壊れて焦がれてそばにいて

ぱんなこった。

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変なの①

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「あの、叶羽くん、頭……」

「あっごめん、頭濡れてたからつい…はい!とりあえず座って」

憂くんは促されるまま、水気が取れて少しボサボサになった髪の毛のままソファへ腰掛けた。その隣へ僕も座り込む。

隣を見ると、丁度こちらを向いた憂くんと目が合った。

「えっと、そういう風になったのはいつからなの?」

「小さい時から、人より何か感じることに鈍感だったみたいなんだけど、完全に分からなくなったのは高校生くらいかな…病院に連れて行かれたのが高2だった気がする」

それって…僕が教室で憂くんを見かけた時期と同じだ。あの時も高校2年生だった。

「何かあったの?その時…辛いことがあったとか」

「いや、分かんない。俺が気付いたらそうなってた。その時何かあったかもしれないけど思い出せない」

「そっか……」

「だから、そんな感じかな。色んな人と遊ぶようになって、あんな風に絡まれるのもよくあるから」

「よくあるの!?え、怖いとかも感じないの?怪我したりとかは?」

「うん、感じない。怪我も今のところないかな」

要するに、憂くんが感情を感じにくいことに突け込む人は多いってことだ。女でも男でも。本人はそれを苦痛には感じないみたいだけど、やっぱり放っておくのは心配なような…。

ああ、ダメだ。知れば知るほど、気になってしまう。

でも、そういえば僕が高校の教室で憂くんを見つけた時は、確かに涙を流していた。それに見入ってしまったことはよく覚えてるから。

それとは関係ないのかな。

「…あのさ、叶羽くん」

「は!はい!なに?」

「叶羽くんと俺って、同級生だけど関わったことないんだよね?」

「あ、うん。クラスも一緒になったことないし…」

「でも、なんか叶羽くんを見てると不思議な感じする。よく分かんないけど」

「不思議な感じ…?」

「違和感っていうか…なんだろう。前に会ったことある感じ」

もしかして、僕と教室ですれ違った時のこと覚えてないのは、単純に忘れてるんじゃなくて、その病気のせいもあるのか?

「憂くん…」

なぜか、この人から目が離せない。あの時は、ただ綺麗で魅力的な憂くんの姿に魅せられただけだけど…今は何か違うものに変わっていってる気がする。

「僕は…高校の時、放課後の教室で憂くんを見たことあるよ。教室で1人でいる時にすれ違った。でも話はしてないから…僕だけが憂くんのことずっと覚えてた」

「え…」

「だから、再会してびっくりしたし…動揺もした。だけどちゃんと憂くんと知り合ったら、その…もっと深く知りたいしほっとけないって思ったし、これからも仲良くしたいっていうか」

「叶羽くん」

「心配なのもあるし、なんでこんなに気になるか分からないけど、とにかく!クラブとか危ない遊びは、その…」

できれば、してほしくないって思うけど。そんな恋人でもない、家族でもない、最近知り合って友達になったような奴が言っていいのか?図々しいんじゃないか?

そう考え始めたら、ぐるぐる目が回る。

「…叶羽くんって変だよね」

「へ!?へん!?」

「うん、変な人」

「へ……変な、人……」

シンプルにショックを受けました。

変な人なのか、僕は。確かに友達のくせにここまで言ってくるって変に見えるのかも。

というか、あれこれ考えてるうちに憂君に変な人認定されてしまった。

「あ、はは…そうだよね。変なこと言ってごめんね。僕シャワー浴びてくるから、憂くんはゆっくりしてて!あ、べ、別に帰っても大丈夫だから…」

白目剥きそうな心境だけど、ふらふらと立ち上がってお風呂場へ向かった。もう普通に接することすらできないかも、しゃしゃり出すぎたかもしれない…。

「うっ…!」

その時、何も着ていない肌に触れた温かい感触。後ろからぎこちなく、腕を掴まれた。

「え、う、憂くん…?」

「そういう遊びしない代わりに、叶羽くんが一緒にいてくれるの?」

「えっ」

「それなら、やめるよ。クラブとかセフレとか」

「い、いる!いるいる!僕いるよ、一緒に!!でもなんで急に…」

「分かんないけど…なんでだろ。叶羽くんといたら、何か感情が分かるかもしれないって急に思った」

僕と一緒にいたら…?

「なんで…?」

「分かんない、君が変な人だからかな」
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