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ライアンさんとの穏やかな日々は、ある日突然届いた一通の知らせによって破られました。
辺境伯家からの急使がもたらしたのは、王都で蔓延しているという恐ろしい疫病のニュースでした。
「そんな……。王都だけでなく、アレクさまの領地まで、そんなにひどいことになっているなんて……」
手紙を読み終えた私は、思わず震える手で口元を覆いました。
疫病はまたたく間に広がり、高名な宮廷魔導師たちの癒やしの魔法すら効果がないというのです。さらに悪いことに、疫病で人々の活気が失われた隙を突くように、魔獣たちが各地で暴れ回り、国全体が未曾有の危機に陥っていました。
ライアンさんは、手紙をじっと見つめながら、鋭い眼差しで私に言いました。
「セレナ。この症状……高熱に浮かされ、肌に黒い斑点が浮かび、魔力が枯渇していくというこの病。……俺を蝕んでいたあの『呪い』と、酷似していないか?」
その言葉に、私はハッとしました。
ライアンさんを治療するために毎日見ていた、あの不気味な黒い紋様。
そして、彼を救うために私が作り上げた、あの特殊な薬草の調合法。
「……確かにそうです。ライアンさんの呪いを中和したあの薬草は、魔力を浄化し、体力を劇的に回復させる力があります。もし、王都の疫病が魔獣の呪いと同じ性質のものなら、私の育てている薬草が、唯一の希望になるかもしれません」
私は庭に目を向けました。
そこには、私が丹精込めて育てた、銀色に輝く葉を持つ薬草が、朝露に濡れて美しく咲き誇っていました。
かつてアレクさまが「薄汚い草いじり」と吐き捨てた、あの薬草たちが。
---
それから数日間、私は狂ったように研究と調合に没頭しました。
ライアンさんも、自らの騎士団を呼び寄せ、疫病の詳しい情報を次々と集めてくれました。
そしてついに、私の作った薬が疫病に対して劇的な効果を持つことが、小規模な実験で証明されたのです。
「できた……! これがあれば、たくさんの人が救えるわ。でも……」
私はそこで、不意に暗い気持ちに支配されました。
王都。私を「枯れた花」と呼び、冷笑し、家族ですら私を見捨てた場所。
今さらあそこへ戻って、彼らを助ける必要があるのでしょうか。
アレクさまが苦しんでいるのなら、それは自業自得ではないか。
心の片隅にある醜い感情が、私の足を止めようとしました。
「セレナ。浮かない顔をしているな。……あんな場所に戻りたくない、そう思っているんだろう?」
ライアンさんが、そっと私の肩に手を置きました。
彼の大きな手は、いつだって私の迷いを消し去ってくれます。
「あいつらは、お前の価値を認めず、泥の中に放り出した。復讐したい、見捨てたいと思うのは当然の感情だ。……だが、セレナ。お前の目は、あいつらと同じ濁った色をしていない。お前がその薬を作ったのは、誰かを苦しめるためではなく、救うためだろう?」
私は顔を上げ、ライアンさんの紺碧の瞳を見つめました。
彼は真っ直ぐに、私の心の奥底を見透かすように続けました。
「お前はもう、影の中に隠れる『枯れた花』じゃない。この絶望に満ちた世界に光を灯せる、唯一の聖女なんだ。……君が世界を救うんだ、セレナ。あいつらの過ちを、お前の輝きで証明してやればいい。俺が全力で、お前を守り抜くと誓う。だから、一緒に行こう」
ライアンさんの力強い言葉に、私の胸は熱くなりました。
そうだ、私は自分を否定した人たちのために行くのではない。
私を信じてくれたライアンさんのため、そして、今も苦しんでいる罪のない人々のために行くのだ。
「……はい、ライアンさん。私、行きます。私の薬草がどこまで通用するか分かりませんが、全力を尽くしたいです。……あの場所を、私の力で変えてみせます!」
私の決意を聞いて、ライアンさんは満足そうに微笑みました。
その笑顔は、かつて絶望の中にいた私を救ってくれた、太陽のような温かさでした。
---
数日後。
ライアンさん率いる精鋭騎士団と共に、私は懐かしくも忌々しい王都へと向かいました。
馬車に揺られながら見る景色は、かつての華やかさを失い、灰色の雲が垂れ込めているようでした。
王都の門に到着したとき、そこは地獄のような光景でした。
魔獣の群れが城壁を崩そうと押し寄せ、兵士たちは疲弊しきっています。
街の中では人々が倒れ、悲鳴と怒号が飛び交っていました。
「騎士団、展開せよ! 魔獣を一匹たりとも街へ入れるな! セレナは中央広場で救護の準備を。……安心しろ、俺がお前の盾になる」
ライアンさんは馬にまたがり、鋭い剣を抜き放ちました。
かつて呪いに蝕まれていた男とは思えないほど、その姿は堂々としていて、神々しいほどでした。
「了解しました、ライアンさま! 皆さん、私の薬を配ってください! 水に薄めて飲ませるだけでいいんです!」
私は広場に急ごしらえの救護所を作り、大量に持ち込んだ薬草の抽出液を次々と配り始めました。
魔獣の爪跡で負傷した人、病で呼吸も絶え絶えな人。
一人ひとりに声をかけ、薬を飲ませていきます。
「大丈夫ですよ、すぐに楽になりますから。この薬草には、悪い呪いを浄化する力があるんです。……さあ、ゆっくり飲み込んで」
私の手は、いつの間にか泥と薬草の汁で汚れ、髪も乱れていました。
かつての夜会なら「見苦しい」と蔑まれるような姿。
けれど、薬を飲んだ人々の顔に赤みが差し、絶望に沈んでいた瞳に希望の光が宿るのを見るたび、私は自分の存在意義を確信していきました。
一方で、戦場ではライアンさんが圧倒的な力を振るっていました。
彼は稲妻のような速さで巨大な魔獣を斬り伏せ、その背後にいる者たちを鼓舞し続けました。
「辺境の死神」と恐れられていたはずの彼の剣は、今や「王都の救世主」として、人々の目に焼き付いていました。
「見ろ……! あの騎士様は誰だ? そしてあの、奇跡の薬を配っている女性は……!」
「……ああ、なんてことだ。あの方は、ルミナス公爵家の、あの『無能』と言われて追放されたセレナ様ではないか!」
ざわざわと、周囲に驚きの声が広がっていきます。
その中には、かつて私を嘲笑った貴族たちの姿もありました。
彼らは汚れ一つない立派な服を着ていながら、震えて物陰に隠れることしかできていません。
そんな中、私は信じられないものを見ました。
ボロボロになった騎士服を纏い、剣さえ持たずに地面に這いつくばっている男——アレクさまです。
「う……嘘だろ。あんな、泥だらけの女が……セレナ? ……あの、枯れ木のような女が、なぜこれほどの奇跡を起こせるんだ……?」
アレクさまは、信じられないものを見るような目で私を見つめていました。
彼の領地はすでに疫病と魔獣で壊滅的な被害を受け、彼は逃げ出すように王都へ戻ってきたという噂は本当だったようです。
かつての傲慢な光輝は消え失せ、ただの情けない男がそこにいました。
私は彼と目が合いましたが、何も言わずにただ静かに微笑みました。
憎しみも、怒りも、不思議と湧いてきませんでした。
ただ、私を蔑んだ彼と、今の私。その差はあまりにも明白で、もはや言葉を交わす必要すら感じなかったのです。
ライアンさんが魔獣の王を討ち取り、勝利の咆哮を上げたとき、王都に一筋の光が差し込みました。
人々は歓声を上げ、私の周りには感謝の言葉があふれました。
「ありがとう、聖女様! あなたのおかげで、家族が助かりました!」
「……聖女なんかじゃありません。私はただ、薬草が好きなだけの、一人の人間です」
私は照れくさそうに笑いながら、駆け寄ってきたライアンさんの手を取りました。
彼の鎧は返り血で汚れ、私の服は泥にまみれていました。
けれど、私たちは間違いなく、この王都で一番輝いていたはずです。
「やったな、セレナ。君が、この街を救ったんだ」
「いいえ。私を信じて、ここまで連れてきてくれたライアンさんのおかげです」
私たちは手を取り合い、凱旋のパレードのように広場を進んでいきました。
その背後で、呆然と立ち尽くし、悔しさに顔を歪めるアレクさまの姿が見えましたが、私たちは一度も振り返りませんでした。
物語は、いよいよクライマックスへ。
私を捨てたことを、彼が骨の髄まで後悔する瞬間が、すぐそこまで迫っていました。
辺境伯家からの急使がもたらしたのは、王都で蔓延しているという恐ろしい疫病のニュースでした。
「そんな……。王都だけでなく、アレクさまの領地まで、そんなにひどいことになっているなんて……」
手紙を読み終えた私は、思わず震える手で口元を覆いました。
疫病はまたたく間に広がり、高名な宮廷魔導師たちの癒やしの魔法すら効果がないというのです。さらに悪いことに、疫病で人々の活気が失われた隙を突くように、魔獣たちが各地で暴れ回り、国全体が未曾有の危機に陥っていました。
ライアンさんは、手紙をじっと見つめながら、鋭い眼差しで私に言いました。
「セレナ。この症状……高熱に浮かされ、肌に黒い斑点が浮かび、魔力が枯渇していくというこの病。……俺を蝕んでいたあの『呪い』と、酷似していないか?」
その言葉に、私はハッとしました。
ライアンさんを治療するために毎日見ていた、あの不気味な黒い紋様。
そして、彼を救うために私が作り上げた、あの特殊な薬草の調合法。
「……確かにそうです。ライアンさんの呪いを中和したあの薬草は、魔力を浄化し、体力を劇的に回復させる力があります。もし、王都の疫病が魔獣の呪いと同じ性質のものなら、私の育てている薬草が、唯一の希望になるかもしれません」
私は庭に目を向けました。
そこには、私が丹精込めて育てた、銀色に輝く葉を持つ薬草が、朝露に濡れて美しく咲き誇っていました。
かつてアレクさまが「薄汚い草いじり」と吐き捨てた、あの薬草たちが。
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それから数日間、私は狂ったように研究と調合に没頭しました。
ライアンさんも、自らの騎士団を呼び寄せ、疫病の詳しい情報を次々と集めてくれました。
そしてついに、私の作った薬が疫病に対して劇的な効果を持つことが、小規模な実験で証明されたのです。
「できた……! これがあれば、たくさんの人が救えるわ。でも……」
私はそこで、不意に暗い気持ちに支配されました。
王都。私を「枯れた花」と呼び、冷笑し、家族ですら私を見捨てた場所。
今さらあそこへ戻って、彼らを助ける必要があるのでしょうか。
アレクさまが苦しんでいるのなら、それは自業自得ではないか。
心の片隅にある醜い感情が、私の足を止めようとしました。
「セレナ。浮かない顔をしているな。……あんな場所に戻りたくない、そう思っているんだろう?」
ライアンさんが、そっと私の肩に手を置きました。
彼の大きな手は、いつだって私の迷いを消し去ってくれます。
「あいつらは、お前の価値を認めず、泥の中に放り出した。復讐したい、見捨てたいと思うのは当然の感情だ。……だが、セレナ。お前の目は、あいつらと同じ濁った色をしていない。お前がその薬を作ったのは、誰かを苦しめるためではなく、救うためだろう?」
私は顔を上げ、ライアンさんの紺碧の瞳を見つめました。
彼は真っ直ぐに、私の心の奥底を見透かすように続けました。
「お前はもう、影の中に隠れる『枯れた花』じゃない。この絶望に満ちた世界に光を灯せる、唯一の聖女なんだ。……君が世界を救うんだ、セレナ。あいつらの過ちを、お前の輝きで証明してやればいい。俺が全力で、お前を守り抜くと誓う。だから、一緒に行こう」
ライアンさんの力強い言葉に、私の胸は熱くなりました。
そうだ、私は自分を否定した人たちのために行くのではない。
私を信じてくれたライアンさんのため、そして、今も苦しんでいる罪のない人々のために行くのだ。
「……はい、ライアンさん。私、行きます。私の薬草がどこまで通用するか分かりませんが、全力を尽くしたいです。……あの場所を、私の力で変えてみせます!」
私の決意を聞いて、ライアンさんは満足そうに微笑みました。
その笑顔は、かつて絶望の中にいた私を救ってくれた、太陽のような温かさでした。
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数日後。
ライアンさん率いる精鋭騎士団と共に、私は懐かしくも忌々しい王都へと向かいました。
馬車に揺られながら見る景色は、かつての華やかさを失い、灰色の雲が垂れ込めているようでした。
王都の門に到着したとき、そこは地獄のような光景でした。
魔獣の群れが城壁を崩そうと押し寄せ、兵士たちは疲弊しきっています。
街の中では人々が倒れ、悲鳴と怒号が飛び交っていました。
「騎士団、展開せよ! 魔獣を一匹たりとも街へ入れるな! セレナは中央広場で救護の準備を。……安心しろ、俺がお前の盾になる」
ライアンさんは馬にまたがり、鋭い剣を抜き放ちました。
かつて呪いに蝕まれていた男とは思えないほど、その姿は堂々としていて、神々しいほどでした。
「了解しました、ライアンさま! 皆さん、私の薬を配ってください! 水に薄めて飲ませるだけでいいんです!」
私は広場に急ごしらえの救護所を作り、大量に持ち込んだ薬草の抽出液を次々と配り始めました。
魔獣の爪跡で負傷した人、病で呼吸も絶え絶えな人。
一人ひとりに声をかけ、薬を飲ませていきます。
「大丈夫ですよ、すぐに楽になりますから。この薬草には、悪い呪いを浄化する力があるんです。……さあ、ゆっくり飲み込んで」
私の手は、いつの間にか泥と薬草の汁で汚れ、髪も乱れていました。
かつての夜会なら「見苦しい」と蔑まれるような姿。
けれど、薬を飲んだ人々の顔に赤みが差し、絶望に沈んでいた瞳に希望の光が宿るのを見るたび、私は自分の存在意義を確信していきました。
一方で、戦場ではライアンさんが圧倒的な力を振るっていました。
彼は稲妻のような速さで巨大な魔獣を斬り伏せ、その背後にいる者たちを鼓舞し続けました。
「辺境の死神」と恐れられていたはずの彼の剣は、今や「王都の救世主」として、人々の目に焼き付いていました。
「見ろ……! あの騎士様は誰だ? そしてあの、奇跡の薬を配っている女性は……!」
「……ああ、なんてことだ。あの方は、ルミナス公爵家の、あの『無能』と言われて追放されたセレナ様ではないか!」
ざわざわと、周囲に驚きの声が広がっていきます。
その中には、かつて私を嘲笑った貴族たちの姿もありました。
彼らは汚れ一つない立派な服を着ていながら、震えて物陰に隠れることしかできていません。
そんな中、私は信じられないものを見ました。
ボロボロになった騎士服を纏い、剣さえ持たずに地面に這いつくばっている男——アレクさまです。
「う……嘘だろ。あんな、泥だらけの女が……セレナ? ……あの、枯れ木のような女が、なぜこれほどの奇跡を起こせるんだ……?」
アレクさまは、信じられないものを見るような目で私を見つめていました。
彼の領地はすでに疫病と魔獣で壊滅的な被害を受け、彼は逃げ出すように王都へ戻ってきたという噂は本当だったようです。
かつての傲慢な光輝は消え失せ、ただの情けない男がそこにいました。
私は彼と目が合いましたが、何も言わずにただ静かに微笑みました。
憎しみも、怒りも、不思議と湧いてきませんでした。
ただ、私を蔑んだ彼と、今の私。その差はあまりにも明白で、もはや言葉を交わす必要すら感じなかったのです。
ライアンさんが魔獣の王を討ち取り、勝利の咆哮を上げたとき、王都に一筋の光が差し込みました。
人々は歓声を上げ、私の周りには感謝の言葉があふれました。
「ありがとう、聖女様! あなたのおかげで、家族が助かりました!」
「……聖女なんかじゃありません。私はただ、薬草が好きなだけの、一人の人間です」
私は照れくさそうに笑いながら、駆け寄ってきたライアンさんの手を取りました。
彼の鎧は返り血で汚れ、私の服は泥にまみれていました。
けれど、私たちは間違いなく、この王都で一番輝いていたはずです。
「やったな、セレナ。君が、この街を救ったんだ」
「いいえ。私を信じて、ここまで連れてきてくれたライアンさんのおかげです」
私たちは手を取り合い、凱旋のパレードのように広場を進んでいきました。
その背後で、呆然と立ち尽くし、悔しさに顔を歪めるアレクさまの姿が見えましたが、私たちは一度も振り返りませんでした。
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