死を選んだ花嫁

六軒さくみ

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花嫁衣装の自決(後編)

 宝石の一件は父に言えなかった。
 言えるはずもない。
 彼は後々のことまで考えていただろうか。

 名門侯爵家の嫡男として生まれ、王太子の側近でもある彼ならば、わかるはずだ。
 なら、これは彼女がしたことではないのだろうか。
 もしそうなら、彼女は彼の耳に入る事や、自分が高位貴族に対して取り返しのつかないことをした実感はないいのだろうか。

 彼女を妻にする気なら、彼が道理を教えなければならないのに。
 どうでもいいことのような気もして、もう、手紙を書く気も起らなかった。

 真珠の君と呼ばれた彼女のと彼のうわさは絶えず耳に届き、結婚を控えたこの段階になるとこれ見よがしに、一緒にいることが増えた。
 目に余る行動に、彼に進言した人間もいたが、侯爵家当主となった彼に意見できるものは限られていた。

 王家では対応に苦慮しているのか、日をあけず父に言い訳とも謝罪ともとれない手紙が届いていたが、あるとき、宰相から届いた手紙を見た父が「これでやっと動ける」と笑っていたのを見て、ああ、彼は父からも王家からも切り捨てられるのだと思った。

 結局、誰も私を見てはくれない。
 今はもう、息をするのも考えるのも苦痛でしかない。

 政治的な思惑は私にはわからない。
 父は、彼と辺境伯令嬢とのあからさまな噂を前に、私に「男一人つなぎ留められないのか」という割には、彼には何も言わないところを見ると、何か含みがあるのだと察せられた。

 このままでは、彼は破滅する。
 けれど、私には何も出来ないし、もう彼のために何かをしたいとも思わない。


 結婚式を翌月に控えたある日。
 ドレスの打ち合わせに出向いた私に、会いに来た女性がいた。

 真珠の君だった。

 しばらく夜会で姿を見なかったと妹か言っていたが、なるほどと納得した。
 彼女の腹部は膨れていて、子供がいると一目でわかった。
 落ち着いている自分に少し驚いた。
 もう、どうでもいいので、ショック受ける感情など持ち合わせていない。

 動揺を見せない私にじれたのか、彼女は子供のいる腹を撫でながら、「来月、生まれる予定です」と、勝ち誇る微笑みを見せた。
 彼女はただそれを言うためだけに私に会いに来たのだという。
 別れてくれとも、結婚しないでとも言わなかった。

「おめでとうございます」と、祝いの言葉を呟いたら、彼女の笑みがとても歪んだ。
 自分より下だと思っていた人間に、バカにされたという顔をした。
 ああ、彼女は醜い顔を隠している。

 人間なんて、みんな醜くできていて、それをどのように隠していくのか。
 私はもう、誰を憎むとか、誰を好きとか、そういう感情など持ち得ていない。
 はっきり言って無で、すべてがどうでもいいと思えるのだ。

 彼女は厚かましいほとのお願いをして帰っていった。
 少なくとも私は平民でしかない彼女にバカにされる立場ではない。
 それに、彼と彼女の幸せのために動いてやる義務も義理もない。
 勘違いも甚だしいけど、この人は高位貴族のマナーは一つも知らず、覚える気もないのだ。

 心の中ではっきり言ってやる。

 こんな女を私と比べた彼はどうしようもない屑だ。
 そして、こんな女を選んだ彼は貴族としては浅はかで無能だ。
 侯爵家が傾くのも納得できる。

 王家から嫁いだ彼の母親も結局は愚か者だったのだ。
 王女だったのなら、一番、気を付けなければならない事を教えていなかった。
 彼の父も、見栄ばかりで何一つ打開できる力もなく、その割には潔癖だという。
 その二人から愛された彼はどうしようもないろくでなしだ。

 そのろくでなしが選んだ平民の醜い彼女とならお似合いだ。

 けれど、心が軋む。
 多分、一番、意気地がなくて、自分がなく、父に何も言えず流されたのは私だから。
 だから私はずっと私を消したいのだ。


 その後、私は沈黙を守った。

 彼女が会いに来たことも、されたお願いのことも父には話さなかった。
 彼も一度も手紙もよこさなかったし、会いにも来なかった。
 ただ、顛末は手紙にしたためて、自分が結婚したのちに、父に届くように執事にお願いした。

 父なら、あれを効果的に使うと思う。

 父も彼女が彼の子を妊娠していることを知っていた。
 結婚式の前夜に私を呼んだ父が、はっきりと「あの男との子供は産むな」といった。
 そして、子を流す薬を待たせた。
 この薬が子を流すだけではなく、私の命を縮めることになる事も知っている。
 それでも父は、私にそれを飲めと命じてきた。

 父にとっては私の命は、無に等しいのだ。
 それでいいと思う。

 私には何の価値もない。

 期待された娘だったのに、その期待に応えられなければ、邪魔なだけ。


 結婚式を1週間後に控えた。
 彼からはなんの連絡もない。
 せめて結婚式の前日くらいは、手紙の一つもくれるのではないかと、かすかな望みを持っていたけれど何もなかった。

 望みを打ち砕かれるのは、何度目だろう。
 歩み寄れることなんかもうないのに。

 父はあれ以降、彼のことに言及しない。
 この沈黙こそが一番怖いことを私は理解しているけれど、彼は恐らくは理解していない。
 だから、私にも手紙をよこさず、父にすら申し開きしない。

 父の耳に届くことは想定内だろうに、彼は何も行動を起こしてこない。
 それほど彼女にのめりこんでいねのか、我が家を軽く見ているのか。
 私からそれを彼に伝える義理もない。
 伝えたら何か変わるのだろうかと考えたこともあるけれど、今までのことを思えば、行動に起こしたところで、何も変わらないと思う。

 何か変わるとしても、私を縛り付けるのが、父になるか彼になるかの違いであって、自由なんかない。
 なにより、私は、何をしたいという希望もない。

 私はもう、息をするのもつらい。

 彼に対しての怒りより、悲しみがまさる。
 なにより、自分が一番、気の毒すぎて。

 ごめんね、こんな私でと自分に何度誤っただろう。


 彼は今日も彼女のもとにいると聞かされた。
 彼の邸には父が送り込んだ人間がいて、父はその人間を通じて侯爵家の動向を探っている。
 多分、その人間も父からは何もするなと言われているのだと思う。
 相手を知るのは商売の基本だと父が私に言い聞かせたことがある。

 彼女は、先月、男の子を生んだと聞いた。

 女の子であればよかったのに、男の子なら、彼はなんとしても、彼女との子供を自分の後継者にと願うはずだ。

 今のままでは、彼は彼女と結婚も出来なければ、生まれた子供も庶子で爵位は継げない
 私と彼が婚姻後に離縁しても、彼女は平民なので、侯爵家の正夫人にはなれず、高位貴族の夜会にも参加できない。
 彼女の厚かましいお願いには返答もしていない。
 あれを堂々と頼んできた、彼女の無恥さに感心したほどたった。

 もし彼女が彼にとっての最愛ならば、私は彼に好かれることはない。と、意地悪なことを考えた。
 そんな自分に嫌気がさす。


 結婚式を1週間後に控えたあたりから、妹たちは噂を聞いていて、いつも怒ったり泣いたりしている。
 時には、いまだに彼女の父親がわざとらしく嫌がらせをしたり、彼女の友達とやらが嫌味を言ってくるそうだ。
 ただし、どちらかといえば、彼と彼女の否定的な人間の方が多いのではないかと思う。


 婚約相手がいるにもかかわらず、しかも多額の金銭を借りておきながら、ぞんざいに扱い、平民の女性を社交の場でも連れて歩き、その上、子供まで儲け、事実上の夫婦として生活しているのだ、噂にならない方がおかしい。

 最近は、夜会に出てきていないそうだが、招待をされていないのだろうと思う。
 近頃では王太子も自分の側近から彼を外して、王城警護に回しているとも聞いた。
 彼らは高位貴族の社会から、無言で切り捨てられたのだ。
 彼は薄々は気が付いているかもしれないが、王太子とはいとこの関係があるから、そのうち、何とかなると思っているのかもしれない。


 大人になって気が付いたのは、彼は浅慮な部分がある。
 仕方のない人。
 子供が生まれても、祝いを述べに邸に行った貴族はいないと聞く。
 浮かれた彼女の両親が言いふらしたことも、貴族社会から切り捨てられる理由の一つだ。
 祝いのないことに何も感じないのだろうか。

 彼の両親はさすがに生まれた子供には逢っていないと聞いた。
 彼女が本邸に滞在することも認めていないとも。
 今更、そのような態度をとったとしても、侯爵家の斜陽は止められない。

 妹は彼女が子供を産んだことにも憤っていた。
 こちらに報告がない事にも。
 報告がないのは後ろめたいからよ、となだめたら、社交界で出ている噂を話してくれた。
「姉さまと白い結婚をして、生まれた子供を養子にさせて嫡子として跡取りにさせる。財産も手に入る」と、あの女の父親が言っていたと。


 なんと浅知恵を披露する父親なのだろう。
 彼女の父親は。
 我が父がそれを許すと本気で思っているのだうか。

 妹は「いつかかならず見返してやる」と息巻いていて、妹ほどの気概が私にあれば何か違ったのではないかと思う事もある。

 結婚式の2日前に、王家から私に祝いが届けられた。
 同じものを侯爵家にも届けたのだろうか。
 嫌味なことをなさるものだと思う。
 恐らく、侯爵家に対するけん制の意味もある。

 翌日、彼の両親から手紙が届いた。

 手紙など受け取ったのは初めてだった。
 何度かお会いしたけれど、いつも蔑んだ目で私を見ていたので、はっきりいって苦手だ。
 特に彼の母親は、ならず者の娘と私を呼んでいた。
 茶会への同席すら断られたくらいだ。

 父はその行動に、「だからあの女は、王室の手ごまになれずに斜陽な侯爵家に嫁がされたのに」と笑っていた。
 特質すべきは美しさだけで、頭の中身のない王女。
 国同士の政略結婚も駒にもなず、権勢を誇る公爵家にも嫁に出せない厄介者だと嘲笑った。

 彼の母からの手紙に私の名前が書いてあった。
 私の名前を知っていたことに驚いた。
 てっきりならず者の娘へと書いてきても驚かないところだ。

 特質すべきことは何一つ書いてなかった。
 この手紙も、王家からの祝いの品を受け取ったからだと思う。
 彼からではないのは、彼は彼女と別の邸に居て、まだ祝いの品がとどいたことを知らないのだう。
 ただ、息子の不義をひたすらに詫び、過去から今までの私に対する態度を幾度も謝罪し、
 明日の結婚式をつつがなく送れるようにとの懇願だった。


 この状況でも「嫁に来てほしい」という厚かましさを軽蔑してもいいだろうか。
 それよりこのような手紙をよこすほど、侯爵家は落ちぶれたことに、同情すべきだろうか。
 特に彼の母は、婚姻前は王国の花と呼ばれ、気位も高く、当代一の若く美しいと言われた侯爵に嫁いだのに、嫁いだ先の侯爵家が、落ちぶれていく様を見ているのだから。


 手紙の返事を出すことは出来なかった。

 父に手紙を見せるように言われ、私はその手紙を渡したからだ。
 意気地がないと蔑んでくれてもかまわない。
 私の心に彼と彼女に対する不満や憤りがあったのも事実だ。
 だから、私は彼らに復讐しようと決めているのだ。

 昔、父が興味本位で連れてきた魔女が、私を見て「あなたは長く生きることが出来ない」と言った。
 それを聞いた父は笑いながら、「どうせ死ぬなら、私に都合よく死んでほしいものだ」といった。
 あれは本心だと思う。

 私は死に方を間違えてはいけない。

 考え事が多すぎて、近頃では思考の整理が出来ない。



 翌日。

 空は嫌味なほど晴れ渡っていた。


 教会の控室でドレスの最終チェックをした。
 鏡に映る私は、とても美しかった。
 父が贅を凝らし、資金をつぎ込んだドレスは王家でも用意できるかというほどに美しかった。
 繊細なレース、光り輝く縫い込まれて宝石。
 どれもこれも、値が張るものばかりだが、父はこのドレスに殆ど資金を投入していない。

 ドレスは生地から宝石に至るので、すべて「祝い」として上納されたものなのだ。
 父の手広さがそのまま閉じ込められたドレスなのだ。

 彼女はこのドレスの価値はわからなくても、とても高価なものだという事は理解できたようで、このドレスを譲ってほしいと言ってきた。
 値打ちのドレスを「買い取る」ではなく、「譲り受ける」と書いてくるあたりに傲慢さがみえる。

 彼は彼女の言うままに色々なものを買い与えているのだと思う。
 それではいつまでたっても、伯爵家からの借財は返せなくて当然だ。

 数年前までは、侯爵家から多額の請求書が届いていた。

 父はそれらを私に見せながら、無能な人間が爵位を継ぎ家を傾ける様をよく見ておけといった。
 プライドだけは高く見栄を張る貴族の末路だと。
 彼の両親は伯爵家から借財しても、なお、倹約することもなく、邸の維持費、人件費、夜会に茶会、ドレス代と惜しげも無く使い、そのたびに伯爵家に請求してきた。

 自分たちは何の我慢もすることはなく、倹約することもなかった。
 婚約をしてやるのだから、金を出して当然だという傲慢さで。
 そのくせ、私のことをならず者の薄汚い娘と罵ったのだ。

 父はそれらの請求書をすべて突っぱねた。
 侯爵邸を維持する人件費は支払ったが、使用人を半分に減らすように申し渡した。
 あきらかに領地経営を失敗しているので、王家から管財人を送り込み、必要経費は事前申請になった。
 侯爵は屈辱だと伯爵邸に乗り込んできたが、今までの請求書の束を見て、真っ青なった。

 結局、彼の母が降嫁の際に持ってきた宝石や、持参金としてつけられた王都の別邸など殆どの物を売り払い、ある程度の借財にあてた。
 そのうえで、爵位を息子に譲り、自分は領地に戻ることになった。

 表向きは病気がちになったためとなっているが、王家からの管財人が侯爵家の領地建て直しのため派遣され、侯爵はその補助をするためだった。
 補助で働くうちは、ある程度の給金もでる。
 領地にいけば夜会に出る費用もかからない。


 けれど、恐らく。
 その事情を彼の両親は話していないのだと思う。

 愚かだ。


 式の始まる時間がきた。
 これから始まるのは見世物だ。
 沢山の貴族の好奇な目にさらされ、いいように噂される。
 眩暈がするほどつらい。

 父は見物人を多くすることで、侯爵家の没落を印象づけるつもりだ。
 なにより、私になんの痂疲もないのに、結婚式を強行し捨てられた花嫁だと皆に知らしめるつもりだ。
 私が悲劇のヒロインでなければ、父の後々の計画は成立しない。

 私の救いはもう死しかない。
 彼はやはり一度も私を見なかった。

 参列者の目が私に降り注いでいて、怖い。
 この人たちに、私たちはどう映るのだろうか。
 侯爵家側の参列者は、針の筵とばかりな顔をして、俯いてているだけだ。

 彼は私の手を取るときに「なぜ君なんだ」っと怒ったようにつぶやいた。
 それをあなたが言うの。
 手を取るときも汚れ物のように爪の先にだけ触れた。
 教主が彼を咎めたてる表情をしたが、彼はそれにも悪態をつくようにため息を吐いた。

 この人は救いようもない愚か者。
 父に逆らえず、自分がない私には似合いの人だったかもしれない。
 恐らく、この人は初夜に私のところに来ないと思う。


 だから、私。
 最期は自分の意志を貫くつもりなの。

 誰かの言いなりに生きていくのはもう無理。
 だけど、一人で生きていけるほど、私は逞しくない。


 だから、さよならよ。


 初夜に彼が訪れてくれたなら、私はもう少しだけ踏みとどまって、生きてみようとも考えた。
 妻として抱いてくれなくてもいいから、せめてこの屋敷にいる間はほんの少しの思いやりが欲しいから。

 でも、彼は来なかった。
 初夜ですら見向きもされなかった。
 彼は、彼女のもとへと出向いて行った。
 窓から見える彼の背中がとても空しかったが、涙は出なかった。

 案内された部屋はとても殺風景で簡素な部屋だった。
 恐らくは客間でもなく、正妻が与えられる部屋でもない。
 父が買いそろえ納めた高級な調度品は見当たらないので、売り払ったか、彼女が使用しているのだと思う。

 この部屋に私を案内したメイドのにんやりとした意地悪で歪んだ顔が全てを物語っていた。
 邸の使用人たちの嘲りと冷笑が身をさすほどだけれど、もう、何も感じない。
 この邸の人間たちは自分たちの御給金がどこから出ているか理解していないのだろう。
 なにより、私の口からこの粗末な扱いが父に伝わるという事を想像できないのか。
 侯爵家は全体がマヒ状態に陥っている感じだった。

 そういえば、彼の両親は結婚式に参列した後、逃げるようにして教会を去っていった。
 父の顔をまともに見ることも出来ない状態で、息子の起こした不始末を恥じている様子だ。
 王家から参列したのは宰相だったけれど、その宰相とすらもまともに会話することがなかった。

 彼の親類一同も、直接的な会話を避けていた様子で、名門侯爵家も長くはないと印象付けた。
 実際、長くはもたないと思う。

 父が手をひけば、侯爵家は数年も持たずに没落することは容易に想像できる。
 少なくとも私は、彼が話をしてくれたなら、協力する気ではいた。
 13年も婚約者だったのだから。
 彼の口から、彼女と結婚したい、私とは婚約破棄をしたいと言われたら、考えたと思う。


 手にしていたのは、即効性の毒。

 即効性で苦しまないまま、眠るように綺麗なまま死ねると言われた。
 父に持たされたものだ。
 何かあった時に「彼を殺せ」と言われて。
 父もそれを自分の娘が使うとは思っていないだろう。

 だけど、これは最初で最期の私の彼に対する復讐だ。
 一度も私を見る事すらせず、気にも留めず話も聞いてくれなかった。
 初夜にすら別の女のところに出向き、私を空気のように扱った。



 死ぬことに対する恐怖心はない。
 彼を思いやる気持ちも、私はとうに忘れてしまった。



 父は私の死を最大限利用する。
 初夜の花嫁を放置して、別の女のところに出向いた男をこれ見よがしに断罪して、侯爵家を追い落とすに違いない。
 父が求めたのは、私の腹から生まれる侯爵家の子供であって、彼女の腹から生まれた子供ではない。


 彼も不名誉を受けることになる。
 だけど、自分が死んだあとの事なんて、考えるだけ無駄。
 せめて、結婚式くらいは顧みてほしかった。

 初夜くらいは彼女のもとではなく、私のところに来てほしかった。
 すべてからの解放を願って、手にしていた毒を私は飲み干した。





 あの魔女の予言は当たっていたわ、お父様。

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