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6章
(11)悪口はほどほどに
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「なぜ……なぜこの俺が潜入しなきゃならんのだぁ……」
「まだ言ってるよ」
咽び泣いているシュレイブの背を押しながら、俺たちは足早にエラムラの広場を横切る。頭を抱えながら歩くムキムキの男はかなり目立つのでやめて欲しいのだが、シュレイブはまだウジウジしていた。
「こういうのはクライヴだけでいいだろう……なぜ俺なんだぁ……!」
「俺たちは陽動と情報収集、後は研大達のお守りだ。クライヴの方が危険な任務なんだから文句言うな」
時刻は夕日が沈んだばかりの頃。エラムラに潜入したメンバーは、俺とミヴァリア組、研大達の合計八人だ。クライヴは今、いつでも別行動が取れるように『迷彩』を発動しながら俺たちの中に紛れている。側から見れば、俺たちのグループは七人に見えているだろう。
レブナは最後まで、俺がエラムラに潜入することに反対していた。だが旧人類達だけで行かせる方がもっと危険だと説明すると、彼女は渋々折れてくれた。
研大達は今まで仮想世界に引きこもっていた分、良い意味での田舎臭さがあるため衛兵から疑われにくい。しかも狩人特有の殺伐とした雰囲気が全くないため、情報収集に向いていると判断された。が、常識に疎くボロを出してしまうリスクもあったため、俺とシュレイブが同行することになった。
ちなみに今の俺は『支配』と『瞋恚』の合わせ技で、俺の死の記憶から引用した外見になっている。
ツクモ曰く、俺が姿を借りているこの男は、百年以上も前に辺境の村で穏やかに老衰を迎えたらしい。珍しく平和な人生を歩んだ鍵者だったので、旧人類の雰囲気に合わせるなら彼以外に適任はいないだろう。
流石に老衰直後の姿では動きにくいため、『支配』で骨格ごと若い頃を再現してある。俺の記憶では男の姿が朧げだったので、ツクモの補助がかなり助かった。この顔にピンとくる人間は、もうこの世に存在しないだろうから使い勝手も良い。
シュレイブは別人になった俺の顔を悔しそうな顔で睨みつけた。そして、びしっと効果音がつきそうな勢いで、俺の真横にいる研大を指差した。
「そこのケンタってやつは現実世界の記録を読んでいたんだろう! だったらこいつ一人でも平気じゃないか!」
「無理だよ! 研大は熱中すると周りが見えなくなるから、絶っっっ対ボロ出すって!」
「うーん信用がマイナスに振り切れてるね~」
「お前は呑気に屋台のメシ爆食いしてんじゃねぇ!」
ちゃっかり別行動をとっていた馬鹿者を全力で引っ叩く。俺が少し目を離しているうちに屋台飯を買い込みやがって。他の旧人類たちもこぞって屋台飯を腕いっぱいに抱え、目を輝かせながら頬張っているではないか。
「いやぁ、本物の食事はやっぱりいいね。昔は情報を食べて生きてきた俺達だけどさ、口コミとか数値化された評価とか、他人を気にする必要がないのも最高! 変なフィルターなしにダイレクトに味覚を感じられるよ!」
研大のやたら具体的な感想に、他の旧人類たちは何度も深く頷く。
「ホントだよ! やっぱり最新技術を使いすぎるのは良くないんだね!」
「あ、見て! 住宅地なのに星空がはっきり見えるよ!」
「自然とはこんなに美しかったのか」
「綺麗な空気が吸えるだけで涙が出てくる……」
「ああ、脳が稼働しすぎて眩暈がしてきた。情報量で鼻血出そう」
「嬉しそうなところ恐縮ですがちょっと大人しくしてくれませんかね団体観光客の皆さん!?」
真面目な潜入捜査中だというのに目立つことをしないでほしい。五百年ぶりの外が楽しくて仕方がないのだとしても自重してくれ。
とにかく、俺たちが欲しい情報は三つだ。
まず一つ。エラムラの民は、ハウラとロッシュのどちらを信じているのか。
二つ目、ロッシュは今どこにいるのか。
三つ目、ここ最近で急に雰囲気が変わった衛兵に心当たりはないか。
情報収集をするなら酒場しかない。流石にギルドの酒場に堂々と入場するわけにも行かないので、ギルドの出入り口が見える近所の飲食店から調査を始めることにした。
飲食店に入り、窓際の席を陣取る。テーブルのメニューを手に取って、ふとシュレイブの方を見ると赤くなったり青くなったりする顔が見えた。
「シュレイブ、とにかく笑顔でいろ。あんま緊張するなって」
「ッス」
「……とりあえず飯食ってゆっくり話そう。な?」
「ッス」
シュレイブは鼻息じみた返事をしながら、メニュー表を持って店員に合図を出した。
「ご注文は」
「あぇ、あの、こ、ここここのメニュー、上から下まで全部お願いします!」
富豪の頼み方しやがった。
バルド村の皆からクラウドファンディングを募ったので資金的に問題はないが、それにしたって限度があるだろう。この店のメニューが少なくて助かった。
太っ腹な注文を受け、店員はドン引きしながらも上機嫌になった。ディアノックスの襲撃で不景気になった分、羽振の良い客がありがたいのだろう。
店員は大声で厨房に注文を伝えると、意外にもその場を立ち去ることなく、興味津々で話しかけてきた。
「旅の方ですか? 随分大所帯ですね」
すみません、これでもかなり減らした方なんです。とは口が裂けても言えるわけがない。俺は引き攣った笑みを浮かべて、早速会話に切れ込みを入れることにした。
「そうなんです。実は北の隠れ村から避難してきたんですが──」
と、研大が即興で語った設定をそのまま流用すると、人の良い店員は同情的に眉尻を下げた。
「それは、よく無事にエラムラまで辿り着けましたね。英雄様に会っていなければどうなっていたことか」
「ぶふっ」
再びの英雄呼びに、研大が笑いを堪える気配がする。テーブルの下で奴の脛を蹴ってから、俺は少しずつ本題へとにじり寄った。
「本当に、狩人様には感謝してもしきれませんよ。ところで、なんだか里の中が浮き足立っているような気がするのですが、お祭りでもあるのですか?」
「いやね、死んだって言われていた里長様が、ついこの間ひょっこり帰ってきたんですよ」
「そうなんですか! ご無事だったんですね」
「無事なのは無事だったんだけどねぇ」
店員が愚痴モードに入ったのを見て、来た、と俺は内心で身を乗り出す。店員は自分が自分の話に夢中で、俺たちの反応に気づいていない様子だった。
「実はね、里長様が死んだって言いふらしたのはうちの巫女様なんですよ。巫女様ってほら、もう随分と里長の言いなりだったでしょう? それで、里長様がなかなか帰ってこないのを良いことに、嘘を吐いてエラムラの実権を握ろうとしていたんですよぅ」
さも噂を誇張するような言い回しに、俺はテーブルの下で手のひらに爪を立てた。どうにか笑顔だけは保ったまま、さらに話を引き出しにかかる。
「巫女様は、以前からロッシュ様をよく思っていなかったのですか?」
「さぁね。でもずっと薄明の塔に閉じこもっていらしたから、里長と顔を会わせたくなかったのかもしれませんよ」
そんなことはない、と全力で反論したかった。ハウラは確かにロッシュに負い目を感じていたが、レオハニーと訓練を重ねて以降は、もっとロッシュを支えられるようになりたいと自信溢れる表情で宣言していたのだ。ロッシュもロッシュで、訓練の合間にこっそりハウラの様子を見に来ていた。あまり表には出さないが、二人とも互いを尊重していたのは確かだ。
以前、シュイナが二人の関係性を嘆いていたことがある。里長と巫女は、民の反対意見を反映しやすいよう、表向きは対立するように立ち回らねばならないのだと。
レブナもまた、寂しそうに笑いながらこう言っていた。ハウラに巫女という肩書きがなかった頃、二人はもっと兄妹のような親しい間柄だったのだと。
それにロッシュにとってハウラは、ミカルラの忘れ形見でもあった。ミカルラが存命だった時期を考えれば、ロッシュがベアルドルフと共に幼いハウラの面倒を見ていた時期があってもおかしくはない。
しかし、そんなことを俺が言ったところで意味はない。今はエラムラとは縁もゆかりもない他人に変装しているのだから、余計に。
俺は手のひらの痛みを無視して、より強く笑顔を張り付けた。
「里長も災難でしたね。けれど巫女様はなぜ、里長が亡くなったという、すぐにバレる嘘を吐いたのでしょうね?」
相手に喋らせるには、相手を気持ち良くさせねばならない。決して否定してはならない。心を無にして、知識をひけらかしたいと思わせなければ。
「さぁねぇ、知りたくもありませんよ。巫女様には心底幻滅しましたから」
耐えろ。
「先代のミカルラ様はとても聡明でしたねぇ。前里長のアドラン様とも息ぴったりで、双翼の渾名に相応しかったものです。しかしハウラ様はなんというか、フフ、平凡以下ですよねぇ」
耐えろ。
「能力の制御もできず、守るべき民を危険に晒してしまうんですもの。ディアノックスを単独で討伐できないほど弱いなんて、巫女失格ですよ。どうしてミカルラ様ではなく、あの者が生きているのかしらね」
ガン! と膝をテーブルに打ち付ける。大きな音で店員は驚いていたが、俺は膝を摩りながら「失礼しました」と形だけの謝罪をした。
俺がエラムラの裏事情を何でもかんでも知った気になって、身内贔屓している自覚はある。だが、二人のことを知らない人間が、わざわざ外連味のある視点からものを言うのが不愉快だった。自分の矮小な自尊心を満たすためだけに死人を蹴落とし、他人に醜悪さを見出そうとするその心根が、首から力任せに引きちぎりたくなるほど憎くて憎くて仕方がない。
「すぅ……」
今日の俺は調子が悪いらしい。ノースマフィアのノラの時は、もっと上手く情報を引き出せたのに、感情的になるのを止められない。
すると、俺のつま先に固いものがコツコツと当たった。背もたれに寄りかかるふりをしながらテーブル下を見ると、研大のつま先が俺を小突いていた。
そして研大は、俺のハリボテと比べ物にならない笑顔で場を引き継いだ。
「それほど里長様のために義憤を覚えるとは。貴方はロッシュ様を心から慕っているのですね」
教祖のような、初めてロッシュを見かけた時にそっくりな、胡散臭い好意だ。シュレイブはそれを正面から目の当たりにしてしまい、俺の裾を掴みながら無音で叫び倒していた。
だが、エラムラの人間にとってそれは見慣れたもの。むしろ、何よりも信頼できる象徴だった。
店員は一気に研大への態度を軟化させ、仕事中とは思えぬほどだらしなく笑った。
「里の者は皆ロッシュ様を心から信じておりますよ! あの人が長になってくれたおかげで、スキュリアとの紛争も激減したのですから!」
「へぇーいいなぁ羨ましい」
「ねー。ぜひとも一目そのお顔を拝見したいです」
他の旧人類もこぞって里長をもてはやす。
店員は我が事のように気分が良くなったらしく、ようやく俺たちが求めていた情報を吐き出した。
「残念ですが、ロッシュ様はギルド長室でお休みになられてるんですよ。まだオラガイアで負った傷が癒えていないみたいで……」
「ふーん、それじゃ仕方ないよね。じゃあ巫女様ならどう? 美人だったらちょっとだけ見てみたいなぁ」
旧人類の女性が言えば、店員は今にも舌打ちしそうな顔で首を振った。
「いやいやそちらも無理でしょうね。巫女様は薄明の塔の最上階に籠っていますから、逢魔落としの階段を上っても、警備が厳重なので会えるかどうか……」
「そっかぁ残念」
「──おい、いつまでサボってんだ! さっさと料理運べ!」
「あ、はい!」
厨房から怒鳴り声が響き、店員はそそくさと仕事に戻っていった。俺はその後ろ姿を睨みつけながら、通路側の席に待機する透明人間へ耳打ちする。
「クライヴ。今の聞いたよな?」
「ああ。行ってくる」
「一応聞くが、食べていかないのか?」
「匂いを少しでも減らしたいからな。皆で食べてくれ」
そう言い残すや、クライヴの気配が一気に遠かった。別の客が入店するのに合わせて、薄らと見えていたクライヴの魂が完全に見えなくなる。
途端、さっきまでにこやかだった旧人類たちから、叩き潰すような威圧感が解放された。
「うおっ……」
ついテーブルを掴みながら、恐る恐る旧人類達の顔を見る。研大だけはまだニコニコしていたが、残る四人の旧人類は、こめかみに太い血管を浮き上がらせていた。
「ミカルラの娘をよくもまあ悪し様に……」
「全部の新人類が善人だとは思ってないよ。悪い人だって必ずいるからね。けれど、限度ってものがあるじゃない……?」
「ミカルラが悲しむことはしたくない。けどハウラを苦しませる者を許せない。一体どうすればいいんですか浦敷博士」
「俺に聞かないで」
俺は涙目になりながら天井を仰いだ。それから隣のシュレイブを見ると、俺の腕を掴んだまま強く目を瞑っていた。よく見れば震えている。
やはり、旧人類だけで行かせなくて正解だったかもしれない。五百年も生きた彼らの忍耐力なら一時の憤怒に耐えられたのやもしれないが、下手をしたら、この店が血の海になるところだった。
俺は大きく深呼吸すると、旧人類たちを刺激しないようにそっと話しかけた。
「まだエラムラの民全員がハウラに否定的な訳じゃないし、一旦料理でも食べて落ち着きましょう。ね」
タイミングよく、先ほどとは別の店員が山のような料理を運んできた。先ほどまではとても食事をする雰囲気ではなかったが、旧人類は料理を見るなり、一気に気分を好転させた。
「わぁ! 見たこともない料理だ! ドラゴンのお肉使ってるの!?」
「胡椒の他に嗅いだことのないハーブの香りがする!」
彼らは店員に人数分の取り皿を頼むと、子供のように両手にナイフとフォークを持って凄まじい勢いで食べ始めた。店に入る前も屋台飯をたらふく食べていたはずなのに、あっという間に一皿消えてしまう。食べきれないんじゃないかと俺は心配していたのだが、どうやら杞憂だったらしい。
俺はシュレイブと顔を見合わせると、現実逃避するべく同時にフォークを握った。料理に罪はないのだと割り切れば、なんとか味を楽しむ余裕だけは確保できた。
ただ、胃のあたりが引き絞られるようにキリキリして、どんなに美味い料理でも思うように食べられなかった。次の情報源がまたハウラを貶めるような発言をしたら、俺でも止められるか自信がない。ただそれだけが心配だ。
後でエラムラの薬品店に寄ろう。俺は密かに心に決めた。
「まだ言ってるよ」
咽び泣いているシュレイブの背を押しながら、俺たちは足早にエラムラの広場を横切る。頭を抱えながら歩くムキムキの男はかなり目立つのでやめて欲しいのだが、シュレイブはまだウジウジしていた。
「こういうのはクライヴだけでいいだろう……なぜ俺なんだぁ……!」
「俺たちは陽動と情報収集、後は研大達のお守りだ。クライヴの方が危険な任務なんだから文句言うな」
時刻は夕日が沈んだばかりの頃。エラムラに潜入したメンバーは、俺とミヴァリア組、研大達の合計八人だ。クライヴは今、いつでも別行動が取れるように『迷彩』を発動しながら俺たちの中に紛れている。側から見れば、俺たちのグループは七人に見えているだろう。
レブナは最後まで、俺がエラムラに潜入することに反対していた。だが旧人類達だけで行かせる方がもっと危険だと説明すると、彼女は渋々折れてくれた。
研大達は今まで仮想世界に引きこもっていた分、良い意味での田舎臭さがあるため衛兵から疑われにくい。しかも狩人特有の殺伐とした雰囲気が全くないため、情報収集に向いていると判断された。が、常識に疎くボロを出してしまうリスクもあったため、俺とシュレイブが同行することになった。
ちなみに今の俺は『支配』と『瞋恚』の合わせ技で、俺の死の記憶から引用した外見になっている。
ツクモ曰く、俺が姿を借りているこの男は、百年以上も前に辺境の村で穏やかに老衰を迎えたらしい。珍しく平和な人生を歩んだ鍵者だったので、旧人類の雰囲気に合わせるなら彼以外に適任はいないだろう。
流石に老衰直後の姿では動きにくいため、『支配』で骨格ごと若い頃を再現してある。俺の記憶では男の姿が朧げだったので、ツクモの補助がかなり助かった。この顔にピンとくる人間は、もうこの世に存在しないだろうから使い勝手も良い。
シュレイブは別人になった俺の顔を悔しそうな顔で睨みつけた。そして、びしっと効果音がつきそうな勢いで、俺の真横にいる研大を指差した。
「そこのケンタってやつは現実世界の記録を読んでいたんだろう! だったらこいつ一人でも平気じゃないか!」
「無理だよ! 研大は熱中すると周りが見えなくなるから、絶っっっ対ボロ出すって!」
「うーん信用がマイナスに振り切れてるね~」
「お前は呑気に屋台のメシ爆食いしてんじゃねぇ!」
ちゃっかり別行動をとっていた馬鹿者を全力で引っ叩く。俺が少し目を離しているうちに屋台飯を買い込みやがって。他の旧人類たちもこぞって屋台飯を腕いっぱいに抱え、目を輝かせながら頬張っているではないか。
「いやぁ、本物の食事はやっぱりいいね。昔は情報を食べて生きてきた俺達だけどさ、口コミとか数値化された評価とか、他人を気にする必要がないのも最高! 変なフィルターなしにダイレクトに味覚を感じられるよ!」
研大のやたら具体的な感想に、他の旧人類たちは何度も深く頷く。
「ホントだよ! やっぱり最新技術を使いすぎるのは良くないんだね!」
「あ、見て! 住宅地なのに星空がはっきり見えるよ!」
「自然とはこんなに美しかったのか」
「綺麗な空気が吸えるだけで涙が出てくる……」
「ああ、脳が稼働しすぎて眩暈がしてきた。情報量で鼻血出そう」
「嬉しそうなところ恐縮ですがちょっと大人しくしてくれませんかね団体観光客の皆さん!?」
真面目な潜入捜査中だというのに目立つことをしないでほしい。五百年ぶりの外が楽しくて仕方がないのだとしても自重してくれ。
とにかく、俺たちが欲しい情報は三つだ。
まず一つ。エラムラの民は、ハウラとロッシュのどちらを信じているのか。
二つ目、ロッシュは今どこにいるのか。
三つ目、ここ最近で急に雰囲気が変わった衛兵に心当たりはないか。
情報収集をするなら酒場しかない。流石にギルドの酒場に堂々と入場するわけにも行かないので、ギルドの出入り口が見える近所の飲食店から調査を始めることにした。
飲食店に入り、窓際の席を陣取る。テーブルのメニューを手に取って、ふとシュレイブの方を見ると赤くなったり青くなったりする顔が見えた。
「シュレイブ、とにかく笑顔でいろ。あんま緊張するなって」
「ッス」
「……とりあえず飯食ってゆっくり話そう。な?」
「ッス」
シュレイブは鼻息じみた返事をしながら、メニュー表を持って店員に合図を出した。
「ご注文は」
「あぇ、あの、こ、ここここのメニュー、上から下まで全部お願いします!」
富豪の頼み方しやがった。
バルド村の皆からクラウドファンディングを募ったので資金的に問題はないが、それにしたって限度があるだろう。この店のメニューが少なくて助かった。
太っ腹な注文を受け、店員はドン引きしながらも上機嫌になった。ディアノックスの襲撃で不景気になった分、羽振の良い客がありがたいのだろう。
店員は大声で厨房に注文を伝えると、意外にもその場を立ち去ることなく、興味津々で話しかけてきた。
「旅の方ですか? 随分大所帯ですね」
すみません、これでもかなり減らした方なんです。とは口が裂けても言えるわけがない。俺は引き攣った笑みを浮かべて、早速会話に切れ込みを入れることにした。
「そうなんです。実は北の隠れ村から避難してきたんですが──」
と、研大が即興で語った設定をそのまま流用すると、人の良い店員は同情的に眉尻を下げた。
「それは、よく無事にエラムラまで辿り着けましたね。英雄様に会っていなければどうなっていたことか」
「ぶふっ」
再びの英雄呼びに、研大が笑いを堪える気配がする。テーブルの下で奴の脛を蹴ってから、俺は少しずつ本題へとにじり寄った。
「本当に、狩人様には感謝してもしきれませんよ。ところで、なんだか里の中が浮き足立っているような気がするのですが、お祭りでもあるのですか?」
「いやね、死んだって言われていた里長様が、ついこの間ひょっこり帰ってきたんですよ」
「そうなんですか! ご無事だったんですね」
「無事なのは無事だったんだけどねぇ」
店員が愚痴モードに入ったのを見て、来た、と俺は内心で身を乗り出す。店員は自分が自分の話に夢中で、俺たちの反応に気づいていない様子だった。
「実はね、里長様が死んだって言いふらしたのはうちの巫女様なんですよ。巫女様ってほら、もう随分と里長の言いなりだったでしょう? それで、里長様がなかなか帰ってこないのを良いことに、嘘を吐いてエラムラの実権を握ろうとしていたんですよぅ」
さも噂を誇張するような言い回しに、俺はテーブルの下で手のひらに爪を立てた。どうにか笑顔だけは保ったまま、さらに話を引き出しにかかる。
「巫女様は、以前からロッシュ様をよく思っていなかったのですか?」
「さぁね。でもずっと薄明の塔に閉じこもっていらしたから、里長と顔を会わせたくなかったのかもしれませんよ」
そんなことはない、と全力で反論したかった。ハウラは確かにロッシュに負い目を感じていたが、レオハニーと訓練を重ねて以降は、もっとロッシュを支えられるようになりたいと自信溢れる表情で宣言していたのだ。ロッシュもロッシュで、訓練の合間にこっそりハウラの様子を見に来ていた。あまり表には出さないが、二人とも互いを尊重していたのは確かだ。
以前、シュイナが二人の関係性を嘆いていたことがある。里長と巫女は、民の反対意見を反映しやすいよう、表向きは対立するように立ち回らねばならないのだと。
レブナもまた、寂しそうに笑いながらこう言っていた。ハウラに巫女という肩書きがなかった頃、二人はもっと兄妹のような親しい間柄だったのだと。
それにロッシュにとってハウラは、ミカルラの忘れ形見でもあった。ミカルラが存命だった時期を考えれば、ロッシュがベアルドルフと共に幼いハウラの面倒を見ていた時期があってもおかしくはない。
しかし、そんなことを俺が言ったところで意味はない。今はエラムラとは縁もゆかりもない他人に変装しているのだから、余計に。
俺は手のひらの痛みを無視して、より強く笑顔を張り付けた。
「里長も災難でしたね。けれど巫女様はなぜ、里長が亡くなったという、すぐにバレる嘘を吐いたのでしょうね?」
相手に喋らせるには、相手を気持ち良くさせねばならない。決して否定してはならない。心を無にして、知識をひけらかしたいと思わせなければ。
「さぁねぇ、知りたくもありませんよ。巫女様には心底幻滅しましたから」
耐えろ。
「先代のミカルラ様はとても聡明でしたねぇ。前里長のアドラン様とも息ぴったりで、双翼の渾名に相応しかったものです。しかしハウラ様はなんというか、フフ、平凡以下ですよねぇ」
耐えろ。
「能力の制御もできず、守るべき民を危険に晒してしまうんですもの。ディアノックスを単独で討伐できないほど弱いなんて、巫女失格ですよ。どうしてミカルラ様ではなく、あの者が生きているのかしらね」
ガン! と膝をテーブルに打ち付ける。大きな音で店員は驚いていたが、俺は膝を摩りながら「失礼しました」と形だけの謝罪をした。
俺がエラムラの裏事情を何でもかんでも知った気になって、身内贔屓している自覚はある。だが、二人のことを知らない人間が、わざわざ外連味のある視点からものを言うのが不愉快だった。自分の矮小な自尊心を満たすためだけに死人を蹴落とし、他人に醜悪さを見出そうとするその心根が、首から力任せに引きちぎりたくなるほど憎くて憎くて仕方がない。
「すぅ……」
今日の俺は調子が悪いらしい。ノースマフィアのノラの時は、もっと上手く情報を引き出せたのに、感情的になるのを止められない。
すると、俺のつま先に固いものがコツコツと当たった。背もたれに寄りかかるふりをしながらテーブル下を見ると、研大のつま先が俺を小突いていた。
そして研大は、俺のハリボテと比べ物にならない笑顔で場を引き継いだ。
「それほど里長様のために義憤を覚えるとは。貴方はロッシュ様を心から慕っているのですね」
教祖のような、初めてロッシュを見かけた時にそっくりな、胡散臭い好意だ。シュレイブはそれを正面から目の当たりにしてしまい、俺の裾を掴みながら無音で叫び倒していた。
だが、エラムラの人間にとってそれは見慣れたもの。むしろ、何よりも信頼できる象徴だった。
店員は一気に研大への態度を軟化させ、仕事中とは思えぬほどだらしなく笑った。
「里の者は皆ロッシュ様を心から信じておりますよ! あの人が長になってくれたおかげで、スキュリアとの紛争も激減したのですから!」
「へぇーいいなぁ羨ましい」
「ねー。ぜひとも一目そのお顔を拝見したいです」
他の旧人類もこぞって里長をもてはやす。
店員は我が事のように気分が良くなったらしく、ようやく俺たちが求めていた情報を吐き出した。
「残念ですが、ロッシュ様はギルド長室でお休みになられてるんですよ。まだオラガイアで負った傷が癒えていないみたいで……」
「ふーん、それじゃ仕方ないよね。じゃあ巫女様ならどう? 美人だったらちょっとだけ見てみたいなぁ」
旧人類の女性が言えば、店員は今にも舌打ちしそうな顔で首を振った。
「いやいやそちらも無理でしょうね。巫女様は薄明の塔の最上階に籠っていますから、逢魔落としの階段を上っても、警備が厳重なので会えるかどうか……」
「そっかぁ残念」
「──おい、いつまでサボってんだ! さっさと料理運べ!」
「あ、はい!」
厨房から怒鳴り声が響き、店員はそそくさと仕事に戻っていった。俺はその後ろ姿を睨みつけながら、通路側の席に待機する透明人間へ耳打ちする。
「クライヴ。今の聞いたよな?」
「ああ。行ってくる」
「一応聞くが、食べていかないのか?」
「匂いを少しでも減らしたいからな。皆で食べてくれ」
そう言い残すや、クライヴの気配が一気に遠かった。別の客が入店するのに合わせて、薄らと見えていたクライヴの魂が完全に見えなくなる。
途端、さっきまでにこやかだった旧人類たちから、叩き潰すような威圧感が解放された。
「うおっ……」
ついテーブルを掴みながら、恐る恐る旧人類達の顔を見る。研大だけはまだニコニコしていたが、残る四人の旧人類は、こめかみに太い血管を浮き上がらせていた。
「ミカルラの娘をよくもまあ悪し様に……」
「全部の新人類が善人だとは思ってないよ。悪い人だって必ずいるからね。けれど、限度ってものがあるじゃない……?」
「ミカルラが悲しむことはしたくない。けどハウラを苦しませる者を許せない。一体どうすればいいんですか浦敷博士」
「俺に聞かないで」
俺は涙目になりながら天井を仰いだ。それから隣のシュレイブを見ると、俺の腕を掴んだまま強く目を瞑っていた。よく見れば震えている。
やはり、旧人類だけで行かせなくて正解だったかもしれない。五百年も生きた彼らの忍耐力なら一時の憤怒に耐えられたのやもしれないが、下手をしたら、この店が血の海になるところだった。
俺は大きく深呼吸すると、旧人類たちを刺激しないようにそっと話しかけた。
「まだエラムラの民全員がハウラに否定的な訳じゃないし、一旦料理でも食べて落ち着きましょう。ね」
タイミングよく、先ほどとは別の店員が山のような料理を運んできた。先ほどまではとても食事をする雰囲気ではなかったが、旧人類は料理を見るなり、一気に気分を好転させた。
「わぁ! 見たこともない料理だ! ドラゴンのお肉使ってるの!?」
「胡椒の他に嗅いだことのないハーブの香りがする!」
彼らは店員に人数分の取り皿を頼むと、子供のように両手にナイフとフォークを持って凄まじい勢いで食べ始めた。店に入る前も屋台飯をたらふく食べていたはずなのに、あっという間に一皿消えてしまう。食べきれないんじゃないかと俺は心配していたのだが、どうやら杞憂だったらしい。
俺はシュレイブと顔を見合わせると、現実逃避するべく同時にフォークを握った。料理に罪はないのだと割り切れば、なんとか味を楽しむ余裕だけは確保できた。
ただ、胃のあたりが引き絞られるようにキリキリして、どんなに美味い料理でも思うように食べられなかった。次の情報源がまたハウラを貶めるような発言をしたら、俺でも止められるか自信がない。ただそれだけが心配だ。
後でエラムラの薬品店に寄ろう。俺は密かに心に決めた。
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その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
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世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
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スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
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ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
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己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
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2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
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