戦隊少女!マテリアル

サクラ

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2期~仮染めの平和崩壊~

第二章 路地裏の落とし物

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「お兄ちゃん、ライウはお出かけしたいのだ!」
「ライウ、どうしたの?急に」



真白に抱きついていたライウが、不意にそう言った。
べ、別にヤキモチとかじゃないんですからねっ!

うろうろしていたスズが、後ろから私の胸を掴んで言った。



「カナ、ボクと買い物行こうよっ」
「ひやあぁっ、スズさんやめてくださいぃ~」



今更だが、ヒラナミとスズのこちょこちょは物凄くくすぐったい。
なんでこう、無駄な特技なんでしょう。

恥ずかしくも私達のこんな様子を、真白達が見ていた。

ライウがスズの上からくっついてきて、余計に状況は悪化していくばかりである。



「カナっ、カナもライウと一緒に行くのだ!」
「え~、ボクは?」
「スズも一緒で良いのだ」



…………本当にスズさんとライウは仲良しです。
だけど、そこへ彼女がやってくる。



「ね、ネオも行くって約束してたっ!」



そうして、一緒に行くメンバーは自ずと決まったのだった。














「「は~るのっ、うら~らぁ~のっ♪」」
「おいネオとライウ、転ぶなよ?」



私達の前で、手を繋いでスキップしている二人にミカが言う。
さながら、ネオがもう一人増えたような感じだ。


っていうか、私は二人の選曲に色々と突っこみ所を感じる。
ひとつだけ突っこむと、今は冬まっただ中である。


二人を見ていた私が、真白の目にはどう映ったのか、すかさずに真白は私と腕を組んでくっついてくる。



「ちょっ…………!真白君、恥ずかしいですっ!」
「え~良いでしょ?これくらい、ね?」



そう笑いかけた真白を遮って、少しだけ拗ねたようにスズが言う。
そして反対側の腕を組んできた。

今、スズがいなかったら完璧に流されてた。



「ボクはまだ君の事、信用してないからね」
「つーか、何でもいいけど…。喧嘩されっと俺……じゃなくて、私が面倒臭いんだが」



ごめんなさい。
それについては深く反省………って、私何にもしてないっ!
しているのは、こっちの水面下でバトルし始めたこの二人だと思うんですが……。


え、ミカさんこの人達放置ですか?
なんか黒いオーラ渦巻いてるんですが。

そんな馬鹿な事をしている内にも、デパートへ着いてしまった。



「俺……私が欲しいのは、真白と同じ方向のだな」
「ライウとネオちゃんも、一緒においで」

「じゃあ、ボクとカナが方向一緒か」
「はい、そうですね。行きましょうか」



待ち合わせの場所を分かりやすい本屋の前にして、私達は欲しい物を手に入れるべくばらばらになった。

私が欲しいのは、ちょっとしたお菓子の素材。
選ぶのを見ていたスズが、私に話をしてくれる。



「…………カナには、ボクが甘党なんだって話ししたっけ?」
「いえ、多分初めてだと思います」
「そうだっけ。じゃあ、ついでに良いこと教えてあげる。ヒラナミはああ見えて辛党なんだよ」



ヒラナミの見た目とのギャップに驚いて、笑ってしまう。
辛党なのにどうしてそこまでお菓子作りが上手いんだろうなぁ。

まぁ、その要因の一つは目の前にいるのだろうけど。



「アリスもボクも、甘い物好きでしょ?だから作ってくれるんだよ」



なんだか特別扱いされてるみたいだ、って嬉しそうにスズは笑う。


私、もっと皆の事を知れたら良いなぁって思った。
そうしたら、皆の為に出来る事が増えるし。

するとスズが私の考えた事を読んだように、頭を優しく撫でてくれた。



「焦んなくても大丈夫じゃない?カナはもう、ボクらの家族なんだからさ」



スズはお姉さんみたいだ。
買うものを選んだ私達は、レジまで向かった。















「あれ?ライウとネオは何見てたの?」
「私はね、ライウちゃんとこれ見てたんだよっ」
「カナ、人間の進歩とは素晴らしいのだ!」



きらきら輝く目で、唐突にライウはそんなことを言い出した。

ライウが指差したショーケースの向こうに、今人気の人形ロボットが眠っているように目を閉じていた。


確かに、こんなもの作っちゃうくらいだから人間は凄い。
形が人そっくりだ。



「あっ、そろそろ行かなきゃ。二人とも、あの二人は?」
「もうすぐそこから出てくると思うのだ」



そこは、内装が可愛らしいインテリアショップだった。














やっと無事に終わって帰れる…………はずだった。
ネオがそれを見つけさえしなければ。



「ミカ、私これ欲しい!」
「ミカ、ライウも欲しいのだ!」



見つけたのは、路地裏に放置してあった人形ロボット。
だけど、さっきみかけた物よりも何だか綺麗な感じがした。

捨てられている事を確認したミカが、そのロボットを持ち上げようとする。
しかし、真白が微笑んでそれを背負った。



「こういうのは、男の仕事だよ」



………!
真白君、男の人だったの忘れてた!















やっとのこと持ち帰った後、それを見たヒラナミは真顔で正論を口走ったりした。

実際私も少し思った。



「……………どうすんのよ、これ」



それから、近くにいた私に言う。



「ユウを呼んできてくれるかしら?ユウが一番機械に詳しいから」
「はい、分かりました」



確かに、ユウは頭良いからなぁ。
あれで学校行ってなかったなんて、すごいと思う。

階段を上がって、ユウの名前が描いてあるプレートの下がっているドアをノックした。



「あ、あの………ユウ、いますか?」
「どうか、しましたか?」
「あ、いや、ちょっと聞きたいことが………」



部屋から出てきたユウが、私の歩くスピードに合わせてゆっくり隣を歩いた。
前より優しくなった気がする。



「あ、ユウ。これの配線が分からないのだけど………」
「貸してください。こっちの赤い線はそこです」



てきぱきと配線を終わらせていく。
それにはもう、感心するばかりである。



そして、正常に繋げたらしい。
ぼんやりと赤いランプが灯っている。

ユウは部屋に戻って行って、ヒラナミは私に言い残して外へ出ていった。



「ふぅ…………」



疲れたので、ロボットを座らせている向かい側のソファに私は座った。






だけど、まさか目を覚ますとは思いもしなかった。

目の前にいるロボットが。

ましてや、未来から来たなんて言い出すとは。

夢にも思わない。
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