裸のプリンスⅤ【R18】

坂本 光陽

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リベンジ・ラブ㉒

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 千葉駅に到着して最初に行ったのは、スマホを処分すること。電源を入れてメールを確認する誘惑にかられたけど、GPSやら特殊なアプリやらで居場所を知られる恐れがある。トイレの手洗い場で水に浸してから、ゴミ箱に捨てた。

 仕事上の貴重なデータは惜しかったけど、どうせ当分は仕事ができないのだ。復帰することになったら、ゼロから始めればいい。

 スマホがなくなったら何もできないとか、人間関係の大半が失われるとか言う人もいるけど、リセットだと考えてみれば、さほど悪いことでもない。

 意外と気分爽快である。僕は解放感すらおぼえていた。

 日本は島国だけど広大だ。僕自身、北海道や東北、四国などには行ったことがない。半分以上の都道府県には足を踏み入れたことがない。この際、いっそのこと、日本一周でもしてみようか。

 とりあえず、東京にさえ近づかなければ、どこにだって行ける。奇妙な解放感に包まれて、自由気ままな旅に出た。とりあえず、銀行のATMから限度額いっぱい引き出すと、地方都市を転々とする生活を開始した。

 初めてカプセルホテルやネットカフェを利用した。観光地を外すと、地方都市はどこもほとんど変わらない。

 にぎやかな駅前から外れると閑散としており、僕のようなよそ者は目立ってしまう。だけど、これがカップルなら話は別だ。レストランや喫茶店で食事をしていると、よく女性からナンパされた。とりわけ、年上のOLさんが多い。

 どうやら、僕は真面目そうに見えるらしい。草食系みたいだから安心だろう、などと考えているなら大間違いだけど。そんなことを思いながら、おしゃべりを楽しみつつ、美味しいお酒と食事を御馳走になった。

 半分の女性はここでバイバイだけど、残り半分は彼女のマンションで飲み直すのが定番のコースだった。もっとも、僕は草食系ではないし、彼女が本当に欲しているものは承知している。

 マンションではお酒も会話もそこそこに、かわるがわるシャワーを浴び、僕たちはベッドの上で抱き合う。素早く避妊具を装着し、精一杯のセックスを堪能してもらう。

 僕は通りすがりの旅人だし、妙な後腐れは皆無である。彼女たちにとっては、理想的なワンナイトラバーだったろう。

 週末の夜は、そんな彼女たちと一緒に過ごすことが多かった。東京とは違ったタイプの女性も少なくなかった。方言のせいもあるだろうが、情の深さや大胆さなど、その地方ならではの特徴のようなものも感じた。

 もちろん、セックスに関しては精一杯尽くした。おカネはいただかないが、手を抜くことは一切ない。心身ともに充実したセックスは、日常生活に張りと潤いを与えてくれる。おまけに、体力とテクニックをキープできるのだから有り難い。
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