【完結】転生しちゃった物語り〜短編集〜

hazuki.mikado

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お前を愛することは無い

初夜で宣言?

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 およ? ここ何処だ?


 気がついたら目の前に、美味しそうなフルーツとチーズの盛られたお皿と、如何にも高そうですよ、という顔をしたワインの瓶とグラスのセットが並んでいるのが目に映る。


「何ここ? 高級ホテル?」


 おかしい、こんな高級なモン家具屋の見本市位でしか見たことねーわ!? という位フッカフカの座り心地のソファーに座っているのにも同時に気がついた。


 部屋は薄暗く、テーブルに置いてあるランプのホヤの中には見たことのない小石のような光源が中心に据えられ、柔らかく光が溶け出すように流れている。


 ――最新式のバイオエタノール暖炉か?


 つい眉頭が寄ってしまってじっと見つめるが、なんか違う・・・


 部屋の天井には天使のフレスコ画。

 そこから下がるのはアンティーク調の小ぶりなシャンデリア。

 窓に下がるカーテンは如何にも高級そうなアンティーク風なゴブラン織りで、サイズが天井近くから床まであるわ~長ッ!

 掃き出し窓サイズのカーテンってめっちゃお高かったんじゃなかったっけ?

 嫌な予感がして振り返ると天蓋付きのどデカいベッド・・・オウフ・・・

  待て待て待て待て、なんか違うぞ嫌な予感がするよ? 

 何か大事~なことを忘れているような気がするよ・・・


『バターンッ!!』


 ドアが急に開け放たれて、キラキラしい金髪碧眼の男が現れた。


 ――なんだコイツ? メンズモデルか?


 原宿あたりで速攻スカウトされそうな目鼻立ちに長い手足とスリムでシュッとした体系はワールドモデルで通用しそうだ。

 但し顔はイケメンだが表情は宜しくない。

 如何にも不本意と言った渋顔で此方を睨んでいるのである。


「なんで起きて待ってるんだ!」


 ――知らんがな。今さっき気がついたトコでっせ?


「何を期待しているかは知らんが、俺はお前を愛するつもりは毛頭ないッ!!」

「??」


 ――いやぁ~、流暢に日本語喋るなあこのにーさん。


「なんであっけらかんとしてるんだッ! いつもの様に泣いて縋ってみろッ!!」


 ――・・・なんやコイツムカつくなぁ


「お前との婚姻など国の為にしたに過ぎんのだからなッ! これから後宮で泣き暮らせばいい。俺はアリアを第2妃に迎えるからなッ! お前など白い結婚で上等だッ!  さっさと荷物を纏めて出ていく準備をするんだ・・・」


 そのイケメンはそれ以上口を開くことは無かった。

 今日娶ったばかりの隣国の王女に対して暴言を吐き鉄拳制裁を喰らったからである――主に鳩尾にキョーレツに強いヤツをかる~く5発ほど。


 昔から『夫婦は最初が肝心』というではないか。


 隣国の王女はそれを実践しただけである――他意は無い筈だ・・・



×××



 「素敵~、飾りに旦那様の瞳の色の宝石が使われているのねぇ」


 エメラルドグリーンの瞳をパチパチとさせ、ラディッシュ・ブロンドと呼ばれる強い紅色がかった美しいサラサラした髪が動く度にシルクの滝のように彼女の背中で揺れる。

 王宮に呼ばれた商人は新しい職人によって作られたその道具を美しい王妃の特注品として大急ぎで作り上げたらしい。


「ピッタリだわ!」


 少女のようにコロコロ笑う彼女はまるで妖精の様に愛らしい。

 その変わった形の指輪は、地金は最近新しく生成されるようになったという鋼鉄で出来ていて美しく輝く純金でコーティングされた特注品で、4本の指をそのまま通すと指の根元にシッカリ装着される様に出来ていた。


「ありがとう。無理を言ったわね。代金の支払いは商業ギルドに振込んでおくわね」


 商人は美しい王妃の笑顔に頷きながら、今日も眼福だと思いながら退出していった。

 隣国から輿入れ後に様々な物を特注品としてデザインしては、真っ先に購入してくれるこの国の王妃は彼の大物取引先である。

 『タケ』と呼ばれる東方の国の木で作り上げた長い剣のような『シナイ』と呼ばれるものは作るのに時間がかかったが良い出来だとお褒めの言葉も頂き、王宮御用商人の看板まで出させてくれた。

 王妃は彼にとっては決して足を向けて眠れない尊いお方である。


 今日も足取り軽く王城を後にする彼。


 商人が去り、侍女達がお茶の用意のために退出すると


「さてと~。コレの試し殴りは今晩でいいかなぁ~。まーた経費の無駄遣いをしやがってあの野郎。ちょっと目を離すと碌でも無い事をしでかすんだから・・・」


 この国の若い国王、つまりは彼女の旦那様は王子の頃から金遣いが荒いのだ――財務長官や宰相がいくら進言しても、馬耳東風。

 貴族学院に通学し始めてからは下位貴族の令嬢に入れ込んで更に金遣いが荒くなった。

 しまいにはその男爵令嬢を王妃にするなどという世迷言をほざき出したが、流石に国際協定違反になると言われて聞き入れられずに隣国の王女を娶ったのである。

 王子妃には白い結婚を押し付けて後宮に閉じ込めるつもりだったらしい――但しこの国は一夫一妻制で後宮などは存在しないし、当然だが第2妃などという都合の良いものも無いのである。


 どんだけお花畑のポンコツ王子なんだよ、と彼女は内情を知って頭を抱えた。


 記憶には全く無いが互いの顔合わせで、王城に男爵令嬢を呼び寄せ茶会でマウントを取らせては王女を蔑む真似を何度もしてみたが、涙を見せる彼女なら言うことを聞かせられると王子と男爵令嬢は踏んだらしいのだが・・・


 ドアを開けたら王女の前世は浪花の元レディースの特攻隊長で結婚後はバリバリの肝っ玉かあちゃん。

 旦那を尻に敷いてキッチリ稼いでこいと手綱を握っていた倹約家・・・


 王女も王子との結婚が嫌すぎて人格交代をしてしまったらしい――つまりは彼女も義務的な婚姻だったということである。

 
 初夜で下手を打った新国王は王妃に尻に敷かれっぱなしだが、大臣達はお行儀が良くなったと泣いて喜んだ。


 王妃はニッコリと新しく出来上がってきた『メリケンサック』を磨きながら呟いた。


「結婚は最初が肝心よねぇ~♡」













-----------了





男爵令嬢アリアはどうなったのか(⁠~⁠ ̄⁠³⁠ ̄⁠)⁠~は、知りません・・・

命があるとイイよね。







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