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少女入学編12
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間もなくたどり着いた場所は、森の中にひっそりとたたずむ大きな洋館だった。
「すごい、こんなところにこんな洋館が立っているんですね」
「ここが独居屋敷です、カイアさんにはここで生活してもらうことになります」
「独居と聞いたので、もっとコンクリート打ちっぱなしの牢獄みたいな所かと思っていました」
「いえいえ、ここは決してそうした目的で作られた場所ではありません、むしろ寮なんかよりも素敵な場所ですよ」
「本当にここに住んでいいんですか?」
「はい」
ワクワクとした私とは裏腹に、アーモンド先生は何やら思うところがありそうだ。しかし、それを聞き出そうと思えるほど私のコミュニケーション能力は高くない。そして先生もそのことを話すつもりはなさそうであり、それに伴って私たちはさっさと独居屋敷へと入った。
独居屋敷内へと入ると待ち構えていたのは両端に階段を備えた立派なロビーだった。それは私が思い描くよくある洋館のつくりそのものだった。
どことなく女子寮と似たつくりにも思える独居屋敷だったが、寮に比べると少し年季が入っているような感じであり、そこがまた魅力的に見えた。
先生は先導して左側の階段を上っていき私もそのあとについていくと、先ほど教頭先生と話し込んだ部屋とよく似た扉があっと。やはり女子寮と特に大差ない部屋の前に建つと、アーモンド先生がおもむろにポケットから何かを取り出した。
それは小瓶であり、中には金色に輝くものは入っていた。それは瓶の中でちゃぷちゃぷと揺れており、液体のようだった。
「先生、それはなんですか?」
「・・・・・・今からカギを作ってみましょうか」
唐突な発言に驚きはしたが、同時にワクワクもした。まさかあの小瓶に入っている金色の液体でカギを作ろうとでもいうのだろうか?
「カギを作るのですか?」
「えぇ、この部屋は今日からカイアさんの部屋になりますから、カギを作らないことには施錠もできません、だから手を出してもらえますか?」
「え、はい」
言われるがまま手を出すと先生は瓶に詰められた金色のモノを私の掌にのせてきた。液体と思っていただけに慌ててこぼさないように両手で受け止めようとすると、金色のモノは思いのほか粘度を有しており私の掌にうまく収まった。
プルルンと手のひらの乗っかったそれは、どこか冷たく手になじんだ。そして、どこか心地よく感じるものだった
「うわぁ、すごいです」
「大丈夫です、そのまま掌にのせていてください」
「はい」
「では、それと戯れてください」
「え?」
「それをできるだけ手に馴染ませてあげてください」
私は何を言っているのかわからないまま、先生の言われた通り金色のモノを手でもてあそび始めた。
初めて触る感触に戸惑いつつも柔らかく奇妙な存在と戯れていると金色のモノは徐々に私の手に馴染むようになってきた。
それどころか、まるで感情があるかのように私の掌で様々な形に変形し始めた。
「せ、先生これは一体何なんですか?」
「これは龍の涙と言われています」
「龍の涙?」
「えぇ、詳しくは私の授業で教えますからその時まで楽しみに待っていてください、とにかく今はその龍の涙でカイアさんのカギを作りましょう」
「はい」
「見た所すっかりカイアさんに懐いた様子なので早速始めましょう」
龍の涙と呼ばれる金色のモノは私の掌でご機嫌に動いているように思えた。これが懐いているというのかどうかは私にはわからないが、とにかく先生の言うことを鵜呑みにするしかなかった。
「では、自身のお名前を龍の涙に告げてください」
「え、はい・・・・・・大角カイアです、よろしくお願いします」
「では次に、カイアさんの涙をその龍の涙に与えてみてください」
「涙ですか?」
「はい」
私は無茶ぶりとも思えるその要求に、瞬きを必死に我慢して涙があふれてくるのを待った。そして徐々にあふれてくる涙を龍の涙に与えるようにこぼして見せた。すると、手のひらの竜の涙は先ほどまでの活発な動きをやめて少し大人しくなった。
「あれ、なんか大人しくなっちゃいました」
「心配ありません、試しにカイアさんの好きなようにその龍の涙の形を変えてみてください」
「え?」
これまた不思議なことを言ってくる先生に、私はたまたま思いついたリンゴを思い浮かべてその言葉を口にすると、手のひらの竜の涙はあっという間にリンゴの形を作り上げて見せた。
「嘘っ」
思わず出た言葉に先生はクスクスと笑った。
「ふふふ、とてもお上手ですよカイアさん、こんなに上手に龍の涙を手懐ける人は珍しいですよ」
「そうなんですか?」
「えぇ、実は龍の涙というのは限られた者にのみ扱える代物でして、カイアさんの様な魔女見習いどころか、一人前の魔女ですら手懐けることのできない代物なのですよ」
「え、でも、それじゃあどうして私なんかが」
「無論です、カイアさんは紛れもなく魔女として素晴らしい素質を持つお方です、あのフクロウ、いえシチフクになんと言われようと、私はもちろん校長先生だってあなたの才能を見抜いているんですよ」
「あっ、あっ」
突然の誉め言葉に何を返していいかわからずたじろいでいると先生は再び笑った。
「いや、それにしても本当に素晴らしいですよカイアさん、本来なら私がカギの準備をするはずでしたが、まさかこれほどとは・・・・・・」
「あの、先生私はたまたまできたというかなんというか」
「ふふっ、そうですね、たまたまかもしれません。こちらもカイアさんを試すような真似をしてすみませんでした」
からかうような笑顔に圧倒された私はもう何も言い返せなかった。
「では、本題と行きましょう、扉のカギ穴に龍の涙を近づけてください」
先生に言われるがままは龍の涙をカギ穴がある場所へと近づけた。
「では次に、カイアさんの口からカギになるように命じてみてください」
「はい・・・・・・えっと龍の涙さん、どうかこの部屋のカギになってください、お願いします」
すると、手のひらにある龍の涙はリンゴの形から液体へと変化し、まるで鍵穴に吸い込まれるような動きを見せたかと思うと、あっという間にカギ穴へと入っていった。掌からは龍の涙が消えうせ、先生は小さく息を吐いた。
「ふぅ、成功しましたねカイアさん」
「成功なんですか?」
「えぇ、しばらく待っていてください」
「はい」
しばらくすると、鍵穴からニュルリと龍の涙が再び姿を見せた、かと思うとそれは突然形を変えた。
それはまるで、鍵という物体になろうと試みているかのような様子であり、興味津々で眺めていると、龍の涙は見事に鍵の形を作り上げた。
そして先ほどまでの流動的な動きはなくなり時が止まったかのように鍵穴に刺さっていた。
「さぁカイアさん、世界に一つだけのあなただけの鍵です、どうぞ手に取ってください」
「はい」
鍵穴に刺さった龍の涙は、まるで私が想像していた通りのシンプルな鍵のデザインをしており、私はそれに触れた。
無機質な感触を指先で感じながら鍵穴に刺さるそれを引き抜くと、それはもうどこからどう見てもただのカギにしか見えなかった。
カチコチに固まり、物言わぬ鍵となったそれを手にした私はまるで鑑定でもするかのようにそれを眺めてみた。
「すごい、本当にカギになったんですか?」
「えぇ、ちなみカギをかけるとき開けるときは鍵穴に差し込むだけで構いませんよ」
「え、でもカギっていうのは」
「そうですね、世間一般的にカギというものは差し込んでひねるなんて行為がありますが心配ご無用です。
カギを差し込めば開きますし、差し込めば閉じることが来ます。その時その時に応じて龍の涙に語り掛けてあげてください、そうすればそれに応じてくれますよ」
「はぇー」
不思議な世界にいるという事を再び実感しつつ、扉に手を掛けようとしているとアーモンド先生が話しかけてきた。
「私はこれにて失礼しますが、一つだけお願いしたいことがあります」
「お願い?なんですか?」
「ケガには気を付けてください」
「えっと、はい・・・・・・え?」
何気ない言葉に思えたが、アーモンド先生の表情がどこか深刻そうに見えてただの心配には思えなかった。けれど、先生はすぐに柔らかい笑顔を見せた。
「それから、もう気づいておられると思いますが教頭先生の言っておられたカイアさんのお荷物がここに置かれているので、力を合わせてお部屋に運びましょう」
アーモンド先生は苦笑いしながら扉近くにおいてある数多くのモノを指さした。
信じられない量ではないものの、見たことのないものから大量の本がおかれており一人で運び込むには苦労しそうなだけにアーモンド先生のお手伝いは助かった。そうして、カギを作り扉を開けた私は先生と共にこれから必要になるであろう品々を室内に運び込んだ。
部屋の前においてあったものをすべて部屋に運び終えると、先生は私よりも息を荒げながら辛そうにしていた。
「だ、大丈夫ですか?」
「大丈夫です、カイアさんがこれから学校生活を始められることのほうが大切ですからね」
「そ、そんな、お手伝いまでしてもらって本当にありがとうございました」
「いえいえ、ひとまずのところ私はお暇させてもらいますね」
そういうと先生はフラフラと今にも倒れそうな様子で私のもとから去って行ってしまい、取り残された私は部屋に入った。
一人で暮らすには十分すぎるほどの空間を持て余しながら、ひとまずベッドで横になることにした。
部屋は思っていたより広く設備も充実していた。かつて住んでいた所より広い事もあって、より強い孤独感を感じたが、今日からこの部屋が私の居場所になるという事に少しワクワクしていた。
それにしても今日は色々と不穏なことがあった。入学式からなんか大変なことをしてしまったし、同居人には拒否されるし、おまけに独居屋敷とかいう第一印象最悪な場所に送り込まれる始末。
だけど、もとより協調性がある方ではなかったし、こういう扱いの方がむしろ楽なのかもしれない。
ただ、この環境だとこれまでの人生と変わりないような気がするのと、私の目的である幸せになるという事から少し遠のいているような気がした。
「すごい、こんなところにこんな洋館が立っているんですね」
「ここが独居屋敷です、カイアさんにはここで生活してもらうことになります」
「独居と聞いたので、もっとコンクリート打ちっぱなしの牢獄みたいな所かと思っていました」
「いえいえ、ここは決してそうした目的で作られた場所ではありません、むしろ寮なんかよりも素敵な場所ですよ」
「本当にここに住んでいいんですか?」
「はい」
ワクワクとした私とは裏腹に、アーモンド先生は何やら思うところがありそうだ。しかし、それを聞き出そうと思えるほど私のコミュニケーション能力は高くない。そして先生もそのことを話すつもりはなさそうであり、それに伴って私たちはさっさと独居屋敷へと入った。
独居屋敷内へと入ると待ち構えていたのは両端に階段を備えた立派なロビーだった。それは私が思い描くよくある洋館のつくりそのものだった。
どことなく女子寮と似たつくりにも思える独居屋敷だったが、寮に比べると少し年季が入っているような感じであり、そこがまた魅力的に見えた。
先生は先導して左側の階段を上っていき私もそのあとについていくと、先ほど教頭先生と話し込んだ部屋とよく似た扉があっと。やはり女子寮と特に大差ない部屋の前に建つと、アーモンド先生がおもむろにポケットから何かを取り出した。
それは小瓶であり、中には金色に輝くものは入っていた。それは瓶の中でちゃぷちゃぷと揺れており、液体のようだった。
「先生、それはなんですか?」
「・・・・・・今からカギを作ってみましょうか」
唐突な発言に驚きはしたが、同時にワクワクもした。まさかあの小瓶に入っている金色の液体でカギを作ろうとでもいうのだろうか?
「カギを作るのですか?」
「えぇ、この部屋は今日からカイアさんの部屋になりますから、カギを作らないことには施錠もできません、だから手を出してもらえますか?」
「え、はい」
言われるがまま手を出すと先生は瓶に詰められた金色のモノを私の掌にのせてきた。液体と思っていただけに慌ててこぼさないように両手で受け止めようとすると、金色のモノは思いのほか粘度を有しており私の掌にうまく収まった。
プルルンと手のひらの乗っかったそれは、どこか冷たく手になじんだ。そして、どこか心地よく感じるものだった
「うわぁ、すごいです」
「大丈夫です、そのまま掌にのせていてください」
「はい」
「では、それと戯れてください」
「え?」
「それをできるだけ手に馴染ませてあげてください」
私は何を言っているのかわからないまま、先生の言われた通り金色のモノを手でもてあそび始めた。
初めて触る感触に戸惑いつつも柔らかく奇妙な存在と戯れていると金色のモノは徐々に私の手に馴染むようになってきた。
それどころか、まるで感情があるかのように私の掌で様々な形に変形し始めた。
「せ、先生これは一体何なんですか?」
「これは龍の涙と言われています」
「龍の涙?」
「えぇ、詳しくは私の授業で教えますからその時まで楽しみに待っていてください、とにかく今はその龍の涙でカイアさんのカギを作りましょう」
「はい」
「見た所すっかりカイアさんに懐いた様子なので早速始めましょう」
龍の涙と呼ばれる金色のモノは私の掌でご機嫌に動いているように思えた。これが懐いているというのかどうかは私にはわからないが、とにかく先生の言うことを鵜呑みにするしかなかった。
「では、自身のお名前を龍の涙に告げてください」
「え、はい・・・・・・大角カイアです、よろしくお願いします」
「では次に、カイアさんの涙をその龍の涙に与えてみてください」
「涙ですか?」
「はい」
私は無茶ぶりとも思えるその要求に、瞬きを必死に我慢して涙があふれてくるのを待った。そして徐々にあふれてくる涙を龍の涙に与えるようにこぼして見せた。すると、手のひらの竜の涙は先ほどまでの活発な動きをやめて少し大人しくなった。
「あれ、なんか大人しくなっちゃいました」
「心配ありません、試しにカイアさんの好きなようにその龍の涙の形を変えてみてください」
「え?」
これまた不思議なことを言ってくる先生に、私はたまたま思いついたリンゴを思い浮かべてその言葉を口にすると、手のひらの竜の涙はあっという間にリンゴの形を作り上げて見せた。
「嘘っ」
思わず出た言葉に先生はクスクスと笑った。
「ふふふ、とてもお上手ですよカイアさん、こんなに上手に龍の涙を手懐ける人は珍しいですよ」
「そうなんですか?」
「えぇ、実は龍の涙というのは限られた者にのみ扱える代物でして、カイアさんの様な魔女見習いどころか、一人前の魔女ですら手懐けることのできない代物なのですよ」
「え、でも、それじゃあどうして私なんかが」
「無論です、カイアさんは紛れもなく魔女として素晴らしい素質を持つお方です、あのフクロウ、いえシチフクになんと言われようと、私はもちろん校長先生だってあなたの才能を見抜いているんですよ」
「あっ、あっ」
突然の誉め言葉に何を返していいかわからずたじろいでいると先生は再び笑った。
「いや、それにしても本当に素晴らしいですよカイアさん、本来なら私がカギの準備をするはずでしたが、まさかこれほどとは・・・・・・」
「あの、先生私はたまたまできたというかなんというか」
「ふふっ、そうですね、たまたまかもしれません。こちらもカイアさんを試すような真似をしてすみませんでした」
からかうような笑顔に圧倒された私はもう何も言い返せなかった。
「では、本題と行きましょう、扉のカギ穴に龍の涙を近づけてください」
先生に言われるがままは龍の涙をカギ穴がある場所へと近づけた。
「では次に、カイアさんの口からカギになるように命じてみてください」
「はい・・・・・・えっと龍の涙さん、どうかこの部屋のカギになってください、お願いします」
すると、手のひらにある龍の涙はリンゴの形から液体へと変化し、まるで鍵穴に吸い込まれるような動きを見せたかと思うと、あっという間にカギ穴へと入っていった。掌からは龍の涙が消えうせ、先生は小さく息を吐いた。
「ふぅ、成功しましたねカイアさん」
「成功なんですか?」
「えぇ、しばらく待っていてください」
「はい」
しばらくすると、鍵穴からニュルリと龍の涙が再び姿を見せた、かと思うとそれは突然形を変えた。
それはまるで、鍵という物体になろうと試みているかのような様子であり、興味津々で眺めていると、龍の涙は見事に鍵の形を作り上げた。
そして先ほどまでの流動的な動きはなくなり時が止まったかのように鍵穴に刺さっていた。
「さぁカイアさん、世界に一つだけのあなただけの鍵です、どうぞ手に取ってください」
「はい」
鍵穴に刺さった龍の涙は、まるで私が想像していた通りのシンプルな鍵のデザインをしており、私はそれに触れた。
無機質な感触を指先で感じながら鍵穴に刺さるそれを引き抜くと、それはもうどこからどう見てもただのカギにしか見えなかった。
カチコチに固まり、物言わぬ鍵となったそれを手にした私はまるで鑑定でもするかのようにそれを眺めてみた。
「すごい、本当にカギになったんですか?」
「えぇ、ちなみカギをかけるとき開けるときは鍵穴に差し込むだけで構いませんよ」
「え、でもカギっていうのは」
「そうですね、世間一般的にカギというものは差し込んでひねるなんて行為がありますが心配ご無用です。
カギを差し込めば開きますし、差し込めば閉じることが来ます。その時その時に応じて龍の涙に語り掛けてあげてください、そうすればそれに応じてくれますよ」
「はぇー」
不思議な世界にいるという事を再び実感しつつ、扉に手を掛けようとしているとアーモンド先生が話しかけてきた。
「私はこれにて失礼しますが、一つだけお願いしたいことがあります」
「お願い?なんですか?」
「ケガには気を付けてください」
「えっと、はい・・・・・・え?」
何気ない言葉に思えたが、アーモンド先生の表情がどこか深刻そうに見えてただの心配には思えなかった。けれど、先生はすぐに柔らかい笑顔を見せた。
「それから、もう気づいておられると思いますが教頭先生の言っておられたカイアさんのお荷物がここに置かれているので、力を合わせてお部屋に運びましょう」
アーモンド先生は苦笑いしながら扉近くにおいてある数多くのモノを指さした。
信じられない量ではないものの、見たことのないものから大量の本がおかれており一人で運び込むには苦労しそうなだけにアーモンド先生のお手伝いは助かった。そうして、カギを作り扉を開けた私は先生と共にこれから必要になるであろう品々を室内に運び込んだ。
部屋の前においてあったものをすべて部屋に運び終えると、先生は私よりも息を荒げながら辛そうにしていた。
「だ、大丈夫ですか?」
「大丈夫です、カイアさんがこれから学校生活を始められることのほうが大切ですからね」
「そ、そんな、お手伝いまでしてもらって本当にありがとうございました」
「いえいえ、ひとまずのところ私はお暇させてもらいますね」
そういうと先生はフラフラと今にも倒れそうな様子で私のもとから去って行ってしまい、取り残された私は部屋に入った。
一人で暮らすには十分すぎるほどの空間を持て余しながら、ひとまずベッドで横になることにした。
部屋は思っていたより広く設備も充実していた。かつて住んでいた所より広い事もあって、より強い孤独感を感じたが、今日からこの部屋が私の居場所になるという事に少しワクワクしていた。
それにしても今日は色々と不穏なことがあった。入学式からなんか大変なことをしてしまったし、同居人には拒否されるし、おまけに独居屋敷とかいう第一印象最悪な場所に送り込まれる始末。
だけど、もとより協調性がある方ではなかったし、こういう扱いの方がむしろ楽なのかもしれない。
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