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淫らな女王様の蜜⑤
しおりを挟むもう、なりふり構ってはいられない。
「安奈さん、もうダメです。出てしまいます」
僕の声に切実な響きを察したのだろう。彼女の口内から、バナナを解放してくれた。
「出るの? 出そうなの?」
素朴な質問に対しては、誠意をもって応える。
「……はい、もう我慢できません。僕のそれから、お顔を離してください」
僕の頼みはスルーされた。安奈さんは好奇心いっぱいの瞳を見開いて、僕のバナナに熱い視線を注いでいる。仕方なく、断続的に訪れる暴発の兆しを力づくで抑え込もうとした。
でも、すでに限界を超えていたようだ。僕の体液は彼女の顔に向けて、力強く迸しった。
安奈さんは膝立ちになって、放心状態だった。美しい形の鼻からセクシーな口元にかけて、白濁した体液が大量に付着している。粘度が高いせいか、べったりと張りついていた。
僕は美人キャリアウーマンのお顔を汚してしまったのだ。
「すいません、大丈夫ですか?」
間抜けなことを口にしながら、奇妙な感覚を覚えた。身体の一番奥の方で、チロチロと小さな炎が灯っている。端的に言えば、美しいものを汚す快感だろうか。
もっとも、そんな想いなどあっけなく吹き飛んでしまうことが起こってしまう。安奈さんは唇を噛みしめ、顔を歪めながら、ベッドから降りた。
安奈さんは足早に、洗面室の方へ立ち去っていく。一瞬、屈辱を味わった表情に見えたことが気になった。
男性の体液を顔に受けてしまったのだ。AVでは定番の〈顔射〉は、真面目な方にとっては、女性の尊厳を蔑ろにする行為を受け止められるだろう。
安奈さんのプライドを傷つけてしまったかもしれない。偶発的とはいえ、注意を払うべきだった。
5分……、10分……。彼女はなかなか戻ってこない。静まり返った室内に、時間だけが流れていく。
「安奈さん、どうかしましたか?」
返答はない。まさか、服を身に着けて、そのまま部屋を出て行ったのか。
僕は両腕をクロスさせてうつ伏せになり、両手首にはまった手錠を見つめる。手をすぼめて輪っかの中を通そうとしたり、渾身の力を込めて引っ張ったりしてみた。
何度試してみても、結果は同じだ。独力では外せそうもない。
唯一の手段は、安奈さんに解錠をしてもらうことである。何度も繰り返し、最悪の状況が脳裏に浮かぶ。このまま明日になり、全裸でみっともない姿のまま、ホテル従業員に見つかってしまうことだ。
おそらく当局に通報されるだろう。被害者であっても、コールボーイはイリーガルだ。否応なしに警察沙汰になってしまう。
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