東方のレッセイ・ギルド

すけたか

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終幕

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「ラクダが来たぞーっ!」

誰かの声で皆が一斉に振り返る。停留所にはぞろぞろとラクダの群れが入ってきていた。
「あ、やっと来たんだわ! いるかしら。いきましょ、お兄さんもどっかいきたいんでしょ」
そう言って少女は青年をひっぱって、ラクダが立ち並ぶ場所まで足早にやってきた。少女はきょろきょろと辺りを見回していたが、その姿を認めてパッと笑顔になる。

白夜びゃくや!」
「姉様!」

ラクダから降りてきたのは、長い長い黒髪を頭の上で一つにまとめた色白の美少年だった。全身を黒の防護服インナーで覆い、腰に黄金の房飾りフリンジをたくさんつけた総刺繍のゴージャスな腰布を巻いている。
降りてきた勢いそのままに彼は少女へと抱きついた。
「姉様、元気だった?」
「もちろん! 白夜も元気そうでよかったわ。あ」
少女は青年に向かって、
「これは私の弟の白夜よ。今まで離れて暮らしていたの」
「こんにちは。姉様のお友達ですか? 僕白夜です。よろしく」
白夜は丁寧に頭を下げる。いやねえ、停留所で出会っただけよと少女は話す。
「姉弟なのか」
「まあね。なんと双子の姉弟よ。――あれ、驚かないわね」
「双子だとなにかあるのか」
「ほんっとに田舎者なのね……双子はレッセイ・ギルドと出会った最初の人間だから特別扱いされてるのよ。神聖な存在として双子は各流派で保護することになってるの。ほとんど取り合いよ。いい暮らしさせてくれるってわけ。でも私たちはその取り合いに巻き込まれて……七条派と青海派に引き裂かれてしまったわ。別々に暮らしてたの。冗談じゃないわよ」
「年に一回だけ会うことが許されているんです。僕は青海からきました」
「でもそれももう終わりよ。実はこれから二人で逃げちゃうつもり。もう七条にも青海にも戻らないわ。二人で好きなように生きるの! お金はたんまりもってきたもんね」
青年は目を丸くする。
「……大丈夫なのか」
「大丈夫! 私達には無敵のお守りがあるもん! ねえ白夜」
そういって少女はうんしょ、とハイネックの防護服インナーの中に手を入れると、「それ」をとりだした。
首紐の先には小さな試験管に封じ込められた、天青石セレスタイトが輝いている。
青年は目を見開いた。

それは。

「それは――どうしたんだ」
「え、すっごい珍しいでしょ。アンティークなんだけど、天青石セレスタイトって最近中々見つかんないから……私達捨て子なの。籠の中に入れられて砂漠のど真ん中に捨てられてたんだけど、このペンダントが一緒に入ってたのよ。親が置いていったものか知らないけど、私たちを拾ってくれた隊商が盗むことなく乳児院に届けてくれたってわけ。これは凄く古い物だから大切にしなさいって……もしかしたら誰かが目印に置いていったかもしれないっていうの。だから私と白夜は会うたびにお守りとして交代でつけているのよ。結晶世界じゃ捨て子は珍しくないけど、双子を捨てるのは相当珍しいの。双子をギルドに預ければ親は保証金がもらえるからね」
「見せてくれるか」
「え、いいけど、ちょっとだけよ」
青年は少し――震える手でそのペンダントを握り、目を凝らした。
間違いない。師から貰った物だ。
そしてあの少女に託した物――


ああ、千年もの前の光が届いた。
この二人こそが、その証。


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