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初恋が目の前に
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『ライン? そんなの別にいーじゃん。どうせすぐ会えるんだし』
なんの疑いもない、三春くんの無邪気な笑顔がおれの中の最後の記憶。
スマホのアラームで目が覚め、二段ベッドから自分が使ってる一段からおりる。
「・・・懐かしい夢だったな~」
朝から幸先がいい。
ベッドの横にある机の上から用意してある歯ブラシとタオルを持って洗面所に向かった。
「おはよー」
廊下に設置されている洗面所にはすでに同級生ふたりが。声をかけながらおれも横に並ぶ。
「はよー。今日からおれら高1だな」
「入学式めんど」
「高等部から入学してくる奴らのための入学式みたいなもんだもんな」
ふたりの会話を聞きながら鏡に映る自分を見ながら歯を磨く。
ペッと口をゆすいだタイミングで隣にいた高橋が、
「鈴村は? 入学式めんどくない?」
「おれ? うーん確かに。でも授業じゃないだけマシかな」
へらっと笑うと、高橋もその横にいる村田もへらっと笑った。
「だな。鈴村が言うと和む」
「それな」
ここは私立S学園。中高一貫校の寮だ。都内の郊外に校舎と寮がある。ちなみに男子校。
おれは鈴村駆。(すずむらかける)
同級生のみんなの『癒し』らしい。
寮は全寮で、中学で入学した時から同級生と一緒に暮らしてる。
最初はぎこちなかったり、気が合わなくてギスギスしたこともあったけど、3年も暮らせばほぼ家族。
「鈴村のルームメイトは?」
「誰だっけ?」
高橋と村田が同時に聞いてくる。
「有吉(ありよし)」
濡れた顔をタオルで拭きながら答えた。
「有吉かー。いーじゃん、もともと仲いいよな」
「高橋と村田も同じ部屋だよね」
「中学ん時は気ぃ合わない奴と一緒でマジ息詰まった」
「俺も」
高橋と村田が顔を合わせて苦笑いを浮かべていると、目をこすりながらルームメイトの有吉がやってきた。
「はよぉ」
「噂をすればじゃん。」
「さっさと目を覚ませって。朝食食いっぱぐれるぞー」
そう言って高橋も村田も自分たちの部屋に戻って行った。
ふたりを見送ったあと、有吉に向き直って改めておはよと挨拶すると、まだ寝ぼけているのか、有吉が半目でこくりと頷いた。
「顔洗って目覚ました方がいいよ。おれ、先に戻るね」
「えー相方おいてくの? つーか、起きたんなら起こしてくれてもよくない? 鈴村は冷たいなぁ」
ボスッとおれの肩に頭を乗せて甘えてきた。
もうすぐで180になる有吉の身長に対して175センチのおれの肩はちょうどいい高さらしい。(寄りかかる的な意味で)
はぁ。と露骨にため息をつく。だってこれ、毎朝のことだ。
「はいはい。どうせおれは冷たいですよ。食いっぱぐれは嫌だしね」
「怒った?」
すぐ横でイケメン顔が上目遣いで朝から目を潤ませてくる。(あざといかよ)
「そうゆう顔すればなんでも許しえてもらえると思うなよ。この、次男!」
「えーいいじゃん。つーか、鈴村も次男だろ?」
「上に兄弟いるけど姉さんだから、おれは長男。いいから早く顔洗おう。マジで食いっぱぐれる」
「それはやべー」
結局、いつもどおり有吉の顔を洗うのを手伝う?はめに。
「朝から食いすぎた」
お腹をさする有吉と一緒に渡り廊下にできてる人の波に混ざる。
「間に合ってよかったね。遅刻するかと思った」
「さすがに入学式の遅刻は目立つだろ」
「目立つどころじゃないよ。反省文書かされるよ」
「最悪。つーか、高等部はブレザーって・・・。学ラン気に入ってたのになー」
不服そうに有吉が入学式を目の前にネクタイを緩めだした。
「それ、公演館に入る前に先生に注意されるよ。黒の学ランもよかったけど、おれは紫のブレザー気に入ってるよ」
「黒から紫ってどういう繋がりだよ。鈴村はブレザーも紫も似合うからいいじゃん」
「有吉だって似合ってるよ」
「えー」
どう言っても嫌そうだ。
「それにしても全然前進まないね」
「混みすぎだろ」
「今年も有吉と同じクラスでよかった。知らない人ばっかりだったらどうしようかと思った」
「それな。ひとクラスは中等部の頃からの奴ばっかだけど、もうひとクラスは追加入学の奴らと混合だったよな」
「おれ、期末のテストあんまりよくなかったから心配だった。春休みなんて実家に帰宅したのに全然のんびりできなかったよ」
「そこまで?! 相変わらず思いつめるなー鈴村は」
「うぅ、だって・・・。人見知りある方だし、この学校に入学した時だって馴染むのに時間かかったし。有吉と出会ってなかったらおれ今頃まだ友達いなかったかも」
「それはないだろ」
有吉がズボンのポケットに手を入れながらちょっとドン引きしてる。
だよね。引くよね。でもおれはあまり社交的じゃないから友達を作るのにちょっと苦労する。
はぁ。と小さくため息をつくと、どんっと有吉にどっつかれ、そのまま腕を回して自分の方へとおれを引き寄せた。
「クラスなんてコースでわけてんだし。オレと鈴村は同じコースなんだからどんなに成績悪くたって絶対同じクラスだって。来年も絶対同じクラスだぜ」
ニッと歯を見せてイケメンの笑顔が光る。
「有吉・・・」
整った顔立ちの笑顔効果もあっておれの中の有吉への友情好感度がグッと上がる。
「つーか、理系コースなんてもともと少人数制だから追加入学の奴らを入れてもふたクラスだけだろ。中等部の時は理系コースはひとクラスだけだったじゃん」
「・・・う、うん。そうだけど。ふたクラスあるってことは有吉とわかれる可能性は十分にあるじゃん」
「えー。どんだけオレのこと好きだよ、可愛いな!」
グリグリと頭を肩に押し付けてからかってくる有吉。はは、笑うしかない。(可愛くない)
人の波がやっと動き出し、公演館へと続く渡り廊下を前の人の足を蹴らないようにゆっくり歩く。
「そういえば、今年もいるらしいぜ」
有吉がおれを見下ろす。
「なにが?」
「特待生。しかも入試問題全問正解だってさ。やば」
「すごいね。雲の上の人だね」
「いや、同じ人間だから。お、そうすると壇上に上がってなんか喋るんじゃん? どんな奴かじっくり見てやろう」
ニヤニヤする有吉。
「なんで上から目線? でもすごいよね。特待生って確か寮も一人部屋なんだよね」
「シャワー室、トイレ付きらしいぜ」
「おぉ!」
たわいない会話を弾ませてる間にやっと公演館に入りクラスごとの列に並ぶ。
ちなみに有吉はやっぱり入口のところで先生に注意され、説教を浴びながらネクタイを結び直すはめに。
劇場なみに広いうちの学校の公演館。座席が2階まであって全校生徒や教師以外にも保護者がまるっと座れるほどの席がある。確か1100席だったか・・・。
追加入学生が前列、中等部からのおれたちは後列の席に座ってステージに立っている校長先生の長すぎる話をひたすら聞く。
横で寝かけている山口を揺すって起こすけど、おれも退屈であくびがでる。
見慣れた小太りの校長先生をぼんやり見ながら・・・改めて、ここに来てもう3年も経ったんだなとしみじみ思う。
高校生か。
この学校は受験なしで高等部に上がれるけど、普通は受験だよね。都立か私立か。
ふとある男の子の顔を思い浮かべる。
三春(みはる)くんは、どこの学校に行ったんだろう。
今朝見た夢で三春くんが出てきた。夢というより昔の記憶だ。
あの時はもうこの学校に入学が決まってて、クラスのみんなともお別れなんだなとひとりで寂しがってた。三春くんとも。
だから、ライン交換をと・・・。勇気を出して。
夢の中で会えた懐かしい三春くんが言った一言を思い出し、ズンッと心が重くなる。すぐにペチペチと顔を叩いて気持ちをリセット。
あれでよかったんだ。
断れるのはだいたい予想がついてたし。
振られてもおれにとって三春くんは特別のまま。
この学校に3年間なんとか生き延びれたのも三春くんとの思い出のおかげなんだ。
恋を通り越して、もう・・・尊い愛だね。そう、三春くんはおれにとって賞賛すべき存在。殿堂入りの恋なんだ。
あ、愛か。
殿堂入りした愛だ。
ひとりで勝手にこぶしを小さく掲げながら納得していると、いつの間にか校長先生がステージから降りていた。
司会者の教師が、次は特待生による挨拶だとマイクをとおして言うなりホール内がどよめく。
「今年の特待生はマジやべーらしいよ」
「入試成績トップだったんだろ」
「全問正解したらしいよ」
「マジかよ。今までの特待生の中で断トツの優秀じゃん」
あちこちで噂が飛び交うなか、前列からひとりの背の高い男子が階段をのぼってステージに上がった。
みんなの視線が一気に彼に集中する。もちろんおれもマジマジと彼を見る。と言っても、後列からじゃそんなにはっきり見えない。
マイクの前に立った彼は一礼してまっすぐ前を向いた。視線は・・・意識しないようにしてるのか、2階を見てるように見える。
有吉くらいの身長はありそうだ。遠目で見てもわかるくらい顔が整ってる。(イケメンだ)耳にかかる黒髪がスポットライトに当てられツヤツヤだ。
頭が良くて顔も良くてスタイルも良くて・・・本当に雲の上の人間かもしれない。
縁がなさそうで思わず微笑。
「高等部一年代表。特待生、三春豪(みはるごう)」
よく通る青い声がマイクを通してホール内に響いた。
挨拶文を丸暗記してきたのか、スラスラと口からもっともらしい言葉が出てくる彼を見ながらおれの目が点になる。
三春って言った?
三春豪って言った?
同姓同名?
遠くて特待生の彼から三春くんのおもかげを探すのは難しい。だけど、三春くんも顔立ちがよかった。女子の人気もあった。スタイルは・・・おれと身長が同じくらいだったからちょっとわからない。でも、あれから3年経つし身長だって伸びる。伸びたらあんな感じ?
くじけそうな時、辛い時、いつも記憶の一コマから取り出す三春くんの笑顔が、おれの頭の中で眩しいほどに鮮明に輝きまくる。
おれの初恋の三春くんが、同じ学校に入学してきただと?!!
*あとがき*
読んでくださりあがりがとうございました!
新作・連載スタートです。
今回は以前よりもマイペースに更新していきます。
月に1~2回の予定です。
楽しんで頂けたら幸いです。
よろしくお願い致します。(ぺこり)
たっぷりチョコ。
なんの疑いもない、三春くんの無邪気な笑顔がおれの中の最後の記憶。
スマホのアラームで目が覚め、二段ベッドから自分が使ってる一段からおりる。
「・・・懐かしい夢だったな~」
朝から幸先がいい。
ベッドの横にある机の上から用意してある歯ブラシとタオルを持って洗面所に向かった。
「おはよー」
廊下に設置されている洗面所にはすでに同級生ふたりが。声をかけながらおれも横に並ぶ。
「はよー。今日からおれら高1だな」
「入学式めんど」
「高等部から入学してくる奴らのための入学式みたいなもんだもんな」
ふたりの会話を聞きながら鏡に映る自分を見ながら歯を磨く。
ペッと口をゆすいだタイミングで隣にいた高橋が、
「鈴村は? 入学式めんどくない?」
「おれ? うーん確かに。でも授業じゃないだけマシかな」
へらっと笑うと、高橋もその横にいる村田もへらっと笑った。
「だな。鈴村が言うと和む」
「それな」
ここは私立S学園。中高一貫校の寮だ。都内の郊外に校舎と寮がある。ちなみに男子校。
おれは鈴村駆。(すずむらかける)
同級生のみんなの『癒し』らしい。
寮は全寮で、中学で入学した時から同級生と一緒に暮らしてる。
最初はぎこちなかったり、気が合わなくてギスギスしたこともあったけど、3年も暮らせばほぼ家族。
「鈴村のルームメイトは?」
「誰だっけ?」
高橋と村田が同時に聞いてくる。
「有吉(ありよし)」
濡れた顔をタオルで拭きながら答えた。
「有吉かー。いーじゃん、もともと仲いいよな」
「高橋と村田も同じ部屋だよね」
「中学ん時は気ぃ合わない奴と一緒でマジ息詰まった」
「俺も」
高橋と村田が顔を合わせて苦笑いを浮かべていると、目をこすりながらルームメイトの有吉がやってきた。
「はよぉ」
「噂をすればじゃん。」
「さっさと目を覚ませって。朝食食いっぱぐれるぞー」
そう言って高橋も村田も自分たちの部屋に戻って行った。
ふたりを見送ったあと、有吉に向き直って改めておはよと挨拶すると、まだ寝ぼけているのか、有吉が半目でこくりと頷いた。
「顔洗って目覚ました方がいいよ。おれ、先に戻るね」
「えー相方おいてくの? つーか、起きたんなら起こしてくれてもよくない? 鈴村は冷たいなぁ」
ボスッとおれの肩に頭を乗せて甘えてきた。
もうすぐで180になる有吉の身長に対して175センチのおれの肩はちょうどいい高さらしい。(寄りかかる的な意味で)
はぁ。と露骨にため息をつく。だってこれ、毎朝のことだ。
「はいはい。どうせおれは冷たいですよ。食いっぱぐれは嫌だしね」
「怒った?」
すぐ横でイケメン顔が上目遣いで朝から目を潤ませてくる。(あざといかよ)
「そうゆう顔すればなんでも許しえてもらえると思うなよ。この、次男!」
「えーいいじゃん。つーか、鈴村も次男だろ?」
「上に兄弟いるけど姉さんだから、おれは長男。いいから早く顔洗おう。マジで食いっぱぐれる」
「それはやべー」
結局、いつもどおり有吉の顔を洗うのを手伝う?はめに。
「朝から食いすぎた」
お腹をさする有吉と一緒に渡り廊下にできてる人の波に混ざる。
「間に合ってよかったね。遅刻するかと思った」
「さすがに入学式の遅刻は目立つだろ」
「目立つどころじゃないよ。反省文書かされるよ」
「最悪。つーか、高等部はブレザーって・・・。学ラン気に入ってたのになー」
不服そうに有吉が入学式を目の前にネクタイを緩めだした。
「それ、公演館に入る前に先生に注意されるよ。黒の学ランもよかったけど、おれは紫のブレザー気に入ってるよ」
「黒から紫ってどういう繋がりだよ。鈴村はブレザーも紫も似合うからいいじゃん」
「有吉だって似合ってるよ」
「えー」
どう言っても嫌そうだ。
「それにしても全然前進まないね」
「混みすぎだろ」
「今年も有吉と同じクラスでよかった。知らない人ばっかりだったらどうしようかと思った」
「それな。ひとクラスは中等部の頃からの奴ばっかだけど、もうひとクラスは追加入学の奴らと混合だったよな」
「おれ、期末のテストあんまりよくなかったから心配だった。春休みなんて実家に帰宅したのに全然のんびりできなかったよ」
「そこまで?! 相変わらず思いつめるなー鈴村は」
「うぅ、だって・・・。人見知りある方だし、この学校に入学した時だって馴染むのに時間かかったし。有吉と出会ってなかったらおれ今頃まだ友達いなかったかも」
「それはないだろ」
有吉がズボンのポケットに手を入れながらちょっとドン引きしてる。
だよね。引くよね。でもおれはあまり社交的じゃないから友達を作るのにちょっと苦労する。
はぁ。と小さくため息をつくと、どんっと有吉にどっつかれ、そのまま腕を回して自分の方へとおれを引き寄せた。
「クラスなんてコースでわけてんだし。オレと鈴村は同じコースなんだからどんなに成績悪くたって絶対同じクラスだって。来年も絶対同じクラスだぜ」
ニッと歯を見せてイケメンの笑顔が光る。
「有吉・・・」
整った顔立ちの笑顔効果もあっておれの中の有吉への友情好感度がグッと上がる。
「つーか、理系コースなんてもともと少人数制だから追加入学の奴らを入れてもふたクラスだけだろ。中等部の時は理系コースはひとクラスだけだったじゃん」
「・・・う、うん。そうだけど。ふたクラスあるってことは有吉とわかれる可能性は十分にあるじゃん」
「えー。どんだけオレのこと好きだよ、可愛いな!」
グリグリと頭を肩に押し付けてからかってくる有吉。はは、笑うしかない。(可愛くない)
人の波がやっと動き出し、公演館へと続く渡り廊下を前の人の足を蹴らないようにゆっくり歩く。
「そういえば、今年もいるらしいぜ」
有吉がおれを見下ろす。
「なにが?」
「特待生。しかも入試問題全問正解だってさ。やば」
「すごいね。雲の上の人だね」
「いや、同じ人間だから。お、そうすると壇上に上がってなんか喋るんじゃん? どんな奴かじっくり見てやろう」
ニヤニヤする有吉。
「なんで上から目線? でもすごいよね。特待生って確か寮も一人部屋なんだよね」
「シャワー室、トイレ付きらしいぜ」
「おぉ!」
たわいない会話を弾ませてる間にやっと公演館に入りクラスごとの列に並ぶ。
ちなみに有吉はやっぱり入口のところで先生に注意され、説教を浴びながらネクタイを結び直すはめに。
劇場なみに広いうちの学校の公演館。座席が2階まであって全校生徒や教師以外にも保護者がまるっと座れるほどの席がある。確か1100席だったか・・・。
追加入学生が前列、中等部からのおれたちは後列の席に座ってステージに立っている校長先生の長すぎる話をひたすら聞く。
横で寝かけている山口を揺すって起こすけど、おれも退屈であくびがでる。
見慣れた小太りの校長先生をぼんやり見ながら・・・改めて、ここに来てもう3年も経ったんだなとしみじみ思う。
高校生か。
この学校は受験なしで高等部に上がれるけど、普通は受験だよね。都立か私立か。
ふとある男の子の顔を思い浮かべる。
三春(みはる)くんは、どこの学校に行ったんだろう。
今朝見た夢で三春くんが出てきた。夢というより昔の記憶だ。
あの時はもうこの学校に入学が決まってて、クラスのみんなともお別れなんだなとひとりで寂しがってた。三春くんとも。
だから、ライン交換をと・・・。勇気を出して。
夢の中で会えた懐かしい三春くんが言った一言を思い出し、ズンッと心が重くなる。すぐにペチペチと顔を叩いて気持ちをリセット。
あれでよかったんだ。
断れるのはだいたい予想がついてたし。
振られてもおれにとって三春くんは特別のまま。
この学校に3年間なんとか生き延びれたのも三春くんとの思い出のおかげなんだ。
恋を通り越して、もう・・・尊い愛だね。そう、三春くんはおれにとって賞賛すべき存在。殿堂入りの恋なんだ。
あ、愛か。
殿堂入りした愛だ。
ひとりで勝手にこぶしを小さく掲げながら納得していると、いつの間にか校長先生がステージから降りていた。
司会者の教師が、次は特待生による挨拶だとマイクをとおして言うなりホール内がどよめく。
「今年の特待生はマジやべーらしいよ」
「入試成績トップだったんだろ」
「全問正解したらしいよ」
「マジかよ。今までの特待生の中で断トツの優秀じゃん」
あちこちで噂が飛び交うなか、前列からひとりの背の高い男子が階段をのぼってステージに上がった。
みんなの視線が一気に彼に集中する。もちろんおれもマジマジと彼を見る。と言っても、後列からじゃそんなにはっきり見えない。
マイクの前に立った彼は一礼してまっすぐ前を向いた。視線は・・・意識しないようにしてるのか、2階を見てるように見える。
有吉くらいの身長はありそうだ。遠目で見てもわかるくらい顔が整ってる。(イケメンだ)耳にかかる黒髪がスポットライトに当てられツヤツヤだ。
頭が良くて顔も良くてスタイルも良くて・・・本当に雲の上の人間かもしれない。
縁がなさそうで思わず微笑。
「高等部一年代表。特待生、三春豪(みはるごう)」
よく通る青い声がマイクを通してホール内に響いた。
挨拶文を丸暗記してきたのか、スラスラと口からもっともらしい言葉が出てくる彼を見ながらおれの目が点になる。
三春って言った?
三春豪って言った?
同姓同名?
遠くて特待生の彼から三春くんのおもかげを探すのは難しい。だけど、三春くんも顔立ちがよかった。女子の人気もあった。スタイルは・・・おれと身長が同じくらいだったからちょっとわからない。でも、あれから3年経つし身長だって伸びる。伸びたらあんな感じ?
くじけそうな時、辛い時、いつも記憶の一コマから取り出す三春くんの笑顔が、おれの頭の中で眩しいほどに鮮明に輝きまくる。
おれの初恋の三春くんが、同じ学校に入学してきただと?!!
*あとがき*
読んでくださりあがりがとうございました!
新作・連載スタートです。
今回は以前よりもマイペースに更新していきます。
月に1~2回の予定です。
楽しんで頂けたら幸いです。
よろしくお願い致します。(ぺこり)
たっぷりチョコ。
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