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2章
(8)無関係
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ラビルナ貝高原は薬草の群生地であり、エラムラの里の南西に位置している。
高原の周囲では英雄の丘と同じ岩質が露出しており、その急斜面と寄り添うように草むらが広がっていた。遠目から見ると、まるで雲の下に隠れた楽園のようだ。
高原のいたるところは不規則に逆断層があり、大きいところで二メートルほどの段差が刻まれている。断層の断面からはアコヤガイの中身と同じ螺鈿色の地層が顔を覗かせ、草の合間で潮騒のごとく煌めいていた。
俺が探し求めてきた薬草──パリュム草は、ラビルナ貝高原でしか採集できない特殊な生態がある。地下に濃縮された真珠石油を吸い上げてスズランに酷似した花を形成し、体内から塩を出して他の植物を駆逐してしまうのだ。
ただ、塩の生成にはラビルナ貝高原独特の螺鈿色の岩質が必須なので、パリュム草の脅威はこの高原一帯で留まっている。
一見すると凶悪な生態だが、パリュム草の見た目は意外にも愛らしい。
花の一粒一粒は真珠とそっくりで、触るたびに鈴を鳴らすような心地よい音が微かに聞こえる。強い風が吹くと、ラビルナ貝高原のほぼ全域から軽やかな音色が響き合い、自然の合奏を織り成すのだ。
「あと一株……よし、終わった!」
俺はパリュム草の根っこをできるだけ傷つけないように引っこ抜いて専用の皮袋に入れた。依頼で必要だったのは二十株だったが、不良品が混ざっているかもしれないので五つほど大目に回収しておいた。
最後の一株もショルダーバック式の納品鞄に詰め込んで、腰を痛めないようにゆっくりと立ち上がる。
「あ゛ー疲れた」
ずっとしゃがみ作業だったせいで足腰が痛み、ついおっさんのような声を上げてしまった。
回収したパリュム草の根に残った土が嵩張って、軽いはずの鞄がかなり重い。
これを抱えて足場の悪い高冠樹海をまた通らないといけないと思うと憂鬱だ。
せめて英雄の丘でまたドドックスとエンカウントする事態にならなければいのだが、俺の運なんてたかが知れているので期待しない方がいいだろう。
俺はぐっと伸びをして強張った全身をほぐした後、高原の一番高い場所で遊んでいるシャルに呼びかけた。
「シャル。そろそろ帰るぞー」
そこまで声を張っていなかったのだが、シャルにはちゃんと聞こえていたようですぐに走ってきた。重力操作で跳躍力が上がっているため、人が蟻に見えるほどの距離でも彼女ならひとっ飛びである。
シャルはふわりと落下の衝撃を殺すと、手に握りしめていたパリュム草を振りましながらニヤニヤ笑った。
「ねーねー、リョーホはこれがどんな薬になるか知ってる?」
「俺も詳しく知らないけど、お酢に溶かして使うんだってよ。効果は確か……痛み止めだったか?」
エトロから座学知識を色々と教えてもらったが、薬学に関しては正直うろ覚えだ。
狩人はドラゴンを討伐するためにあらゆる薬や毒の調合に精通しなければならないが、俺がゲーム知識で仕入れられたのは爆弾の作り方だけだ。HP回復薬やスタミナ増強薬などは全て市販で売られていたので、薬関係の詳しいレシピはさっぱりである。
不明瞭な俺の回答を聞くなり、シャルは小さな胸を張ってパリュム草を鼻先に突き出してきた。
「一番大事なこーのー忘れてるし! パリュム草は毒の浄化作用もあるんだぞ!」
「効能、な。じゃあ毒になった時はこいつをお酢に溶かして飲めばいいのか」
「そう! でもちゃんと濃いお酢で溶かさないと、こーのーが強すぎて、身体の感覚がなくなっちゃうから気を付けるんだし」
一歩間違えると劇薬である。素人が調合していい薬ではない。
愛らしい見た目の薬草から思わず後ずさると、シャルは顎に人差し指を置いてさらに付け足した。
「あとね、ダウ爺が言ってたんだけど、パリュム草とマヒガ草を合体させて、石けんでクリームにするとバカにつける薬ができるって」
「なんじゃそりゃ」
「バカになったやつを頭良くする!」
「馬鹿みてぇな効果だな」
「本当だもん! バカなリョーホには絶対大事!」
べしっと萎れたパリュム草を頭に叩きつけられ、俺は口元を引くつかせながらそれを振り払った。
「言っとくけどな、力はお前より弱くても頭は強いからな!」
「嘘だ! 筋肉と頭の良さは一緒なんだぞ!」
「普通逆だろ。だったら世界中の脳筋が天才になっちまうわ!」
シャルの脳筋天才理論が成立したら、地球のアスリートたちがエジソンやアインシュタインの如き発明をすることになるではないか。
しかし、よく考えてみたらシャルの言い分はあながち間違いでもない。
運動神経抜群のエトロは確実に俺より頭が良いし、討滅者一歩手前のドミラスは研究者や医者としてリデルゴア国中に名声をあげている。もしやこの世界では地球の常識が当てはまらず、シャルの言う通り筋肉が全てを超越する法則でもあるのか。
アホみたいな論理を真剣に吟味していると、俺の頭から落ちたパリュム草をシャルがそっと拾い上げた。
「……リョーホ」
「なんだ?」
「本当にこのまま帰っちゃうのか?」
親指と人差し指で挟んだパリュム草が身をよじるようにくるくる回転する。小さな鈴の音色を奏でながらだんだん萎れていく花を見つめて、俺は言葉を選びながらシャルに語り掛けた。
「悪いな。俺も守護狩人になりたいからさ」
「……ん。気持ちわかるから、シャルは止めないし」
「ありがとう。でもその代わり、また里に遊びに来た時に今日のお礼するから、待っててくれよ」
「……! うん、それも約束!」
シャルが小指を差し出してくるので、俺も同じように指を立てて応えた。
軽く絡めたシャルの指は子供にしては固く、彼女が強い理由がそれだけで伝わってきた。
小さく上下に揺らして約束を終えると、シャルは名残惜しそうに指を放しながら朗らかに目を細めた。
「えへへ。これ、ノーニャに教えてもらったの」
「え、なに、お前にも他に友達いたの!?」
「むぅー! バカにするな! ノーニャはオレの一番の友達だし!」
さっきまでのお淑やかな笑顔を吹き飛ばして地団太を踏み出すので、俺はひとしきり笑った後に困ったように告げた。
「なんだ。心配して損したわ」
「しんぱい?」
「シャルがずっと一人だったんじゃないかって心配してたんだ」
ダウバリフと人里離れた場所に住んでいるからてっきり迫害を受けているのかと思ったが、友達がいるならきっと大丈夫だろう。勝手に憐れんで少しでも面倒を見てあげようと思った俺の方がよほど偽善的で滑稽だ。
だが俺の言葉を受けたシャルは視線を落として、幼い顔に似合わぬ憂いを滲ませた。
「……今は」
「うん?」
シャルは無言で口を開けては閉じてを繰り返し、痛みに耐えるように眉をひそめた。やがて意を決したように毅然と顔を上げ、紫色の瞳で俺を見上げた。
「あのね、シャルの友達は……」
「──こんにちは」
闖入者の声に、一瞬の空白が生まれる。
それが月並みな挨拶だと気づくのに、また少し時間がかかった。
少なくとも敵ではなさそうだ。
俺は無垢な気分で振り返ってみる。
いつの間にそこにいたのか、数メートル離れた場所で白い髪の女性が立っていた。
瞳の赤さや桃色がかった肌の色からしてアルビノだ。
咄嗟に女性の胸元に視線を移すが、バーコードや99の文字は衣服に刻まれていなかった。彼女が着ている服装も踊り子の衣装と和服を合成したようなもので、以前謎の施設で助けてくれたアルビノの少女とは似ても似つかない。身体のどこにも武器らしきものを携帯しておらず、俺のように納品用鞄をぶら下げているわけでもなかった。
ラビルナ貝高原からエラムラの里までそう遠くはないが、武器もなく散歩で出かけていいほど安全なフィールドではない。
俺は女性から異様さを感じながら、探りを入れるべく挨拶に答えることにした。
「こ、こんにちは」
俺の強張った返事を聞いて、女性は口に弧を描いた。
紫色の口紅が引かれているせいで顔色が悪く見えるが、それが逆に女性の妖艶さを引き立たせている。目じりの青いアイラインもまるで隈取のようで、神話の女神が舞い降りてきたかのようだ。
女性は足元のパリュム草をかき分けるように一歩だけ近づいた。
「シャルのお友達ですか?」
「ええまあ、そうです。それより、前に貴方と俺とどこかで会いました? それとも妹とかいます?」
「妹ならいるわ。愛しの可愛い、ミカルラの娘」
「ミカルラ……?」
全く聞き覚えのない単語を繰り返した途端、
「リョーホ! 逃げて!」
真横からシャルに突き飛ばされ、自分の身体が一気に軽くなるのを感じる。
『重力操作』を受けた俺の身体はあっという間に三メートル以上も吹っ飛んで、大したダメージもなく地面を転がった。
咄嗟に身体を起き上がらせてシャルの方へ目を向ける。
そして、女性の掌がシャルの胸に叩きつけられた。
太い枝が折れるような鈍い音が耳にこびりつく。
「は……え?」
うまく状況を整理できない俺の前で、シャルは受け身も取れずにその場に倒れ込んだ。
「シャル!」
駆け寄ろうと足に力を込めた瞬間、気づけば息が触れ合うほどの距離に女性が立っていた。
そうと気づいた瞬間、足払いと共に突き飛ばされ、後頭部を地面に強打した。
「ぐあ!?」
次に目を開けると、俺の上に女性が馬乗りになっていた。女性の動きが早すぎてすべての動作がコマ送りに見える。動こうとした時点ですべてが終わっていて何もできない。
無力感に苛まれながら、俺は無意識に女性を押しのけようと右手を伸ばした。
「暴れないで」
肘の辺りを女性に叩かれ、指先までの神経が弾ける。
右腕が曲がらない。肘の向きがおかしい。内側に曲げていたはずの腕が、外側に。指が曲がらない。感覚はあるのに、まるで痺れているような、痛み? 痛い、痛い痛い痛い痛い痛い!
「あああああああ!?」
予期していない激痛と衝撃的な光景に悲鳴が上がった。
反射で暴れる身体を女性に上から押さえつけられ、満足に痛みを逃すこともできない。生理的な涙を流しながら奥歯を砕けんばかりに噛みしめると、しーっと子供をあやすように女性の人差し指が口に触れてきた。
女性は俺の瞳に理性が戻ってきたのを確認すると、視線をシャルの方へ向けて楽しそうに言った。
「お久しぶりね、シャルちゃん。ノーニャちゃんのお墓参りには行ったかしら?」
「は……ヒュ……」
シャルの方から聞こえる奇妙な呼吸音に、俺は一時だけ痛みを忘れて震えあがった。
日本にいた頃、目の前で交通事故に遭って肋骨を折った友人を見たことがある。
その時の呼吸と酷似した苦し気な音は、俺にとっては死を予感させる不吉なものだった。
「しゃ、シャル……? 大丈夫なのか、なぁ、息しろって!」
「ふふふ、強く折りすぎちゃったみたい。気を失われたら面倒だわ」
女性は草むらの上で痙攣するシャルに手をかざすと、指先から真っ白な菌糸の光を放った。光を注がれてしばらくするとシャルの呼吸が落ち着き始め、血の混じった喘鳴が一度強く零れ落ちた。
「げほっ!」
「お話、できるようになった?」
「リョーホをっ……はな、せ……!」
シャルは起き上がるべくうつ伏せになろうとしたが、腕に力が入らないようで横向きになるので精いっぱいだった。草の隙間から見えたシャルの顔は真っ青で、瞳からは音もなく大粒の涙が流れ続けていた。
まるでこれから何が起きるのかをすでに知っているような、絶望の顔だ。
それを見て女性はさらに口角を吊り上げながら、冷淡な声色で吐き捨てた。
「どの口が言っているのかしら。貴方には父親の代わりにきちんと報いを受けてもらわないと」
「シャルの……父親? 一体、何の話だよ!」
痛みを堪えながら噛みつくように問えば、女性は赤い瞳をこちらに向けて意外そうに目を見開いた。動作の一つ一つがわざとらしく、人間を真似ている別の生物にしか見えない。
「あら、知らなかったの? ノーニャちゃんは知ってたのに、意外と仲良くなかったのね」
女性は前のめりになって至近距離から俺を見下ろした。
結われていた白い髪が左右で檻となり、シャルの視界から俺を遮ってしまう。
「あの子の父親はね、エラムラの里の先代巫女、ミカルラ様を殺した大犯罪者よ」
密やかに嘲るように告げられた事実を飲み込んで、その上で俺は理解できなかった。
「それと、シャルになんの、関係が」
「大有りよ。罪も償わずに逃げたあの男が残していったのよ。自分の身代わり以外になんの理由があるというの? 本当に娘を大事に思っているなら連れて逃げるのが親心ってものでしょう?」
「そ、れだけで?」
言いがかりにも程がある。
この女性と殺されたミカルラという人がどのような関係だったかは知らないが、ミカルラがシャルの父に殺されたからと言って、シャルに復讐をするなんて間違っている。シャルと父親の関係なんてただ血がつながっているだけではないか。
「それ以外に何が必要なの?」
物分かりの悪い俺に、女性は侮蔑的な視線を投げかけた。そして俺から興味が失せたようにさっと身体を起こして、髪を後ろに払いながらシャルを振り返った。
「ねえ、ノーニャちゃんの時に気づいたのだけれど、復讐相手を一番苦しめる方法って、殺す以外にもっといいものがあるのよ。なんだか分かる?」
意味不明なことを言いながら、女性は見せつけるように人差し指を空へ立てた。
途端、シャルの身体が瘧にでも罹ったように震え始める。
「……めて、やめて、リョーホは、関係ない……!」
「これはすべて貴方のせい。貴方が生まれてきたのがいけない。私はね、貴方にまた大事なものができる日をずっと待っていたの。里の人とは全然仲良くならないし、ダウバリフも捕まえられなくてとってもじれったかったの。だから今日ぐらいはいいでしょう? もう少し熟してからでもよかったけれど、貴方があんなにも幸せそうに笑うんですもの。私はもう幸せを感じないのに、貴方だけそんな顔ができるなんておかしいでしょう?」
「──だから絶対に、許さない」
女性の指先が白く輝き、勢いよく俺の喉元へと突き立てられた。
皮膚の深い所をやすりでこそぎ落とされるような痛みだった。
徐々に全身の血が滞り痺れを生み出し、内臓が次々に停止していく。
呼吸をしたいのに何も吸い込めず、苦しいと思った傍から思考が外へと零れ落ちていく。
網膜には女性と晴れ晴れとした青空が写っているが、それがそうだと認識できない。感覚を正常に理解できない。匂いがあるのにどんな匂いか分からない。皮膚の感覚があるのに水の中のような、試験管の中の、チューブでつながれた、したいとさばくが。
自分を構成する大事なものが次々と欠落し、俺は微睡むように目を閉じた。
高原の周囲では英雄の丘と同じ岩質が露出しており、その急斜面と寄り添うように草むらが広がっていた。遠目から見ると、まるで雲の下に隠れた楽園のようだ。
高原のいたるところは不規則に逆断層があり、大きいところで二メートルほどの段差が刻まれている。断層の断面からはアコヤガイの中身と同じ螺鈿色の地層が顔を覗かせ、草の合間で潮騒のごとく煌めいていた。
俺が探し求めてきた薬草──パリュム草は、ラビルナ貝高原でしか採集できない特殊な生態がある。地下に濃縮された真珠石油を吸い上げてスズランに酷似した花を形成し、体内から塩を出して他の植物を駆逐してしまうのだ。
ただ、塩の生成にはラビルナ貝高原独特の螺鈿色の岩質が必須なので、パリュム草の脅威はこの高原一帯で留まっている。
一見すると凶悪な生態だが、パリュム草の見た目は意外にも愛らしい。
花の一粒一粒は真珠とそっくりで、触るたびに鈴を鳴らすような心地よい音が微かに聞こえる。強い風が吹くと、ラビルナ貝高原のほぼ全域から軽やかな音色が響き合い、自然の合奏を織り成すのだ。
「あと一株……よし、終わった!」
俺はパリュム草の根っこをできるだけ傷つけないように引っこ抜いて専用の皮袋に入れた。依頼で必要だったのは二十株だったが、不良品が混ざっているかもしれないので五つほど大目に回収しておいた。
最後の一株もショルダーバック式の納品鞄に詰め込んで、腰を痛めないようにゆっくりと立ち上がる。
「あ゛ー疲れた」
ずっとしゃがみ作業だったせいで足腰が痛み、ついおっさんのような声を上げてしまった。
回収したパリュム草の根に残った土が嵩張って、軽いはずの鞄がかなり重い。
これを抱えて足場の悪い高冠樹海をまた通らないといけないと思うと憂鬱だ。
せめて英雄の丘でまたドドックスとエンカウントする事態にならなければいのだが、俺の運なんてたかが知れているので期待しない方がいいだろう。
俺はぐっと伸びをして強張った全身をほぐした後、高原の一番高い場所で遊んでいるシャルに呼びかけた。
「シャル。そろそろ帰るぞー」
そこまで声を張っていなかったのだが、シャルにはちゃんと聞こえていたようですぐに走ってきた。重力操作で跳躍力が上がっているため、人が蟻に見えるほどの距離でも彼女ならひとっ飛びである。
シャルはふわりと落下の衝撃を殺すと、手に握りしめていたパリュム草を振りましながらニヤニヤ笑った。
「ねーねー、リョーホはこれがどんな薬になるか知ってる?」
「俺も詳しく知らないけど、お酢に溶かして使うんだってよ。効果は確か……痛み止めだったか?」
エトロから座学知識を色々と教えてもらったが、薬学に関しては正直うろ覚えだ。
狩人はドラゴンを討伐するためにあらゆる薬や毒の調合に精通しなければならないが、俺がゲーム知識で仕入れられたのは爆弾の作り方だけだ。HP回復薬やスタミナ増強薬などは全て市販で売られていたので、薬関係の詳しいレシピはさっぱりである。
不明瞭な俺の回答を聞くなり、シャルは小さな胸を張ってパリュム草を鼻先に突き出してきた。
「一番大事なこーのー忘れてるし! パリュム草は毒の浄化作用もあるんだぞ!」
「効能、な。じゃあ毒になった時はこいつをお酢に溶かして飲めばいいのか」
「そう! でもちゃんと濃いお酢で溶かさないと、こーのーが強すぎて、身体の感覚がなくなっちゃうから気を付けるんだし」
一歩間違えると劇薬である。素人が調合していい薬ではない。
愛らしい見た目の薬草から思わず後ずさると、シャルは顎に人差し指を置いてさらに付け足した。
「あとね、ダウ爺が言ってたんだけど、パリュム草とマヒガ草を合体させて、石けんでクリームにするとバカにつける薬ができるって」
「なんじゃそりゃ」
「バカになったやつを頭良くする!」
「馬鹿みてぇな効果だな」
「本当だもん! バカなリョーホには絶対大事!」
べしっと萎れたパリュム草を頭に叩きつけられ、俺は口元を引くつかせながらそれを振り払った。
「言っとくけどな、力はお前より弱くても頭は強いからな!」
「嘘だ! 筋肉と頭の良さは一緒なんだぞ!」
「普通逆だろ。だったら世界中の脳筋が天才になっちまうわ!」
シャルの脳筋天才理論が成立したら、地球のアスリートたちがエジソンやアインシュタインの如き発明をすることになるではないか。
しかし、よく考えてみたらシャルの言い分はあながち間違いでもない。
運動神経抜群のエトロは確実に俺より頭が良いし、討滅者一歩手前のドミラスは研究者や医者としてリデルゴア国中に名声をあげている。もしやこの世界では地球の常識が当てはまらず、シャルの言う通り筋肉が全てを超越する法則でもあるのか。
アホみたいな論理を真剣に吟味していると、俺の頭から落ちたパリュム草をシャルがそっと拾い上げた。
「……リョーホ」
「なんだ?」
「本当にこのまま帰っちゃうのか?」
親指と人差し指で挟んだパリュム草が身をよじるようにくるくる回転する。小さな鈴の音色を奏でながらだんだん萎れていく花を見つめて、俺は言葉を選びながらシャルに語り掛けた。
「悪いな。俺も守護狩人になりたいからさ」
「……ん。気持ちわかるから、シャルは止めないし」
「ありがとう。でもその代わり、また里に遊びに来た時に今日のお礼するから、待っててくれよ」
「……! うん、それも約束!」
シャルが小指を差し出してくるので、俺も同じように指を立てて応えた。
軽く絡めたシャルの指は子供にしては固く、彼女が強い理由がそれだけで伝わってきた。
小さく上下に揺らして約束を終えると、シャルは名残惜しそうに指を放しながら朗らかに目を細めた。
「えへへ。これ、ノーニャに教えてもらったの」
「え、なに、お前にも他に友達いたの!?」
「むぅー! バカにするな! ノーニャはオレの一番の友達だし!」
さっきまでのお淑やかな笑顔を吹き飛ばして地団太を踏み出すので、俺はひとしきり笑った後に困ったように告げた。
「なんだ。心配して損したわ」
「しんぱい?」
「シャルがずっと一人だったんじゃないかって心配してたんだ」
ダウバリフと人里離れた場所に住んでいるからてっきり迫害を受けているのかと思ったが、友達がいるならきっと大丈夫だろう。勝手に憐れんで少しでも面倒を見てあげようと思った俺の方がよほど偽善的で滑稽だ。
だが俺の言葉を受けたシャルは視線を落として、幼い顔に似合わぬ憂いを滲ませた。
「……今は」
「うん?」
シャルは無言で口を開けては閉じてを繰り返し、痛みに耐えるように眉をひそめた。やがて意を決したように毅然と顔を上げ、紫色の瞳で俺を見上げた。
「あのね、シャルの友達は……」
「──こんにちは」
闖入者の声に、一瞬の空白が生まれる。
それが月並みな挨拶だと気づくのに、また少し時間がかかった。
少なくとも敵ではなさそうだ。
俺は無垢な気分で振り返ってみる。
いつの間にそこにいたのか、数メートル離れた場所で白い髪の女性が立っていた。
瞳の赤さや桃色がかった肌の色からしてアルビノだ。
咄嗟に女性の胸元に視線を移すが、バーコードや99の文字は衣服に刻まれていなかった。彼女が着ている服装も踊り子の衣装と和服を合成したようなもので、以前謎の施設で助けてくれたアルビノの少女とは似ても似つかない。身体のどこにも武器らしきものを携帯しておらず、俺のように納品用鞄をぶら下げているわけでもなかった。
ラビルナ貝高原からエラムラの里までそう遠くはないが、武器もなく散歩で出かけていいほど安全なフィールドではない。
俺は女性から異様さを感じながら、探りを入れるべく挨拶に答えることにした。
「こ、こんにちは」
俺の強張った返事を聞いて、女性は口に弧を描いた。
紫色の口紅が引かれているせいで顔色が悪く見えるが、それが逆に女性の妖艶さを引き立たせている。目じりの青いアイラインもまるで隈取のようで、神話の女神が舞い降りてきたかのようだ。
女性は足元のパリュム草をかき分けるように一歩だけ近づいた。
「シャルのお友達ですか?」
「ええまあ、そうです。それより、前に貴方と俺とどこかで会いました? それとも妹とかいます?」
「妹ならいるわ。愛しの可愛い、ミカルラの娘」
「ミカルラ……?」
全く聞き覚えのない単語を繰り返した途端、
「リョーホ! 逃げて!」
真横からシャルに突き飛ばされ、自分の身体が一気に軽くなるのを感じる。
『重力操作』を受けた俺の身体はあっという間に三メートル以上も吹っ飛んで、大したダメージもなく地面を転がった。
咄嗟に身体を起き上がらせてシャルの方へ目を向ける。
そして、女性の掌がシャルの胸に叩きつけられた。
太い枝が折れるような鈍い音が耳にこびりつく。
「は……え?」
うまく状況を整理できない俺の前で、シャルは受け身も取れずにその場に倒れ込んだ。
「シャル!」
駆け寄ろうと足に力を込めた瞬間、気づけば息が触れ合うほどの距離に女性が立っていた。
そうと気づいた瞬間、足払いと共に突き飛ばされ、後頭部を地面に強打した。
「ぐあ!?」
次に目を開けると、俺の上に女性が馬乗りになっていた。女性の動きが早すぎてすべての動作がコマ送りに見える。動こうとした時点ですべてが終わっていて何もできない。
無力感に苛まれながら、俺は無意識に女性を押しのけようと右手を伸ばした。
「暴れないで」
肘の辺りを女性に叩かれ、指先までの神経が弾ける。
右腕が曲がらない。肘の向きがおかしい。内側に曲げていたはずの腕が、外側に。指が曲がらない。感覚はあるのに、まるで痺れているような、痛み? 痛い、痛い痛い痛い痛い痛い!
「あああああああ!?」
予期していない激痛と衝撃的な光景に悲鳴が上がった。
反射で暴れる身体を女性に上から押さえつけられ、満足に痛みを逃すこともできない。生理的な涙を流しながら奥歯を砕けんばかりに噛みしめると、しーっと子供をあやすように女性の人差し指が口に触れてきた。
女性は俺の瞳に理性が戻ってきたのを確認すると、視線をシャルの方へ向けて楽しそうに言った。
「お久しぶりね、シャルちゃん。ノーニャちゃんのお墓参りには行ったかしら?」
「は……ヒュ……」
シャルの方から聞こえる奇妙な呼吸音に、俺は一時だけ痛みを忘れて震えあがった。
日本にいた頃、目の前で交通事故に遭って肋骨を折った友人を見たことがある。
その時の呼吸と酷似した苦し気な音は、俺にとっては死を予感させる不吉なものだった。
「しゃ、シャル……? 大丈夫なのか、なぁ、息しろって!」
「ふふふ、強く折りすぎちゃったみたい。気を失われたら面倒だわ」
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「げほっ!」
「お話、できるようになった?」
「リョーホをっ……はな、せ……!」
シャルは起き上がるべくうつ伏せになろうとしたが、腕に力が入らないようで横向きになるので精いっぱいだった。草の隙間から見えたシャルの顔は真っ青で、瞳からは音もなく大粒の涙が流れ続けていた。
まるでこれから何が起きるのかをすでに知っているような、絶望の顔だ。
それを見て女性はさらに口角を吊り上げながら、冷淡な声色で吐き捨てた。
「どの口が言っているのかしら。貴方には父親の代わりにきちんと報いを受けてもらわないと」
「シャルの……父親? 一体、何の話だよ!」
痛みを堪えながら噛みつくように問えば、女性は赤い瞳をこちらに向けて意外そうに目を見開いた。動作の一つ一つがわざとらしく、人間を真似ている別の生物にしか見えない。
「あら、知らなかったの? ノーニャちゃんは知ってたのに、意外と仲良くなかったのね」
女性は前のめりになって至近距離から俺を見下ろした。
結われていた白い髪が左右で檻となり、シャルの視界から俺を遮ってしまう。
「あの子の父親はね、エラムラの里の先代巫女、ミカルラ様を殺した大犯罪者よ」
密やかに嘲るように告げられた事実を飲み込んで、その上で俺は理解できなかった。
「それと、シャルになんの、関係が」
「大有りよ。罪も償わずに逃げたあの男が残していったのよ。自分の身代わり以外になんの理由があるというの? 本当に娘を大事に思っているなら連れて逃げるのが親心ってものでしょう?」
「そ、れだけで?」
言いがかりにも程がある。
この女性と殺されたミカルラという人がどのような関係だったかは知らないが、ミカルラがシャルの父に殺されたからと言って、シャルに復讐をするなんて間違っている。シャルと父親の関係なんてただ血がつながっているだけではないか。
「それ以外に何が必要なの?」
物分かりの悪い俺に、女性は侮蔑的な視線を投げかけた。そして俺から興味が失せたようにさっと身体を起こして、髪を後ろに払いながらシャルを振り返った。
「ねえ、ノーニャちゃんの時に気づいたのだけれど、復讐相手を一番苦しめる方法って、殺す以外にもっといいものがあるのよ。なんだか分かる?」
意味不明なことを言いながら、女性は見せつけるように人差し指を空へ立てた。
途端、シャルの身体が瘧にでも罹ったように震え始める。
「……めて、やめて、リョーホは、関係ない……!」
「これはすべて貴方のせい。貴方が生まれてきたのがいけない。私はね、貴方にまた大事なものができる日をずっと待っていたの。里の人とは全然仲良くならないし、ダウバリフも捕まえられなくてとってもじれったかったの。だから今日ぐらいはいいでしょう? もう少し熟してからでもよかったけれど、貴方があんなにも幸せそうに笑うんですもの。私はもう幸せを感じないのに、貴方だけそんな顔ができるなんておかしいでしょう?」
「──だから絶対に、許さない」
女性の指先が白く輝き、勢いよく俺の喉元へと突き立てられた。
皮膚の深い所をやすりでこそぎ落とされるような痛みだった。
徐々に全身の血が滞り痺れを生み出し、内臓が次々に停止していく。
呼吸をしたいのに何も吸い込めず、苦しいと思った傍から思考が外へと零れ落ちていく。
網膜には女性と晴れ晴れとした青空が写っているが、それがそうだと認識できない。感覚を正常に理解できない。匂いがあるのにどんな匂いか分からない。皮膚の感覚があるのに水の中のような、試験管の中の、チューブでつながれた、したいとさばくが。
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気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
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最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
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15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
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前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
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