76 / 76
婚約者は・・・お義母様?! 〜可愛いあの娘を手に入れるまでの女装男子の奮闘記〜
【おまけSS】ある召使いの独白
しおりを挟む
我々は、この王国の英雄であるマシュー・カイザル将軍の屋敷で雇われている、平民の召使いである。
我々が家令や執事長を筆頭に料理長、メイド、厩番から庭師に至るまで全て平民出身者で構成されているのは、カイザル家が伯爵家ではあるが成り上がり、つまり新興貴族であり、元は平民だった旦那様が騎士爵、つまり男爵位に相当する爵位を国王陛下から賜った事に単を発する。
身体の弱かった奥様を案じた当時騎士である旦那様に、全員急遽雇われたからだ。
その後、戦争は終わったがその真っ最中に奥様は病で帰らぬ人となり、残されたお嬢様を我々使用人が総力を上げてお育てしたのである――
戦時下の働きで伯爵位だけでなく将軍職迄賜った旦那様だったがその後、我々の大切にお育てしたお嬢様がそのせいで災難に巻き込まれた。
我々平民なら誰でも知っている程の女好きで名高い伯爵家嫡男との婚約を王命で強要されたのである・・・
もっともこの王命と云うのが何やら訳ありで手違いだったらしく、かと言ってその不手際を大っぴらには出来ないらしいのだ。
カルザス家のタウンハウスにやって来る度に王妃の縁戚であることを鼻にかけ、お嬢様を元平民と小馬鹿にしては帰っていくロクデナシの婚約者に我々は歯噛みして悔しい思いをしていた。
勿論お嬢様も・・・
そんなある日、旦那さまがジュリーという女性を連れて屋敷に戻ってきた。
この方が、お嬢様と婚約したロクデナシの尻尾を掴み婚約を白紙撤回に持って行く役目を負っている騎士団員と聞かされ、我々は困惑した。
どう見たって背の高い美女だったからだ。
まあ、ドレスを着ている辺りで大体の想像はつくが恐らくは旦那様の子飼いの暗部の人間だろうと我々は判断した。
この美女に見えるジュリー様、身のこなしどころか貴族女性の嗜みを全て網羅しており、お嬢様の淑女教育迄かって出てくれるという多才な男性で、本当に男にしておくには惜しいほどの逸材だったのだ。
そしてなんと、イリーナお嬢様はこのジュリー様を完全に女性と認識している筈なのに、無自覚のまま熱のこもった視線を送り続けている・・・・
あんな伯爵家のロクデナシなどにお嬢様を渡すくらいなら、このジュリー様で良いのでは? いや寧ろお嬢様が無自覚で熱視線を送るこの男を婿に迎えることができれば、大切なお嬢様は幸せになれるのでは・・・?
我々は平民女性ネットワーク ―井戸端会議― を駆使し、騎士団でのジュリー≒ジュリアン・ステューシーの評判を調べ上げた結果、彼は女嫌いだということが判明。
一切女性を寄せ付けない冷たい性格なのだという・・・
それにしては、お嬢様に対しては異常なほど優しく親切に接している・・・
屋敷内だけでなく出先での彼の態度を我々は逐一見張り、毎夜報告会を開いたのだ。
そして1つの結論を家令が下す。
間違いなくジュアン・ステューシーはお嬢様に恋慕の情を抱いている。
ヨシ。
我々はほくそ笑んだ。
こうして我ら平民召使い連合はジュアン・ステューシー捕獲作戦に取り掛かるのであった。
先ずは、夜這・・・いやいやいや、純真無垢なお嬢様に御義母様と仲良くなるには、真夜中のパジャマパーティーが効果的ですよ! とメイドがそっと囁く事からはじめよう。
次に料理長がそれとなくワゴンに茶器と軽食を構え、ジュリー様のお部屋へどうぞ、と渡すのである。
・・・・我々の計画の成功はもう間もなくである。
我々が家令や執事長を筆頭に料理長、メイド、厩番から庭師に至るまで全て平民出身者で構成されているのは、カイザル家が伯爵家ではあるが成り上がり、つまり新興貴族であり、元は平民だった旦那様が騎士爵、つまり男爵位に相当する爵位を国王陛下から賜った事に単を発する。
身体の弱かった奥様を案じた当時騎士である旦那様に、全員急遽雇われたからだ。
その後、戦争は終わったがその真っ最中に奥様は病で帰らぬ人となり、残されたお嬢様を我々使用人が総力を上げてお育てしたのである――
戦時下の働きで伯爵位だけでなく将軍職迄賜った旦那様だったがその後、我々の大切にお育てしたお嬢様がそのせいで災難に巻き込まれた。
我々平民なら誰でも知っている程の女好きで名高い伯爵家嫡男との婚約を王命で強要されたのである・・・
もっともこの王命と云うのが何やら訳ありで手違いだったらしく、かと言ってその不手際を大っぴらには出来ないらしいのだ。
カルザス家のタウンハウスにやって来る度に王妃の縁戚であることを鼻にかけ、お嬢様を元平民と小馬鹿にしては帰っていくロクデナシの婚約者に我々は歯噛みして悔しい思いをしていた。
勿論お嬢様も・・・
そんなある日、旦那さまがジュリーという女性を連れて屋敷に戻ってきた。
この方が、お嬢様と婚約したロクデナシの尻尾を掴み婚約を白紙撤回に持って行く役目を負っている騎士団員と聞かされ、我々は困惑した。
どう見たって背の高い美女だったからだ。
まあ、ドレスを着ている辺りで大体の想像はつくが恐らくは旦那様の子飼いの暗部の人間だろうと我々は判断した。
この美女に見えるジュリー様、身のこなしどころか貴族女性の嗜みを全て網羅しており、お嬢様の淑女教育迄かって出てくれるという多才な男性で、本当に男にしておくには惜しいほどの逸材だったのだ。
そしてなんと、イリーナお嬢様はこのジュリー様を完全に女性と認識している筈なのに、無自覚のまま熱のこもった視線を送り続けている・・・・
あんな伯爵家のロクデナシなどにお嬢様を渡すくらいなら、このジュリー様で良いのでは? いや寧ろお嬢様が無自覚で熱視線を送るこの男を婿に迎えることができれば、大切なお嬢様は幸せになれるのでは・・・?
我々は平民女性ネットワーク ―井戸端会議― を駆使し、騎士団でのジュリー≒ジュリアン・ステューシーの評判を調べ上げた結果、彼は女嫌いだということが判明。
一切女性を寄せ付けない冷たい性格なのだという・・・
それにしては、お嬢様に対しては異常なほど優しく親切に接している・・・
屋敷内だけでなく出先での彼の態度を我々は逐一見張り、毎夜報告会を開いたのだ。
そして1つの結論を家令が下す。
間違いなくジュアン・ステューシーはお嬢様に恋慕の情を抱いている。
ヨシ。
我々はほくそ笑んだ。
こうして我ら平民召使い連合はジュアン・ステューシー捕獲作戦に取り掛かるのであった。
先ずは、夜這・・・いやいやいや、純真無垢なお嬢様に御義母様と仲良くなるには、真夜中のパジャマパーティーが効果的ですよ! とメイドがそっと囁く事からはじめよう。
次に料理長がそれとなくワゴンに茶器と軽食を構え、ジュリー様のお部屋へどうぞ、と渡すのである。
・・・・我々の計画の成功はもう間もなくである。
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
【完結】純血の姫と誓約の騎士たち〜紅き契約と滅びの呪い〜
来栖れいな
恋愛
「覚醒しなければ、生きられない———
しかし、覚醒すれば滅びの呪いが発動する」
100年前、ヴァンパイアの王家は滅び、純血種は絶えたはずだった。
しかし、その血を引く最後の姫ルナフィエラは古城の影で静かに息を潜めていた。
戦う術を持たぬ彼女は紅き月の夜に覚醒しなければ命を落とすという宿命を背負っていた。
しかし、覚醒すれば王族を滅ぼした「呪い」が発動するかもしれない———。
そんな彼女の前に現れたのは4人の騎士たち。
「100年間、貴女を探し続けていた———
もう二度と離れない」
ヴィクトル・エーベルヴァイン(ヴァンパイア)
——忠誠と本能の狭間で揺れる、王家の騎士。
「君が目覚めたとき、世界はどう変わるのか......僕はそれを見届けたい」
ユリウス・フォン・エルム(エルフ)
——知的な観察者として接近し、次第に執着を深めていく魔法騎士。
「お前は弱い。だから、俺が守る」
シグ・ヴァルガス(魔族)
——かつてルナフィエラに助けられた恩を返すため、寡黙に寄り添う戦士。
「君が苦しむくらいなら、僕が全部引き受ける」
フィン・ローゼン(人間)
——人間社会を捨てて、彼女のそばにいることを選んだ治癒魔法使い。
それぞれの想いを抱えてルナフィエラの騎士となる彼ら。
忠誠か、執着か。
守護か、支配か。
愛か、呪いか——。
運命の紅き月の夜、ルナフィエラは「覚醒」か「死」かの選択を迫られる。
その先に待つのは、破滅か、それとも奇跡か———。
——紅き誓いが交わされるとき、彼らの運命は交差する。
贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる
マチバリ
恋愛
貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。
数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。
書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
【R18】熱い夜の相手は王太子!? ~婚約者だと告げられましたが、記憶がございません~
世界のボボブラ汁(エロル)
恋愛
激しい夜を過ごしたあと、私は気づいてしまった。
──え……この方、誰?
相手は王太子で、しかも私の婚約者だという。
けれど私は、自分の名前すら思い出せない。
訳も分からず散った純潔、家族や自分の姿への違和感──混乱する私に追い打ちをかけるように、親友(?)が告げた。
「あなた、わたくしのお兄様と恋人同士だったのよ」
……え、私、恋人がいたのに王太子とベッドを共に!?
しかも王太子も恋人も、社交界を騒がすモテ男子。
もしかして、そのせいで私は命を狙われている?
公爵令嬢ベアトリス(?)が記憶を取り戻した先に待つのは── 愛か、陰謀か、それとも破滅か。
全米がハラハラする宮廷恋愛ストーリー……になっていてほしいですね!
※本作品はR18表現があります、ご注意ください。
【完結】お父様(悪人顔・強面)似のウブな辺境伯令嬢は白い?結婚を望みます。
カヨワイさつき
恋愛
魔物討伐で功績を上げた男勝りの辺境伯の5女は、"子だねがない"とウワサがある王子と政略結婚結婚する事になってしまった。"3年間子ども出来なければ離縁出来る・白い結婚・夜の夫婦生活はダメ"と悪人顔で強面の父(愛妻家で子煩悩)と約束した。だが婚姻後、初夜で……。
契約結婚のはずが、無骨な公爵様に甘やかされすぎています
さら
恋愛
――契約結婚のはずが、無骨な公爵様に甘やかされすぎています。
侯爵家から追放され、居場所をなくした令嬢エリナに突きつけられたのは「契約結婚」という逃げ場だった。
お相手は国境を守る無骨な英雄、公爵レオンハルト。
形式だけの結婚のはずが、彼は不器用なほど誠実で、どこまでもエリナを大切にしてくれる。
やがて二人は戦場へ赴き、国を揺るがす陰謀と政争に巻き込まれていく。
剣と血の中で、そして言葉の刃が飛び交う王宮で――
互いに背を預け合い、守り、支え、愛を育んでいく二人。
「俺はお前を愛している」
「私もです、閣下。死が二人を分かつその時まで」
契約から始まった関係は、やがて国を救う真実の愛へ。
――公爵に甘やかされすぎて、幸せすぎる新婚生活の物語。
喪女なのに狼さんたちに溺愛されています
和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です!
聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。
ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。
森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ?
ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる