モーニングルーティン

ヤマ

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自由課題

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 とある町のカルチャーセンター。

 美術教室、手芸教室、俳句教室――よくある講座の中に、一つ、異彩を放つ団体があった。



 名前は、「批評家クラブ」。



 会員は、老若男女、様々。
 学生、主婦、サラリーマン、隠居した老人――

 毎週日曜の午後、カルチャーセンターの一室を借り、創作作品の批評会が開かれていた。

 俳句、絵画、写真、陶器――

 カルチャーセンターの他教室で誰かが何かを作れば、必ずクラブの誰かが「感想」という名の矢を放った。



「作りが甘い」
「モチーフが凡庸で、面白くない」
「不快なので、作り直してほしい」
「テーマが陳腐。我々を舐めているのでは?」



 会員たちは椅子から身を乗り出し、真剣な顔で腕を組み、唸り、採点する。

 の結果は印刷され、該当の教室の講師に匿名で提出、あるいは直接、教室の開講時間を調べ、机に置いておく。

 中には、教室を辞める者もいた。
 閉鎖する講座もあった。

 だが、クラブの会員たちは言った。



「受け止めきれない方が、未熟なのでは?」



 作品の作者が傷付こうが、顔を曇らせようが、お構いなしだった。



 批評とは、芸術である。
 作品とは、素材に過ぎない。

 



 彼らは、そう信じて疑わなかった。



 *



 ある日、カルチャーセンター全体で、創作作品展の開催が決まった。

 テーマは「自由」。

 何を作るかは、各自に委ねられた。

 ただ一つの条件は、「」であること。



 *



 展示当日。

 会場は、多くの来場者で賑わっている。

 フロアに並べられた、生徒たちによる創作物たち。

 その一画に、ある一人の作品として、いくつかの「空白」が置かれていた。



 純白のキャンバス。
 筆も入っていない原稿用紙。
 未現像のフィルム。



 説明文には、こう記されていた。



 タイトル:未完成
 作者:批評家クラブ会長
 制作期間:



 来場者たちは、首を傾げた。

 だが、批評家クラブの会員たちは、神妙な面持ちで、そのをじっと見つめていた。







 ――それが、彼らの「最も正直な作品」だったから。
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