異世界神世界~神の実在した世界で俺が手に入れた力は無属性!?~

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1章 異世界転移編

3階級vs4階級 ★

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(は...早ぇ...!!何であの子はあんなに早く走れるんだ?50m走6.7秒の俺より断然早いってあの華奢な体からどこにそんな筋力が..?!)


息一つ荒げない女の子の背中を必死で追いかける宗助は少し衝撃を受けていた。俺の住んでた世界の女子ではありえないくらいの速さで道を進んでいく。でも不思議とそれに少し遅いが付いていけている自分の体力にも少し驚いていた。すると彼女は急に止まりしゃがみこんだ。少し遅れて到着した宗助の目には肩から血を流している男性の姿があった。


「大丈夫ですか?しっかりしてください!」

サクヤの呼び掛けに対して、


「うぅ...。助けてくれ..殺されちまうよ...。」

その男性は痛みと恐怖に駆られているようだった。すると前方から、


「おいおい、お前からしかけてきたというのに何だよその様は。もっと楽しませろよ、雑魚が。」


若い男の声が聞こえてきた。前を振り向くとそこには七三分けの水色の髪をした、宗助と歳も背もあまり変わらないフランス革命前の貴族が着ていたかのような服を身にまとっている男が立っていた。







その男をみた男性は、


「ひぃっ..!!あの男だ!あの男が俺に攻撃を!!」


男性は震えながらその男に指を差した。それに対し、男は声を荒げて、


「3階級の俺に対して指を差すなど、万死に値する行為だ!!身の程を知れ!!」


(あれが3階級..。ずいぶんと偉そうな奴だな。)


宗助が思うや否や、その男は男性に向かって人差し指を出した。するとそこから何処からともなく水が集まってきた。それはどんどん細く鋭くなり、小さなつらら状になった。


「馬鹿には痛みと恐怖でしつけねばな....【アクアショット/水弾】」


男が口にしたと同時に、彼の指先から出た水の銃弾が男性に向かって飛んできた。

「あぶなっ....!!」

宗助がかわそうとした瞬間、


「【フレアショット/火弾】!」


ドシュッッッッッッ


突然逆方向から火の弾が飛び出し飛んでくる水と衝突した。


ジュッッッッッッ


衝突しあった火の弾と水の弾が蒸発して消えた。その原因はすぐにわかった。


「あんた...さすがにやっていいことと、悪いことがあるでしょ!!」


サクヤが怒りの混じった声で男に向かって叫ぶ。さっきの攻撃を消したのはおそらく彼女の魔法だ。宗助は少し安堵した様子で男性のもとに駆けつけた。


「彼を安全な場所に運んで。」


「分かった。それで君はどうするんだ?」


「私が彼の相手をする。」


確かに俺が戦うより彼女の方が戦えそうと判断した宗助は男性の肩を担ぎそこから離れようとした。しかし、


「おい、まだ話の途中だってのに何逃げようとしてんだ?」


貴族の男の声が聞こえ、振り向くとまたつらら状の水が飛んできた。


「やばっ...!」


「【フレアショット/炎弾】!」


宗助は立ち止まり構えようとしたが、サクヤが掌から火の玉を作り出し、飛んでくる水にぶつけた。たちまち水は蒸発し、火の玉も同時に消滅した。


「早く行って!!」


彼女の声が耳に響き、宗助はまた足を動かし始めた。


「お前...何者だ?俺に立てつくなんて俺のことを知らないのか?」


「私は神明騎士団所属のサクヤ。貴方は確か3階級のグレゴリーね!」


サクヤがグレゴリーに神明騎士団のバッジを見せる。


「あぁ、お前が4階級なのに3階級の実力があるとかいって騎士団に入ってる女か。嫌だねぇ、、。4階級が俺と同格の位置にいるとかさぁ、、!」


「なら、少し相手になってあげましょうか?」


彼女の言葉がグレゴリーの怒りを買った。


「4階級風情が粋がるのも大概にしろよ!!!」


グレゴリーの声に呼応するかのように彼の回りに水の槍が出現した。


サクヤもまた回りに炎の槍を作り出し、それぞれ一斉に放った。


「【アクアランス/水槍】!!」     「【フレアランス/炎槍】!!」


ドシュッッッッ  ドシュッッッ  ジュッッッ  ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!


炎と水がぶつかったことで大量の水蒸気が発生し、辺りに一気に広がった。それは負傷した男性を安全そうな場所に置いて戻っている最中の宗助にも分かるほどの範囲であった。


「早く戻らないと!」


宗助は一目散に彼女の元へ走っていった。

              ・

              ・

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              ・

              ・

              ・

              ・

水蒸気が発生した中心ではさらに沢山の水蒸気が発生し続けている。

両者とも互角のように見えたが、手数はサクヤが少し上回っていた。

一つの火の玉がグレゴリーの顔を掠め、彼に鈍い声を出させた。


「ぐっ...。この俺が押されているだと..!!?」


「舐めてると痛い目見るわよ!!」


彼女は攻撃の手を緩めない。少しずつグレゴリーを追い詰めていく。

周りにいた人から見ても、明らかにサクヤの方が有利な状況であった。

しかし、そんな状況にも関わらずグレゴリーは小さな笑みを浮かべた。


「はっ...この状況で有利だと思うなよ!俺の本来の力を見せてやる!!」


そう言うとグレゴリーは腰から一本の細剣を抜いた。それを見た彼女は、驚きと焦りの混じった声を出した。


「あ、あんた、こんな人が多くて狭い場所で神器を使う気なの?!!」


それに対してグレゴリーは、


「別に他の者たちの安否など知ったことか!!そもそもお前が俺にこれを抜かせたことが悪いのだ!!!」


自分勝手な言葉を発する彼は細剣を掲げると、


「さぁ、我が神器よ!!汝の本来の力をこの女に見せつけてやれ!!神器開放!!!」


グレゴリーが言葉を言い終えると彼の持つ細剣の周りに水が集まり始め、水に覆われたその剣は細剣ではなく、ランスといえるほどの剣先になった。それを見た周りの人達は、


「巻き込まれるぞ!!にげろぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」


一斉に逃げ出した。サクヤは周りに誰もいないことを確認すると、


「よし、誰も居なくなったし、こうなったらこちらも杖を使って..!!」


と背中に抱えている杖を取り出そうとした。しかし、彼女はそこでとんでもないことに気付いてしまったのである。


「あ....そう言えば杖...ソウスケに折られたんだったぁぁぁぁ!!!」


その事を完全に忘れていたことに対して自責の念に駆られているところをグレゴリーが現実に戻してきた。


「このグレゴリー様を馬鹿にしたことを後悔するがいい!!女ぁ!!!!」


サクヤが振り向くと細剣にまとった水がどんどん細く、長くなり、彼女目掛けて襲ってきた。咄嗟のことに何とか避けたが完全には避けきれず、肩から血が出た。


「くっ...!!!!」


鈍い痛みが肩に感じる。


「フンっ、俺が神器を使えば、お前との差は雲泥の差よ!」


「このっ...!調子に乗るなっ!【フレアボール/剛炎弾】!!」


サクヤの手から大きな炎の球体が発生する。それはグレゴリーに向かって放たれた。グレゴリーは剣を盾にした。


バンッッッッッッ!!ボシュゥゥゥゥゥゥゥゥ


グレゴリーの剣に当たったと同時に彼女の放った球体は水蒸気となって消えていく。


「くっ...やっぱり駄目..!!」


「ハハハハハ!!神の武器を持たない4階級の攻撃が俺に通じると思ったのか!!さて、そろそろ腕の一本くらいへし折ってやる!!」


また、グレゴリーの細剣にまとった水が鞭のようにサクヤに襲ってくる。明らかにさっきよりも早い攻撃だ。


「まずい...!!これじゃあ避けきれない!」


当たることを覚悟したサクヤは目を閉じた。すると、急に体が引っ張られた。


「わっ..!?」


急なことに変な声を出してサクヤは後ろにこけた。そのおかげでグレゴリーの攻撃を避けることができた。


「てて...一体、誰...?!」


サクヤが振り向くとそこには宗助が一緒にこけていた。


「宗助!!?何でここに!?」


「ごめん、あの男性を安全なとこに運ぶのに時間がかかった。俺も協力するよ。」


「ばか、、別に戻ってきてなんて言ってないのに...。でもさっきのは助かったわ、ありがとう。」


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