転生令嬢は覆面ズをゆく

唄宮 和泉

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第二章 ギルド要請冒険者

#16 ウィーナム村の依頼

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 ユースが回復したのを見計らい、今度はあまり飛ばさずウィーナム村に向かった。
 この魔法を見られると色々と面倒なので、村より少し離れた場所に降りる。
「麦畑か……随分と食い荒らされているな」
 降り立った畑の様子を見て、ユースが呟く。
「エールの原料でしたっけ?」
 お酒に関して無知なフェーリエは、ユースに尋ねる。ユースは軽く頷き、村へと歩き出す。
「あっ、ちょっと待ってくださいよぉ」
 一人で先に行く剣士の後ろを追いかけ、村に入る。少し近づけたと思ったのは気のせいだったのだろうか。
 そうこうしているうちに、剣士は村で一際大きい家の扉をノックする。
「どちら様でしょう」
 家からいかにもなおじいちゃんが、訝しげに出てきた。
「ギルド要請冒険者だ。クエストの詳細を聞きに来た」
 ユースのぶっきらぼうな言葉に、救いの神が降りたような泣きそうな顔で、おじいちゃんはフェーリエ達を家に招き入れた。
 ソファに座ったフェーリエ達はお茶を出される。
「実は、村の貴重な収入源であるエールの大麦を食い荒らす魔物が増えてしまって……」
「その魔物は前からいたんですか?」
 増えた、という表現が引っ掛かったフェーリエは素直に聞き返す。
「はい。今までは、村の若者達が倒せる程度だったのですが……数が増えた上に、1体1体の強さも上がっているようで……こちらでは対処が出来なくなってしまいまして。準備できる報酬もなく、困っていたところをギルドが新しく作ったという制度にあやかった次第です」
 おじいさんは申し訳なさそうにうなだれている。そんなおじいさんに労りの言葉を掛け、魔物の住処を聞いたフェーリエ達は、一度村を出た。
「……ギルド要請冒険者って、出来たばかりの制度だったんですね」
「良いように使われたって事か……」
 二人の間に冷たい風が吹き抜ける。今回は悪い話ではなかったが、このままでは悪徳話に引っ掛かってしまいそうだ。フェーリエは、警戒心を持とうと強く思った。
「とりあえず、畑に結界でも張っておきますか」
「持続する結界を張れるのか?」
 驚きを押し殺した様な声で、剣士が聞いてくる。
「……あー、はい。これもばれると不味いですね。感知できないようにしときます」
 そう言えばそうだった。結界は高位の魔法で、張り続けるには継続して魔力を失う。よほどの魔力量でも無い限り、畑丸々結界で覆うなんて出来ないだろう。
属性付与エンチャントも出来るのか……」
「……はい」
 エンチャントは複数のイメージ力を必要とするため、高度な魔法だ。結界と属性付与の複合魔法は十分知られると厄介なことになる。冷や汗を流すフェーリエを見た剣士は
「隠し通せるのか……?」
 頭を手で押さえ、ほぼ諦めの様な溜息を吐く。魔法研究院に見つかると冒険者業など出来ない。日の半分以上を魔法発展の為に捧げさせられるのだ。
「……ごめんなさい」
 フェーリエは弱々しい謝罪を口にした。自分の魔法が非常識なのは理解しているが、どこからどこまで使ってはいけないのかが分からない。迷惑を掛けてしまうことに対しての謝罪だった。


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