穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ

文字の大きさ
119 / 131
3年2学期

119話:文化祭反省会②

しおりを挟む
「昨日の学園演劇、トラブルはあったが、その分盛り上がりは凄かった!大成功だ、皆ありがとう!!」
「ミカエラさんやっぱり圧巻だったよ!流石プロアイドル!!」

 わいわいと感想を話しながら反省会は進んでいく。去年と違い、出演後のキャストの安全まで考えられていたからポジティブな意見が多い。

「てか今日クロード先輩来てないんですか?一緒に打ち上げしたーい!」
「クロード先輩はキャストではないからな!だが僕も感謝を伝えたいぞ!今度皆でお礼しに行こうじゃないか!」

 俺は元々ここの裏方だから参加してるけど、クロードはそうじゃないので今日は来ていない。だけどあれだけ大活躍してたから来て欲しいという気持ちもわかる。
 そんな感じで盛り上がってる中、俺は端っこの方に座っているエリオ君に近づいて声をかけた。

「エリオ君もお疲れ様!皆も褒めてたけど魔法凄かったよ!シールドもありがとね」
「あ、ありがとうございます……。その、先輩、脚……」

 俺の脚を見てエリオ君が眉を歪める。昨日舞台で痛めてしまったそこは、制服のズボンで隠れてはいるけど、隙間から包帯が見えてしまっていたみたいだ。責任感の強い彼の事だから、自分の力不足だって勘違いしてしまってるのかも。

「あー、これは飛び込んだ時に自分でやっちゃったやつ!エリオ君のおかげで他の怪我はないよ!ありがとう」
「そうなんですね……。でも、僕にはあれくらいの事しかできなくて……」

 その、いつになく気弱な言葉に、俺はエリオ君がルカの暴走を止められなかった事に責任を感じているという事に気がつく。

「十分凄い事だよ!あんな大きくて分厚いシールド普通作れないし、あれのおかげでクロードも戦いやすかったと思う」
「……っ、そう、ですね。……僕ではあれを、倒す事はできませんでしたから」

 フォローしたつもりだったけど、エリオ君の返事は弱々しく、余計に暗くなってしまった。いつもは声から感じる自信も今日は感じられない。暴走したルカが生み出した竜は規格外の魔力を持っていたし、あんなの彼じゃなくても対応できなくて当たり前なのに。

「ほら、クロードって四年生だし、エリオ君はまだ一年生じゃん。比べちゃダメだよ」
「……っ、そんな次元の話じゃないのは先輩だってわかってるでしょう?あの竜は僕よりも大きな魔力を持っていました。あんなの倒せるわけがないんです。なのに……」

 そう言ってまたエリオ君は俯いてしまう。
 前にエリオ君は言っていた。竜族は自身の強さにプライドを持った種族だと。そんな彼が邪竜以外に自分より強い相手を目にしてしまったショックは俺が考えるより大きいのかもしれない。弱さを見下す事は無くなったけど、今でも彼にとっては強さこそがアイデンティティなのだろう。

「でも、あの時一番最初に動いたのはエリオ君だったよね」
「え……」

 それでも、俺は伝えたかった。強さだけが価値じゃないよって事を。

「クロードが飛び出す前にシールドを貼って、俺を守ってくれたのはエリオ君だよ」

 自分だって危険な場所にいたのに他の人を守る事を優先してた勇気はエリオ君にしかないものじゃないかな。それに気づいて欲しくて俺は言葉を続ける。

「守ってくれてありがとう。誰がなんて言ったってエリオ君は凄いよ。エリオ君が否定しても俺が保証する」
「せんぱ……い」

 エリオ君の目が見開かれてその深緑の瞳と目が合う。それはまだ自信なさげに揺れていたけど、俺の言葉は届いたみたいだった。

「ほら、まだエリオ君昨日の感想言ってないでしょ?反省会なんだから何か言おう?」
「は……はい」

 俺はエリオ君の手を引いて前の方の席に連れて行く。エリオ君は昨日とっても頑張ってたから皆からもたくさん褒めてもらえるはず。それで少しでも元気になってくれたらいいな。

 ◇

 こうして、色々あったけど反省会は無事に終わった。――筈だった。

 帰る準備をしていた俺に、天使と称される完璧な笑顔を浮かべたミカエラさんが声をかけてくる。

「フレン先輩、この後少し時間いいですかぁ?」

 一見都合を伺っているようで、断るという選択肢を許さない物凄い圧がここにはある。
逃げ場のない教室の片隅で、俺は首を縦に振る事しかできなかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています

七瀬
BL
あらすじ 春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。 政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。 **** 初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

転生したが壁になりたい。

むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。 ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。 しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。 今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった! 目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!? 俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!? 「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」

最可愛天使は儚げ美少年を演じる@勘違いってマジ??

雨霧れいん
BL
《 男子校の華 》と呼ばれるほどにかわいく、美しい少年"依織のぞ"は社会に出てから厳しさを知る。 いままでかわいいと言われていた特徴も社会に出れば女々しいだとか、非力だとか、色々な言葉で貶された。いつまでもかわいいだけの僕でいたい!いつしか依織はネットにのめり込んだ。男の主人公がイケメンに言い寄られるゲーム、通称BLゲーム。こんな世界に生まれたかった、と悲しみに暮れ眠りについたが朝起きたらそこは大好きなBLゲームのなかに!? 可愛い可愛い僕でいるために儚げ男子(笑)を演じていたら色々勘違いされて...!?!?

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。

春雨
BL
前世を思い出した俺。 外の世界を知りたい俺は過保護な親兄弟から自由を求めるために逃げまくるけど失敗しまくる話。 愛が重すぎて俺どうすればいい?? もう不良になっちゃおうか! 少しおばかな主人公とそれを溺愛する家族にお付き合い頂けたらと思います。 初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。 ※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫です。 ※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。 もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。 なるべく全ての感想に返信させていただいてます。 感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます!

俺の異世界先は激重魔導騎士の懐の中

油淋丼
BL
少女漫画のような人生を送っていたクラスメイトがある日突然命を落とした。 背景の一部のようなモブは、卒業式の前日に事故に遭った。 魔王候補の一人として無能力のまま召喚され、魔物達に混じりこっそりと元の世界に戻る方法を探す。 魔物の脅威である魔導騎士は、不思議と初対面のようには感じなかった。 少女漫画のようなヒーローが本当に好きだったのは、モブ君だった。 異世界に転生したヒーローは、前世も含めて長年片思いをして愛が激重に変化した。 今度こそ必ず捕らえて囲って愛す事を誓います。 激重愛魔導最強転生騎士×魔王候補無能力転移モブ

ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜

キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」 (いえ、ただの生存戦略です!!) 【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】 生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。 ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。 のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。 「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。 「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。 「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」 なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!? 勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。 捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!? 「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」 ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます! 元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!

処理中です...