世捨て魔王と世に捨てられた勇者達は互いに何を見る?

軽見 歩

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第8話 用済み勇者のショータイム

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 魔王に敗れた後、俺は何かに縛られた感触で目が覚めた、だがまだ身体の感覚が戻らない、周りの状況からして公開処刑か? 俺は処刑台に固定される間、淡々と俺の罪状が読み上げられていくのを聞いた


「・・・この者は住居不法侵入!窃盗!器物破損等の行為を数千件繰り返し!」


 なんか気に食わないので兵士が読み上げる罪状に茶化す様してやった


「戦時にオタク等兵隊が大勢でやった略奪の被害の方が多いんじゃないんですかね?」


「黙れ! 戦時の徴収と略奪を一緒にするな!」


「当の兵士自身が違いを分かってなかったみたいなんだが? 戦後に用済みになった軍が今までどうり業務を行った結果、盗賊団なんて呼ばれてるぜ。何もしてくれない軍の代わりに汚れ役を引き受けてくれる義勇兵ともてはやされている奴等も居るが…」


 実際、俺が狩って来た盗賊や野盗も戦争が終わった頃に比べ軍経験者が急激に増えた。戦時中なら戦いから逃げた逃亡兵が主だったが、終戦しても野盗をしていたりするのだから救いようがない。だからそう言った連中を優先的に斬り飛ばし回っていた


「黙れ貴様ッ! そしてこの者は盗賊団のアジトを襲撃し皆殺しにし、金品を強奪している! 罪人であろうとも他者の命を法の裁き無くして勝手に奪う事はもちろん、財を奪い売りさばくなど言語道断である!」


「その近くの村人達からは感謝されたよ。邪魔者が居なくなって、俺が売った武具で安く身を守れるってな」


「その村人共の多くが、自らが飢えたと見るや盗賊行為に走っているであろうが!」


 民間人と言っても戦闘員と非戦闘員の境界は曖昧だ、誰もが身を守る為に武装していたし、貧富の差がそのまま武装の違いとなり力こそ正義と言わんばかりの状態だった。で、そのか弱き人々に力を与えた結果、今までのお返しと言わんばかりに暴れまわったと


「つまり俺…、いやアンタらが守っている善良な民草様は、武器を持たせ一皮剥いたら盗賊の悪党共と一緒だったてわけだな。それについては同感だ、弱者の為に戦うのが正義の味方のうたい文句だが、弱者が正義ではないと身をもって思い知ったよ、反吐が出る」


 罪状が読まれる度に俺の減らず口で見物人の中には笑いだす者まで居た、警備に当たっている兵士の中にもひっそりと苦笑いしている者まで居る。処刑される俺にとっては冗談で済まないんだが


「この者は盗賊相手には飽き足らず! 遺跡に入り貴重な財宝を略奪し、その地を守る精霊まで殺した! これら以外にも様々な悪事に手を染めている。よって本日!この場で!死刑に処す!」


「あ、それ国に依頼されたヤツは罪状に入ってないよな? さすがにそれまで咎められちゃ目覚めが悪いんだが・・・。色々思い出もあるしよ」


 国に伝説のナンチャラを取ってこいと依頼されて遺跡に向かった事は良くある。まだ仲間と一緒に行動していた頃だ。終戦が近づくにつれバラバラになったが、今はどうしているやら


「黙れと言っている!」


 俺の意見は却下らしい、これはあいつらもろくな目にあってないな。俺は処刑台に固定された。最新の処刑道具で、たしかギロチンと言うヤツだがコレ・・・・


「それでは刑を執行する! 何か言い残すことは?」


「早く死んだ仲間にまた会いたいよ」


「ギロチンを下ろせ!」


 「シュッ…ガッッ!!」


 ・・・・勇者の首にギロチンの刃が下ろされた。だが俺は無傷だ、あんな物で斬れる訳が無い。そうでなければ今頃あの時古城で挽肉になっている。こいつ等、俺をちゃんと処刑できるのか?


「・・・・もう終わりか? 痛くもかゆくもねえぞ」


「ッ!? しばし待て!次の刑を執行する!」


 何か不安になってきたぞ


「頼むから半端なモノじゃなく、しっかり殺ってくれよ!苦しむのは俺なんだからさ!!」


 次は別の処刑台に俺は固定された。ギロチンでダメなら古い方法で挑む様だ


「斧を持つのは久しぶりだ・・・」


 うわぁ…ガタイは良いがもう引退している感じだなこの処刑人・・・。ってちょっと待て? こういう時目が合わないように罪人に袋をかぶせるのが決まりだろ? たしか互いに感情移入しないようにって。試しに話し掛けてみるか


「また仕事に戻れて良かったな」


「いや、退職金をもらって、畑を耕しながら静かに余生を過ごしたいと思ってたのに残念だよ」


 うわぁ、話かけなきゃよかった。これから斬られる俺の方もなんか辛いぞ、袋ぐらい用意してくれ


「死刑執行人も大変だな・・・・。でも頼むぞ」


「ああ、楽に死ねる様にしっかり斬り飛ばしてやるからなッ!」


 執行人は俺としばらく話した後、その斧を俺の首に振り下ろした


「ガッ!」


 しかしその秘術スキルを使った見事な斬撃も俺には届かなかった


「なッ!?」


「何をやっている! さっさと斬りおとせ!」


「お、おう!」


 「ガンガンガンガン!」


 雨あられと俺に斬撃を浴びせるが、俺の首は一向に落ちない。そしてついに斧の柄の方が折れた


「バキンッ」


 それを見た兵士が声を荒げて指示を出す


「次だ!次の処刑法を準備しろ!」


 何と言うか丈夫な身体でゴメンな。そして執行人が膝を着き呆然としながら俺に聞いてきた


「痛かったか?」


「いや麻酔毒が効いてるからな・・・、解毒剤はもってないか? 痛みは無いのに斬れてたらって思うと不安で」


「いや、斬れても無いし解毒剤も無いよ。執行人失格だな・・・」


 おい、こう精神的に攻めてくるのはやめてくれ


「相手を苦しめなかった点は合格だろ」


「はは、それもそうだ。だがこれで安心して実家に帰れるよ」


「お疲れさん」


 なんか最後の処刑人の笑顔に救われた…。しばらく待っていると次は太い柱に鎖で括り付けられた。今度は何だ?石打ちか?


「この邪悪なる者を聖火で燃やし火刑に処す!」


「いや俺…、魔族じゃないんで、聖火で炙られても普通の火で焼かれるのと大して変わらないんだが・・・・」


「着火!」


「話聞けよ!」


 どうやら、もうこいつ等やけくみたいだ。お前らじゃ力不足だ、だれか魔王呼んでくれ・・・
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