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教会での生活が始まってから、数週間が経ちました。
朝は鶏の声とともに起き、子供たちの朝食を作り、山のような洗濯物を洗い、午後は壊れたおもちゃの修理や勉強の相手をする。そんな目まぐるしい毎日ですが、不思議と心は羽が生えたように軽やかでした。
かつての私は、ドレスの裾が少し汚れただけで青ざめ、アルフレッド様の機嫌を損ねないかとビクビクしてばかりでした。でも今は、子供たちと一緒に泥遊びをして服を汚しても、「あはは、また洗えばいいよね」と一緒に笑い合える。
そんな当たり前の幸せが、今の私には何よりも大切に思えました。
そんなある日の午後、孤児院の古びた門の前に、数騎の馬が止まりました。
現れたのは、銀色の鎧をまとい、まばゆいばかりのオーラを放つ騎士たちです。その中心に立つ一人の男性に、私は思わず息を呑みました。
抜けるような金髪に、深い海のような蒼い瞳。彫刻のように整った顔打ちは、まるでおとぎ話の英雄のようです。
彼は、泣く子も黙ると噂される王国最強の戦士、聖騎士団長のレオナード・ヴィンセント様でした。
「……聖騎士団の方々が、どうしてこのような場所へ?」
私は手に持っていた洗濯物のかごを抱え直し、戸惑いながらも声をかけました。
レオナード様は、私の姿をじっと見つめると、ゆっくりと歩み寄ってきました。その威圧感に足がすくみそうになります。噂では、彼は「氷の騎士」と呼ばれ、感情を持たない冷徹な男だと言われていましたから。
ところが、私の足元に駆け寄ってきた小さな男の子が石につまずいて転んでしまった瞬間、彼の表情が一変しました。
「おっと、大丈夫かい? 怪我はないかな。強い子は、泣かずに立ち上がれるんだよね」
レオナード様はさっと膝をつき、泥だらけになった男の子を優しく抱き上げたのです。その声は驚くほど穏やかで、蜂蜜のように甘く響きました。
男の子が泣き止んで笑顔を見せると、彼は満足そうに頷き、再び私の方を向きました。
「突然押しかけてすまない。最近、王都の治安が不安定でね。このあたりの孤児院に不審者が現れていないか、定期的に視察に回っているんだ。君が、ここで新しく働き始めたというエルナさんかな?」
「は、はい……。エルナと申します。レオナード様、わざわざこのような場所まで、ご苦労様でございます。騎士団長様ともあろうお方が、子供たちの相手までしてくださるなんて……」
私が恐縮して頭を下げると、彼は私の赤くなった手――あかぎれだらけで、爪の間には土が入り、かつての令嬢の面影もない「汚れた手」――を、そっと見つめました。
私は恥ずかしくなり、思わず手を隠そうとしましたが、彼はそれを優しく制しました。
「隠す必要はない。その手は、一生懸命に誰かを守り、支えてきた証だ。エルナさん、君の手は、宝石を飾るだけの貴婦人のものより、ずっと尊い。私は、自分の足で立ち、汗を流して働く人を、心から尊敬しているんだ」
アルフレッド様には「醜い」「汚らわしい」と罵られた私の手を、彼は「尊い」と言ってくれました。
その言葉が、凍りついていた私の心にじんわりと染み渡り、視界が少しだけ潤むのを感じました。
---
それからというもの、レオナード様は公務の合間を縫って、頻繁に孤児院を訪れるようになりました。
ある時は子供たちのために大量の食料や薪を届けてくれ、またある時は、雨漏りする屋根の修理を自ら手伝ってくれることもありました。
私たちは、庭のベンチに座って、時折ゆっくりと話をしました。
ある日、私は意を決して、彼にずっと気になっていたことを尋ねてみました。
「レオナード様……。あなたは、私がアルフレッド様の婚約者だったことをご存知なのですよね? 王家を追い出され、泥を塗られたような私と関わることは、あなたの立場を悪くしてしまうのではないでしょうか」
私の不安そうな問いかけに、レオナード様はふっと柔らかく微笑みました。
「エルナさん。私はね、噂話や肩書きで人を判断するほど暇ではないんだ。私がこの目で見ているのは、子供たちのために一生懸命に走り回り、太陽のように笑う君だ。過去がどうあれ、君が一人の誠実な女性である事実に変わりはない。それに……あんな男の隣にいるより、今の君の方が、ずっと美しく輝いているよ」
さらりとそう告げる彼の真剣な眼差しに、私は顔が火照るのを止められませんでした。
社交界での褒め言葉は、いつも裏があるものばかり。でも、レオナード様の言葉には、一滴の嘘も混じっていないことが伝わってくるのです。
「ありがとうございます、レオナード様。私、この生活が大好きなんです。誰かのための『おまけ』ではなく、私自身として認められることが、こんなに幸せだなんて知りませんでした」
「君が幸せなら、それが一番だ。……もし、君を傷つける者が再び現れたら、その時は私が全力で君を守ると約束しよう。これは聖騎士としての誓いではなく、一人の男としての、君への誓いだ」
彼と過ごす穏やかな時間は、私にとってかけがえのない宝物になっていきました。
私は彼への憧れが、いつしかもっと深い、温かな感情に変わっていくのを自覚し始めていました。
---
しかし、そんな平和な日々に、不気味な影が忍び寄ります。
ここ最近、王都のあちこちで「暴動」が起きていました。貧民層の人々が突然暴れ出し、商店を襲ったり火を放ったりするというのです。
ある日の夕暮れ時。私は孤児院の裏山へ、ハーブを摘みに出かけました。
すると、森の奥の方から、聞き覚えのある低い声が聞こえてきました。
「……準備は整った。次の新月の夜、西地区の倉庫街で火を上げろ。騎士団の連中がそちらに引きつけられている隙に、王宮の裏門を開けさせる」
私は息を殺し、茂みの陰に隠れました。
そこには、黒いマントを羽織った数人の男たちが立っていました。その中の一人の顔を見て、私は心臓が止まるかと思いました。
彼は、アルフレッド様の忠実な側近である、バートン子爵でした。
「殿下もお急ぎだ。今の無能な王に代わり、殿下が自ら暴動を鎮圧するヒーローとして現れることで、民衆の支持を一気に集める。そのための『演出』に失敗は許されんぞ」
「はっ。騎士団長レオナードも、まさか王子殿下自らが暴動を扇動しているとは夢にも思わないでしょうな」
彼らは冷酷な笑い声を上げながら、その場を立ち去っていきました。
指先がガタガタと震えます。
アルフレッド様……。あの人は、自分が王座に就くためだけに、罪のない民衆を巻き込み、街を戦火に晒そうとしているというの……?
彼らが去った後、私は彼らが立っていた場所へ這い寄りました。
地面には、何かを破り捨てたような紙片が散らばっていました。
私はそれを必死にかき集めました。その中の一枚、燃え残った紙の端に、はっきりと見覚えのある刺繍が残っていました。
それは、第一王子の紋章。アルフレッド様だけが使うことを許された、特別な獅子の印です。
「……これが、あの方のやり方……。自分の欲のために、誰を犠牲にしても構わないなんて……!」
私はその紙片を、握りこぶしの中に強く閉じ込めました。
かつての私なら、恐ろしさに震えて逃げ出していたかもしれません。
でも、今の私には守りたい場所があります。優しい子供たち、私を受け入れてくれたシスター、そして、この街の平和を守るために命をかけているレオナード様。
(アルフレッド様。あなたは私に『王妃の器ではない』と言いましたね。ええ、確かにそうかもしれません。でも、あなたの卑劣な企みを許すほど、私は弱くもありません!)
私は決意を胸に、夜の帳が下り始めた森を駆け抜けました。
この証拠を、一刻も早くレオナード様に届けなければなりません。
私の手の中にあるこの小さな紙片が、傲慢な王子を破滅させるための、最初の鍵になるのだと確信しながら。
朝は鶏の声とともに起き、子供たちの朝食を作り、山のような洗濯物を洗い、午後は壊れたおもちゃの修理や勉強の相手をする。そんな目まぐるしい毎日ですが、不思議と心は羽が生えたように軽やかでした。
かつての私は、ドレスの裾が少し汚れただけで青ざめ、アルフレッド様の機嫌を損ねないかとビクビクしてばかりでした。でも今は、子供たちと一緒に泥遊びをして服を汚しても、「あはは、また洗えばいいよね」と一緒に笑い合える。
そんな当たり前の幸せが、今の私には何よりも大切に思えました。
そんなある日の午後、孤児院の古びた門の前に、数騎の馬が止まりました。
現れたのは、銀色の鎧をまとい、まばゆいばかりのオーラを放つ騎士たちです。その中心に立つ一人の男性に、私は思わず息を呑みました。
抜けるような金髪に、深い海のような蒼い瞳。彫刻のように整った顔打ちは、まるでおとぎ話の英雄のようです。
彼は、泣く子も黙ると噂される王国最強の戦士、聖騎士団長のレオナード・ヴィンセント様でした。
「……聖騎士団の方々が、どうしてこのような場所へ?」
私は手に持っていた洗濯物のかごを抱え直し、戸惑いながらも声をかけました。
レオナード様は、私の姿をじっと見つめると、ゆっくりと歩み寄ってきました。その威圧感に足がすくみそうになります。噂では、彼は「氷の騎士」と呼ばれ、感情を持たない冷徹な男だと言われていましたから。
ところが、私の足元に駆け寄ってきた小さな男の子が石につまずいて転んでしまった瞬間、彼の表情が一変しました。
「おっと、大丈夫かい? 怪我はないかな。強い子は、泣かずに立ち上がれるんだよね」
レオナード様はさっと膝をつき、泥だらけになった男の子を優しく抱き上げたのです。その声は驚くほど穏やかで、蜂蜜のように甘く響きました。
男の子が泣き止んで笑顔を見せると、彼は満足そうに頷き、再び私の方を向きました。
「突然押しかけてすまない。最近、王都の治安が不安定でね。このあたりの孤児院に不審者が現れていないか、定期的に視察に回っているんだ。君が、ここで新しく働き始めたというエルナさんかな?」
「は、はい……。エルナと申します。レオナード様、わざわざこのような場所まで、ご苦労様でございます。騎士団長様ともあろうお方が、子供たちの相手までしてくださるなんて……」
私が恐縮して頭を下げると、彼は私の赤くなった手――あかぎれだらけで、爪の間には土が入り、かつての令嬢の面影もない「汚れた手」――を、そっと見つめました。
私は恥ずかしくなり、思わず手を隠そうとしましたが、彼はそれを優しく制しました。
「隠す必要はない。その手は、一生懸命に誰かを守り、支えてきた証だ。エルナさん、君の手は、宝石を飾るだけの貴婦人のものより、ずっと尊い。私は、自分の足で立ち、汗を流して働く人を、心から尊敬しているんだ」
アルフレッド様には「醜い」「汚らわしい」と罵られた私の手を、彼は「尊い」と言ってくれました。
その言葉が、凍りついていた私の心にじんわりと染み渡り、視界が少しだけ潤むのを感じました。
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それからというもの、レオナード様は公務の合間を縫って、頻繁に孤児院を訪れるようになりました。
ある時は子供たちのために大量の食料や薪を届けてくれ、またある時は、雨漏りする屋根の修理を自ら手伝ってくれることもありました。
私たちは、庭のベンチに座って、時折ゆっくりと話をしました。
ある日、私は意を決して、彼にずっと気になっていたことを尋ねてみました。
「レオナード様……。あなたは、私がアルフレッド様の婚約者だったことをご存知なのですよね? 王家を追い出され、泥を塗られたような私と関わることは、あなたの立場を悪くしてしまうのではないでしょうか」
私の不安そうな問いかけに、レオナード様はふっと柔らかく微笑みました。
「エルナさん。私はね、噂話や肩書きで人を判断するほど暇ではないんだ。私がこの目で見ているのは、子供たちのために一生懸命に走り回り、太陽のように笑う君だ。過去がどうあれ、君が一人の誠実な女性である事実に変わりはない。それに……あんな男の隣にいるより、今の君の方が、ずっと美しく輝いているよ」
さらりとそう告げる彼の真剣な眼差しに、私は顔が火照るのを止められませんでした。
社交界での褒め言葉は、いつも裏があるものばかり。でも、レオナード様の言葉には、一滴の嘘も混じっていないことが伝わってくるのです。
「ありがとうございます、レオナード様。私、この生活が大好きなんです。誰かのための『おまけ』ではなく、私自身として認められることが、こんなに幸せだなんて知りませんでした」
「君が幸せなら、それが一番だ。……もし、君を傷つける者が再び現れたら、その時は私が全力で君を守ると約束しよう。これは聖騎士としての誓いではなく、一人の男としての、君への誓いだ」
彼と過ごす穏やかな時間は、私にとってかけがえのない宝物になっていきました。
私は彼への憧れが、いつしかもっと深い、温かな感情に変わっていくのを自覚し始めていました。
---
しかし、そんな平和な日々に、不気味な影が忍び寄ります。
ここ最近、王都のあちこちで「暴動」が起きていました。貧民層の人々が突然暴れ出し、商店を襲ったり火を放ったりするというのです。
ある日の夕暮れ時。私は孤児院の裏山へ、ハーブを摘みに出かけました。
すると、森の奥の方から、聞き覚えのある低い声が聞こえてきました。
「……準備は整った。次の新月の夜、西地区の倉庫街で火を上げろ。騎士団の連中がそちらに引きつけられている隙に、王宮の裏門を開けさせる」
私は息を殺し、茂みの陰に隠れました。
そこには、黒いマントを羽織った数人の男たちが立っていました。その中の一人の顔を見て、私は心臓が止まるかと思いました。
彼は、アルフレッド様の忠実な側近である、バートン子爵でした。
「殿下もお急ぎだ。今の無能な王に代わり、殿下が自ら暴動を鎮圧するヒーローとして現れることで、民衆の支持を一気に集める。そのための『演出』に失敗は許されんぞ」
「はっ。騎士団長レオナードも、まさか王子殿下自らが暴動を扇動しているとは夢にも思わないでしょうな」
彼らは冷酷な笑い声を上げながら、その場を立ち去っていきました。
指先がガタガタと震えます。
アルフレッド様……。あの人は、自分が王座に就くためだけに、罪のない民衆を巻き込み、街を戦火に晒そうとしているというの……?
彼らが去った後、私は彼らが立っていた場所へ這い寄りました。
地面には、何かを破り捨てたような紙片が散らばっていました。
私はそれを必死にかき集めました。その中の一枚、燃え残った紙の端に、はっきりと見覚えのある刺繍が残っていました。
それは、第一王子の紋章。アルフレッド様だけが使うことを許された、特別な獅子の印です。
「……これが、あの方のやり方……。自分の欲のために、誰を犠牲にしても構わないなんて……!」
私はその紙片を、握りこぶしの中に強く閉じ込めました。
かつての私なら、恐ろしさに震えて逃げ出していたかもしれません。
でも、今の私には守りたい場所があります。優しい子供たち、私を受け入れてくれたシスター、そして、この街の平和を守るために命をかけているレオナード様。
(アルフレッド様。あなたは私に『王妃の器ではない』と言いましたね。ええ、確かにそうかもしれません。でも、あなたの卑劣な企みを許すほど、私は弱くもありません!)
私は決意を胸に、夜の帳が下り始めた森を駆け抜けました。
この証拠を、一刻も早くレオナード様に届けなければなりません。
私の手の中にあるこの小さな紙片が、傲慢な王子を破滅させるための、最初の鍵になるのだと確信しながら。
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