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少女入学編10
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先生の研究室があった教員棟を後にしてやってきたのは、私たち学生たちが生活をする寮だ。
男子寮と女子寮は魔法学校の敷地における東と西の両端に配置されており、女子寮は西側に建てられている。そしてその真ん中に授業や研究が行われる本棟が配置されているようだ。
女子寮へとたどり着くと、そこでは多くの生徒たちで行きかっており、その中に溶け込むかのようにして私たちは女子寮へと入っていった。
中は木造であり、どこか心安らぐような印象を受けた。個人的には石造りよりも木造の方が好みなのかもしれない。
そうしてここに来てからようやく心を落ち着けることに安心していると、アーモンド先生が立ち止った。
「さぁ着きましたよ、ここが今日からカイアさんが住むお部屋です」
立派な扉と金色に輝くドアノブ、ドアノブが多少くすんではいるがそれでも素敵な扉を前に、今すぐにでもこの扉を開けて部屋の中を見てみたくなった。
そうして内心ウズウズしながら先生の顔を見ると、彼女はまるで私の思考を読んでいたかのようであり「どうぞ」と言って頷いていた。
「中を見てもいいですか?」
「もちろんですよ」
これから長い間お世話になるであろう扉に手を掛けようとしたその時、その扉はまるで私の手から離れていくかのように遠のいていった。
「わわっ」
もちろん扉が逃げたなんてことはなく、実際には扉が開いたのだ。
もしやすでに先客でもいたのだろうか、そう思いながら、崩した体制を整えて扉を開けた人を確認しようとすると、そこには可愛い黒の制服を身を纏った女の子の姿があった。
彼女は鉢合わせた私に対しひきつった顔をしていた。まぁ、扉を開けていきなり人がいると誰だってこんな顔をするだろうとは思うけど、それにしては随分とひっ迫した様子の彼女は少し息を荒くさせていた。
ハァハァと高ぶる呼吸、その様子があまりに奇妙で思わず心配で駆け寄ろうとすると、彼女はまるで猛獣にでも出くわしたかのようにジリジリと私から距離をとった。
「あ、あの大丈夫ですか?」
相変わらず息の荒い制服を着た女の子は、どういう訳か大きなトランクケースを両手で持っており、とても重たそうにしていた。
トランクケースからはところどころ服らしき布がはみ出しており、まるで唐突に家出を決意したかのように思えた。
その様子を不思議がっていると、今度は制服の女の子がジリジリと歩み寄ってきた。彼女の表情はさっきまでの驚いた様子とはかけ離れた怒りを感じさせる恐ろしい表情をしていた。
「ど、どきなさいっ」
「え?」
「どきなさいと言っているのよ化け物っ」
唐突に投げつけられた言葉の暴力にあっけにとられていると、彼女は両手に抱えていたトランクケースを私に向かって振りぬこうとしてきた。
「ちょ、ちょっとまって」
そのあまりに唐突な行動に思わず腰が抜け、その場でしりもちをつくと、ちょうど頭の上を大きなトランクケースが横切っていった。
「ひ、ひぃっ」
情けない声を上げ、今更ながら頭を抱えていると制服を着た女の子は「ふんっ」と吐き捨てるかのような鼻息を残して、どこかへと走り去っていってしまった。
まるで暴漢、いきなりこんなことをしてくるなんて魔法学校という所は末恐ろしい所だ。でも、もしかするとこんな事までしてくるってことはこっち側に至らぬ点があったのかもしれない。
思えば鹿乃湖おばさんといた時もこういう事が何度かあった、私のせいで何か彼女を怒らせてしまったのかもしれない。
唐突な出来事と過去の出来事を照らし合わせながら、抜けた腰と何とか元に戻そうと必死に立ち上がろうとしていると、隣にいたアーモンド先生が私に手を差し伸べてきてくれた。
「だ、大丈夫ですかカイアさん」
「あ、はい」
「びっくりしましたねぇ」
あまりにのんきなセリフだったが、そう言うしかない状況に違いはない。
「なんだったんでしょう」
「でも、確かあの子はカイアさんと同室になるはずだった生徒だったはずだったんですけど・・・・・・」
先生は不穏なことを言った。それは私の心を締め付けるかのようなそんな言葉だった。
「そうなんですか?」
「えぇ、基本的に二人一組の同室ですから彼女はカイアさんの同居人で、それなのにトランクケースをもって走り去っていっちゃいましたね」
結構な事態だとは思うが、先生はまたものんきにそんなことを言っていた。この人はどんなことがあってもマイペースを崩さないのだろう。そんなことを思っていると唐突に体全体に響き渡るような声が聞こえてきた。
「おやおや、これは丁度良い所に」
はっきりと耳に届く綺麗な声が聞こえてきた、その声に隣にいたアーモンド先生が敏感に反応した。
「きょ、教頭先生、いらっしゃってたのですか?」
教頭先生と呼ばれたその人は、美しい金髪をした中年女性と思われる人であり、とても大きな背丈が特徴的な人だった。いや、背丈だけではない女性という身体的特徴の特に女性らしい部分が私よりもはるかに豊満で魅力的な人だ。
「アーモンド先生、新入生のガイドをしていたのですか?」
「はい、新入生の大角カイアさんです」
「えぇ知っているとも、むしろこの学校で彼女を知らない人はもう少ないんじゃないですか?」
「えぇと、そうですかね?」
「そりゃもちろん、入学式であれだけ暴れた生徒なんてそうそういない、おまけに禁忌まで犯したんだ、とぼけちゃだめですよアーモンド先生」
教頭先生はそう言うと私は見下ろしてきた。そりゃ私よりも身長がはるかに高いのだから見下ろすのは当然だとは思うけど、それにしたって教頭先生の目つきはなんだか気味が悪いように思えた。
身体的特徴をどうこう言うべきではないけど、どうにもこうにも苦手な目つきをしている。
「まぁそんなことはどうでもいい、それよりもつい先ほど、ある生徒から相談を受けてね、それについてあなたたちと話し合おうと思っていた所ですよ」
「それはどのようなお話でしょうか」
「まぁまぁ、廊下で立ち話も何だから部屋に入るとしましょう」
教頭先生はそう言うと我先に私の入居予定の部屋へと入っていった。その様子を見た後、私はアーモンド先生と互いに目を合わせた後、部屋に入った。
部屋の中は簡素な作りになっており、見た限り住むには十分すぎるほどの環境が整っているように見えた。ベッドが二つ用意されており、そのうちの一つにはすでに教頭先生が座り込んでいた。
そして、その様子を見た瞬間にあることに気付いた。それは何か甘い香りのようなものが鼻孔をくすぐってきたのだ。そう、どこかで嗅いだことのあるような甘い匂い・・・・・・あぁ、バニラの香りだろうか?
しかし、明確にバニラの匂いという訳ではなく、あまり嗅いだことのない独特の香りを感じていると、教頭先生の口からモクモクと煙が吐き出されていることに気付いた。
「ちょ、ちょっと教頭先生」
アーモンド先生はその異変に気付いたのか教頭先生に駆け寄った。
「なんですかアーモンド先生、せわしないのは嫌いですよ」
「いえいえ、お言葉ですが教頭先生ここは子どもたちの部屋ですので喫煙は遠慮してください」
「何を言う喫煙くらいどこでもやらせなさい、私にはこの葉巻がないと生きていけないんです」
「ですがぁ・・・・・・」
教頭先生は困った様子のアーモンド先生に対し、口に含んだ煙を吹きかけた。アーモンド先生の顔が煙で包まれるほど吐き出された煙にアーモンド先生は手で振り払いながらせき込んでいた。
「ふわぁっ、ちょっと、教頭先生ぃ」
そして、何を思ったのは教頭先生はおもむろにそのベッドに横になり始めた。その姿は教頭先生の体が多きこともあってか、まるで涅槃像の様に見えた。
「さぁさ二人も腰を下ろしなさい、私は横になってるけど気にしないでください」
教頭先生はリラックスした様子で葉巻を吸い、私とアーモンド先生はもう一つのベッドに腰を下ろした。すると、教頭先生がすぐに口を開いた。
「単刀直入に言います、大角カイアさんと同居する予定だった娘が直々に転居を申し出てきました」
その言葉にアーモンド先生はすぐさま反応した。
「では、さっき出て行ったのはカイアさんの同居人で間違いなかったという事ですね」
「えぇ、お察しの通りですよアーモンド先生。つまりこの件について相談というか私からの提案があるのです」
そういうと教頭先生は加えている葉巻を吸って煙を吐いた。それにより部屋の中が徐々に煙まみれになっていくような気がした。それはまるでこの部屋を葉巻の煙と匂いで充満させようとしているようだった。
「提案ですか?」
「えぇ、大角カイアさんには独居してもらおうかと思いまして」
「えっ、ちょっ、ちょっと待ってくださいっ」
アーモンド先生は驚いた様子で声を上げると、彼女は急に私を抱き寄せてきた。
「どうかしたのですか先生、こちらとしては最善の提案だと思っているのですが」
「そんな、そんな事って彼女はまだ入学したばかりですし、何より彼女はそれほどの事をしたとは思えません」
アーモンド先生は何かを言いかけてやめた、その後の言葉が何だったのかはわからないが、先生がどこかつらそうな顔をしていた事からあまりよくない言葉でないことを察した。
男子寮と女子寮は魔法学校の敷地における東と西の両端に配置されており、女子寮は西側に建てられている。そしてその真ん中に授業や研究が行われる本棟が配置されているようだ。
女子寮へとたどり着くと、そこでは多くの生徒たちで行きかっており、その中に溶け込むかのようにして私たちは女子寮へと入っていった。
中は木造であり、どこか心安らぐような印象を受けた。個人的には石造りよりも木造の方が好みなのかもしれない。
そうしてここに来てからようやく心を落ち着けることに安心していると、アーモンド先生が立ち止った。
「さぁ着きましたよ、ここが今日からカイアさんが住むお部屋です」
立派な扉と金色に輝くドアノブ、ドアノブが多少くすんではいるがそれでも素敵な扉を前に、今すぐにでもこの扉を開けて部屋の中を見てみたくなった。
そうして内心ウズウズしながら先生の顔を見ると、彼女はまるで私の思考を読んでいたかのようであり「どうぞ」と言って頷いていた。
「中を見てもいいですか?」
「もちろんですよ」
これから長い間お世話になるであろう扉に手を掛けようとしたその時、その扉はまるで私の手から離れていくかのように遠のいていった。
「わわっ」
もちろん扉が逃げたなんてことはなく、実際には扉が開いたのだ。
もしやすでに先客でもいたのだろうか、そう思いながら、崩した体制を整えて扉を開けた人を確認しようとすると、そこには可愛い黒の制服を身を纏った女の子の姿があった。
彼女は鉢合わせた私に対しひきつった顔をしていた。まぁ、扉を開けていきなり人がいると誰だってこんな顔をするだろうとは思うけど、それにしては随分とひっ迫した様子の彼女は少し息を荒くさせていた。
ハァハァと高ぶる呼吸、その様子があまりに奇妙で思わず心配で駆け寄ろうとすると、彼女はまるで猛獣にでも出くわしたかのようにジリジリと私から距離をとった。
「あ、あの大丈夫ですか?」
相変わらず息の荒い制服を着た女の子は、どういう訳か大きなトランクケースを両手で持っており、とても重たそうにしていた。
トランクケースからはところどころ服らしき布がはみ出しており、まるで唐突に家出を決意したかのように思えた。
その様子を不思議がっていると、今度は制服の女の子がジリジリと歩み寄ってきた。彼女の表情はさっきまでの驚いた様子とはかけ離れた怒りを感じさせる恐ろしい表情をしていた。
「ど、どきなさいっ」
「え?」
「どきなさいと言っているのよ化け物っ」
唐突に投げつけられた言葉の暴力にあっけにとられていると、彼女は両手に抱えていたトランクケースを私に向かって振りぬこうとしてきた。
「ちょ、ちょっとまって」
そのあまりに唐突な行動に思わず腰が抜け、その場でしりもちをつくと、ちょうど頭の上を大きなトランクケースが横切っていった。
「ひ、ひぃっ」
情けない声を上げ、今更ながら頭を抱えていると制服を着た女の子は「ふんっ」と吐き捨てるかのような鼻息を残して、どこかへと走り去っていってしまった。
まるで暴漢、いきなりこんなことをしてくるなんて魔法学校という所は末恐ろしい所だ。でも、もしかするとこんな事までしてくるってことはこっち側に至らぬ点があったのかもしれない。
思えば鹿乃湖おばさんといた時もこういう事が何度かあった、私のせいで何か彼女を怒らせてしまったのかもしれない。
唐突な出来事と過去の出来事を照らし合わせながら、抜けた腰と何とか元に戻そうと必死に立ち上がろうとしていると、隣にいたアーモンド先生が私に手を差し伸べてきてくれた。
「だ、大丈夫ですかカイアさん」
「あ、はい」
「びっくりしましたねぇ」
あまりにのんきなセリフだったが、そう言うしかない状況に違いはない。
「なんだったんでしょう」
「でも、確かあの子はカイアさんと同室になるはずだった生徒だったはずだったんですけど・・・・・・」
先生は不穏なことを言った。それは私の心を締め付けるかのようなそんな言葉だった。
「そうなんですか?」
「えぇ、基本的に二人一組の同室ですから彼女はカイアさんの同居人で、それなのにトランクケースをもって走り去っていっちゃいましたね」
結構な事態だとは思うが、先生はまたものんきにそんなことを言っていた。この人はどんなことがあってもマイペースを崩さないのだろう。そんなことを思っていると唐突に体全体に響き渡るような声が聞こえてきた。
「おやおや、これは丁度良い所に」
はっきりと耳に届く綺麗な声が聞こえてきた、その声に隣にいたアーモンド先生が敏感に反応した。
「きょ、教頭先生、いらっしゃってたのですか?」
教頭先生と呼ばれたその人は、美しい金髪をした中年女性と思われる人であり、とても大きな背丈が特徴的な人だった。いや、背丈だけではない女性という身体的特徴の特に女性らしい部分が私よりもはるかに豊満で魅力的な人だ。
「アーモンド先生、新入生のガイドをしていたのですか?」
「はい、新入生の大角カイアさんです」
「えぇ知っているとも、むしろこの学校で彼女を知らない人はもう少ないんじゃないですか?」
「えぇと、そうですかね?」
「そりゃもちろん、入学式であれだけ暴れた生徒なんてそうそういない、おまけに禁忌まで犯したんだ、とぼけちゃだめですよアーモンド先生」
教頭先生はそう言うと私は見下ろしてきた。そりゃ私よりも身長がはるかに高いのだから見下ろすのは当然だとは思うけど、それにしたって教頭先生の目つきはなんだか気味が悪いように思えた。
身体的特徴をどうこう言うべきではないけど、どうにもこうにも苦手な目つきをしている。
「まぁそんなことはどうでもいい、それよりもつい先ほど、ある生徒から相談を受けてね、それについてあなたたちと話し合おうと思っていた所ですよ」
「それはどのようなお話でしょうか」
「まぁまぁ、廊下で立ち話も何だから部屋に入るとしましょう」
教頭先生はそう言うと我先に私の入居予定の部屋へと入っていった。その様子を見た後、私はアーモンド先生と互いに目を合わせた後、部屋に入った。
部屋の中は簡素な作りになっており、見た限り住むには十分すぎるほどの環境が整っているように見えた。ベッドが二つ用意されており、そのうちの一つにはすでに教頭先生が座り込んでいた。
そして、その様子を見た瞬間にあることに気付いた。それは何か甘い香りのようなものが鼻孔をくすぐってきたのだ。そう、どこかで嗅いだことのあるような甘い匂い・・・・・・あぁ、バニラの香りだろうか?
しかし、明確にバニラの匂いという訳ではなく、あまり嗅いだことのない独特の香りを感じていると、教頭先生の口からモクモクと煙が吐き出されていることに気付いた。
「ちょ、ちょっと教頭先生」
アーモンド先生はその異変に気付いたのか教頭先生に駆け寄った。
「なんですかアーモンド先生、せわしないのは嫌いですよ」
「いえいえ、お言葉ですが教頭先生ここは子どもたちの部屋ですので喫煙は遠慮してください」
「何を言う喫煙くらいどこでもやらせなさい、私にはこの葉巻がないと生きていけないんです」
「ですがぁ・・・・・・」
教頭先生は困った様子のアーモンド先生に対し、口に含んだ煙を吹きかけた。アーモンド先生の顔が煙で包まれるほど吐き出された煙にアーモンド先生は手で振り払いながらせき込んでいた。
「ふわぁっ、ちょっと、教頭先生ぃ」
そして、何を思ったのは教頭先生はおもむろにそのベッドに横になり始めた。その姿は教頭先生の体が多きこともあってか、まるで涅槃像の様に見えた。
「さぁさ二人も腰を下ろしなさい、私は横になってるけど気にしないでください」
教頭先生はリラックスした様子で葉巻を吸い、私とアーモンド先生はもう一つのベッドに腰を下ろした。すると、教頭先生がすぐに口を開いた。
「単刀直入に言います、大角カイアさんと同居する予定だった娘が直々に転居を申し出てきました」
その言葉にアーモンド先生はすぐさま反応した。
「では、さっき出て行ったのはカイアさんの同居人で間違いなかったという事ですね」
「えぇ、お察しの通りですよアーモンド先生。つまりこの件について相談というか私からの提案があるのです」
そういうと教頭先生は加えている葉巻を吸って煙を吐いた。それにより部屋の中が徐々に煙まみれになっていくような気がした。それはまるでこの部屋を葉巻の煙と匂いで充満させようとしているようだった。
「提案ですか?」
「えぇ、大角カイアさんには独居してもらおうかと思いまして」
「えっ、ちょっ、ちょっと待ってくださいっ」
アーモンド先生は驚いた様子で声を上げると、彼女は急に私を抱き寄せてきた。
「どうかしたのですか先生、こちらとしては最善の提案だと思っているのですが」
「そんな、そんな事って彼女はまだ入学したばかりですし、何より彼女はそれほどの事をしたとは思えません」
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