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43 暗黒騎士2
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ランスロは信じられない強さで、上級魔族である暗黒騎士ゴルバを倒した。
一瞬で勝負がついてしまったことを見て、千人隊のみんなが大歓声を上げた。
ところが、暗黒騎士はよろよろと立ち上がろうとしていた。
それを見た隊長が言った。
「まだ生きている。みんなでとどめを差すんだ。」
命令を受けた数人の騎士が暗黒騎士を攻撃しようとして馬を走らせた。
「待ってください。やめてください。」
ランスロが大声で叫んだが既に遅かった。
攻撃しようとした数人の騎士は、立ち上がった暗黒騎士ゴルバの槍に突かれて、その場に馬ごと転倒させられていた。
その後、暗黒騎士はランスロの方を向き一礼した。
「見事な体術と剣さばきだった。これまでのさまざまな無礼をお許しいただきたい。あなたは私の槍をよけた後、急所ではなく甲冑に守られた場所にわざと剣を当てた。理由はなぜだ。」
「正直に申し上げます。甲冑に守られた場所にわざと剣を当てたのではなく、その場所にしか当てることができなかったのです。暗黒騎士様の光速の槍をよけることで精一杯でした。」
「はははは、それならばランスロ殿を少しは苦しめることができたのだな。これで少しは私の面目は立つ。それにしても魔王様やザラ様のおっしるとおりだな。私の槍の先をあんなに最後まで、しっかり見られたのは始めてた。」
「よけるのに間に合うぎりぎりのタイミングまで見たのです。」
「どの魔族も恐怖を武器にして人間を襲うのだが、ランスロ殿は恐怖を制御でき冷静になれるから、魔族にとって強敵だな。その強さの根拠は何か、教えてくれないか。」
「人々の未来、幸せを守ろうとする心です。自分が果たさなければならない気高い責任はとても重いので、そのことを考えると、どんなことでもできます。」
「そうか、ザラ様の婚約者にふさわしい方だ。実はザラ様も魔族の未来。幸せを守る自分の責任を果たそうと努力なさっている。しかし、私はザラ様の婚約者に戦いを挑んでしまったから、だいぶお怒りだろう。魔界に帰ったらどうしよう。」
「暗黒騎士様が今日、僕以外の人間に槍を当てたのは、全て致命傷とならない場所ばかりでしたね。たぶん、自分よりも力が弱い者とは戦わず、命を奪わない主義なのですね。僕はあなたを尊敬します。尊敬するあなたを怒らないようにと言っていたとお伝えください。」
「かたじけない。これでなんとか魔界に帰ることができる。ところでランスロ殿。序列9位の私と10位のセイレーンを除き、後、上級魔族は8人いる。あなたの命を奪えば同時にザラ様の人間の婚約者はいないことになり、人間界への大侵攻が開始される。御注意あれ。」
「ありがとうございます。」
ランスロと暗黒剣士ゴルバとの戦いを、魔界の魔王宮の中で魔王ゲールとザラが観戦した。
魔王が感想を述べた。
「ほんのわずかな瞬間で勝負はついたが、中身の濃い戦いだった。あれから5年間が経っているがランスロ君の成長スピードは、私の期待をはるかに超えていた。ザラはどう思った。」
「ランスロは底知れない最強の力を身につけたな。暗黒騎士ゴルバは序列9位とはいえ、上級魔族をあんなに簡単に破ることのできる人間なんて、ランスロ以外は存在しないだろう。それに、今日彼の姿を見て、私の最大の懸念も払拭できたからな。とてもうれしい。」
「ザラよ。ランスロ君のことで最大の懸念があったはどういうことなのだ。」
「父様だから言えるけれど、最大の懸念は私の背の高さ。魔界に戻ってから、どんどん背が伸びてしまった。夫となる者より背が高いと、それを気にするかもしれないと心配したんだ。ところが、ランスロはさらに背が伸びていた。私よりも高いことが確認できた。」
「背が高い優美な姿も含めてザラの完璧な魅力なんだ。誇ると良い。」
「ところがそうばかり言ってられないのだ。あのグネビア王女は私よりも背が低く、ランスロが見下ろしたとき、美しい青い瞳がしっかり目に入りメロメロになってしまうらしい。」
「それはなんでわかったのだ。」
「セイレーンが報告した。グネビア王女は、私の最大のライバルだと警告してきたんだ。ところで、他の上級魔族達は今日のランスロとゴルバの戦いを見たのだろうか。」
ザラの質問にそばに控えていたアスタルトが答えた。
人間界にいた時、ロスチャイルド家の執事だったアスタルトは魔界の内務大臣だった。
「お嬢様。全ての上級魔族が魔術鏡で戦いを見ました。魔界全体に張り巡らしている私の監視眼で確認しています。」
「ランスロに戦いを挑み、命を奪おうと考える上級魔族はいるのだろうか。」
「これまで、そう思っていた上級魔族はしばらく考えるでしょう。しかし考え直して、戦いを挑むことを断念する者はいないでしょう。ランスロ様は魔族にとっても大変魅力がある方です。あの方と戦ってみたいという思いを消すことはできないと思います。」
「今日の戦いでも、ランスロは戦った敵であるゴルバに向かって尊敬すると言った。彼は上辺だけではなく、中に隠されたほんとうの価値に気がつくことができる。確かにとても魅力があるな。まあ、私はランスロの魅力をいろいろ知っているがな。」
一瞬で勝負がついてしまったことを見て、千人隊のみんなが大歓声を上げた。
ところが、暗黒騎士はよろよろと立ち上がろうとしていた。
それを見た隊長が言った。
「まだ生きている。みんなでとどめを差すんだ。」
命令を受けた数人の騎士が暗黒騎士を攻撃しようとして馬を走らせた。
「待ってください。やめてください。」
ランスロが大声で叫んだが既に遅かった。
攻撃しようとした数人の騎士は、立ち上がった暗黒騎士ゴルバの槍に突かれて、その場に馬ごと転倒させられていた。
その後、暗黒騎士はランスロの方を向き一礼した。
「見事な体術と剣さばきだった。これまでのさまざまな無礼をお許しいただきたい。あなたは私の槍をよけた後、急所ではなく甲冑に守られた場所にわざと剣を当てた。理由はなぜだ。」
「正直に申し上げます。甲冑に守られた場所にわざと剣を当てたのではなく、その場所にしか当てることができなかったのです。暗黒騎士様の光速の槍をよけることで精一杯でした。」
「はははは、それならばランスロ殿を少しは苦しめることができたのだな。これで少しは私の面目は立つ。それにしても魔王様やザラ様のおっしるとおりだな。私の槍の先をあんなに最後まで、しっかり見られたのは始めてた。」
「よけるのに間に合うぎりぎりのタイミングまで見たのです。」
「どの魔族も恐怖を武器にして人間を襲うのだが、ランスロ殿は恐怖を制御でき冷静になれるから、魔族にとって強敵だな。その強さの根拠は何か、教えてくれないか。」
「人々の未来、幸せを守ろうとする心です。自分が果たさなければならない気高い責任はとても重いので、そのことを考えると、どんなことでもできます。」
「そうか、ザラ様の婚約者にふさわしい方だ。実はザラ様も魔族の未来。幸せを守る自分の責任を果たそうと努力なさっている。しかし、私はザラ様の婚約者に戦いを挑んでしまったから、だいぶお怒りだろう。魔界に帰ったらどうしよう。」
「暗黒騎士様が今日、僕以外の人間に槍を当てたのは、全て致命傷とならない場所ばかりでしたね。たぶん、自分よりも力が弱い者とは戦わず、命を奪わない主義なのですね。僕はあなたを尊敬します。尊敬するあなたを怒らないようにと言っていたとお伝えください。」
「かたじけない。これでなんとか魔界に帰ることができる。ところでランスロ殿。序列9位の私と10位のセイレーンを除き、後、上級魔族は8人いる。あなたの命を奪えば同時にザラ様の人間の婚約者はいないことになり、人間界への大侵攻が開始される。御注意あれ。」
「ありがとうございます。」
ランスロと暗黒剣士ゴルバとの戦いを、魔界の魔王宮の中で魔王ゲールとザラが観戦した。
魔王が感想を述べた。
「ほんのわずかな瞬間で勝負はついたが、中身の濃い戦いだった。あれから5年間が経っているがランスロ君の成長スピードは、私の期待をはるかに超えていた。ザラはどう思った。」
「ランスロは底知れない最強の力を身につけたな。暗黒騎士ゴルバは序列9位とはいえ、上級魔族をあんなに簡単に破ることのできる人間なんて、ランスロ以外は存在しないだろう。それに、今日彼の姿を見て、私の最大の懸念も払拭できたからな。とてもうれしい。」
「ザラよ。ランスロ君のことで最大の懸念があったはどういうことなのだ。」
「父様だから言えるけれど、最大の懸念は私の背の高さ。魔界に戻ってから、どんどん背が伸びてしまった。夫となる者より背が高いと、それを気にするかもしれないと心配したんだ。ところが、ランスロはさらに背が伸びていた。私よりも高いことが確認できた。」
「背が高い優美な姿も含めてザラの完璧な魅力なんだ。誇ると良い。」
「ところがそうばかり言ってられないのだ。あのグネビア王女は私よりも背が低く、ランスロが見下ろしたとき、美しい青い瞳がしっかり目に入りメロメロになってしまうらしい。」
「それはなんでわかったのだ。」
「セイレーンが報告した。グネビア王女は、私の最大のライバルだと警告してきたんだ。ところで、他の上級魔族達は今日のランスロとゴルバの戦いを見たのだろうか。」
ザラの質問にそばに控えていたアスタルトが答えた。
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「お嬢様。全ての上級魔族が魔術鏡で戦いを見ました。魔界全体に張り巡らしている私の監視眼で確認しています。」
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「これまで、そう思っていた上級魔族はしばらく考えるでしょう。しかし考え直して、戦いを挑むことを断念する者はいないでしょう。ランスロ様は魔族にとっても大変魅力がある方です。あの方と戦ってみたいという思いを消すことはできないと思います。」
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