騎士と魔王とetc...

アヤネ

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7章

全てを知る者

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目を覚ますと豪華な椅子に腰かけていた、
壁中に本が並べられていて暖炉がありそれ以外に物はあまり置いていなくて落ち着いた雰囲気の部屋だ…。


「目が覚めたか?」


声がした方を見ると真正面に一人の女性が足を組み椅子に深く座っている…、
先程見渡したときには居なかった筈だ。


「ここはお前がいた場所とは別世界の魔界だ、
お前は今魂だけこちらに飛ばされている。」

「魂だけ…?」


「肉体は死にかけているが魂を一時的に離しておけば進行は止まるらしい。」


興味無さそうに言い手元の本から視線を動かさない女性は魔族には見えない…。


「ふむ、
お前は天空族とかいう種族らしいが羽は生えてないのだな?」

「生えているが鎧の下に隠している、
私は力が弱いから羽を隠してしまえばすぐに天空族とは気づかれない。」


「ほぅ、
だから向こうのガキ魔王も騙されたのか。」


ヴィーリオはかなりの年月を生きているはず、それを子ども呼ばわりするとは目の前に居る女性はいったい…。


「私はだいたい2000年ここで過ごしたから新米なんぞガキでしかない。」

「に!?
待ってくれ、貴女は…。」


「人間だが?」


それがなんだ?と態度に表す女性…。


「人間の世界は退屈でな、

戦いが終わり王が代替わりしその王に嫌気が有りもしない反逆罪を突きつけてきてほとほと嫌気が差してな…、

腹が立ったから王を殴り飛ばし護衛兵をなぎ倒して魔界に来たのだ。」


すさまじい経歴の女性だ…、
人間界でそれなりの地位に居たのかどこか品のある凛とした話し方をしている。


「ところで、
面白いものを持っているな…。」

「面白いもの?
これといって何も…。」


魔神の心臓の事だろうか?
机の上に置くが首を横に振り玉手箱にも興味を示さない、

色々出してやっと首を縦に振ったのはエルフの秘薬となぜ持っていたのかわからない王殺しの矢…。


「魔界にも人間界にもエルフなんぞ居なくてな…。」


手の中にある秘薬を見る、
確かヴィーリオが取ってきてくれた物だと聞いているが…。


「よければ二つとも譲ろう、
私にはもう必用無くなると思うから。」


ここから戻れば旅が、全てが終わると、
なぜ確信が持てるのかわからないがそう思えた。


「そうか、
私だけ貰うわけにもいくまい。」


そう言って女性が手渡したのは錫杖と指輪…、
どちらも強い魔力が感じ取れる。


「錫杖はお前の父、大天使が使っていたものでもうひとつは最後の魔神器だ、
お前の世界の元魔王から対価として受け取った。」

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