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2期~仮染めの平和崩壊~
第二章 路地裏の落とし物
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「お兄ちゃん、ライウはお出かけしたいのだ!」
「ライウ、どうしたの?急に」
真白に抱きついていたライウが、不意にそう言った。
べ、別にヤキモチとかじゃないんですからねっ!
うろうろしていたスズが、後ろから私の胸を掴んで言った。
「カナ、ボクと買い物行こうよっ」
「ひやあぁっ、スズさんやめてくださいぃ~」
今更だが、ヒラナミとスズのこちょこちょは物凄くくすぐったい。
なんでこう、無駄な特技なんでしょう。
恥ずかしくも私達のこんな様子を、真白達が見ていた。
ライウがスズの上からくっついてきて、余計に状況は悪化していくばかりである。
「カナっ、カナもライウと一緒に行くのだ!」
「え~、ボクは?」
「スズも一緒で良いのだ」
…………本当にスズさんとライウは仲良しです。
だけど、そこへ彼女がやってくる。
「ね、ネオも行くって約束してたっ!」
そうして、一緒に行くメンバーは自ずと決まったのだった。
◇
「「は~るのっ、うら~らぁ~のっ♪」」
「おいネオとライウ、転ぶなよ?」
私達の前で、手を繋いでスキップしている二人にミカが言う。
さながら、ネオがもう一人増えたような感じだ。
っていうか、私は二人の選曲に色々と突っこみ所を感じる。
ひとつだけ突っこむと、今は冬まっただ中である。
二人を見ていた私が、真白の目にはどう映ったのか、すかさずに真白は私と腕を組んでくっついてくる。
「ちょっ…………!真白君、恥ずかしいですっ!」
「え~良いでしょ?これくらい、ね?」
そう笑いかけた真白を遮って、少しだけ拗ねたようにスズが言う。
そして反対側の腕を組んできた。
今、スズがいなかったら完璧に流されてた。
「ボクはまだ君の事、信用してないからね」
「つーか、何でもいいけど…。喧嘩されっと俺……じゃなくて、私が面倒臭いんだが」
ごめんなさい。
それについては深く反省………って、私何にもしてないっ!
しているのは、こっちの水面下でバトルし始めたこの二人だと思うんですが……。
え、ミカさんこの人達放置ですか?
なんか黒いオーラ渦巻いてるんですが。
そんな馬鹿な事をしている内にも、デパートへ着いてしまった。
「俺……私が欲しいのは、真白と同じ方向のだな」
「ライウとネオちゃんも、一緒においで」
「じゃあ、ボクとカナが方向一緒か」
「はい、そうですね。行きましょうか」
待ち合わせの場所を分かりやすい本屋の前にして、私達は欲しい物を手に入れるべくばらばらになった。
私が欲しいのは、ちょっとしたお菓子の素材。
選ぶのを見ていたスズが、私に話をしてくれる。
「…………カナには、ボクが甘党なんだって話ししたっけ?」
「いえ、多分初めてだと思います」
「そうだっけ。じゃあ、ついでに良いこと教えてあげる。ヒラナミはああ見えて辛党なんだよ」
ヒラナミの見た目とのギャップに驚いて、笑ってしまう。
辛党なのにどうしてそこまでお菓子作りが上手いんだろうなぁ。
まぁ、その要因の一つは目の前にいるのだろうけど。
「アリスもボクも、甘い物好きでしょ?だから作ってくれるんだよ」
なんだか特別扱いされてるみたいだ、って嬉しそうにスズは笑う。
私、もっと皆の事を知れたら良いなぁって思った。
そうしたら、皆の為に出来る事が増えるし。
するとスズが私の考えた事を読んだように、頭を優しく撫でてくれた。
「焦んなくても大丈夫じゃない?カナはもう、ボクらの家族なんだからさ」
スズはお姉さんみたいだ。
買うものを選んだ私達は、レジまで向かった。
◇
「あれ?ライウとネオは何見てたの?」
「私はね、ライウちゃんとこれ見てたんだよっ」
「カナ、人間の進歩とは素晴らしいのだ!」
きらきら輝く目で、唐突にライウはそんなことを言い出した。
ライウが指差したショーケースの向こうに、今人気の人形ロボットが眠っているように目を閉じていた。
確かに、こんなもの作っちゃうくらいだから人間は凄い。
形が人そっくりだ。
「あっ、そろそろ行かなきゃ。二人とも、あの二人は?」
「もうすぐそこから出てくると思うのだ」
そこは、内装が可愛らしいインテリアショップだった。
◇
やっと無事に終わって帰れる…………はずだった。
ネオがそれを見つけさえしなければ。
「ミカ、私これ欲しい!」
「ミカ、ライウも欲しいのだ!」
見つけたのは、路地裏に放置してあった人形ロボット。
だけど、さっきみかけた物よりも何だか綺麗な感じがした。
捨てられている事を確認したミカが、そのロボットを持ち上げようとする。
しかし、真白が微笑んでそれを背負った。
「こういうのは、男の仕事だよ」
………!
真白君、男の人だったの忘れてた!
◇
やっとのこと持ち帰った後、それを見たヒラナミは真顔で正論を口走ったりした。
実際私も少し思った。
「……………どうすんのよ、これ」
それから、近くにいた私に言う。
「ユウを呼んできてくれるかしら?ユウが一番機械に詳しいから」
「はい、分かりました」
確かに、ユウは頭良いからなぁ。
あれで学校行ってなかったなんて、すごいと思う。
階段を上がって、ユウの名前が描いてあるプレートの下がっているドアをノックした。
「あ、あの………ユウ、いますか?」
「どうか、しましたか?」
「あ、いや、ちょっと聞きたいことが………」
部屋から出てきたユウが、私の歩くスピードに合わせてゆっくり隣を歩いた。
前より優しくなった気がする。
「あ、ユウ。これの配線が分からないのだけど………」
「貸してください。こっちの赤い線はそこです」
てきぱきと配線を終わらせていく。
それにはもう、感心するばかりである。
そして、正常に繋げたらしい。
ぼんやりと赤いランプが灯っている。
ユウは部屋に戻って行って、ヒラナミは私に言い残して外へ出ていった。
「ふぅ…………」
疲れたので、ロボットを座らせている向かい側のソファに私は座った。
だけど、まさか目を覚ますとは思いもしなかった。
目の前にいるロボットが。
ましてや、未来から来たなんて言い出すとは。
夢にも思わない。
「ライウ、どうしたの?急に」
真白に抱きついていたライウが、不意にそう言った。
べ、別にヤキモチとかじゃないんですからねっ!
うろうろしていたスズが、後ろから私の胸を掴んで言った。
「カナ、ボクと買い物行こうよっ」
「ひやあぁっ、スズさんやめてくださいぃ~」
今更だが、ヒラナミとスズのこちょこちょは物凄くくすぐったい。
なんでこう、無駄な特技なんでしょう。
恥ずかしくも私達のこんな様子を、真白達が見ていた。
ライウがスズの上からくっついてきて、余計に状況は悪化していくばかりである。
「カナっ、カナもライウと一緒に行くのだ!」
「え~、ボクは?」
「スズも一緒で良いのだ」
…………本当にスズさんとライウは仲良しです。
だけど、そこへ彼女がやってくる。
「ね、ネオも行くって約束してたっ!」
そうして、一緒に行くメンバーは自ずと決まったのだった。
◇
「「は~るのっ、うら~らぁ~のっ♪」」
「おいネオとライウ、転ぶなよ?」
私達の前で、手を繋いでスキップしている二人にミカが言う。
さながら、ネオがもう一人増えたような感じだ。
っていうか、私は二人の選曲に色々と突っこみ所を感じる。
ひとつだけ突っこむと、今は冬まっただ中である。
二人を見ていた私が、真白の目にはどう映ったのか、すかさずに真白は私と腕を組んでくっついてくる。
「ちょっ…………!真白君、恥ずかしいですっ!」
「え~良いでしょ?これくらい、ね?」
そう笑いかけた真白を遮って、少しだけ拗ねたようにスズが言う。
そして反対側の腕を組んできた。
今、スズがいなかったら完璧に流されてた。
「ボクはまだ君の事、信用してないからね」
「つーか、何でもいいけど…。喧嘩されっと俺……じゃなくて、私が面倒臭いんだが」
ごめんなさい。
それについては深く反省………って、私何にもしてないっ!
しているのは、こっちの水面下でバトルし始めたこの二人だと思うんですが……。
え、ミカさんこの人達放置ですか?
なんか黒いオーラ渦巻いてるんですが。
そんな馬鹿な事をしている内にも、デパートへ着いてしまった。
「俺……私が欲しいのは、真白と同じ方向のだな」
「ライウとネオちゃんも、一緒においで」
「じゃあ、ボクとカナが方向一緒か」
「はい、そうですね。行きましょうか」
待ち合わせの場所を分かりやすい本屋の前にして、私達は欲しい物を手に入れるべくばらばらになった。
私が欲しいのは、ちょっとしたお菓子の素材。
選ぶのを見ていたスズが、私に話をしてくれる。
「…………カナには、ボクが甘党なんだって話ししたっけ?」
「いえ、多分初めてだと思います」
「そうだっけ。じゃあ、ついでに良いこと教えてあげる。ヒラナミはああ見えて辛党なんだよ」
ヒラナミの見た目とのギャップに驚いて、笑ってしまう。
辛党なのにどうしてそこまでお菓子作りが上手いんだろうなぁ。
まぁ、その要因の一つは目の前にいるのだろうけど。
「アリスもボクも、甘い物好きでしょ?だから作ってくれるんだよ」
なんだか特別扱いされてるみたいだ、って嬉しそうにスズは笑う。
私、もっと皆の事を知れたら良いなぁって思った。
そうしたら、皆の為に出来る事が増えるし。
するとスズが私の考えた事を読んだように、頭を優しく撫でてくれた。
「焦んなくても大丈夫じゃない?カナはもう、ボクらの家族なんだからさ」
スズはお姉さんみたいだ。
買うものを選んだ私達は、レジまで向かった。
◇
「あれ?ライウとネオは何見てたの?」
「私はね、ライウちゃんとこれ見てたんだよっ」
「カナ、人間の進歩とは素晴らしいのだ!」
きらきら輝く目で、唐突にライウはそんなことを言い出した。
ライウが指差したショーケースの向こうに、今人気の人形ロボットが眠っているように目を閉じていた。
確かに、こんなもの作っちゃうくらいだから人間は凄い。
形が人そっくりだ。
「あっ、そろそろ行かなきゃ。二人とも、あの二人は?」
「もうすぐそこから出てくると思うのだ」
そこは、内装が可愛らしいインテリアショップだった。
◇
やっと無事に終わって帰れる…………はずだった。
ネオがそれを見つけさえしなければ。
「ミカ、私これ欲しい!」
「ミカ、ライウも欲しいのだ!」
見つけたのは、路地裏に放置してあった人形ロボット。
だけど、さっきみかけた物よりも何だか綺麗な感じがした。
捨てられている事を確認したミカが、そのロボットを持ち上げようとする。
しかし、真白が微笑んでそれを背負った。
「こういうのは、男の仕事だよ」
………!
真白君、男の人だったの忘れてた!
◇
やっとのこと持ち帰った後、それを見たヒラナミは真顔で正論を口走ったりした。
実際私も少し思った。
「……………どうすんのよ、これ」
それから、近くにいた私に言う。
「ユウを呼んできてくれるかしら?ユウが一番機械に詳しいから」
「はい、分かりました」
確かに、ユウは頭良いからなぁ。
あれで学校行ってなかったなんて、すごいと思う。
階段を上がって、ユウの名前が描いてあるプレートの下がっているドアをノックした。
「あ、あの………ユウ、いますか?」
「どうか、しましたか?」
「あ、いや、ちょっと聞きたいことが………」
部屋から出てきたユウが、私の歩くスピードに合わせてゆっくり隣を歩いた。
前より優しくなった気がする。
「あ、ユウ。これの配線が分からないのだけど………」
「貸してください。こっちの赤い線はそこです」
てきぱきと配線を終わらせていく。
それにはもう、感心するばかりである。
そして、正常に繋げたらしい。
ぼんやりと赤いランプが灯っている。
ユウは部屋に戻って行って、ヒラナミは私に言い残して外へ出ていった。
「ふぅ…………」
疲れたので、ロボットを座らせている向かい側のソファに私は座った。
だけど、まさか目を覚ますとは思いもしなかった。
目の前にいるロボットが。
ましてや、未来から来たなんて言い出すとは。
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