不可解部の活動記録01 File02色戦争 ~悪魔やら謎の組織が出てきて夏休みは犠牲になりそうですが、仲間と共にこの街を救います~

西東惟助

文字の大きさ
12 / 30
色戦争、その前

第12話 8月6日-3 色の騎士団

しおりを挟む
「十五時五六分四二秒、これはぴったりと言っていい時間ではないでしょうか」

 白群びゃくぐん高校の部活棟、その入り口で細かい現時刻を五木に教えてくれたのは白騎士だった。

 三人の人物、それぞれ赤、黒、白――よく見ると青みがかっているフード付きローブの人物を連れている。昨日の白騎士とは異なり、全員フードはしておらず、その顔がはっきりと見られる。

 こんな集団が学校の敷地内に侵入しても許されるのかと、五木は思った。
 同時に不可解部などという名前の得体のしれない部活動があるのだから大丈夫なのだろうと納得した。

 昨日誰のところにも現れなかった青騎士であろう人物に目を向ける。アジア系の顔立ちをしていて、日本人に見える。昨日会った鳥居と同じくらいの年齢だろうか。

 剣にのされた赤騎士は一晩で復帰したようだった。

「どうも」

 軽い会釈。

「案内するために待っていてくれたとは、あなたは親切ですね」

 白騎士は勝手な解釈をしたらしい。ポジティブシンキングだ。別段待っていたわけでなく急いできて乱れた呼吸をここで整えていただけだったが。

「ええ、こちらです」

 五木はその誤解にとりあえず調子を合わせることにしつつ、騎士たちの顔を見やる。

 赤騎士、黒騎士の容貌はおおよそ剣と風名から聞いて五木が想像した通りだった。
 ただちょっと黒騎士が思ったより綺麗きれいだなと思い、無意識に顔を見てしまう。なんとなく心の中で風名に謝った五木だった。

「私の顔に何か付いてる?」

 顔に似合わない流暢りゅうちょうな日本語で黒騎士は言った。可愛らしく小首をかしげる仕草は可愛らしい。

 五木がそう思ったところで、風名からの情報が頭をよぎる。「黒騎士はとてもきれいで可愛らしいが、油断ならない女性。並の男なら簡単にだますことができる顔と性格」、だったか。

「いや特に、綺麗きれいだなと思って」
「えっ」

 黒騎士は目を一度見開き、顔を赤らめる。余計なことを言って怒らせてしまったな、と五木は後悔した。黒騎士はただ照れただけというのが真相だが。

「じゃあ、行きますか」

 建物に入る。風名と剣を待たせるのは悪い。

「お前とあいつどっちが強いんだ?」

 歩きながらそう尋ねてきたのは赤騎士だ。あいつというのは恐らく剣のことだろう。

「剣かな」
「なんだ、お前のが強かったら、お前を倒せばあいつより強いってことになると思ったのによぉ」

 とんだバトルジャンキーのような発言をする少年だった。血の気が多いらしい、赤だけに。

 剣の方が強いと言って良かったと心底思う。このままバトル展開に突入などまっぴらごめんだ。

 他の三人がどう動くかわからない。多勢に無勢だ。勝てる気がしない。

 五木と剣の対戦カードの成立はない。剣の方が強いだろうというのは五木の憶測だが、本当に思っている。

 刃物使いとしての才能、そして血をも刀、斬る血斬り。その刀は玄武の装甲にすら傷を付ける。

「俺は青騎士なのな」

 そして何の情報もない青騎士。

 騎士団の面々全員の日本語スキルが高いせいで、話し方だけでは日本人とは判別できない。彼は他の三名とは異なり、常識人に思える。語尾に特徴がある以外は。

「本名は|本殿橋獅子(ほんでんばししし)なのな」

 急に本名を公開したと同時にその名字に五木は驚く。

 橋の苗字。そういえば榊橋さかきばし以外が何かを聞き損ねていたが、直感的に今の本殿橋は四ツ橋の一つだろうと五木は推測した。ただどうして四ツ橋の人間が他の五勢力、騎士団に所属しているのかはわからない。

 それはアウトではないのだろうか。

「俺は本殿橋家を破門になっているのな」

 青騎士は五木の疑問を見透かしたように言った。

 四ツ橋を破門された人物。先ほど出逢であった鳥居もそうだった。五木はこの二人に何らかの関係があるような気がした。

 この人も鳥居と雷獣のように、何かしらの妖怪とコンビを組んでいるのだろう。その姿は今は見えない。

「お喋りはその辺にして、案内、お願い出来ますか?」

 階段下で立ち止まった五木に白騎士は丁寧に言った。一番喋ってそうな白騎士に言われたのは心外だが、確かに約束の十六時を過ぎてしまいそうだった。騎士団員との会話を切り上げ、五木は階段を昇る。

 年配の先生なら四階まで階段で昇ると息切れしてしまうが、騎士団の面々にはそんな素振りもなかった。むしろ学校まで走ってきてやっと息を整えた五木が最も疲れていたかもしれない。

 無言で歩く。重苦しい空気を感じながら、後ろから撃ち抜かれてしまう可能性もあることに気がつき、小さく震えた。
あまり考え過ぎないよう、歩くことに集中しているうちに部室の前へ辿たどり着く。扉を三度たたき、扉を開ける。

「五木、ギリギリじゃ――」

 風名に何か言われることは覚悟していたが、五木の後ろの面々を見て矛を収めたらしい。五木は心の中で白騎士にお礼を言った。

「どうも、風名嬢。初めまして。四騎士の代表、白騎士です」

 丁寧に名乗ったのはおしゃべり紳士(五木評)の白騎士だ。

「おおー、風名ちゃん、かわいいじゃん」
「え、ええ、どうも」

 チャラ男みたいなことを言ったのは赤騎士だ。
 こいつは好きになれそうにないと五木は思った。風名も満更でもなさそうなのが少し気に喰わない。

「ざっくり紹介しましょう。黒いのが黒騎士、赤いのが赤騎士、白っぽくて青いのが青騎士です」

 部室に入ると白騎士は本当にざっくりと紹介した。

「我々を案内してくれたのが五行五木君、出迎えてくれたのが嵐呼風名君、奥にいるサムライみたいな人が刀刃剣君です」

 と、白騎士は続けて簡単に不可解部の紹介も行った。白騎士と直接会ったのは五木だけだったはずだが、ただでさえ少ないメンバーだ。残りのメンバーの推測は容易たやすいだろう。

 風名は立ち上がったまま着席せず、入口右手のホワイトボード、その横へ移動した。
 一方の剣は頭をホワイトボードに向けているものの窓の外を眺める姿勢から微動だにしない。

「じゃあ、始めましょうか」

 何やら風名が仕切り始めた。

 流石は風使い、場の空気を掌握するのもお手の物か。などとうまいことを思いついたからあとで言ってやろうと五木は思った。

 ちなみに騎士団が帰った後で言った結果、風名が少し機嫌を損ねたことだけは言っておこう。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。

wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。 それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。 初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。 そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。 また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。 そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。 そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。 そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました

グミ食べたい
ファンタジー
現実に疲れた俺が辿り着いたのは、自由度抜群のVRMMORPG『アナザーワールド・オンライン』。 選んだ職業は“料理人”。 だがそれは、戦闘とは無縁の完全な負け組職業だった。 地味な日々の中、レベル上げ中にネームドモンスター「猛き猪」が出現。 勝てないと判断したアタッカーはログアウトし、残されたのは三人だけ。 熊型獣人のタンク、ヒーラー、そして非戦闘職の俺。 絶体絶命の状況で包丁を構えた瞬間――料理スキルが覚醒し、常識外のダメージを叩き出す! そこから始まる、料理人の大逆転。 ギルド設立、仲間との出会い、意外な秘密、そしてVチューバーとしての活動。 リアルでは無職、ゲームでは負け組。 そんな男が奇跡を起こしていくVRMMO物語。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

処理中です...