3 / 6
3
しおりを挟む
エリーゼとの旅は、毎日が驚きの連続だった。俺は、これまでの人生で知らなかった世界を次々と知っていくことになった。
エリーゼは、俺が「地味」だと思っていた薬草師の仕事を、まるで宝探しのように楽しんでくれた。
「エド、見て!この『陽光の葉』、その辺で見るものよりずっと葉脈がしっかりしているわ。これを乾燥させて粉にしたら、きっと風邪薬の効果が倍増するはずよ!」
「本当だ!こんなに質の良い陽光の葉、初めて見ました…」
俺がそう言うと、エリーゼは目を輝かせて「でしょう?」って微笑んだ。
彼女は、俺が当たり前にやっていた調合の技術や、薬草の知識を、一つ一つ褒めてくれた。
「すごいわ、エド!この『眠りの花』と『月の雫』を混ぜて、こんなに綺麗な鎮静剤が作れるなんて。魔術師の私でも、この色を出すのは難しいわ」
「そうなんですか?俺は、いつも感覚でやっていただけなので…」
「それが才能ってものよ。魔術師には魔力があるように、あなたには指先の魔力があるの。これは、誰にも真似できないあなただけの魔法よ」
エリーゼは、俺が当たり前にやっていたことを「魔法」だと言ってくれた。そんな風に言われたのは、初めてだった。
俺は、エリーゼの言葉に励まされながら、少しずつ自信を取り戻していった。そして、彼女の知識と俺の知識を組み合わせる実験が始まった。
エリーゼは、魔術師としての知識を惜しみなく俺に教えてくれた。
「エド、魔術はね、物体に秘められた力を引き出すものなの。薬草だって、同じよ。薬草の中にある治癒の力や、解毒の力。それを引き出すのが、あなたの仕事でしょう?」
「はい。薬草を煎じたり、すり潰したりして、力を引き出します」
「じゃあ、そこに魔力を加えてみたらどうかしら?例えば、この『輝く石』は、光の魔力が宿っているわ。この石の粉末を少しだけ、あなたの作った傷薬に混ぜてみて」
俺は、エリーゼの言う通りに、光の魔力が宿った石の粉末を、俺が作った傷薬に混ぜてみた。
すると、傷薬が淡く光り始めた。そして、それをエリーゼが小さな切り傷に塗ると、傷はみるみるうちに塞がっていく。
「すごい…!」
俺もエリーゼも、思わず声を上げた。こんなに早く傷が治るなんて、俺の薬草の知識だけでは考えられないことだった。
「やっぱり!あなたの調合技術と、私の魔力は相性がいいわ!この薬、すごい効果よ!」
それから俺たちは、ありとあらゆる薬草と魔力の組み合わせを試した。
『炎の魔草』を、俺の作った風邪薬に混ぜてみた。すると、薬を飲んだ人の体がポカポカと温かくなり、熱がすぐに引いていく。
『水の精草』を、俺の作った解毒剤に混ぜてみた。すると、どんな強力な毒でも、一瞬で無力化させる奇跡の秘薬が完成した。
俺たちが作った薬は、これまでの常識を覆すものばかりだった。そして、旅の道中、困っている人がいれば、俺たちは迷うことなくその薬を分け与えた。
ある時、俺たちが立ち寄った村で、重い病気に苦しむ男の子がいた。村の医者も薬草師も、もう手の施しようがないと諦めていた病気だ。
男の子の母親は、泣きながら俺たちに助けを求めてきた。
「どうか…どうか、息子を助けてください…!」
「大丈夫です。少しだけ、時間をください」
俺は、母親にそう言って、エリーゼと一緒に薬の調合を始めた。
男の子の病気は、体内の魔力が不安定になる、とても珍しいものだった。俺は、その病気に効く薬草を必死で思い出した。そして、エリーゼが持っていた、魔力を安定させる特別な石と、俺が持っていた薬草を組み合わせた。
夜を徹して調合を続け、ついに薬が完成した。
「これを飲ませてあげて」
俺たちは、完成した薬を男の子の母親に渡した。母親は、信じられないような顔をしながらも、その薬を男の子に飲ませた。
すると、男の子の顔色が見るみるうちに良くなり、翌朝には、すっかり元気になっていた。
「すごい…!本当に治った…!ありがとう、ありがとう…!」
男の子の母親は、何度も何度も俺たちに感謝の言葉を言ってくれた。村の人たちも、俺たちの作った薬に驚き、感謝の言葉をかけてくれた。
「あの病気を治せるなんて…あなたは、奇跡の薬師だ!」
「本当にありがとう!あなたのおかげで、この村の民が救われた!」
「奇跡の薬師エド」、それが、いつしか俺の呼び名になっていた。
俺の名声は、あっという間に広まっていった。
「旅人の薬師がいるらしい。どんな病気でも治す奇跡の薬を作るんだとさ!」
「聞いたか?魔力と薬草を組み合わせる、すごい技術を持っているらしいぞ!」
旅の行く先々で、俺の噂を耳にするようになった。かつて「役立たず」と罵られた俺が、今では「奇跡の薬師」と呼ばれている。その事実が、俺に大きな喜びと自信を与えてくれた。
エリーゼは、そんな俺の姿を見て、自分のことのように喜んでくれた。
「よかったわね、エド。あなたは、本当はすごい才能を持っていたのよ」
「エリーゼさんのおかげです。あなたがいなかったら、俺は今でも、森の中で絶望していたかもしれません」
「いいえ。私は、あなたの才能を見つけただけ。それをここまで大きくしたのは、あなたの努力よ」
エリーゼは、いつも俺の隣で、優しく微笑んでくれた。
旅を続けるうちに、俺はエリーゼのことを、かけがえのない大切な存在だと感じるようになっていた。彼女は、俺の能力を信じてくれた初めての人。そして、俺の人生に、希望の光を灯してくれた人。
俺は、もう二度と「役立たず」にはならない。
この旅で、俺は自分の居場所を見つけた。この世界には、俺の力を必要としてくれる人がたくさんいる。
エリーゼは、俺が「地味」だと思っていた薬草師の仕事を、まるで宝探しのように楽しんでくれた。
「エド、見て!この『陽光の葉』、その辺で見るものよりずっと葉脈がしっかりしているわ。これを乾燥させて粉にしたら、きっと風邪薬の効果が倍増するはずよ!」
「本当だ!こんなに質の良い陽光の葉、初めて見ました…」
俺がそう言うと、エリーゼは目を輝かせて「でしょう?」って微笑んだ。
彼女は、俺が当たり前にやっていた調合の技術や、薬草の知識を、一つ一つ褒めてくれた。
「すごいわ、エド!この『眠りの花』と『月の雫』を混ぜて、こんなに綺麗な鎮静剤が作れるなんて。魔術師の私でも、この色を出すのは難しいわ」
「そうなんですか?俺は、いつも感覚でやっていただけなので…」
「それが才能ってものよ。魔術師には魔力があるように、あなたには指先の魔力があるの。これは、誰にも真似できないあなただけの魔法よ」
エリーゼは、俺が当たり前にやっていたことを「魔法」だと言ってくれた。そんな風に言われたのは、初めてだった。
俺は、エリーゼの言葉に励まされながら、少しずつ自信を取り戻していった。そして、彼女の知識と俺の知識を組み合わせる実験が始まった。
エリーゼは、魔術師としての知識を惜しみなく俺に教えてくれた。
「エド、魔術はね、物体に秘められた力を引き出すものなの。薬草だって、同じよ。薬草の中にある治癒の力や、解毒の力。それを引き出すのが、あなたの仕事でしょう?」
「はい。薬草を煎じたり、すり潰したりして、力を引き出します」
「じゃあ、そこに魔力を加えてみたらどうかしら?例えば、この『輝く石』は、光の魔力が宿っているわ。この石の粉末を少しだけ、あなたの作った傷薬に混ぜてみて」
俺は、エリーゼの言う通りに、光の魔力が宿った石の粉末を、俺が作った傷薬に混ぜてみた。
すると、傷薬が淡く光り始めた。そして、それをエリーゼが小さな切り傷に塗ると、傷はみるみるうちに塞がっていく。
「すごい…!」
俺もエリーゼも、思わず声を上げた。こんなに早く傷が治るなんて、俺の薬草の知識だけでは考えられないことだった。
「やっぱり!あなたの調合技術と、私の魔力は相性がいいわ!この薬、すごい効果よ!」
それから俺たちは、ありとあらゆる薬草と魔力の組み合わせを試した。
『炎の魔草』を、俺の作った風邪薬に混ぜてみた。すると、薬を飲んだ人の体がポカポカと温かくなり、熱がすぐに引いていく。
『水の精草』を、俺の作った解毒剤に混ぜてみた。すると、どんな強力な毒でも、一瞬で無力化させる奇跡の秘薬が完成した。
俺たちが作った薬は、これまでの常識を覆すものばかりだった。そして、旅の道中、困っている人がいれば、俺たちは迷うことなくその薬を分け与えた。
ある時、俺たちが立ち寄った村で、重い病気に苦しむ男の子がいた。村の医者も薬草師も、もう手の施しようがないと諦めていた病気だ。
男の子の母親は、泣きながら俺たちに助けを求めてきた。
「どうか…どうか、息子を助けてください…!」
「大丈夫です。少しだけ、時間をください」
俺は、母親にそう言って、エリーゼと一緒に薬の調合を始めた。
男の子の病気は、体内の魔力が不安定になる、とても珍しいものだった。俺は、その病気に効く薬草を必死で思い出した。そして、エリーゼが持っていた、魔力を安定させる特別な石と、俺が持っていた薬草を組み合わせた。
夜を徹して調合を続け、ついに薬が完成した。
「これを飲ませてあげて」
俺たちは、完成した薬を男の子の母親に渡した。母親は、信じられないような顔をしながらも、その薬を男の子に飲ませた。
すると、男の子の顔色が見るみるうちに良くなり、翌朝には、すっかり元気になっていた。
「すごい…!本当に治った…!ありがとう、ありがとう…!」
男の子の母親は、何度も何度も俺たちに感謝の言葉を言ってくれた。村の人たちも、俺たちの作った薬に驚き、感謝の言葉をかけてくれた。
「あの病気を治せるなんて…あなたは、奇跡の薬師だ!」
「本当にありがとう!あなたのおかげで、この村の民が救われた!」
「奇跡の薬師エド」、それが、いつしか俺の呼び名になっていた。
俺の名声は、あっという間に広まっていった。
「旅人の薬師がいるらしい。どんな病気でも治す奇跡の薬を作るんだとさ!」
「聞いたか?魔力と薬草を組み合わせる、すごい技術を持っているらしいぞ!」
旅の行く先々で、俺の噂を耳にするようになった。かつて「役立たず」と罵られた俺が、今では「奇跡の薬師」と呼ばれている。その事実が、俺に大きな喜びと自信を与えてくれた。
エリーゼは、そんな俺の姿を見て、自分のことのように喜んでくれた。
「よかったわね、エド。あなたは、本当はすごい才能を持っていたのよ」
「エリーゼさんのおかげです。あなたがいなかったら、俺は今でも、森の中で絶望していたかもしれません」
「いいえ。私は、あなたの才能を見つけただけ。それをここまで大きくしたのは、あなたの努力よ」
エリーゼは、いつも俺の隣で、優しく微笑んでくれた。
旅を続けるうちに、俺はエリーゼのことを、かけがえのない大切な存在だと感じるようになっていた。彼女は、俺の能力を信じてくれた初めての人。そして、俺の人生に、希望の光を灯してくれた人。
俺は、もう二度と「役立たず」にはならない。
この旅で、俺は自分の居場所を見つけた。この世界には、俺の力を必要としてくれる人がたくさんいる。
29
あなたにおすすめの小説
心を病んでいるという嘘をつかれ追放された私、調香の才能で見返したら調香が社交界追放されました
er
恋愛
心を病んだと濡れ衣を着せられ、夫アンドレに離縁されたセリーヌ。愛人と結婚したかった夫の陰謀だったが、誰も信じてくれない。失意の中、亡き母から受け継いだ調香の才能に目覚めた彼女は、東の別邸で香水作りに没頭する。やがて「春風の工房」として王都で評判になり、冷酷な北方公爵マグナスの目に留まる。マグナスの支援で宮廷調香師に推薦された矢先、元夫が妨害工作を仕掛けてきたのだが?
婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます
今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。
しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。
王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。
そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。
一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。
※「小説家になろう」「カクヨム」から転載
※3/8~ 改稿中
婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです
藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。
家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。
その“褒賞”として押しつけられたのは――
魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。
けれど私は、絶望しなかった。
むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。
そして、予想外の出来事が起きる。
――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。
「君をひとりで行かせるわけがない」
そう言って微笑む勇者レオン。
村を守るため剣を抜く騎士。
魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。
物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。
彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。
気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き――
いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。
もう、誰にも振り回されない。
ここが私の新しい居場所。
そして、隣には――かつての仲間たちがいる。
捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。
これは、そんな私の第二の人生の物語。
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
甘そうな話は甘くない
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
「君には失望したよ。ミレイ傷つけるなんて酷いことを! 婚約解消の通知は君の両親にさせて貰うから、もう会うこともないだろうな!」
言い捨てるような突然の婚約解消に、困惑しかないアマリリス・クライド公爵令嬢。
「ミレイ様とは、どなたのことでしょうか? 私(わたくし)には分かりかねますわ」
「とぼけるのも程ほどにしろっ。まったくこれだから気位の高い女は好かんのだ」
先程から散々不満を並べ立てるのが、アマリリスの婚約者のデバン・クラッチ侯爵令息だ。煌めく碧眼と艶々の長い金髪を腰まで伸ばした長身の全身筋肉。
彼の家門は武に長けた者が多く輩出され、彼もそれに漏れないのだが脳筋過ぎた。
だけど顔は普通。
10人に1人くらいは見かける顔である。
そして自分とは真逆の、大人しくか弱い女性が好みなのだ。
前述のアマリリス・クライド公爵令嬢は猫目で菫色、銀糸のサラサラ髪を持つ美しい令嬢だ。祖母似の容姿の為、特に父方の祖父母に溺愛されている。
そんな彼女は言葉が通じない婚約者に、些かの疲労感を覚えた。
「ミレイ様のことは覚えがないのですが、お話は両親に伝えますわ。それでは」
彼女(アマリリス)が淑女の礼の最中に、それを見終えることなく歩き出したデバンの足取りは軽やかだった。
(漸くだ。あいつの有責で、やっと婚約解消が出来る。こちらに非がなければ、父上も同意するだろう)
この婚約はデバン・クラッチの父親、グラナス・クラッチ侯爵からの申し込みであった。クライド公爵家はアマリリスの兄が継ぐので、侯爵家を継ぐデバンは嫁入り先として丁度良いと整ったものだった。
カクヨムさん、小説家になろうさんにも載せています。
悪役令嬢と呼ばれた私に裁きを望むならご自由に。ただし、その甘露の罠に沈むのはあなたですわ。
タマ マコト
ファンタジー
王都で“悪役令嬢”と噂されるリシェル・ノワゼルは、聖女と王太子による公開断罪を宣告される。
しかし彼女は弁明も反抗もせず、ただ優雅に微笑むだけだった。
甘い言葉と沈黙の裏で、人の嘘と欲を見抜く彼女の在り方は、やがて断罪する側の秘密と矛盾を次々と浮かび上がらせていく。
裁くつもりで集った者たちは気づかぬまま、リシェルが張った“甘露の罠”へと足を踏み入れていくのだった。
婚約破棄のその場で転生前の記憶が戻り、悪役令嬢として反撃開始いたします
タマ マコト
ファンタジー
革命前夜の王国で、公爵令嬢レティシアは盛大な舞踏会の場で王太子アルマンから一方的に婚約を破棄され、社交界の嘲笑の的になる。その瞬間、彼女は“日本の歴史オタク女子大生”だった前世の記憶を思い出し、この国が数年後に血塗れの革命で滅びる未来を知ってしまう。
悪役令嬢として嫌われ、切り捨てられた自分の立場と、公爵家の権力・財力を「運命改変の武器」にすると決めたレティシアは、貧民街への支援や貴族の不正調査をひそかに始める。その過程で、冷静で改革派の第二王子シャルルと出会い、互いに利害と興味を抱きながら、“歴史に逆らう悪役令嬢”として静かな反撃をスタートさせていく。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる