Never Say Hello

結局は俗物( ◠‿◠ )

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Side A 39

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Side A

 心の底から祝福するよ、か。小松先輩の言葉が耳から離れない。鷲宮先輩も急に優しくなって正直戸惑うことばかり。いつか飽きていつもみたいになるんだろうな。嘘でも形式でも付き合ってくれるって言ってたから今はこれを信じるしかない。多分これで冷生と鷲宮先輩も、冷生と小松先輩も喧嘩しないはず。
「どうした?」
 昼休み、屋上直前の踊り場でぼぅっとしてるおれに鷲宮先輩が声を掛ける。
「いえ、何でもないです、すみません」
 おれを殴った手がおれに優しく触れる。
「ピアス、そろそろ変えるか」
 右耳に指が伸びてる。おれを抓った指。
「いえ、おれは、これで、十分です…」
 鷲宮先輩は少し機嫌が悪そうに眉を寄せた。
「オレが変えてぇの」
 だってそれ似合ってねぇし、って鷲宮先輩は言った。おれをはたいた熱い掌が肩に乗って、な?って笑う。これもいつかまた元に戻るのかもしれない。その時おれはきちんとまた戻れるかな。分からないな。
 鷲宮先輩が唇をなぞる。びっくりした。切なそうな目で見られてダメなのにおれは顔を逸らしてしまう。小松先輩と何度もキスした唇。触れるような、軽いやつ。でもおれはそれだけで良かった。待ち合わせとか、そういうのはなくて、飼育小屋で会う度に挨拶みたいに。
 もうおれは鷲宮先輩と付き合うから。どうなるか分からないけど、いつまで続くかも。小松先輩、おれ、きちんとあなたに祝福されるから。
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