むだな話

酔生虫

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ベランダ

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理解してくれる人は少ないだろうなって話を、一か八かで誰かに話すの好きなんだけど、だいたい「は?」ってなるか、「何言ってんの」って笑われて終了かなんだけど、そういう話をしますね。
あ、いや、でもこれは割と共感する人多そうかも。私、マンションとかアパートのベランダ見るの好きなんです。一番好きなのは、団地。もっと広く言えば建物が好きなんだけど、つるんってしたピカピカの建物より、これ築何年よ?ってくらい古くて、その間の人間の生活がそのままこびりついてしまってる建物が好き。建物自体に歴史が刻まれてしまっていて、当初おそらく予定されていなかった傷とか色とかが、なんとなく、味になっているのが好きなんだよね。偶然美って名付けていいかな。誰も別に期待していなかったし、待ち望んでいるわけでもなかったアスファルトの割れ目から花が咲いた、みたいな、そういう偶然の、人間の働きとは全く違うところで起こる美がすごく好きで。

ベランダの話はそう考えると、真逆なようで、実は似てるところがあるかもしれないんだけど、ベランダに置いてるものって普段そんなに意識を向けられてるものじゃないのかなあって思ってて。私の家もなんだけど、トマト植えたいよねって言ってプランターを置いて、一度育てて、そのまま放置してて、そういうものがいくつかあって、っていう場所だと思う、ベランダって。家の中にあっても邪魔だけど処分するのも面倒くさい、とか、植物置いてみたけど手入れとかもうしてない、とか、すごい人間臭くて好き。
そういう部屋にどんな人が住んでるんだろうって想像しながらベランダを眺めるのが好き、って話を友達にしたら「変態」って言われました。
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