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第四章 魔導王国
#94 迷路
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「もう!!迷路嫌ぁぁ!!!」
意気揚々と城門を潜った数分後、フェーリエとユースは迷子になっていた。
生け垣(生命力は感じないため『生け』ではない気がするが)で形成された迷路で、フェーリエ達は迷っていた。魔法で飛んで城まで行こうにも、上昇できない結界が掛かっていた。飛んだと思えば地面に尻餅。やむなく歩き回っているが、全く城に近づける予感がしない。
「それにしても、なぜこの城は見えなかったんだ?」
「今そういうこと聞くタイミングですか!?剣士さん!?」
迷路がクリアできないイライラで、フェーリエはユースの言葉に噛みつく。すると、珍しいことにユースがフッと笑った。
「?剣士さん?」
「いや、そう呼ばれるのが久しぶりだと思ってな。実際はそこまで時間はたってないが、懐かしいと思ったんだ」
「えっ……そ、そう言えば最近は名前で呼んでますからね。でも、私としてはこっちの方が慣れてるので」
「君の好きなように呼ぶと良い。俺もそうする」
ユースは柔らかく微笑んでいる。仮面に隠されているのに、不思議なものだ。フェーリエはまじまじとユースの目を仮面越しに見つめる。
『甘酸っぱいやり取りは可愛らしいので見守りたいのですが、そろそろ迷路を攻略しませんか?』
そんなフェーリエの背後から、アウラの楽しそうな声が掛かる。思わず飛び上がってしまった。
「そ、そうね。行きましょうか、剣士さん」
「そうだな。さっきの質問にも答えてくれると嬉しいのだが」
「あ、この城が何で見えなかったのか、ですね」
フェーリエが聞き返すとユースコクリと頷く。
再び迷路を歩きながら、フェーリエはユースの疑問に答えた。
「恐らくですが、隠蔽の結界が張ってあったのではないかと。ただ、近寄れば見えたので、綻んでた可能性は高いです。簡単に壊せましたし」
「普通は見えないものなのか?」
「そうですね。完全に見えないようにするものなので、どこからでも見えないはずですよ。そうよね、ウルティム」
自分よりも結界について詳しいウルティムを呼ぶ。彼は、先ほどから言葉を発していないが、どうしたのだろうか。
「ウルティム?」
呼びかけるが反応は返ってこない。フェーリエは足を止め振り返る。一応側を飛んではいるが、彼は遠くを見ていてその目は虚ろだ。
「ウルティム?ウルティム!!」
『……ああ、なんだい?』
「なんだい、じゃないわよ。さっきから呼んでるのに反応がないから」
『ああ、ごめんごめん。少し考え事をしていてね。で、どうしたんだい?』
彼は笑顔を貼り付けている。底冷えするような、他人を拒絶する作られた笑顔。
「……もう良いわ。とりあえず迷路を抜けましょう」
今の彼に何かを聞いてはいけない。フェーリエは何故かそう思った。
フェーリエの様子の変化に、ウルティムは興味なさげにふーん、と呟いた。
『……ルナ様』
「……はぁ。行きましょう……」
心に靄が掛かるような憂鬱な気分だ。しかし、面倒くさい迷路は続き、余計にフェーリエを疲れさせた。
そんなフェーリエを端から見ていたユースは、ウルティムに警戒の目を向けていた。
意気揚々と城門を潜った数分後、フェーリエとユースは迷子になっていた。
生け垣(生命力は感じないため『生け』ではない気がするが)で形成された迷路で、フェーリエ達は迷っていた。魔法で飛んで城まで行こうにも、上昇できない結界が掛かっていた。飛んだと思えば地面に尻餅。やむなく歩き回っているが、全く城に近づける予感がしない。
「それにしても、なぜこの城は見えなかったんだ?」
「今そういうこと聞くタイミングですか!?剣士さん!?」
迷路がクリアできないイライラで、フェーリエはユースの言葉に噛みつく。すると、珍しいことにユースがフッと笑った。
「?剣士さん?」
「いや、そう呼ばれるのが久しぶりだと思ってな。実際はそこまで時間はたってないが、懐かしいと思ったんだ」
「えっ……そ、そう言えば最近は名前で呼んでますからね。でも、私としてはこっちの方が慣れてるので」
「君の好きなように呼ぶと良い。俺もそうする」
ユースは柔らかく微笑んでいる。仮面に隠されているのに、不思議なものだ。フェーリエはまじまじとユースの目を仮面越しに見つめる。
『甘酸っぱいやり取りは可愛らしいので見守りたいのですが、そろそろ迷路を攻略しませんか?』
そんなフェーリエの背後から、アウラの楽しそうな声が掛かる。思わず飛び上がってしまった。
「そ、そうね。行きましょうか、剣士さん」
「そうだな。さっきの質問にも答えてくれると嬉しいのだが」
「あ、この城が何で見えなかったのか、ですね」
フェーリエが聞き返すとユースコクリと頷く。
再び迷路を歩きながら、フェーリエはユースの疑問に答えた。
「恐らくですが、隠蔽の結界が張ってあったのではないかと。ただ、近寄れば見えたので、綻んでた可能性は高いです。簡単に壊せましたし」
「普通は見えないものなのか?」
「そうですね。完全に見えないようにするものなので、どこからでも見えないはずですよ。そうよね、ウルティム」
自分よりも結界について詳しいウルティムを呼ぶ。彼は、先ほどから言葉を発していないが、どうしたのだろうか。
「ウルティム?」
呼びかけるが反応は返ってこない。フェーリエは足を止め振り返る。一応側を飛んではいるが、彼は遠くを見ていてその目は虚ろだ。
「ウルティム?ウルティム!!」
『……ああ、なんだい?』
「なんだい、じゃないわよ。さっきから呼んでるのに反応がないから」
『ああ、ごめんごめん。少し考え事をしていてね。で、どうしたんだい?』
彼は笑顔を貼り付けている。底冷えするような、他人を拒絶する作られた笑顔。
「……もう良いわ。とりあえず迷路を抜けましょう」
今の彼に何かを聞いてはいけない。フェーリエは何故かそう思った。
フェーリエの様子の変化に、ウルティムは興味なさげにふーん、と呟いた。
『……ルナ様』
「……はぁ。行きましょう……」
心に靄が掛かるような憂鬱な気分だ。しかし、面倒くさい迷路は続き、余計にフェーリエを疲れさせた。
そんなフェーリエを端から見ていたユースは、ウルティムに警戒の目を向けていた。
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∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
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