18 / 185
第二章 ギルド要請冒険者
#16 ウィーナム村の依頼
しおりを挟む
ユースが回復したのを見計らい、今度はあまり飛ばさずウィーナム村に向かった。
この魔法を見られると色々と面倒なので、村より少し離れた場所に降りる。
「麦畑か……随分と食い荒らされているな」
降り立った畑の様子を見て、ユースが呟く。
「エールの原料でしたっけ?」
お酒に関して無知なフェーリエは、ユースに尋ねる。ユースは軽く頷き、村へと歩き出す。
「あっ、ちょっと待ってくださいよぉ」
一人で先に行く剣士の後ろを追いかけ、村に入る。少し近づけたと思ったのは気のせいだったのだろうか。
そうこうしているうちに、剣士は村で一際大きい家の扉をノックする。
「どちら様でしょう」
家からいかにもなおじいちゃんが、訝しげに出てきた。
「ギルド要請冒険者だ。クエストの詳細を聞きに来た」
ユースのぶっきらぼうな言葉に、救いの神が降りたような泣きそうな顔で、おじいちゃんはフェーリエ達を家に招き入れた。
ソファに座ったフェーリエ達はお茶を出される。
「実は、村の貴重な収入源であるエールの大麦を食い荒らす魔物が増えてしまって……」
「その魔物は前からいたんですか?」
増えた、という表現が引っ掛かったフェーリエは素直に聞き返す。
「はい。今までは、村の若者達が倒せる程度だったのですが……数が増えた上に、1体1体の強さも上がっているようで……こちらでは対処が出来なくなってしまいまして。準備できる報酬もなく、困っていたところをギルドが新しく作ったという制度にあやかった次第です」
おじいさんは申し訳なさそうにうなだれている。そんなおじいさんに労りの言葉を掛け、魔物の住処を聞いたフェーリエ達は、一度村を出た。
「……ギルド要請冒険者って、出来たばかりの制度だったんですね」
「良いように使われたって事か……」
二人の間に冷たい風が吹き抜ける。今回は悪い話ではなかったが、このままでは悪徳話に引っ掛かってしまいそうだ。フェーリエは、警戒心を持とうと強く思った。
「とりあえず、畑に結界でも張っておきますか」
「持続する結界を張れるのか?」
驚きを押し殺した様な声で、剣士が聞いてくる。
「……あー、はい。これもばれると不味いですね。感知できないようにしときます」
そう言えばそうだった。結界は高位の魔法で、張り続けるには継続して魔力を失う。よほどの魔力量でも無い限り、畑丸々結界で覆うなんて出来ないだろう。
「属性付与も出来るのか……」
「……はい」
エンチャントは複数のイメージ力を必要とするため、高度な魔法だ。結界と属性付与の複合魔法は十分知られると厄介なことになる。冷や汗を流すフェーリエを見た剣士は
「隠し通せるのか……?」
頭を手で押さえ、ほぼ諦めの様な溜息を吐く。魔法研究院に見つかると冒険者業など出来ない。日の半分以上を魔法発展の為に捧げさせられるのだ。
「……ごめんなさい」
フェーリエは弱々しい謝罪を口にした。自分の魔法が非常識なのは理解しているが、どこからどこまで使ってはいけないのかが分からない。迷惑を掛けてしまうことに対しての謝罪だった。
この魔法を見られると色々と面倒なので、村より少し離れた場所に降りる。
「麦畑か……随分と食い荒らされているな」
降り立った畑の様子を見て、ユースが呟く。
「エールの原料でしたっけ?」
お酒に関して無知なフェーリエは、ユースに尋ねる。ユースは軽く頷き、村へと歩き出す。
「あっ、ちょっと待ってくださいよぉ」
一人で先に行く剣士の後ろを追いかけ、村に入る。少し近づけたと思ったのは気のせいだったのだろうか。
そうこうしているうちに、剣士は村で一際大きい家の扉をノックする。
「どちら様でしょう」
家からいかにもなおじいちゃんが、訝しげに出てきた。
「ギルド要請冒険者だ。クエストの詳細を聞きに来た」
ユースのぶっきらぼうな言葉に、救いの神が降りたような泣きそうな顔で、おじいちゃんはフェーリエ達を家に招き入れた。
ソファに座ったフェーリエ達はお茶を出される。
「実は、村の貴重な収入源であるエールの大麦を食い荒らす魔物が増えてしまって……」
「その魔物は前からいたんですか?」
増えた、という表現が引っ掛かったフェーリエは素直に聞き返す。
「はい。今までは、村の若者達が倒せる程度だったのですが……数が増えた上に、1体1体の強さも上がっているようで……こちらでは対処が出来なくなってしまいまして。準備できる報酬もなく、困っていたところをギルドが新しく作ったという制度にあやかった次第です」
おじいさんは申し訳なさそうにうなだれている。そんなおじいさんに労りの言葉を掛け、魔物の住処を聞いたフェーリエ達は、一度村を出た。
「……ギルド要請冒険者って、出来たばかりの制度だったんですね」
「良いように使われたって事か……」
二人の間に冷たい風が吹き抜ける。今回は悪い話ではなかったが、このままでは悪徳話に引っ掛かってしまいそうだ。フェーリエは、警戒心を持とうと強く思った。
「とりあえず、畑に結界でも張っておきますか」
「持続する結界を張れるのか?」
驚きを押し殺した様な声で、剣士が聞いてくる。
「……あー、はい。これもばれると不味いですね。感知できないようにしときます」
そう言えばそうだった。結界は高位の魔法で、張り続けるには継続して魔力を失う。よほどの魔力量でも無い限り、畑丸々結界で覆うなんて出来ないだろう。
「属性付与も出来るのか……」
「……はい」
エンチャントは複数のイメージ力を必要とするため、高度な魔法だ。結界と属性付与の複合魔法は十分知られると厄介なことになる。冷や汗を流すフェーリエを見た剣士は
「隠し通せるのか……?」
頭を手で押さえ、ほぼ諦めの様な溜息を吐く。魔法研究院に見つかると冒険者業など出来ない。日の半分以上を魔法発展の為に捧げさせられるのだ。
「……ごめんなさい」
フェーリエは弱々しい謝罪を口にした。自分の魔法が非常識なのは理解しているが、どこからどこまで使ってはいけないのかが分からない。迷惑を掛けてしまうことに対しての謝罪だった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下
akechi
ファンタジー
ルル8歳
赤子の時にはもう孤児院にいた。
孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。
それに貴方…国王陛下ですよね?
*コメディ寄りです。
不定期更新です!
没落領地の転生令嬢ですが、領地を立て直していたら序列一位の騎士に婿入りされました
藤原遊
ファンタジー
魔力不足、財政難、人手不足。
逃げ場のない没落領地を託された転生令嬢は、
“立て直す”以外の選択肢を持たなかった。
領地経営、改革、そして予想外の縁。
没落から始まる再建の先で、彼女が選ぶ未来とは──。
※完結まで予約投稿しました。安心してお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる