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嫌いなあいつ
しおりを挟む「俺、あいつ嫌いだ」
弁当の卵焼きを食べながら、俺は言った。
机を挟んで向き合って座ってる友人の磯田(いそだ)がヤキソバンを持ったまま真顔になる。どう対処しようか考えてる顔だ。
「あいつって・・・おまえの前に座ってる高坂(こうさか)のこと?」
「そう!」
その名前を聞いた途端、俺の怒りのスイッチが入った。
「今月に入って席替えするまで名前すら知らなかった高坂がマ、ジ、でムカつく!」
「同じクラスなのに知らなかったのかよ」
「1年の時同じクラスじゃなかった奴なんてそんなもんだろ」
「せめて顔とか名前とくらいは覚えるよ。同じクラスなんだし」
「あいつ、プリント配る時なにも言わないんだぜ」
「は?」
「普通言うだろ。はい、とか後ろの席の名前呼ぶとか」
「んー言わない奴もいるんじゃね?」
「そのせいでこの前受け取れなくてプリントぶちまけて俺が全部拾うはめになった。あいつ、一枚も拾わないどころか謝りもしないんだぜ!」
「そーいえばあったね」
「俺より身長高いから黒板よく見えないし、声かけても反応薄いし、無表情だし、優しくない!」
「・・・おい、今、高坂がいないからってぶっちゃけすぎじゃね?」
磯田が休み時間の教室をキョロキョロと見回し、本人がいないことを確認する。
「平気だって。あいつさっき部活の先輩に呼び出されて教室出て行ったの俺知ってるし。あれはしばらく帰ってこないね」
「・・・ならいいけど」
「あいつ絶対モテないね。俺が女子だったらあんな愛想のない奴マジ無理」
「女子目線か」
「あー早く次の席替えしてぇーー」
白飯を口に運びながら嘆く。
「しばらくないんじゃね?」
「マジかよ、最悪」
「ドンマイ」
磯田に愚痴ったらちょっとスッキリした。
残りの弁当を平らげて一息ついたところで高坂が教室に戻って来た。
「やる」
「え」
いきなり俺の前に立ち止まったと思ったらガチャガチャのカプセルを俺の机の上に置いた。
欲しい奴が出なかったからって俺に押し付けてきたのかと思ったら、
「あ、これ! 欲しかった奴だ! 猫のキョンシーポーズッ!!」
中身を取り出して興奮する。思わず声がデカく出た。
「何回やってもこれだけ全然出なかったんだよなー。え、マジでもらっていいの?!」
「ん」
素っ気ない態度で軽く頷くだけの高坂。
いつもならもうちょっと愛想よくしろって思うけど、今の俺には全然気にならない。むしろ高坂はキャラ属性でいくとクールという奴なのかも。
すぐさま手のひらサイズの猫フィギュアを磯田に見せつける。
「やべーこれで全種揃った!」
「いーのかよ、高坂のこと嫌いなんだろ」
引き気味の磯田が小声で言った。
俺は満面の笑みで、
「高坂、良い奴じゃん!」
「チョロ」
おわり。
*あとがき*
読んでくださりありがとうございました!
前作から少し間があいてしまいましたが、これからも自分のペースではありますが更新できたらと思っています。
今年もよろしくお願い致します。
たっぷりチョコ。
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