婚約破棄されて追放されたけど、守護竜に愛されてます 〜ドラゴンの花嫁〜

reva

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追放、婚約破棄1

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その日、私はいつものように公務に勤しんでいた。

「ここの予算はもう少し削れると思うわ。特に装飾費と接待費のところ。逆に雇用費はもう少し上げてもいいんじゃないかしら。城壁の改修の件については、お父様に回してちょうだい」

「は。そのようにいたします」

執事が言う。

私は神聖王国トルチュールの第一王女、マイアーレ・トルチュール。

王であるお父様には男の子が産まれなかったので、いずれは私が女王となって国を運営することになる。
現在でも、国の運営のかなりの部分を、私が担っているのだった。

「来月は確か、孤児院の慰問と外交使節団との親善パーティーがバッティングしていたわね。私は慰問の方に行くわ。親善パーティーは、メルダにいかせてちょうだい。あの子はこういうの好きだから行くと思うわ」

メルダというのは、私の妹である第二王女メルダ・トルチュールのことだ。

輝くような金髪で、活発で外交的な性格をしていて、正直なところ私よりもかわいいと思う。

「はい。メルダ様が了承してくだされば、ですが……」

そうなのだ。
私が第一王妃の娘、彼女が第二王妃の娘であるということもあってか、メルダは私に対してなんというか、反抗心のようなものを抱いているようなのだ。

「そうね。私からの話だと伝えたのでは、嫌がるでしょうから、お父様からのお話だということにしておいて。お父様には私から根回ししておくわ」

「はい。かしこまりました。しかし、メルダ様ももうちょっとこう、なんというか、マイアーレ様のようになっていただければ……」

執事は言う。
しかし私は、私なんかよりむしろメルダの方が女王にはふさわしいのではないかと思っているくらいだ。
私のような暗い、うじうじした女よりは、あれくらいハッキリとしていたほうが、政治には向いているのではないかと思う。

そのとき、部屋の扉がバンっと大きな音を立てて開かれた。

王女の執務室にこのような入室の仕方をする人物は一人しかいない。

「お姉様!」

噂をすれば。入ってきたのはメルダ・トルチュールだった。

「おはようございます。メルダ」

私は丁寧に挨拶をする。
どうも、メルダのように活発で声の大きい人が相手だと、ビクビクしてしまう。
メルダはそこがまた気に入らないようだが。

メルダは執事を押し退けると、座っている私を見下ろして、ふんっと鼻を鳴らした。

「お姉様、あなたは廃嫡よ!」

「は?」

廃嫡、というのは、相続権を無くすことだ。
つまりこの場合、私の王位継承権が無くなったということを言いたいのだろうが。

唐突すぎて頭がついていかない。
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