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「この薬を飲めば、人生をやり直す事が出来ます」

そう言って差し出されたのは、液体が入った手のひらに収まるサイズの小瓶だ。

もし、他の誰かではない自分のまま生きられるなら。

揺らぐ事のないと思っていた、今更あるとも思っていなかった心が揺れているのを、それでも彼女は見ない振りをした。

夢は見ない、捨てたのだ、何もかも。






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