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欲望の夜⑧
しおりを挟む「この体位だと互いの顔が見えないから、岸くんに犯されていると考えたらどうですか?いや、僕が言うまでもなく、とっくにそうしているかな」
「……シュウくん、あまりいじめないで」
思いがけない反応を見せた。日名子さんが両手で顔を覆って、すすり泣きを始めたのだ。僕は腰の動きを止めた。
「ひどいよ、シュウくん。今のは、ひどすぎる」
「……そうですね、すいません。調子にのりすぎました」
僕は素直に謝る。ただ、これも、おそらくはプレイの延長。僕は彼女の耳元で、甘く囁く。
「もし、日名子さんが望まれるなら、僕は岸くんの代用で結構ですよ」
ある種の幻想やイメージを売るのが、コールボーイなのだから。
「岸くんと僕を重ねるのが今回のプレイのテーマなら、喜んで御協力します。どうぞ、僕の身体を使ってください」
日名子さんは身体をぶつけるように、抱きついてきた。僕の胸をぬらしたのは、彼女の涙だろう。女性の身体は涙を流すと、神秘的な現象を起こす。眼が潤むにつれて、ザクロも潤んでくるのだ。上と下の粘膜はつながっているのかもしれない。
「僕のことを岸くんと思ってください」
彼女は顔を反らしたまま、恥ずかしそうに呟いた。
「……先生を抱いて、岸くん」
僕は彼女を抱きかかえて、ソファの上に優しく横たえる。
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