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魔王、転生する(2)

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「て、転生!?ど、どういうことなのですか!?」
ビフロンスは、跪いていた体勢から驚きを隠せない様子で立ち上がった。
「そのまんまですよ。転生するのですよ
ベリス」
「そのまんまって!そもそも転生というのは最高神の神々しか使えないはずじゃ
…えっもしかして…」
「そういうことです!」
と言い、親指を立てた。
「…な、なんですか?そのポーズは?」
「あーこれはあなたの行く世界で色々なことに使える万能なポーズですよ、まあ困ったら使ってみなさい」
「へ、へぇー...じゃなくて!最高神になったのですか!?」
「ええ、さっきからそう言っているでしょう。まあ、私が選ばれることは分かりきっていましたからね。ホホホ」
と、ルイシスが笑っていると、空間内に声が響き渡る。
「なーにを勝ち誇ったかのように言ってんのよ。私があなたを推薦していなかったらどうなっていたことか」
その声を聞きビフロンスが上を向くと、黄色い光が出てくると同時に何者かが降りてくる。
(こ、この光はまさか…)
段々と、その人影が鮮明に見えてくる。
背中には天使が持つ羽がある。だがそれは、ビフロンスが見た羽の中で最も最大で美しい羽であった。頭にはオリーブの葉の王冠が被られている。
(やはり、あの羽を持つ御方は一人しか見たことがない。女神リーデル様だ)
リーデルが地上に降り立つと、ビフロンスは静かに跪く。
「久しぶりね、ビフロンス」
リーデルはニコッと笑いながらそう話す。それに対してビフロンスは、
「ええ、お久しぶりでございます。女神リーデル様。今すぐにでも私の拳であなた様の腐った脳天をぶち抜きたい所存でございます。」
「あらあら、昔よりも気性が少々荒くなりましたか?ビフロンス」
トンッ
リーデルが持っていた棒を地面に優しく突くと辺りがとてつもない殺気で満ち溢れる。
(な、なんという殺気だ...圧が...凄まじい)
ビフロンスはとっさに立ち上がり、両手でガードするがそれでも、殺気で押しつぶされそうになる。そうする内に、いつの間にかビフロンスの目の前にリーデルが立っていた。
「今の言葉は私に対する侮辱の言葉、そういうことでいいんですね?」
と、少しニコッとしながら言うが目の奥が笑っていない。
(クソッやはりまだまだだったのか…)
ビフロンスの顎にリーデルが手を添え、
顔をリーデルの方に向ける。
「許して欲しくば、あの言葉を言いなさい」
リーデルの言葉はまるで、ビフロンスの心臓を突く槍のような鋭さがあった。
(くそっ..あの言葉を言うしかないのか..)
ビフロンスは大きく息を吸った。そして、覚悟を決めた目つきでリーデルの方を向く。
「ごめんなさい、お姉ちゃん。僕はずっとお姉ちゃんの弟だよ//ウフッ」
と子供のような眼差しで、下から目線をリーデルに向ける。その言葉を発して数秒経つと、ビフロンスは正座した状態になり、赤面した顔をゆっくりと両手で覆い隠した。一方、リーデルは肩を少し震わして、ゆっくりとビフロンスに近づき手を少し震わせながら、力一杯抱きしめた。
「キャ~~//可愛いわ、可愛いわ💕こんなにも可愛い弟がこの世にいるかしら、さすが私の弟よ~もう最高よ//」
そう言いながら、ビフロンスの頭を撫でまくる。これでもかというほど撫でまくる。
(…ほんとに恥ずかしい。もう何回もやってるけど、恥ずかしい。リーデルはこんなんだけど、ルイシス様なんかもうゴミを見るような目でこっち見てるし、ごめんなさい、こんな弟子でほんとにごめんなさい…てか力強すg…)
グキッ
何かが粉砕した音が鳴り響いた。







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