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第五十一話
「さぁ、遠慮せずに入って」
「お邪魔しまーす」
箒を片付けた後、俺は二人を唯香の待つ居間へと招き入れた。
居間の中では、すでにくつろぎ切っていた唯香が突然の来客に驚いて固まってしまっていた。
「あ……、初めまして」
いち早く唯香の存在に気が付いた杏里ちゃんの挨拶で、唯香もやっと我に返った。
慌てて起き上る姿は、なんだかちょっと面白い。
「ほら、唯香。ちょっと話があるから座ってくれ」
笑ってしまいそうな顔を押さえて、押し入れを開けて中を探って目当ての物を見つけ出した。
しまいこんであった座布団を人数分用意すると、いち早く適当な位置に座る。
そんな俺に続くように、両隣には美海ちゃんと杏里ちゃんが座った。
そうして、自然と俺たちは唯香と向き合う形になった。
俺や美海ちゃん、杏里ちゃんはなんの話をするか分かっているから落ち着いているけど、何も分からない唯香は落ち着かない様子だ。
そりゃあ、突然知らない女の子二人と会わされて、大事な話があるなんて言われてもそうなってしまうだろう。
「それで、話ってなんなの?」
遂に我慢の限界が来たのか、まだ居心地の悪そうな唯香が俺にすがるような視線を向けてくる。
俺の心の準備がまだだったけど、このまま放置しても仕方ない。
深呼吸をして覚悟を決めると、俺は唯香に向かって思いっきり土下座をした。
「唯香、すまんっ!!」
「えっ!? 突然なにっ!?」
大きな声で謝る俺に合わせて、両隣の美海ちゃんと杏里ちゃんも勢い良く頭を下げる。
状況が理解できない唯香だけが、どうして良いか分からずにアタフタとしている。
「とりあえず、頭を上げてよ。それから、ちゃんと分かるように説明して」
言う通りに頭を上げると、真剣な目で唯香を見つめる。
一瞬身を強張らせて頬を染めた唯香だったけど、すぐにその目も真剣なものに変わった。
隣からは、二人の心配そうな視線が向けられているのが分かる。
大丈夫、安心して。
そう伝えるように二人の手をそっと握ると、安心したのかその手からは少しだけ力が抜けていく。
そうして、お返しと言うように俺の手をギュッと握り返してきた。
よし、言うぞっ。
もう一度気合を入れ直して、俺はすっかり乾いてしまった口を開いた。
「唯香。俺はこの前、いつか必ず本当のことを話すって言ったよな」
「うん」
「だから、ちゃんと言うよ。俺は、この二人と付き合っている」
「は……?」
意味が分からなかったのか、唯香はポカンとした表情で固まっている。
「ちょっと、アニキ。冗談にしても質が悪いよ」
「冗談じゃない。本当のことなんだ」
そう言って俺は今まで俺たちの間に起こったことを、包み隠さずに唯香に伝え始めた。
この話が終わった時、俺たちの関係が変わってしまう確信を抱きながら。
それでも、これは伝えなければいけないんだ……。
「お邪魔しまーす」
箒を片付けた後、俺は二人を唯香の待つ居間へと招き入れた。
居間の中では、すでにくつろぎ切っていた唯香が突然の来客に驚いて固まってしまっていた。
「あ……、初めまして」
いち早く唯香の存在に気が付いた杏里ちゃんの挨拶で、唯香もやっと我に返った。
慌てて起き上る姿は、なんだかちょっと面白い。
「ほら、唯香。ちょっと話があるから座ってくれ」
笑ってしまいそうな顔を押さえて、押し入れを開けて中を探って目当ての物を見つけ出した。
しまいこんであった座布団を人数分用意すると、いち早く適当な位置に座る。
そんな俺に続くように、両隣には美海ちゃんと杏里ちゃんが座った。
そうして、自然と俺たちは唯香と向き合う形になった。
俺や美海ちゃん、杏里ちゃんはなんの話をするか分かっているから落ち着いているけど、何も分からない唯香は落ち着かない様子だ。
そりゃあ、突然知らない女の子二人と会わされて、大事な話があるなんて言われてもそうなってしまうだろう。
「それで、話ってなんなの?」
遂に我慢の限界が来たのか、まだ居心地の悪そうな唯香が俺にすがるような視線を向けてくる。
俺の心の準備がまだだったけど、このまま放置しても仕方ない。
深呼吸をして覚悟を決めると、俺は唯香に向かって思いっきり土下座をした。
「唯香、すまんっ!!」
「えっ!? 突然なにっ!?」
大きな声で謝る俺に合わせて、両隣の美海ちゃんと杏里ちゃんも勢い良く頭を下げる。
状況が理解できない唯香だけが、どうして良いか分からずにアタフタとしている。
「とりあえず、頭を上げてよ。それから、ちゃんと分かるように説明して」
言う通りに頭を上げると、真剣な目で唯香を見つめる。
一瞬身を強張らせて頬を染めた唯香だったけど、すぐにその目も真剣なものに変わった。
隣からは、二人の心配そうな視線が向けられているのが分かる。
大丈夫、安心して。
そう伝えるように二人の手をそっと握ると、安心したのかその手からは少しだけ力が抜けていく。
そうして、お返しと言うように俺の手をギュッと握り返してきた。
よし、言うぞっ。
もう一度気合を入れ直して、俺はすっかり乾いてしまった口を開いた。
「唯香。俺はこの前、いつか必ず本当のことを話すって言ったよな」
「うん」
「だから、ちゃんと言うよ。俺は、この二人と付き合っている」
「は……?」
意味が分からなかったのか、唯香はポカンとした表情で固まっている。
「ちょっと、アニキ。冗談にしても質が悪いよ」
「冗談じゃない。本当のことなんだ」
そう言って俺は今まで俺たちの間に起こったことを、包み隠さずに唯香に伝え始めた。
この話が終わった時、俺たちの関係が変わってしまう確信を抱きながら。
それでも、これは伝えなければいけないんだ……。
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