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第1章
21話 4人だけの掃討戦
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「くそっ、こんなにアンデットがいるなんて聞いてないぞ!」
テナス村から次のカカラ村に出発して2日目の昼過ぎ。
偵察に来た僕とアナベルの目線の先には、100体を超えるアンデット系の魔物の群れがあった。
それははまるで黒い絨毯が蠢いている様に見えた。
「どうやらこっちに向かって来ているみたいですね」
「ああ、その様だな」
アナベルはとても機嫌が悪そうだ。
もしカヨだったら今のアナべルには絶対近付かないだろう。
「・・・よし。このまま進むとトロネの村が危ない。だからここで倒すぞ。幸いにもこのパーティーには光魔法を使える奴が2人もいるから大丈夫だろう」
「という事はカヨも戦うって事ですか?」
「ああ、今回ばかりは仕方がない。戻るぞ」
カヨはヒーラーとしてもしもの時の為に温存していたけど、この量を前に温存なんてしていられないという事だろう。
「分かりました」
僕達は馬車を止めている所まで戻り、みんなに群れの事と今後どうするかを話した。
そして1、2時間後、4人だけの掃討戦が始まった。
「ホーリーアローッ!」
少し高台から放たれたタツヤのホーリーアローと言う名のビームで、1つだったアンデットの群れは2つに割れた。
その瞬間、静かだったアンデット達が一斉に騒ぎ始め、不快なコーラスが僕達の耳に届いた。
今回の作戦ではまずタツヤがダミアンさんから貰った魔力ポーションで、魔力を回復させながらホーリーアローを使ってアンデット達を減らす。
そして残ったアンデットを僕、アナベル、カヨで叩く事になっている。
「これは・・・キッツい」
タツヤはその場に腰を下ろして肩で息をしている。
下級魔力ポーション3本と中級魔力ポーション1本を飲み干して、ようやく30体以下に減らす事が出来た。
「よし。タツヤよくやった!では2人共、行くぞ!」
「「はい」」
僕達はタツヤのいた場所から下り、群れの目の前まで近付いた。
「神よ、彼等の武器を清め魔を打ち倒す力を与えたまえ。「エンチャント」」
カヨがそう祈ると僕とアナベルの武器が白く光り出した。
エンチャントとは対象の武器に属性を付与する魔術で、一度エンチャントを掛けると一定時間、効果が持続する。
持続する時間は使う魔力量によって変わる。
カヨは光属性しか使えないので、光属性を僕達の武器に付与して貰った。
「よし。行くぞエルム。カヨも離れ過ぎるなよ」
カヨはタツヤの様な光の攻撃魔術は使えないらしく、エンチャントなら使えると言う事でこの戦い方になった。
強化を使って試しにその武器で人型ゾンビの腰を殴ると、僕のメイスが肉の焼ける音を上げながらゾンビの体へめり込み、そしてゾンビの上半身と下半身は離れ離れになってしまった。
ゾンビを殴る時の感覚は、まるでスライムを殴っているかの様な感覚だった。
「おぉ。エンチャント付けるだけでこんなにも変わるのか」
「ア゛ア゛ー」
エンチャントの威力に驚いているとゾンビが襲って来たので頭を殴ると頭は消し飛んだ。
「エルムさん!」
カヨの声が聞こえたのでそちらを向くとカヨがアンデット達に群がられていた。
アナベルは間に合いそうに無いので僕がカヨを守りに戻る。
そういえば前世でもこうやって聖女を守っていたなぁ。
カヨに一番近いゾンビに向かってメイスを振り下ろす。
「お待たせしました」
「え、あ、はい」
前世のノリで言ったらカヨには合わなかったらしい。
「ア゛ア゛ア゛、ナ・・・ン・・・デ・・・」
すると突然ゾンビの1体が話し始めた。
「ゾンビが・・・喋った?」
前世でも見た事がない現象だ。
ゾンビに知性はないはずだけど。
「っ!!エルムさんあのゾンビを早く倒して下さい!」
ゾンビの行動に唖然としていると、鬼気迫った雰囲気でカヨがそう言って来た。
「わかった」
ここで何故を問うのは良くないと思ったのでカヨの言う通りに動く。
後で理由を聞こう。
「・・・ア」
喋る以外なんの変哲も無いゾンビの頭をメイスで殴った。
他のゾンビと同様、頭を失ったゾンビは動かなくなった。
この後はカヨを守りながらアンデットを倒して行き、どうにかアンデットの群れを倒す事ができた。
「なんでカヨはあの時あんな事を言って来たの?」
今日の夜、いつも通りカヨと2人で見張りをしている時にあの時の事を聞いた。
「・・・あのゾンビが喋り出した瞬間からあの中にナニカが入って来たの。それで私でもよく分からないけど心の底から怖かった。だから・・・」
その時の事を話すカヨは明らかに怯えていた。
僕には感じ取れなかった事をカヨには感じ取れていたのだろう。
「分かった。もう思い出さなくていいよ。後、敬語が煩わしいなら使わなくていいけど?」
「・・・え、あ。それじゃあ敬語は止めるね」
これで少しは気が紛れたら良いんだけど。
この後、カヨは不安を紛らわす為か良く喋ったり、いつもより近い位置に座ったりしていた。
今夜も特に何事も無く、次の日を迎える事ができた。
テナス村から次のカカラ村に出発して2日目の昼過ぎ。
偵察に来た僕とアナベルの目線の先には、100体を超えるアンデット系の魔物の群れがあった。
それははまるで黒い絨毯が蠢いている様に見えた。
「どうやらこっちに向かって来ているみたいですね」
「ああ、その様だな」
アナベルはとても機嫌が悪そうだ。
もしカヨだったら今のアナべルには絶対近付かないだろう。
「・・・よし。このまま進むとトロネの村が危ない。だからここで倒すぞ。幸いにもこのパーティーには光魔法を使える奴が2人もいるから大丈夫だろう」
「という事はカヨも戦うって事ですか?」
「ああ、今回ばかりは仕方がない。戻るぞ」
カヨはヒーラーとしてもしもの時の為に温存していたけど、この量を前に温存なんてしていられないという事だろう。
「分かりました」
僕達は馬車を止めている所まで戻り、みんなに群れの事と今後どうするかを話した。
そして1、2時間後、4人だけの掃討戦が始まった。
「ホーリーアローッ!」
少し高台から放たれたタツヤのホーリーアローと言う名のビームで、1つだったアンデットの群れは2つに割れた。
その瞬間、静かだったアンデット達が一斉に騒ぎ始め、不快なコーラスが僕達の耳に届いた。
今回の作戦ではまずタツヤがダミアンさんから貰った魔力ポーションで、魔力を回復させながらホーリーアローを使ってアンデット達を減らす。
そして残ったアンデットを僕、アナベル、カヨで叩く事になっている。
「これは・・・キッツい」
タツヤはその場に腰を下ろして肩で息をしている。
下級魔力ポーション3本と中級魔力ポーション1本を飲み干して、ようやく30体以下に減らす事が出来た。
「よし。タツヤよくやった!では2人共、行くぞ!」
「「はい」」
僕達はタツヤのいた場所から下り、群れの目の前まで近付いた。
「神よ、彼等の武器を清め魔を打ち倒す力を与えたまえ。「エンチャント」」
カヨがそう祈ると僕とアナベルの武器が白く光り出した。
エンチャントとは対象の武器に属性を付与する魔術で、一度エンチャントを掛けると一定時間、効果が持続する。
持続する時間は使う魔力量によって変わる。
カヨは光属性しか使えないので、光属性を僕達の武器に付与して貰った。
「よし。行くぞエルム。カヨも離れ過ぎるなよ」
カヨはタツヤの様な光の攻撃魔術は使えないらしく、エンチャントなら使えると言う事でこの戦い方になった。
強化を使って試しにその武器で人型ゾンビの腰を殴ると、僕のメイスが肉の焼ける音を上げながらゾンビの体へめり込み、そしてゾンビの上半身と下半身は離れ離れになってしまった。
ゾンビを殴る時の感覚は、まるでスライムを殴っているかの様な感覚だった。
「おぉ。エンチャント付けるだけでこんなにも変わるのか」
「ア゛ア゛ー」
エンチャントの威力に驚いているとゾンビが襲って来たので頭を殴ると頭は消し飛んだ。
「エルムさん!」
カヨの声が聞こえたのでそちらを向くとカヨがアンデット達に群がられていた。
アナベルは間に合いそうに無いので僕がカヨを守りに戻る。
そういえば前世でもこうやって聖女を守っていたなぁ。
カヨに一番近いゾンビに向かってメイスを振り下ろす。
「お待たせしました」
「え、あ、はい」
前世のノリで言ったらカヨには合わなかったらしい。
「ア゛ア゛ア゛、ナ・・・ン・・・デ・・・」
すると突然ゾンビの1体が話し始めた。
「ゾンビが・・・喋った?」
前世でも見た事がない現象だ。
ゾンビに知性はないはずだけど。
「っ!!エルムさんあのゾンビを早く倒して下さい!」
ゾンビの行動に唖然としていると、鬼気迫った雰囲気でカヨがそう言って来た。
「わかった」
ここで何故を問うのは良くないと思ったのでカヨの言う通りに動く。
後で理由を聞こう。
「・・・ア」
喋る以外なんの変哲も無いゾンビの頭をメイスで殴った。
他のゾンビと同様、頭を失ったゾンビは動かなくなった。
この後はカヨを守りながらアンデットを倒して行き、どうにかアンデットの群れを倒す事ができた。
「なんでカヨはあの時あんな事を言って来たの?」
今日の夜、いつも通りカヨと2人で見張りをしている時にあの時の事を聞いた。
「・・・あのゾンビが喋り出した瞬間からあの中にナニカが入って来たの。それで私でもよく分からないけど心の底から怖かった。だから・・・」
その時の事を話すカヨは明らかに怯えていた。
僕には感じ取れなかった事をカヨには感じ取れていたのだろう。
「分かった。もう思い出さなくていいよ。後、敬語が煩わしいなら使わなくていいけど?」
「・・・え、あ。それじゃあ敬語は止めるね」
これで少しは気が紛れたら良いんだけど。
この後、カヨは不安を紛らわす為か良く喋ったり、いつもより近い位置に座ったりしていた。
今夜も特に何事も無く、次の日を迎える事ができた。
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