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不穏
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「どういう関係って…、普通に仲のいい先輩後輩だよ」
「そうですか…。なんか、それだけに見えなかったので」
お互いこのピリついた空気は感じ取っているだろう。それを目に表している相野と、出来るだけ顔に出さずにこやかに対応する彩世。
「そうかな?とにかく、あとは大丈夫だよ。早く授業に戻りな?」
「……はい」
不満そうな顔をする相野だが、もう自分にできることはないと察し2人を気にしながら保健室を出た。それを確認した彩世はベッドで息を荒くしている那月に視線を戻す。
「ナツくん、俺が家まで連れてくね」
「…っす、すいません。迷惑、かけちゃって…」
「全然迷惑じゃないよ。どうせもう帰るとこだったし。喉とか痛くない?」
「はい…熱以外は、全く……」
「そっか…」
そのタイミングで保健の先生が戻ってきた。タクシーが到着したらしい。
「よし、じゃあ私は2人の荷物持って行くから、荻川君は篠井君を支えてくれる?」
「え、あ、はい……」
彩世が一瞬戸惑ったのは、支えるということは那月に触れるということ。昼休みの時、また怖がらせてしまったと思っている彩世は近付くことを躊躇しているようだ。
「ナツくん、起きれる?車まで行かなきゃなんだけど…」
「あ…、は、い」
「俺が体支えて大丈夫?無理なら先生に……」
「!!先輩、だいじょうぶ、です…!お願い、します…」
「…分かった。辛かったら言ってね」
彩世が布団をめくると、那月はゆっくり起き上がった。そして何とか靴を履きフラフラと立とうとする那月の背中と腕を大きな手で支える彩世。初めて触れた那月の体、その線の細さと服越しの熱を感じドクッと心臓が跳ねる。
「だ、大丈夫…?さっきよりも顔赤い気がするけど…」
「いや、は、はい、だいじょうぶです…」
「キツかったら、もたれていいからね」
「はい……」
ゆっくり歩き進め、何とかタクシーへ乗り込んだ2人。先生からスポドリなどが入った袋を受け取ってから車は那月の家へと発進した。
一一一彩世先輩が、こんなに近くにいる。車に2人で乗ってる…しかも家に送ってもらうなんて…。それにさっき支えられても大丈夫だったな。なんで…ああ、頭が痛い…。
まさか彩世と車に乗るなんて、家まで付き添ってもらうなんて夢にも思っていなかった那月は、夢見心地で彩世を見つめる。
「あのさ、ナツくん…そんな状態で保健室までどうやって来たの?」
「あ、えっと…あ、相野くんに、連れて、来てもらって…」
「ああ、さっきの…だから保健室にいたんだ。え、もしかして支えられながら?」
「あ、は、はい……」
「そう…怖くなかったんだ」
それを聞いて少し俯いた彩世の心情が分からず、那月は首を傾げた。
「せ、んぱい…?」
「あっ…ごめん。何でもないよ、着くまで寝てたら?」
「はい…、すい、ません」
彩世に言われるまま、揺れる車内で那月は窓の方に頭を預け目を閉じた。そのままスーッと眠りに入り、意識を手放す那月。
その様子を見て彩世も窓の方を向き頬杖をつく。やはりどこか落ち着かない…そう思った時だった。
「…!?」
車が揺れた弾みで、那月の頭は窓の方からズレて隣にいる彩世の肩にもたれかかった。那月は寝ているせいでそれに気付かず、揺れに身を任せている状況。
「…っびっくり、した」
彩世の左肩に熱い重みを感じる。那月が起きないようにそっと無理のなさそうな高さを調節した。
「こんなに近くにいるとか…嘘みたいだね」
そこから家に着くまでの間、彩世は那月の寝顔から一度たりとも目が離せなかった。
「そうですか…。なんか、それだけに見えなかったので」
お互いこのピリついた空気は感じ取っているだろう。それを目に表している相野と、出来るだけ顔に出さずにこやかに対応する彩世。
「そうかな?とにかく、あとは大丈夫だよ。早く授業に戻りな?」
「……はい」
不満そうな顔をする相野だが、もう自分にできることはないと察し2人を気にしながら保健室を出た。それを確認した彩世はベッドで息を荒くしている那月に視線を戻す。
「ナツくん、俺が家まで連れてくね」
「…っす、すいません。迷惑、かけちゃって…」
「全然迷惑じゃないよ。どうせもう帰るとこだったし。喉とか痛くない?」
「はい…熱以外は、全く……」
「そっか…」
そのタイミングで保健の先生が戻ってきた。タクシーが到着したらしい。
「よし、じゃあ私は2人の荷物持って行くから、荻川君は篠井君を支えてくれる?」
「え、あ、はい……」
彩世が一瞬戸惑ったのは、支えるということは那月に触れるということ。昼休みの時、また怖がらせてしまったと思っている彩世は近付くことを躊躇しているようだ。
「ナツくん、起きれる?車まで行かなきゃなんだけど…」
「あ…、は、い」
「俺が体支えて大丈夫?無理なら先生に……」
「!!先輩、だいじょうぶ、です…!お願い、します…」
「…分かった。辛かったら言ってね」
彩世が布団をめくると、那月はゆっくり起き上がった。そして何とか靴を履きフラフラと立とうとする那月の背中と腕を大きな手で支える彩世。初めて触れた那月の体、その線の細さと服越しの熱を感じドクッと心臓が跳ねる。
「だ、大丈夫…?さっきよりも顔赤い気がするけど…」
「いや、は、はい、だいじょうぶです…」
「キツかったら、もたれていいからね」
「はい……」
ゆっくり歩き進め、何とかタクシーへ乗り込んだ2人。先生からスポドリなどが入った袋を受け取ってから車は那月の家へと発進した。
一一一彩世先輩が、こんなに近くにいる。車に2人で乗ってる…しかも家に送ってもらうなんて…。それにさっき支えられても大丈夫だったな。なんで…ああ、頭が痛い…。
まさか彩世と車に乗るなんて、家まで付き添ってもらうなんて夢にも思っていなかった那月は、夢見心地で彩世を見つめる。
「あのさ、ナツくん…そんな状態で保健室までどうやって来たの?」
「あ、えっと…あ、相野くんに、連れて、来てもらって…」
「ああ、さっきの…だから保健室にいたんだ。え、もしかして支えられながら?」
「あ、は、はい……」
「そう…怖くなかったんだ」
それを聞いて少し俯いた彩世の心情が分からず、那月は首を傾げた。
「せ、んぱい…?」
「あっ…ごめん。何でもないよ、着くまで寝てたら?」
「はい…、すい、ません」
彩世に言われるまま、揺れる車内で那月は窓の方に頭を預け目を閉じた。そのままスーッと眠りに入り、意識を手放す那月。
その様子を見て彩世も窓の方を向き頬杖をつく。やはりどこか落ち着かない…そう思った時だった。
「…!?」
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「…っびっくり、した」
彩世の左肩に熱い重みを感じる。那月が起きないようにそっと無理のなさそうな高さを調節した。
「こんなに近くにいるとか…嘘みたいだね」
そこから家に着くまでの間、彩世は那月の寝顔から一度たりとも目が離せなかった。
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