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第1章
9話 人探し
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報酬を受け取った僕達はギルドの隣にある酒場で昼食を取り、ダミアンさんの店で装備を買う事になった。
「うん、様になってるね」
「そうか?でも少し重いんだよなぁ」
今タツヤは鉄製のプレートアーマーを試着している。
チェーンメイルは2人共買うのが決まっていて、試着してみたところ前世で着ていた物よりも軽く感じた。
僕の場合はこの体自体が防具みたいなものなのでチェーンメイルも要らないと思うけど、万が一の為に買った。
そしてダミアンさんに「前衛ならプレートアーマーがオススメ」という事で、それを買うかどうか迷っている状況だ。
「最初は重く感じるかもしれませんが着ているうちに馴染みますよ」
「そうなのか、それで全部でいくらなんだ?」
「合計で1500ギルになります」
うん買えない。
でもせめて胴体だけでも買いたい。
「胴体だけだといくらですか?」
「当体だけですと700ギルになります」
チェーンメイル2人分で600ギル、合わせると1300ギル。
今の手持ちは1450ギルだから結構ギリギリだけどなんとか買えるか。
「エルムどうする?」
「胴体だけでも買ったほうがいいでしょ」
「それもそうか」
「お買い上げありがとうございます。ご一緒にこちらの直剣はいかがですか?今ご購入して頂ければ本来200ギルの所、100ギルに値引きさせて頂きますよ!」
ダミアンさんは特殊な加護でも持っているのだろうか、的確に僕達が出せる最大の金額を提示してくる。
「半額!エルム半額だってよ!」
タツヤが欲しいと目で訴えかけてくる。
そして結局剣も買う事になり、僕達の手持ちは50ギルだけになってしまった。
支払う時にタツヤがダミアンさんに捜している4人の事を聴いていたが、ダミアンさんも心当たりがない様子だった。
そしてお店の中にある個室で買った装備を着込み、「雛鳥の巣」で部屋を1週間分取り無一文になった後の昼下がりにララニアの町を探索する事にした。
ララニアの町は中心区、東区、西区に分かれている。
中心区には領主のガレス・バルシードが住む館があり、その周辺に他の貴族が住んでいる。
その為ララニアの中心区は貴族街とも呼ばれている。
貴族街には、それを取り囲むように石壁が設置されており、入る為には1つしかない門を通らないといけない。
門を抜けるにも許可証が必要な為、そうそう中に入る事はないだろう。
東区は鍛冶屋などの製造業、それらを仕入れ売買する商業、そして宿泊業などが盛んな区域で、言わば町の外から来た人が主なお客だ。
因みに冒険者ギルドもここにある。
西区は主にララニアの住民権を持っている人々が住んでいる区域で、そこにある施設は住民向けの所が多い。
基本、僕達の様な冒険者が行く区域ではない。
僕達はまず東区を探索する事にした。
目的はタツヤの知り合いを捜す為で、東区にしたのはララニアに元々いた人じゃないなら東区にいる可能性が高いと思ったからだ。
「こっちの方は鍛冶屋とか薬屋とかの専門店が多いみたいだね」
「ああ、そうだな」
大通りから脇道に逸れて進むと人影は少なくなり、次第に金属を叩く音などが大きくなっていった。
特にここからでもよく見えるあの大きな四角い建物から聞こえて来るようだ。
いくつかの店を外から眺めた限りだと、どこも今の僕達では手が出せないような高額な商品を取り扱っている。
「ん!」
「タツヤ、誰か見つけたの?」
僕の声を聴く前にタツヤは走り出し、先にある交差点を右に曲がった。
遅れて僕も曲がると少し先でタツヤと黒髪を長く伸ばした10代後半位の女性が話していた。
彼女の服装はダンジョンの外の世界にある「東方」と呼ばれる地域で見られるワフクによく似ていた。
会話はすぐ終わったようでタツヤがこちらに歩いてくる。
その表情から察するに人違いだったようだ。
その後、日が落ちるまで捜したが手掛かりすら見つけられなかった。
雛鳥の巣に戻り夕食を食べた後、タツヤは今日買った剣で素振りをすると言って宿の裏手にある広場へ向かった。
僕はというと特にやることも無かったので魔力節約の為に早めに寝る事にした。
寝ている時にも魔力が回復すれば良いんだけど、この体は食事を取らない限り減る一方なのだ。
「エリーは僕が起きている時何しているの?」
「歯車の動きに異常が無いか確認した後は、基本的に外の情報を見たり聞いたりしています」
「外って言うと、もしかしてエリーと僕の目と耳って繋がってる?」
「正確に言うとこの部屋がですけど」
そうエリーが言った瞬間、何も無かった暗闇の中に部屋の天井が映し出された。
「こんな事できるんだ」
「はい」
「見ているなら知ってると思うけど、今タツヤの友達を捜しているんだけど何か良いアイディアない?」
「私から言えることは歩き回るのは時間の無駄だと言うことです」
「と言うと?」
「タツヤの友人という事は4人の内、誰かはそれなりに強い可能性が高いです。そうなればタツヤと同じ行動を取ると考えられます」
タツヤみたいに冒険者ギルドに登録している可能性が高いから、ギルドからの連絡を待てという事かな。
まぁタツヤの性格を考えると居ても立っても居られないと思うけどね。
「なるほど。アイディアありがとね」
「お役に立てたのなら幸いです」
いつもながら感情がこもっていない声だなと思う。
ふとこの空間で魔術を使ったらどうなるか気になったので使おうとしたら、エリーに「やめてください」と言われてしまった。
それは何故なのか聞いても答えてくれなかった。
「うん、様になってるね」
「そうか?でも少し重いんだよなぁ」
今タツヤは鉄製のプレートアーマーを試着している。
チェーンメイルは2人共買うのが決まっていて、試着してみたところ前世で着ていた物よりも軽く感じた。
僕の場合はこの体自体が防具みたいなものなのでチェーンメイルも要らないと思うけど、万が一の為に買った。
そしてダミアンさんに「前衛ならプレートアーマーがオススメ」という事で、それを買うかどうか迷っている状況だ。
「最初は重く感じるかもしれませんが着ているうちに馴染みますよ」
「そうなのか、それで全部でいくらなんだ?」
「合計で1500ギルになります」
うん買えない。
でもせめて胴体だけでも買いたい。
「胴体だけだといくらですか?」
「当体だけですと700ギルになります」
チェーンメイル2人分で600ギル、合わせると1300ギル。
今の手持ちは1450ギルだから結構ギリギリだけどなんとか買えるか。
「エルムどうする?」
「胴体だけでも買ったほうがいいでしょ」
「それもそうか」
「お買い上げありがとうございます。ご一緒にこちらの直剣はいかがですか?今ご購入して頂ければ本来200ギルの所、100ギルに値引きさせて頂きますよ!」
ダミアンさんは特殊な加護でも持っているのだろうか、的確に僕達が出せる最大の金額を提示してくる。
「半額!エルム半額だってよ!」
タツヤが欲しいと目で訴えかけてくる。
そして結局剣も買う事になり、僕達の手持ちは50ギルだけになってしまった。
支払う時にタツヤがダミアンさんに捜している4人の事を聴いていたが、ダミアンさんも心当たりがない様子だった。
そしてお店の中にある個室で買った装備を着込み、「雛鳥の巣」で部屋を1週間分取り無一文になった後の昼下がりにララニアの町を探索する事にした。
ララニアの町は中心区、東区、西区に分かれている。
中心区には領主のガレス・バルシードが住む館があり、その周辺に他の貴族が住んでいる。
その為ララニアの中心区は貴族街とも呼ばれている。
貴族街には、それを取り囲むように石壁が設置されており、入る為には1つしかない門を通らないといけない。
門を抜けるにも許可証が必要な為、そうそう中に入る事はないだろう。
東区は鍛冶屋などの製造業、それらを仕入れ売買する商業、そして宿泊業などが盛んな区域で、言わば町の外から来た人が主なお客だ。
因みに冒険者ギルドもここにある。
西区は主にララニアの住民権を持っている人々が住んでいる区域で、そこにある施設は住民向けの所が多い。
基本、僕達の様な冒険者が行く区域ではない。
僕達はまず東区を探索する事にした。
目的はタツヤの知り合いを捜す為で、東区にしたのはララニアに元々いた人じゃないなら東区にいる可能性が高いと思ったからだ。
「こっちの方は鍛冶屋とか薬屋とかの専門店が多いみたいだね」
「ああ、そうだな」
大通りから脇道に逸れて進むと人影は少なくなり、次第に金属を叩く音などが大きくなっていった。
特にここからでもよく見えるあの大きな四角い建物から聞こえて来るようだ。
いくつかの店を外から眺めた限りだと、どこも今の僕達では手が出せないような高額な商品を取り扱っている。
「ん!」
「タツヤ、誰か見つけたの?」
僕の声を聴く前にタツヤは走り出し、先にある交差点を右に曲がった。
遅れて僕も曲がると少し先でタツヤと黒髪を長く伸ばした10代後半位の女性が話していた。
彼女の服装はダンジョンの外の世界にある「東方」と呼ばれる地域で見られるワフクによく似ていた。
会話はすぐ終わったようでタツヤがこちらに歩いてくる。
その表情から察するに人違いだったようだ。
その後、日が落ちるまで捜したが手掛かりすら見つけられなかった。
雛鳥の巣に戻り夕食を食べた後、タツヤは今日買った剣で素振りをすると言って宿の裏手にある広場へ向かった。
僕はというと特にやることも無かったので魔力節約の為に早めに寝る事にした。
寝ている時にも魔力が回復すれば良いんだけど、この体は食事を取らない限り減る一方なのだ。
「エリーは僕が起きている時何しているの?」
「歯車の動きに異常が無いか確認した後は、基本的に外の情報を見たり聞いたりしています」
「外って言うと、もしかしてエリーと僕の目と耳って繋がってる?」
「正確に言うとこの部屋がですけど」
そうエリーが言った瞬間、何も無かった暗闇の中に部屋の天井が映し出された。
「こんな事できるんだ」
「はい」
「見ているなら知ってると思うけど、今タツヤの友達を捜しているんだけど何か良いアイディアない?」
「私から言えることは歩き回るのは時間の無駄だと言うことです」
「と言うと?」
「タツヤの友人という事は4人の内、誰かはそれなりに強い可能性が高いです。そうなればタツヤと同じ行動を取ると考えられます」
タツヤみたいに冒険者ギルドに登録している可能性が高いから、ギルドからの連絡を待てという事かな。
まぁタツヤの性格を考えると居ても立っても居られないと思うけどね。
「なるほど。アイディアありがとね」
「お役に立てたのなら幸いです」
いつもながら感情がこもっていない声だなと思う。
ふとこの空間で魔術を使ったらどうなるか気になったので使おうとしたら、エリーに「やめてください」と言われてしまった。
それは何故なのか聞いても答えてくれなかった。
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