となりの宮川さんは人気Vtuberになりたい

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となりの宮川さんは人気Vtuberになりたいストーリー版

川上さんはVtuber

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前回 「川上 舞」いやVtuber「星守 狼子」と会った。

 「私は川上 舞「かわかみ まい」。星守 狼子「ほしもり ろうこ」という名前でVtuberをやっているわ!」

 茶髪で可愛らしい彼女は精一杯背伸びをしている。

 彼女がVtuberだということは分かったが、なぜ宮川さんが「狐山 コン子」だと分かったんだ?

 「ねえ。何で宮川さんが「狐山 コン子」だと分かったの?」

 「そんなの声で分かったに決まってるじゃない?馬鹿じゃないの?」

 馬鹿は余計だ。でもこの人も僕と同じ能力者なのかもしれない。厄介な。だがわざわざコンタクトを取ってきた理由が分からない。目的はなんだ?

 「はあ。それであなたの目的は?」

 宮川さんはため息交じりに川上 舞を見ている。それを聞いた彼女は怒りをあらわにして地面を何度も踏みつけている。

 「前々から気に食わなかったのよ!「宮川 葵」学年で一番可愛いとか言われて!一番可愛いのは私なのに!」

 「え?そこ?」

 「そこ意外ないでしょ!だから調べまくったわあなたの事を。毎日密かにあなたの観察をして、行動パターンを把握して、あなたの声を録音して毎日聞いたりしていたわ!」

 「ん?」

 川上さんの声には悔しさの中にどこか愉悦が混じっているような。あとどこかで見たことあると思ったけど所々で視界の端に映っていたきがする。あれは宮川さんを観察していたのか。というか大分やばいぞこの人。

 「じーーー」

 宮川さんはもうドン引きだ。体を震わせて汚物を見る目で彼女を見ている。無理もない。あれはほぼストーカーだ。そういえばVtuberのキャラがどうとか言っていたな。

 「それでVtuberのキャラが被っているというのは?」

 「私も以前から星守 狼子「ほしもり ろうこ」という名前でVtuberをやっているのだけど、狼の耳に制服を着て、なおかつ毒舌という、あなたとキャラがほぼ一緒なのよ!「狐山 コン子」!」

 彼女は宮川さんを指さして激しく責め立てている。たしかに似ている。というかよくそこまで一緒だったな。同じ歳のようだし制服がかぶるのはありそうだけど獣の耳まで同じとは。もはやパクリだな。

 「で?それが私に何の関係があるのよ」

 宮川さんの言葉には棘がある。

 「関係大ありよ!「狐山 コン子」にキャラが被っているだの、あっちの方が面白いだの。コメントでよく言われるのよ!あーもう。腹が立つ」

 彼女は苛立ちを隠しきれない。ん?でもそれって逆恨みってやつじゃ。

 「だから葵を調べる内に震えたわ。まさかリアルでもバーチャルでも私の宿敵が同じ人なんてね」

 葵って。友達になる気満々じゃん。でも彼女が宮川さんを「狐山 コン子」だと知ったのは本当に偶然のようだな。たぶん嫌いな相手にリアルもバーチャルも関係ないみたいだ。

 「とにかく葵はやめて。それとまだあなたの目的を聞いていないわ」

 宮川さんは心底嫌そうだ。

 「はあはあ。いいわ。私の目的を教えてあげる」

 なんかはあはあしてるけどこの人まさか。ドMというやつでは?

 「Vtuberだとばらされたく無ければ友達になりなさい!宮川 葵!」

 彼女は興奮しながら宮川さんを指さして友達になってくれと言っている。なんだよ。不安がっていた自分が馬鹿らしい。ただこの女の子は宮川さんと友達になりたいのだ。よし。あとは宮川さんが了承すれば万事解決だ。

 「宮川さん。彼女友達になりたいだけみたいだし、友達になってあげたら?」

 それを聞いた宮川さんは俯いて黙っている。ん?どうした?

 宮川さんはポケットから何かを取り出そうとしている。やばい、まさか。

 そのまま川上さんのところに早足で歩いていき、そしてどんどん体育館の壁のほうに追い込んでいく。

 「あれ?宮川さん?」

 川上さんはついに壁に追い詰められてしまった。

 「ドン」

 まさかこれは!少女漫画でよくある。

 「壁ドンだーー!」

 宮川さんは川上さんを綺麗に壁ドンしている。唯一少女漫画と違うところは宮川さんの右手にはシャーペンが握られており、川上さんの首元にシャーペンを突き付けている。

 「さっきから聞いていれば。友達になりなさい?嫌に決まってるでしょ!いい?次私の前に現れたら殺すわよ。それと私がVtuberだとだれかに喋っても殺すわ。返事は?」

 宮川さんはシャーペンをさらに首元に近づけた。これは完璧なる脅しだ。

 「は、はい。わかりました・・」

 川上さんはなんとか震えた声で返事をする。それを聞いた宮川さんはシャーペンを引っ込めて校舎に向かって歩き出した。

 「行くわよポチ」

 「う・・うん」

 この人このままでいいのかな?川上さんは腰が抜けてしまったようでその場にへたり込んでいる。

 「あの大丈夫?」

 僕は彼女に向かって手を伸ばすが、彼女はまったくこちらを見ずにぶつぶつと何かを呟いている。

 「はあはあ。宮川 葵。絶対私の物にしてあげるわ。はあはあ」

 「やっばこの人」

 全然大丈夫そうだ。むしろ前より元気だ。もう関わらないようにしよう。僕はすぐに宮川さんの後を追った。 
 
 宮川さんのストーカーの川上さんはVtuberだった。
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