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クールでジューシィ⑥
しおりを挟むもう一つの驚いたことは、山本さんは警察官だったことだ。確かに、公務員である。麻布警察署の交通課勤務。つまり、普段はミニパトに乗って、違法駐車の取り締まりをしているという。
カズとの出会いは偶然だったが、その後、彼が手配犯であることを知る。山本さんはカズとの関係を誰にも伝えていない。その後、カズが行方をくらまして半年余りが過ぎた。
僕のマンションに顔を出した正月の前後は東京にいたはずだけど、彼女への連絡が一切なかったらしい。
「だから、カズが尊敬していたシュウくんに会おうと思ったの」そう言って、山本さんは僕の胸に顔を埋めた。
「それにしても、僕の所属しているクラブがよくわかりましたね」
「ごめんなさい、生活安全課の先輩にこっそり調べてもらったの」
“蛇の道は蛇”というけれど、イリーガルの身をしては、いつ両手が後ろに回るかもしれない。思わず、背筋が寒くなる。それにしても、女性警察官のお客さんなんて、前代未聞だろう。
「シュウくん、誤解しないでね。仕事に私情をもちこむのは、私、初めてだから……。今日は完全にプライベートとしてきたの」
嘘だとは思わないが、手放しで信用することはできない。ただ、山本さんはそれだけ、カズの情報を求めているということか?
とりあえず、二つの選択肢がある。まず、この時点でサービスを打ち切り、事後についてはココナさんの判断を仰ぐこと。
もう一つは、このまま続けて、山本さんから、できるだけ多くの情報を引き出すこと。
「ごめんなさいね、シュウくん、怒った?」
「そうですね、嘘は吐かれたわけではないにしろ、まるで、だまし討ちにあった気分です。正直に言って、不愉快ですね」
眼ヂカラを込めて睨みつけると、彼女はビクッと身体を震わせた。Mっ気があることは、これまでの反応で把握している。
「でも、続きを始めますよ。僕の仕事ですから」
素っ気なくいうと、山本さんをベッドに押し倒した。彼女は抵抗の気配を見せるけれど、僕は腕力にものを言わせて許さない。
「シュウくん、顔が恐い。やっぱり、怒ったの?」
「さぁ、どうでしょう」
僕は顔を近づけて、可憐な唇を奪う。山本さんは首を振って逃げようとする。でも、僕は逃さない。情熱的に唇をむさぼり続ける。
僕の身体を押しのけようとしたので、彼女の手を掴んでベッドに押し付けた。
「いやっ、こんなのって……」彼女の声は震えていた。
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