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第二章 ギルド要請冒険者
#57 怒りの落雷
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「あれが、大魚……」
目の前の海には、巨大な魚影が広がっている。
時折、海面から顔を出すそれは……。
(鯨?鯨じゃない?あれ)
前世では写真でしか見たことはないが、これは確実に鯨だ。
「どう倒す?」
ユースが問いかける。フェーリエは唸る。魔法ならば簡単に倒せるだろう。風で解体したり、炎で焼くといった手法が取れる。だが実際は剣士として戦わなければならないのだ。なぜなら、二人の後ろには村人が群がっているのだ。
「魔法は使えませんしねぇ」
小声でユースに返す。村人がいなければ、こっそり魔法で片をつけようと思っていたのだ。あれほど大きな生物に、剣で太刀打ち出来るのだろうか。
「仕方がない。騒がれると面倒だ」
「本当に、面倒ですねぇ」
フェーリエ不満げに呟いたとき、後ろで野次が聞こえた。
「何でお前がここにいる!」
「魔法使いは消えろ!」
振り返ると、この村に来たときと同じように、フェーリが囲まれていた。今度は子供ではなく大人だったが、フェーリエの堪忍袋の緒が切れるには十分過ぎる光景だ。
フェーリを殴ろうと大人に一人が腕を振り上げる。フェーリは自分の頭を抱えて、しゃがみ込んだが、その拳がフェーリに届くことはなかった。フェーリの周囲には、薄く膜が張られ、拳をはじいていたからだ。
「なっ!魔法か!?」
「化け物め!」
大人たちはいっそう口汚く罵り始めたが、突風が彼らを吹き飛ばした。
「ルナ……」
制止するようなユースの声が聞こえ、フェーリエは振り返る。じっと、仮面に遮られ見えずらいユースの目を見つめる。
「……分かった。好きにしていい」
仕方がない。そう息を吐いて、ユースは腕を組む。
フェーリエはもう一度フェーリの方を向き、フェーリを風でこちらに移動させる。
フェーリは何が起こっているのか分からないと、目を瞬いていたが、フェーリエを見て、唇を噛んだ。自分のせいで、フェーリエが村人の前で魔法を使わなければならなくなったと思ったのだろう。
フェーリエは強張っていた顔を、できる限り優しい笑顔に変えフェーリの頭を撫でる。
「あいつ、魔法使いなのか!?」
「俺たちを、だましていたのか!?」
村人たちの矛先はフェーリエに向いた。依頼しておいて、図々しい。フェーリエは静かに怒りを募らせた。
フェーリエは、目を村人に向けたまま、魔法を使った。
後ろの海から、ザバァ、と水が落ちる音が響き、村人たちは息を飲んだ。
そのまま見せしめるように、大魚に雷を落とす。落雷の音が響き渡り、直に見ていた村人たちは目を押さえた。背を向けていたフェーリエですら、目がチカチカしている。目を開けていられない村人たちの前に、焼け焦げ絶命した大魚をおろし、自分でも驚くほど低い声で言い放つ。
「これで依頼は達成しました。私たちは帰ります」
フェーリエの怒気に気圧されたのか、フェーリエが一歩進むごとに、目を押さえながらも村人たちは道を空けていった。
フェーリと手をつなぎ、無言で歩く相棒を見て、ユースは溜息をついた。これではいっそう、魔法が脅威の対象になってしまうではないか、と。
しかし、ユース自身も村人たちの態度に苛立っていたのは事実だ。これはこれですっきりしたようにも思う。
目の前の海には、巨大な魚影が広がっている。
時折、海面から顔を出すそれは……。
(鯨?鯨じゃない?あれ)
前世では写真でしか見たことはないが、これは確実に鯨だ。
「どう倒す?」
ユースが問いかける。フェーリエは唸る。魔法ならば簡単に倒せるだろう。風で解体したり、炎で焼くといった手法が取れる。だが実際は剣士として戦わなければならないのだ。なぜなら、二人の後ろには村人が群がっているのだ。
「魔法は使えませんしねぇ」
小声でユースに返す。村人がいなければ、こっそり魔法で片をつけようと思っていたのだ。あれほど大きな生物に、剣で太刀打ち出来るのだろうか。
「仕方がない。騒がれると面倒だ」
「本当に、面倒ですねぇ」
フェーリエ不満げに呟いたとき、後ろで野次が聞こえた。
「何でお前がここにいる!」
「魔法使いは消えろ!」
振り返ると、この村に来たときと同じように、フェーリが囲まれていた。今度は子供ではなく大人だったが、フェーリエの堪忍袋の緒が切れるには十分過ぎる光景だ。
フェーリを殴ろうと大人に一人が腕を振り上げる。フェーリは自分の頭を抱えて、しゃがみ込んだが、その拳がフェーリに届くことはなかった。フェーリの周囲には、薄く膜が張られ、拳をはじいていたからだ。
「なっ!魔法か!?」
「化け物め!」
大人たちはいっそう口汚く罵り始めたが、突風が彼らを吹き飛ばした。
「ルナ……」
制止するようなユースの声が聞こえ、フェーリエは振り返る。じっと、仮面に遮られ見えずらいユースの目を見つめる。
「……分かった。好きにしていい」
仕方がない。そう息を吐いて、ユースは腕を組む。
フェーリエはもう一度フェーリの方を向き、フェーリを風でこちらに移動させる。
フェーリは何が起こっているのか分からないと、目を瞬いていたが、フェーリエを見て、唇を噛んだ。自分のせいで、フェーリエが村人の前で魔法を使わなければならなくなったと思ったのだろう。
フェーリエは強張っていた顔を、できる限り優しい笑顔に変えフェーリの頭を撫でる。
「あいつ、魔法使いなのか!?」
「俺たちを、だましていたのか!?」
村人たちの矛先はフェーリエに向いた。依頼しておいて、図々しい。フェーリエは静かに怒りを募らせた。
フェーリエは、目を村人に向けたまま、魔法を使った。
後ろの海から、ザバァ、と水が落ちる音が響き、村人たちは息を飲んだ。
そのまま見せしめるように、大魚に雷を落とす。落雷の音が響き渡り、直に見ていた村人たちは目を押さえた。背を向けていたフェーリエですら、目がチカチカしている。目を開けていられない村人たちの前に、焼け焦げ絶命した大魚をおろし、自分でも驚くほど低い声で言い放つ。
「これで依頼は達成しました。私たちは帰ります」
フェーリエの怒気に気圧されたのか、フェーリエが一歩進むごとに、目を押さえながらも村人たちは道を空けていった。
フェーリと手をつなぎ、無言で歩く相棒を見て、ユースは溜息をついた。これではいっそう、魔法が脅威の対象になってしまうではないか、と。
しかし、ユース自身も村人たちの態度に苛立っていたのは事実だ。これはこれですっきりしたようにも思う。
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