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第9章 無常な痛み
【第9章:無常な痛み】
カチカチ…
金属が擦れ合う冷たい音が響いてくる。
ゆっくりと銀鎖が天井から降りてきた。
アンディの瞳は何一つ動じることもなく、ただ主であるみかどの意志をなぞるようだった。
僕の身体はアンディの手で、開脚椅子からゆっくりと降ろされた。
「さぁ…こちらへ」
僕はもう、考えることすら放棄していたのかもしれない。そんな無力感、そして刻まれた跡の痛みに苛まれていた。
ふらつく身体をアンディの広い胸が支えながら、促されるままベッドから銀鎖の真下まで移動していた。
『アンディさんの体温…温かい…』
一瞬のぬくもりでさえ心地よいと感じ始めていた。
両手は鎖についている固定具で繋がれた。
手首にまとわりつく皮の感触が獣役従者のことを思い出させ、背筋がゾッとする冷感が駆け上がった。
僕は両腕を頭上に引き上げられたまま、その場に吊り下げられる形になった。
足先だけで体重を支えるたび、肩の関節がぎしりと軋み、腕がじわじわと痺れていく。
薄いネグリジェが腰のあたりでまとめて押し上げられた。
剥き出しになった尻肉がライトに晒されて、血の気の引いたような青白さで浮かび上がっていた。
アンディに視線を向けると、その手には漆黒の長い紐のようなものが握られていた。
『紐…いや、まさか…そんな…』
その形状を目にして僕の両膝は小さく震え始めた。
「みかど様…こちらに…」
アンディはそれを両手に乗せ、一歩下がって差し出す。
みかどの手には、先端に小さな革のフラップがついた漆黒の短鞭──ステッキが握られていた。
「さて、蜜。私の大事な蜜がこのような姿になるのは本来、あってはならないことだ。なのに、どうしてこうなってしまったのか?」
『それは…あの怪物が…』
僕はいい訳をしたい訳じゃない。でも、話を聞いて欲しい。ただ、それだけだった。
大きく目を見開いて、まっすぐみかどを見つめた。
みかどの綺麗な顔が、怒りとも嫉妬ともつかない色に赤く染まっていた。
『やっぱり…僕が悪いと怒ってるんだよね…』
僕はどうしたらいいのか分からずにただ、俯いていた。
僕の頬にみかどの手が触れた。熱い体温に心が揺さぶられる。
その手は熱を帯びたまま、首筋から鎖骨、胸の谷間のきわまでゆっくりと撫で下ろし、ぞわりとした悪寒と甘い痺れを同時に残していく。
そして、ぐっと顎を持ち上げられた。
「私はこの大きな黒い瞳が気に入っている。そして、この赤い唇も…」
みかどの指先がゆっくりと唇の上をなぞっていった。その刺激でお腹の辺りがぐっとしまるような感覚が襲った。
「蜜…このなかの汚いものを自分で放り出してみろ」
出来ないとばかりに左右に頭を振る僕に、みかどは小さく肩で息をついた。
その仕草は、手のかかる子どもを見るときみたいだった。
みかどが鞭を振り上げる。
―――ピシャッ
肌を打ち付ける乾いた音と同時に、鋭い痛みが太腿を走った。
続けざまに何度も太腿へと振り下ろされ、ピシャリ、ピシャリと音が重なり、肌がみるみる赤く染まっていく。
「うぐぅぅぅ……!」
痛みに抗うように身体が身もだえ、吊られたまま左右に小さく揺れる。
声を上げようとしても、ボールギャグが口を塞ぎ、唾液が泡立ちながら溢れ出た。
みかどはそんな様子を見て、冷ややかな笑みを浮かべているように感じた。
「そうだな……蜜は誰でも誘う淫乱だ。今も気持ちよくなっているだろ」
『痛い!そんなはずない…気持ちいいはずなんて!』
カチカチ…
金属が擦れ合う冷たい音が響いてくる。
ゆっくりと銀鎖が天井から降りてきた。
アンディの瞳は何一つ動じることもなく、ただ主であるみかどの意志をなぞるようだった。
僕の身体はアンディの手で、開脚椅子からゆっくりと降ろされた。
「さぁ…こちらへ」
僕はもう、考えることすら放棄していたのかもしれない。そんな無力感、そして刻まれた跡の痛みに苛まれていた。
ふらつく身体をアンディの広い胸が支えながら、促されるままベッドから銀鎖の真下まで移動していた。
『アンディさんの体温…温かい…』
一瞬のぬくもりでさえ心地よいと感じ始めていた。
両手は鎖についている固定具で繋がれた。
手首にまとわりつく皮の感触が獣役従者のことを思い出させ、背筋がゾッとする冷感が駆け上がった。
僕は両腕を頭上に引き上げられたまま、その場に吊り下げられる形になった。
足先だけで体重を支えるたび、肩の関節がぎしりと軋み、腕がじわじわと痺れていく。
薄いネグリジェが腰のあたりでまとめて押し上げられた。
剥き出しになった尻肉がライトに晒されて、血の気の引いたような青白さで浮かび上がっていた。
アンディに視線を向けると、その手には漆黒の長い紐のようなものが握られていた。
『紐…いや、まさか…そんな…』
その形状を目にして僕の両膝は小さく震え始めた。
「みかど様…こちらに…」
アンディはそれを両手に乗せ、一歩下がって差し出す。
みかどの手には、先端に小さな革のフラップがついた漆黒の短鞭──ステッキが握られていた。
「さて、蜜。私の大事な蜜がこのような姿になるのは本来、あってはならないことだ。なのに、どうしてこうなってしまったのか?」
『それは…あの怪物が…』
僕はいい訳をしたい訳じゃない。でも、話を聞いて欲しい。ただ、それだけだった。
大きく目を見開いて、まっすぐみかどを見つめた。
みかどの綺麗な顔が、怒りとも嫉妬ともつかない色に赤く染まっていた。
『やっぱり…僕が悪いと怒ってるんだよね…』
僕はどうしたらいいのか分からずにただ、俯いていた。
僕の頬にみかどの手が触れた。熱い体温に心が揺さぶられる。
その手は熱を帯びたまま、首筋から鎖骨、胸の谷間のきわまでゆっくりと撫で下ろし、ぞわりとした悪寒と甘い痺れを同時に残していく。
そして、ぐっと顎を持ち上げられた。
「私はこの大きな黒い瞳が気に入っている。そして、この赤い唇も…」
みかどの指先がゆっくりと唇の上をなぞっていった。その刺激でお腹の辺りがぐっとしまるような感覚が襲った。
「蜜…このなかの汚いものを自分で放り出してみろ」
出来ないとばかりに左右に頭を振る僕に、みかどは小さく肩で息をついた。
その仕草は、手のかかる子どもを見るときみたいだった。
みかどが鞭を振り上げる。
―――ピシャッ
肌を打ち付ける乾いた音と同時に、鋭い痛みが太腿を走った。
続けざまに何度も太腿へと振り下ろされ、ピシャリ、ピシャリと音が重なり、肌がみるみる赤く染まっていく。
「うぐぅぅぅ……!」
痛みに抗うように身体が身もだえ、吊られたまま左右に小さく揺れる。
声を上げようとしても、ボールギャグが口を塞ぎ、唾液が泡立ちながら溢れ出た。
みかどはそんな様子を見て、冷ややかな笑みを浮かべているように感じた。
「そうだな……蜜は誰でも誘う淫乱だ。今も気持ちよくなっているだろ」
『痛い!そんなはずない…気持ちいいはずなんて!』
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