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第四章 魔導王国
#86 彼が従う理由
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「うっわぁ。大きい……」
フェーリエの目の前には、でかでかとした門が立ちはだかっていた。いかにもお偉いさんが住んでいそうな家の門だ。
『この門に張られた結界に合う条件が、魔力量300以上のヒトみたいでね。ご主人から魔力を借りてるだけの僕では通れなかったんだよ』
『私は魔力を持っている訳ではないので、通ることが出来ませんでした』
ウルティムとアウラが申し訳なさそうに頭を下げる。
元々ウルティムに魔力はあるはずだが、リッチになった際に魔力が邪気に置き換えられてしまった。それ以降に生成されるのは全て邪気。契約し、邪気を追い出したところで、直ぐに魔力を生成する体に戻れるわけでもない。肉体があるリッチだが、今では半幽霊の状態で漂えるのも、体が不安定な証拠だ。今はフェーリエの魔力で器を満たし、その力を使う。常に貸しているのが200程。フェーリエにとって痛くも痒くもないが、正直今回に至っては返して欲しかった。
「なるほどね。私が通れれば、皆も通れるのかしら」
『恐らくはね。範囲に含められるみたい』
ウルティムの特殊な力として、魔法に付与された属性や条件を『視る』事が出来ると言うものがある。全てが未知な今、ウルティムの能力は非常に便利だ。
フェーリエは目の前の門に手を触れ、前に押す。重厚な見た目とは裏腹に、思いの外すんなり門は開き、フェーリエを迎え入れる。
結界を通る感覚がした後、急にユースが地面に蹲った。
「っ!?ユースさん!?大丈夫ですか!?」
フェーリエが問いかけるも、ユースは何も答えない。ただ蹲って胸を押さえている。
『どうやら結界の影響を受けすぎたみたいだね。ご主人の結界で覆えば緩和されると思うよ』
ウルティムの冷静な言葉に、フェーリエは慌ててユースの周りに魔法障壁を展開する。
すると、ユースの呼吸が落ち着き、冷や汗も止まった。
「良かった……。ちょっと!そういう手があるなら先に言って頂戴よ!」
ウルティムに向かって叫ぶ。初めから言ってくれれば、こうならずに済んだというのに。
「……視界が」
「視界が、どうしたんですか?」
見える、小さく呟かれた言葉に、フェーリエはほっと息を吐いた。どうやら、守護結界の効果も緩和できたようだ。
「済まない。迷惑をかけた」
「いえいえ!お互い様ですから!!では、探索に移りましょうか」
ユースを腕を取って、屋敷に向かって歩き出す。困惑した様子だったが、ユースは大人しくついてきてくれた。
『何故、あんな意地悪を?』
アウラがウルティムに冷たく尋ねる。
『何故って、彼、何考えてるか分からないじゃない?ご主人があそこまで信じてると、逆に疑いたくなるってだけだよ』
ヒトを疑うのはもはや癖だ。戦場でも、誰が敵で味方なのか、常に疑っていた。そのツケで精霊から睨まれようと、直せるものではない。
『フェーリエ様はそんなことを望んでいません。くれぐれも、勝手なことはしないように』
ユースには決して聞こえないように、波長をずらして、ウルティムだけに聞かせる。過保護でフェーリエを愛しているアウラは、フェーリエに害する者に酷く厳しい。ユースはそんなアウラに気に入られているのだ。一体どういう違いなのか。
(理性を失いたくなかった。ドルミートを滅ぼしたくなかった。僕がフェーリエと契約したのはその理由からだ。それでも、フェーリエのことは気に入ってるんだけどなぁ。反応が面白いし、何より、魔力がたくさんあるし)
少しでも楽しませて欲しい。その気持ちで、ウルティムは主人を見つめた。
フェーリエの目の前には、でかでかとした門が立ちはだかっていた。いかにもお偉いさんが住んでいそうな家の門だ。
『この門に張られた結界に合う条件が、魔力量300以上のヒトみたいでね。ご主人から魔力を借りてるだけの僕では通れなかったんだよ』
『私は魔力を持っている訳ではないので、通ることが出来ませんでした』
ウルティムとアウラが申し訳なさそうに頭を下げる。
元々ウルティムに魔力はあるはずだが、リッチになった際に魔力が邪気に置き換えられてしまった。それ以降に生成されるのは全て邪気。契約し、邪気を追い出したところで、直ぐに魔力を生成する体に戻れるわけでもない。肉体があるリッチだが、今では半幽霊の状態で漂えるのも、体が不安定な証拠だ。今はフェーリエの魔力で器を満たし、その力を使う。常に貸しているのが200程。フェーリエにとって痛くも痒くもないが、正直今回に至っては返して欲しかった。
「なるほどね。私が通れれば、皆も通れるのかしら」
『恐らくはね。範囲に含められるみたい』
ウルティムの特殊な力として、魔法に付与された属性や条件を『視る』事が出来ると言うものがある。全てが未知な今、ウルティムの能力は非常に便利だ。
フェーリエは目の前の門に手を触れ、前に押す。重厚な見た目とは裏腹に、思いの外すんなり門は開き、フェーリエを迎え入れる。
結界を通る感覚がした後、急にユースが地面に蹲った。
「っ!?ユースさん!?大丈夫ですか!?」
フェーリエが問いかけるも、ユースは何も答えない。ただ蹲って胸を押さえている。
『どうやら結界の影響を受けすぎたみたいだね。ご主人の結界で覆えば緩和されると思うよ』
ウルティムの冷静な言葉に、フェーリエは慌ててユースの周りに魔法障壁を展開する。
すると、ユースの呼吸が落ち着き、冷や汗も止まった。
「良かった……。ちょっと!そういう手があるなら先に言って頂戴よ!」
ウルティムに向かって叫ぶ。初めから言ってくれれば、こうならずに済んだというのに。
「……視界が」
「視界が、どうしたんですか?」
見える、小さく呟かれた言葉に、フェーリエはほっと息を吐いた。どうやら、守護結界の効果も緩和できたようだ。
「済まない。迷惑をかけた」
「いえいえ!お互い様ですから!!では、探索に移りましょうか」
ユースを腕を取って、屋敷に向かって歩き出す。困惑した様子だったが、ユースは大人しくついてきてくれた。
『何故、あんな意地悪を?』
アウラがウルティムに冷たく尋ねる。
『何故って、彼、何考えてるか分からないじゃない?ご主人があそこまで信じてると、逆に疑いたくなるってだけだよ』
ヒトを疑うのはもはや癖だ。戦場でも、誰が敵で味方なのか、常に疑っていた。そのツケで精霊から睨まれようと、直せるものではない。
『フェーリエ様はそんなことを望んでいません。くれぐれも、勝手なことはしないように』
ユースには決して聞こえないように、波長をずらして、ウルティムだけに聞かせる。過保護でフェーリエを愛しているアウラは、フェーリエに害する者に酷く厳しい。ユースはそんなアウラに気に入られているのだ。一体どういう違いなのか。
(理性を失いたくなかった。ドルミートを滅ぼしたくなかった。僕がフェーリエと契約したのはその理由からだ。それでも、フェーリエのことは気に入ってるんだけどなぁ。反応が面白いし、何より、魔力がたくさんあるし)
少しでも楽しませて欲しい。その気持ちで、ウルティムは主人を見つめた。
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