CJNS-中学女子七不思議捜査隊

サクラ

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七不思議1 美術室の笑う像

調査開始!……のはずが

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「九尾の狐、お化けの霊魂…」
「きゅうりの狐、お化けの蓮根!美味しそうだね!」


氷雨の呟く言葉を繰り返して、私も言う。
ちなみに意味は分かっていない。
すると、またもや呆れたように氷雨は言った。


「違うわよ……ところで、調査はしないの?」
「あ、うん、実はね……」

昨日の授業中に美術室の部屋の棚が突然崩れて以来、まだ美術室には入れないようなんだとか。

だが、氷雨は吊目を面白いと言うかのように細めた。
そして、悪知恵を私に教えた。
悪知恵を氷雨に仕込まれるなんて、初めてのことではない。

そういう所に、学力の違いを感じるなぁ……。
私、いっつも赤点だもん。


「この七不思議は夜中行うもの、どうせ忍び込むんだから 問題無いわ」


何も言わず頷く。
氷雨にしては思ったより普通の発想だった、と言ってしまわぬように。

だが、もう1つ問題はあった。
幽霊の声は先程私にだけ囁きかけてきたのだ。


「また、声が聞こえてきたの」
「……なんて言っていたの?」


ただ事ではないと思ってくれたのか、氷雨は真剣そのもので私に言う。
眉をひそめた顔は様になってるくらい綺麗なのが悔しい。


「危ない危ない、手を伸ばすと危ないよ……って」
「多分、他の霊の仕業ね。七不思議を解き明かされたら、住む場所を失うから」
「どうしようか」


氷雨は笑い、私の背中をぽんと押すと当然のようにいった。


「この程度でやめるほど、きのは弱くないでしょう?」
「………うん!」


今度こそ、七不思議の捜査をはじめるんだ。
大丈夫、あなたの伝えたいこと、全部聞いてあげるから。
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