【完結】ずっと君を愛してる〜心惹かれる想いを君へ〜

hazuki.mikado

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33 弟

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 「兄さん、ちょっと!」


 俺は基本的に商会のビルにずっといる訳では無く秘書と一緒に外回りが多い。

 国内外にある子会社や、傘下の商会に行って相談を受けてアドバイスをしたり新規契約をしたりするのが仕事で、会社にとってはアドバイザーに近い。

 すぐ下の2歳違いの弟が父親と今の母との間に出来た息子なので、商会の代表取締役つまり社長をやらせている。

 オレと違い愛嬌があり、人当たりも優しいので女子社員にも人気が高い。


 俺? 俺は顔は整っているとよく言われるが、くそ真面目で愛想無しだ。

 当然女子社員には遠巻きに見られてる。

 学生の頃はそうでもなかったが社会人になってからは、ほぼ女性には縁がない。

 まあ、学生時代には婚約者がすでにいて卒業後は海外赴任で2年経って帰って来たら即結婚して、その3年後には離婚。

 5年間、いや6年働き詰めでこの間初めての休暇を取った男だ。――女性との付き合いなんぞ推して知るべし・・・ 


 言ってて虚しいな。


 こうやって考えると元妻がいてくれて良かったのかも知れない。

 白い結婚でも若い女性と毎日・・・いや、家に辿り着いた日だけは話す機会があった。


 ・・・こっち見る目が哀れんでるだろ? 放っといてくれ。



 「どうした?」


 弟に呼び止められ立ち止まり、待たせてあった馬車に秘書が声をかけるのを確認してから振り返った。


 「義姉さんとヨリを戻すの?」

 「はぁあ?」


 柄にもなく、でかい声が出た。



    
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