考えていた俺は続く彼女の言葉で思わず固まることとなった。

「凄い可愛いって聞いてたから興味あったんですけど……結構普通ですね?」
「……え?」

 彼女の大きくてぱっちりしたピンク色の瞳が、突然の発言に驚いて固まったままの俺を映して細くなる。

「これなら去年を超えるのも簡単そうです♡あ、知ってるかもですが私一年のミカエラです!よろしくお願いしますね、先輩♡」

 そう言って、ダークレッドのハーフツインを揺らして微笑む彼女の姿を見て俺は気がつく。

 (そうだ、思い出した!ミカエラって……)

 今年のペア決めの時、俺はルカとエリオ君のトラブル対処で精一杯すぎて他の噂についてはあまり関わることがなかった。それでも一つだけ知っている噂がある。それは今年の一年生に小悪魔族の人気アイドルが入学してきてペア人気がすごかったって事。芸能活動が忙しくてあまり学校に来てないらしくて、今まで学校で会ったことはなかったけど、どうやら彼女がその本人らしい。小悪魔族の天使と称される大人気アイドルらしく華やかな顔立ちで笑う彼女は確かにテレビで見た事がある顔だ。

「お!みんなもう集まっていたんだな!!それじゃあ早速劇の説明を始めるぞ!!」

 固まった空気を壊す勢いでガネマルが講堂の扉を開けて入ってくる。その勢いに圧倒されて、俺たちは取り敢えず講堂の席について、彼の説明を聞くことになった。

「今年の劇は建国の王の厄災退治が題材だ!建国の偉人と王を中心として魔法で厄災を再現したものにしようと考えている!今日はキャストの顔合わせでもあるから順番に自己紹介してくれ!!」

 (今年も建国の偉人伝説なんだ……)

 建国の王の厄災退治は、その名の通り建国の王による国の厄災の討伐伝説だ。のちに王となる勇者が各地にいた厄災の魔物と呼ばれる伝説級の魔物を全て退治して封印した事でこの国ができたという、国の歴史と切っても切れない関係の話。ちなみに厄災の魔物の封印地は今では観光スポットになってるところも多くて知らない人はいない伝説だ。

「建国の姫役のミカエラです!今年は演技力も必要な役なので精一杯頑張りますね♡」
「ミカエラ君は率先して立候補してくれたんだ!芸能活動で時間が取れない中練習に参加してくれるとのことで練習シフトが変則的になっているから気をつけてくれ!」

 そして、さっき強烈な挨拶をしてくれた彼女は今年の建国の姫役らしい。自己紹介の内容からも、去年立ってるだけの役だった俺に向けたチクリとした何かを感じる。だけどガネマルの言葉通りなら彼女が立候補してくれたおかげで俺は今年女装せずに済んだわけだからその点においては感謝しないといけないかもしれない。

 ◇

 なかなか衝撃的な体験もしたけど、自己紹介も無事に終わりキャストの人は配られた台本に目を通し始めている。俺はというと、今日はまだ裏方仕事もそんなにないということで早めの解散になった。

 思ったより早く終わったから、そのまま寮に帰ろうかなと思って歩いていると後ろから声をかけられる。

「やっと見つかったー!フレン、今時間いい?」
「マリア?どうしたの、まあ暇だけど」

 声の主は体育祭の時に一緒にチアをやったマリアだった。マリアは隣のクラスだから普段はそこまで話す機会がないんだけど、今でもチアチームで集まってご飯食べることもあるくらいには仲がいい。

「あのさ、今年の文化祭もう出るやつ決めた?」
「学園演劇の裏方やろうと思ってるけど、どうして?」
「裏方なら掛け持ちオッケーだよね?あのさ、フレン私たちと一緒にチアライブしない?」
「チアライブ??」

 初めて聞く単語に俺は首を傾げる。

「チアパフォーマンスしながらのライブ!今ね、チアチームの子に声かけて回ってるの!それでどう?やらない??」

 マリアが身振りを加えて説明してくれて概要はなんとなく掴めたかも。けどまだちょっとイメージがつかない。

「マリア去年はやってなかったよね?なんで今年はやる事にしたの?」
「今年さ、体育祭の事件で文化祭1日だけになったじゃん?まだ事件の話で暗くなる子とかいるし、なんとか盛り上げられないかなーって思って!イメージは応援合戦!」

 不審者による通り魔事件で、途中で終わってしまった今年の体育祭。その影響で警備を厳重にする関係で今年の文化祭は学生以外の外部客を無くした他校交流日1日だけになったんだよね。
 普段は忘れててもその爪痕があると、ふとした事で心に影を落とす事があるのは俺にも理解できる。

「フレンとのダブルセンターまたやりたいし、もし裏方と両立できそうだったらお願い!」

 そう言って手を合わせるマリアを見るのもなんとなくデジャヴ。マリアのアイデアはとてもいいものだし、俺にとっても応援合戦は大事な思い出だ。その経験を活かせるこのライブは頼まれなくても出たいものだと思った。せっかくの文化祭だし、何かに出た方が楽しめるしね。

「チアライブやりたい!俺、楽器とかできないけど良いかな?」
「ありがとー!!フレン!チアできたら大丈夫だから心配しないで!また後でメンバー集めて連絡するね」

 笑顔で手を振るマリアを見送って、俺はライブのイメージをする。体育祭みたいに多くの人が笑顔になる、そんなパフォーマンスができるようにまた自主練頑張ろう。今年の文化祭は忙しくなりそうだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています

七瀬
BL
あらすじ 春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。 政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。 **** 初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

先輩たちの心の声に翻弄されています!

七瀬
BL
人と関わるのが少し苦手な高校1年生・綾瀬遙真(あやせとうま)。 ある日、食堂へ向かう人混みの中で先輩にぶつかった瞬間──彼は「触れた相手の心の声」が聞こえるようになった。 最初に声を拾ってしまったのは、対照的な二人の先輩。 乱暴そうな俺様ヤンキー・不破春樹(ふわはるき)と、爽やかで優しい王子様・橘司(たちばなつかさ)。 見せる顔と心の声の落差に戸惑う遙真。けれど、彼らはなぜか遙真に強い関心を示しはじめる。 **** 三作目の投稿になります。三角関係の学園BLですが、なるべくみんなを幸せにして終わりますのでご安心ください。 ご感想・ご指摘など気軽にコメントいただけると嬉しいです‼️

最可愛天使は儚げ美少年を演じる@勘違いってマジ??

雨霧れいん
BL
《 男子校の華 》と呼ばれるほどにかわいく、美しい少年"依織のぞ"は社会に出てから厳しさを知る。 いままでかわいいと言われていた特徴も社会に出れば女々しいだとか、非力だとか、色々な言葉で貶された。いつまでもかわいいだけの僕でいたい!いつしか依織はネットにのめり込んだ。男の主人公がイケメンに言い寄られるゲーム、通称BLゲーム。こんな世界に生まれたかった、と悲しみに暮れ眠りについたが朝起きたらそこは大好きなBLゲームのなかに!? 可愛い可愛い僕でいるために儚げ男子(笑)を演じていたら色々勘違いされて...!?!?

うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。

春雨
BL
前世を思い出した俺。 外の世界を知りたい俺は過保護な親兄弟から自由を求めるために逃げまくるけど失敗しまくる話。 愛が重すぎて俺どうすればいい?? もう不良になっちゃおうか! 少しおばかな主人公とそれを溺愛する家族にお付き合い頂けたらと思います。 初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。 ※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫です。 ※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。 もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。 なるべく全ての感想に返信させていただいてます。 感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます!

転生したが壁になりたい。

むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。 ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。 しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。 今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった! 目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!? 俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!? 「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は未定 ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い ・本格的に嫌われ始めるのは2章から

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

処理中です...