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ikaten

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THE END

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10月1日
「8月28日東京は…世界は…世紀末になってしまった…そして主人公は言う。世界が終わってしまった…
あ~!!どれも設定が意味わからない!!
 東京が世紀末ってなんだ!!」
なんて独り言が永遠と続いている。俺はさえない脚本家。脚本家と言っても
別に何かヒット作を出したとかそういう話ではない。10年前から脚本家と
いう道を歩み始め、先月初めて連続ドラマの脚本を担当することになった。
「だけどテーマはいいよ…テーマは…うん…テーマは…って、全然良くないわぁぁ!!」
俺はそういいながら紙をぐしゃぐしゃにし、床に投げつけた。
締め切りまで残り1日…厳密に言ったらあと15時間といったところである。
せっかくつかみ取ったこのチャンス…絶対逃すわけにはいかない…が、何一つアイデアが浮かばない
でいる。
締め切りはきりきりと近づいている。もし、この作品が失敗すれば、俺は暮らして行けなくなる。それだけは何としても避けなければならない。しかし…今この現状何も定まってないのが現実だ。
もとはと言えば3か月なんて無理にもほどがあったのだ。そうだ…そうに違いない…今は自分を正当化するということにしか頭がなかった。
「どうすんだ、俺。どうすんだ、俺…どうする、あと2日だけ伸ばしてもらおうかな~いやいや、そんなことをやったら信用がなくなるだろ!!
いやいや、俺ら元々信用ないから…ってバカ!!俺は何をしてるんだ!!集中しろ、集中だ。何か思いつくんだ…あ、ここまで来てるよ…もうほぼ脳みその中にいるよ…あと一息なんだあと一息…ワァアーーーーなんも浮かばないじゃないか!!この脚本が通らないと俺の人生終わっちゃうんだよ。どうする~?どうする~?俺…」
バイトはこの脚本の為に3カ月辞めた。そこからは毎日、貯金を切り崩して暮らす日々。しかしその貯金も、もう底をつきそうである。
この脚本が成功しなければ俺は、

すべてを失ってしまう…

それだけは何としても避けなければならない。
「あ…電気が切れた。」
先月から電気までも止められてしまった。
それでもいい。この作品が成功することで俺は一気
に勝ち組まで進めるからだ。
しかしいまだに一行も書けていない。俺はどうするんだ…このまま飢え死んでいくのだろうか?
そんな人生はごめんだ。俺は、俺のやり方で、
道を開いていくんだ…
「なんでこんなかっこつけてんのになんでお前は一文字も書かないんだ!!
俺の右手!!動けぇぇぇ!!!書けぇぇ!!台本を考えろぉぉ!!」
が、今の俺は何一つ字を書く気がしない。
そんなこんなしてるうちに締切まで10時間を切ってしまっていた。 
俺は考えた。どうすれば締切に間に合うか…
そうだ!!時間を止めればいいんだ!!俺は締切という悪魔から逃げ切らないといけない。その為には
俺はどうしたらいい?書く方向性以外で考えろ…
って、ある訳ないだろぉ!!俺はまたデスクに向かう。

あれから2時間は経っただろうか?俺は折り返し地点の場所にいた。
結局あれからいくつもの案を考えたが、結局は世紀末という設定で
行くことにした。
しかしここで事件が発生した。今になってとんでもない眠気が俺を襲う。
それもそうだ。よくよく考えてみたが、もう3日くらいろくに眠らずに
活動していたわけだから、当然と言えば当然である。
「30分だけ仮眠をしよう。うん、そうしよう。」
俺は自分の欲望に負け、布団の上へ寝転がった。
そこからは何とも早い睡眠だった。

俺は久々に夢を見た。
「あなたは昔から創造力だけ働かせて妄想ばかり、いい加減にしなさい!!」
昔から俺は物事を想像して幻想を作っていくことが好きだった。
いつからだろうか?幻想と、現実の区別があやふやになってしまったのは…

ピピピピピピ

目覚ましの音がなっている。もう30分経ったらしい。
起きたら、原稿を終わらせよう。

俺は床から体を起こすと、今までにない景色が目の前に広まっていた。
あたりを見回せば荒野が続いていた。倒れた東京タワー、崩れている
建物の数々、誰もいない東京…
俺はただ一人…この地球に取り残されてしまった。

俺は一言つぶやいた。

「あぁ…やってしまった…」

この誰もいない世界で俺は、自分自身の物語に果たしてどのような結末を
迎えるのか…俺は誰もいない荒野で一人また妄想遊びを続けるとしよう… 
                           完…?
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