ネガタエプロジェクト

第一章 人狼ゲーム

人狼ゲーム 白鷺 萌音 （過去編）

白鷺side

物心がついた時から、ママはパパに虐められていた
理由は分からない
ただ、私がいないところでパパはママに
殴ったり蹴ったりをしていた

でもママは私の前では
何事もなかったかのように笑うのだ
そして毎回口癖のように、この言葉を言う

「この世界は辛いことがあっても、死にたいことがあっても、耐えた先は綺麗なんだよ。だからね、我慢して耐えて、その先にある綺麗な世界をママはみるために頑張っているの」

そう何度も何度も...


そして10歳になった時
学校から帰ったらママとパパは死んでいた
ママはパパを包丁で刺して、
その後を追うようにママも包丁で自殺

手を繋いでお互い寄り添うように
亡くなった光景を見て
私はすっごく綺麗だと思った
これがママの耐えた先の綺麗な世界

そう、勘違いしてしまったのだ...
追い込まれた死が美徳だと

12歳になった
中学生になってすぐクラスでいじめがあった
私は傍観者
手も出さなければ守りもしない
だって、私は知っているから
このいじめに耐えれば綺麗な世界があるから
この子はいじめられて羨ましいと思った
殴られることが、罵倒されることが
綺麗な世界を見るための愛だと

そうして、あの子は自殺をした
どっかのマンションから飛び降りたらしい

（羨ましい...)

きっとあの子は最後に綺麗な世界を見た
痛みを乗り越え、苦痛から解放された瞬間
綺麗な世界を見れるなんてズルい

このことはすぐニュースになった
世間の声は、汚い声ばかりだった

「いじめをした奴の名前と顔を出せ！」
「いじめは殺人と一緒だ！死刑にしろ」
「何年後かには自由に生きてると思うとキモいな」

（分かってないな...)

いじめをした人は神様なんだよ
綺麗な世界をみせるために
痛みを苦しみを上げてるのに
この人たちはなんで理解できないの？

「でも、この子って自殺したんでしょ？弱い人間じゃん」

この人、分かってる！
弱い人間だからこそ、綺麗な世界が見れる特権
弱者が見れる特権！なんて素晴らしいの！


そしてそこから18歳

私は絵本を趣味に描いている
私の描く絵本は人気なのだ


泡となって消えた人形姫
これは、名作だ

それをオマージュして描いてるうちに
どんどん人気になっていった

そう。結局、みんな綺麗な世界が見たいのだ
いじめなんてダメって言うけど、
私からしたら美徳を潰す行為
最後は綺麗に死ぬからこそ
みんなそれを美徳とする

仕事のパワハラとかもそう
頑張って頑張って頑張った先が
死しか無いから、見れる世界

死の先は綺麗な世界
いじめは無くならない

でも、いじめをした人が
捕まる世界はおかしい
もっと自殺者を増やして
美徳な世界を創りたい

だから私は
イジメやパワハラが許される世界
を、叶えたい

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そして現在
人狼ゲーム中

だからね、井林くんの叶えたい夢は
私にとって許されない夢

いじめをした人が裁かれるなんておかしい
むしろ、讃えるべき

井林くんには悪いけど、死んでもらう

絶対に