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第25話
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「私、実はもう諦めようと思ってたんです。どれだけ頑張っても仕事は増えないし、借金だって膨らんでいく一方で。だからもしアキラさんが居てくれなかったら、本当にどうなっていたか分からないです」
「そんなこと……」
「でも、アキラさんが助けてくれた。私のことをたくさん心配してくれて、私を借金取りから守ってくれました。それが嬉しくって、また頑張ろうって思えたんです。そしたら今まで全然増えなかった仕事が増えて、それにノエラさんとも出会えました」
嬉しそうに微笑んでいるリーリアを見ていると、俺の胸にも新たな決意の火が灯る。
「まだまだ、こんなもんじゃないよ。これからもっと仕事を増やして、それで借金なんてすぐに返しちゃおう」
「はい! もちろんです!」
元気いっぱい返事をするリーリアと一緒に笑いあうと、俺はさっき考えていたことを彼女に話すことにした。
「なぁ、リーリア。ちょっとした提案があるんだけど」
「なんですか?」
話を切り出した俺に首を傾げるリーリアを見つめて、俺はゆっくりと口を開く。
「実は、ノエラが言っていたように新商品を作ってみようと思うんだ。今回は剣の売り込みがうまくいったけど、それだけじゃだめだと思うから」
武器なんてそんなに頻繁に買い替えるような物じゃないし、それに品質の良い武器はそれだけ長持ちする。
そうなると、いつかは売れ行きが悪くなってしまう可能性が高いだろう。
俺の言いたいことが伝わったのは、リーリアも少し表情を暗くしながら頷いている。
「だから、武器と並行して他にもなにか売れる商品が必要だと思うんだ。それもできれば、武器とは違って消耗品にしたい」
「でも、何を作るんですか? 私たちだけじゃ、鍛冶で作れるものしかできませんよ」
考え込むように首を捻るリーリアを安心させるように、俺は胸を叩きながら答える。
「大丈夫。俺は鍛冶以外にもいろいろできるから。その気になれば、なんだって作れるよ」
むしろせっかく貰ったチートなんだから、有効に使わなければ損だろう。
そんなつもりで軽く答えたはずなのに、リーリアは目を丸くして俺を見つめていた。
「あれ? なにか問題でもあった?」
もしかして、なにか言ってはいけないことを言ってしまっただろうか?
そんな風に不安を感じていると、やがてリーリアは興奮した様子で俺の手を握った。
「アキラさんって、鍛冶師じゃなかったんですか!?」
「いや、今はたぶん鍛冶師だよ」
今のところ鍛冶のスキルしか使っていないし、他の職業を名乗るのはなんだか違う気がする。
曖昧に答えていると、リーリアはさらに身を乗り出して興奮する。
「だったら、どうして鍛冶以外の物も作れるんですか? 普通そういう物って、専門のスキルがないと作れないはずなんですけど」
「あぁ、そういうことね。実は俺、生産用のスキルはほとんど習得してるんだよ」
あっさり答えると、リーリアは声も出せないほど驚いている。
「もしかして、それって普通のことじゃないの?」
「普通なわけないじゃないですか! 普通は生産職は専用のスキル以外が覚える必要なんてないんですから。いったい、なんでアキラさんはそんなにいろいろなスキルを覚えようと思ったんですか?」
「いや、そんなことを言われても……」
別に覚えようと思ったわけではないし、スキルは全て神様に貰ったものだ。
とは言えそれを正直に教えるわけにもいかず、俺は曖昧に笑いながら誤魔化すしかなかった。
「まぁ、そんなことはどうでも良いじゃないか。それよりも大事なのは、武器以外の物も商品として売ってもいいのかってことだよ」
「え? どういうことでしょうか?」
「えっと……。ここは工房で、武器を作って売る場所だろう。それなのに、俺が勝手に別のジャンルの商品を売っても良いのかなって。そう言うのってやっぱり、鍛冶師のプライドっが許さないんじゃ……」
言い終わる前に、俺の言いたいことを理解したリーリアは笑いながら首を振った。
「そんなの、良いに決まってるじゃないですか。確かにここは武器を作る工房ですけど、だから武器以外の商品は置かないなんて言ってられる状況じゃないんですから。売れる可能性が少しでもあるのなら、プライドなんて気にせずチャレンジするべきです」
当然のことのようにそう言われて、俺は妙に納得してしまう。
「確かにそうだね。じゃあ、俺も遠慮せず他の商品を考えてみるよ」
「はい! よろしくお願いしますね!」
ニッコリ笑顔のリーリアに気合を入れられて、俺のやる気にも熱い火が灯った。
「とは言え、まずはノエラさんに頼まれた剣を作ってしまいましょう。新商品は、それが終わってから一緒に考えましょう」
「ああ、そうだな。目先の仕事もちゃんとできないのに新商品を考えたって無駄だからな。よし、じゃあ休憩は終了だ」
釘を刺されてしまった俺は、グッと伸びをしながら再び炉の前へと歩いていく。
そうして炉に火を入れながら、俺はすっかり愛用になったハンマーを握った。
さて、もうひと頑張りするか!
気合を入れ直した俺は、今度こそハンマーを振る腕に集中していくのだった。
「そんなこと……」
「でも、アキラさんが助けてくれた。私のことをたくさん心配してくれて、私を借金取りから守ってくれました。それが嬉しくって、また頑張ろうって思えたんです。そしたら今まで全然増えなかった仕事が増えて、それにノエラさんとも出会えました」
嬉しそうに微笑んでいるリーリアを見ていると、俺の胸にも新たな決意の火が灯る。
「まだまだ、こんなもんじゃないよ。これからもっと仕事を増やして、それで借金なんてすぐに返しちゃおう」
「はい! もちろんです!」
元気いっぱい返事をするリーリアと一緒に笑いあうと、俺はさっき考えていたことを彼女に話すことにした。
「なぁ、リーリア。ちょっとした提案があるんだけど」
「なんですか?」
話を切り出した俺に首を傾げるリーリアを見つめて、俺はゆっくりと口を開く。
「実は、ノエラが言っていたように新商品を作ってみようと思うんだ。今回は剣の売り込みがうまくいったけど、それだけじゃだめだと思うから」
武器なんてそんなに頻繁に買い替えるような物じゃないし、それに品質の良い武器はそれだけ長持ちする。
そうなると、いつかは売れ行きが悪くなってしまう可能性が高いだろう。
俺の言いたいことが伝わったのは、リーリアも少し表情を暗くしながら頷いている。
「だから、武器と並行して他にもなにか売れる商品が必要だと思うんだ。それもできれば、武器とは違って消耗品にしたい」
「でも、何を作るんですか? 私たちだけじゃ、鍛冶で作れるものしかできませんよ」
考え込むように首を捻るリーリアを安心させるように、俺は胸を叩きながら答える。
「大丈夫。俺は鍛冶以外にもいろいろできるから。その気になれば、なんだって作れるよ」
むしろせっかく貰ったチートなんだから、有効に使わなければ損だろう。
そんなつもりで軽く答えたはずなのに、リーリアは目を丸くして俺を見つめていた。
「あれ? なにか問題でもあった?」
もしかして、なにか言ってはいけないことを言ってしまっただろうか?
そんな風に不安を感じていると、やがてリーリアは興奮した様子で俺の手を握った。
「アキラさんって、鍛冶師じゃなかったんですか!?」
「いや、今はたぶん鍛冶師だよ」
今のところ鍛冶のスキルしか使っていないし、他の職業を名乗るのはなんだか違う気がする。
曖昧に答えていると、リーリアはさらに身を乗り出して興奮する。
「だったら、どうして鍛冶以外の物も作れるんですか? 普通そういう物って、専門のスキルがないと作れないはずなんですけど」
「あぁ、そういうことね。実は俺、生産用のスキルはほとんど習得してるんだよ」
あっさり答えると、リーリアは声も出せないほど驚いている。
「もしかして、それって普通のことじゃないの?」
「普通なわけないじゃないですか! 普通は生産職は専用のスキル以外が覚える必要なんてないんですから。いったい、なんでアキラさんはそんなにいろいろなスキルを覚えようと思ったんですか?」
「いや、そんなことを言われても……」
別に覚えようと思ったわけではないし、スキルは全て神様に貰ったものだ。
とは言えそれを正直に教えるわけにもいかず、俺は曖昧に笑いながら誤魔化すしかなかった。
「まぁ、そんなことはどうでも良いじゃないか。それよりも大事なのは、武器以外の物も商品として売ってもいいのかってことだよ」
「え? どういうことでしょうか?」
「えっと……。ここは工房で、武器を作って売る場所だろう。それなのに、俺が勝手に別のジャンルの商品を売っても良いのかなって。そう言うのってやっぱり、鍛冶師のプライドっが許さないんじゃ……」
言い終わる前に、俺の言いたいことを理解したリーリアは笑いながら首を振った。
「そんなの、良いに決まってるじゃないですか。確かにここは武器を作る工房ですけど、だから武器以外の商品は置かないなんて言ってられる状況じゃないんですから。売れる可能性が少しでもあるのなら、プライドなんて気にせずチャレンジするべきです」
当然のことのようにそう言われて、俺は妙に納得してしまう。
「確かにそうだね。じゃあ、俺も遠慮せず他の商品を考えてみるよ」
「はい! よろしくお願いしますね!」
ニッコリ笑顔のリーリアに気合を入れられて、俺のやる気にも熱い火が灯った。
「とは言え、まずはノエラさんに頼まれた剣を作ってしまいましょう。新商品は、それが終わってから一緒に考えましょう」
「ああ、そうだな。目先の仕事もちゃんとできないのに新商品を考えたって無駄だからな。よし、じゃあ休憩は終了だ」
釘を刺されてしまった俺は、グッと伸びをしながら再び炉の前へと歩いていく。
そうして炉に火を入れながら、俺はすっかり愛用になったハンマーを握った。
さて、もうひと頑張りするか!
気合を入れ直した俺は、今度こそハンマーを振る腕に集中していくのだった。
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